SEOの健康度を計測する取り組みは、検索マーケティングの効果を維持する上で、不可欠である。ちょっとしたきっかけで、パフォーマンスが低下してしまうため、翌月のレポートを待ってから、低調なパフォーマンスを発見しているようでは、検索マーケティングに多大なダメージがもたらされる可能性がある。
パフォーマンスに良くない影響を与える問題に対処するため、毎日、もしくは、毎週、計測するべきSEOの健康度の目安が幾つか存在する。このような目安は、通常、具体的な問題点を指摘してくれるわけではないが、パフォーマンスの低下の原因を調査する際の手掛かりを得ることが出来る。
この記事で言及するアラートの方法、頻度、そして、条件は、大多数のサイトに適応することが出来るが、特別なニーズを持つサイトや非常にアグレッシブなSEOプログラムを実施しているサイトは、調整する必要がある。
1. 自然なトラフィック
自然なトラフィックの増加は、SEOプログラムが掲げる主な目標の一つであり、自然なトラフィックの量は、SEO戦略の影響を大きく受ける。自然なトラフィックが減少しているなら:
- 何がうまくいかなかったのかを調べ、対応する
- 別の健康度のスタッツを用いて、問題の原因を探る作業を強化する
- サイトの全てのセクションに対する自然なトラフィックをチェックし、パフォーマンスの悪いセクションが存在するかどうか、あるいは、サイト全体がダメージを受けているのか確認する
- 全てのデータをデスクトップとモバイルに分類し、モバイルSEOのパフォーマンスが低下しているかどうかを調べる
- 他のチャンネルのマーケティングアクティビティが低下しているかどうか確認する — 例えば、ブランドアウェアネスの低下は、ブランド検索の低下をもたらす
自然なトラフィックの量が増えたなら:
- 何がうまくいったのかを突き止め、サイト全体への適用を検討する
Google アナリティクスで、前の週と比較して、自然なトラフィックが5%以上増えた、または減った場合、Eメールで警告してもらえるように設定する。
2. ノーリファラートラフィックの変化
自然なトラフィックの増加に力を入れるものの、ダイレクトトラフィック(ノーリファラートラフィック)に関心を示さない人は多い。ユーザーは自然な検索でサイトを発見し、その後、直接戻ってくるケースが多いため、ノーリファラートラフィックは、パフォーマンスの基準として重要度が非常に高いと言える。検索の暗号化とブラウザのセキュリティが強化されるにつれ、アナリティクスでは、多くの検索トラフィックが、ノーリファラートラフィックとしてカウントされるようになった — httpのリファラーのデータは、とりわけモバイルデバイスにおいて、入手不可能になっている。そこで、ノーリファラートラフィックが減っているなら:
- 同じ傾向が自然なトラフィックにおいても起きているか確認する
- モバイルデバイスの利用をチェックし、モバイルデバイスの利用が減っているかどうかを確認する — 最近のモバイルブラウザの多くは、http リファラーのデータを渡さないためだ
- 最近、他のマーケティングのチャンネルをUTMでタグ付けしたなら、ノーリファラートラフィックが減る
- 他のチャンネルのマーケティングアクティビティが低下しているかどうか確認する — 例えば、ブランドアウェアネスの低下は、ダイレクトトラフィックの減少をもたらす
ノーリファラートラフィックが増えたなら:
- 何がうまくいったのかを突き止め、サイト全体への適用を検討する
- UTMのタグ付けが正しく行われているかどうか確認する
- モバイルデバイスの利用が増えているかどうか調べる
- 他のチャンネルのマーケティングアクティビティが増加しているかどうか確認する
Google アナリティクスで前の週と比較して、ノーリファラー(ダイレクトトラフィック)が10%以上増加、または、低下している場合、Eメールで警告してもらえるように設定する。
3. 参照トラフィックの変化
参照トラフィックは、リンクを得たか、あるいは、失ったかを知ることが出来る、優れたリンクプロフィールのパフォーマンスの基準である。また、サイトにトラフィックをもたらしているか否かで、リンクの価値を評価するために利用することも可能だ。参照トラフィックが減少しているなら:
- 被リンクのプロフィールと参照トラフィックを調べて、インバウンドリンクを失ったかどうかチェックする
- リンクからもたらされるトラフィックが減っているなら、リンクを張るウェブサイトがデザインを変更し、クリック数が低下しているかどうか確認する
参照トラフィックが増加しているなら:
- トラフィックを送り込むようになったサイトを特定し、当該のサイトからさらにリンクを得る機会を調べる
Google アナリティクスで前の週と比較して、参照トラフィックが10%以上増加した、または、低下した際にEメールで警告してもらえるように設定する。
4. キャンペーンのトラフィックの変化
キャンペーンのトラフィックは、直接SEOのパフォーマンスに影響を与えないものの、参照トラフィック、または、ブランド検索のトラフィックが、変動している理由を知る手掛かりを与えてくれる。Google アナリティクスで前の週と比べて、キャンペーンのトラフィックが20%以上増加した、または、低下した際にEメール警告してもらえるように設定する。
5. Eメールのトラフィックの変化
キャンペーンのトラフィックと同じように、Eメールのトラフィックも、参照トラフィック、または、ブランド検索のトラフィックが変化した理由を知る上での手掛かりとなる。Eブラストを配信する度にGoogle アナリティクスでメモを作成しておこう。また、前の週と比較して、Eメールのトラフィックが、20%以上増加した、あるいは、減少した場合、Eメールで警告してもらえるように設定すると良いだろう。
6. セッションの変化
現代はマルチデバイスの時代であり、各種のデバイスをまたいでユーザーを結びつけるのは容易ではない。また、ユーザーは、各種のマーケティングの手法を通じて、サイトに戻って来る。そのため、セッション全体の増加、または、減少を計測すると、マーケティングの成果を高いレベルで把握することが可能になる。Google アナリティクスで、前の週と比較して、セッションが10%以上増加している、または、減少している場合、Eメールで警告してもらえるように設定しよう。
7. ユーザー数の変化
サイトへの全体的なセッションに加えて、ユーザー数もまた、計測するべき重要な目安である。ユーザー数は、パフォーマンス全体が、本当にトラフィックを増加させているのかどうか、または、ユーザーがサイトを積極的に利用するようになり、より頻繁に戻って来ているかどうかを判断する際に役に立つ。Google アナリティクスで、前の週と比較して、ユーザー数が10%以上増加した、あるいは、減少した場合、Eメールで警告してもらえるように設定しよう。
8. モバイルデバイスの利用
先程触れたが、http リファラーデータは、モバイルブラウザ、および、一部のデスクトップにおいて、取得が制限されるようになっている。さらに、モバイル検索の利用が増えていることもあり、SEOプログラムのROIを計測するのが、ますます難しくなっている。Grouponが最近実施した調査によると、– とりわけモバイルにおいて — 検索トラフィックの最大60%がノーリファラートラフィックとカウントされるようだ。そこで、Google アナリティクスで、モバイルデバイスの利用を前の月と比較し、その結果を毎月Eメールで自動的に配信すると良いだろう。
9. ページ速度の増加
ページ速度は、SEOのパフォーマンス、コンバージョン、そして、ユーザビリティにおいて、重要な役割を担っている。ページが読み込まれる時間が長くなると、検索エンジンは、ネガティブな品質のシグナルと判断し、スパイダーによるクローリングの効率は悪くなり、ユーザーは不快感を持つようになり、そして、コンバージョン率は大幅に低下してしまう。Google アナリティクスで、ページ速度が10%以上上がってしまった場合、自動的に毎日警告を行ってもらえるように設定しておこう。さらに、ページの速度が…秒を上回った際にもEメールを送ってもらうようにすると良い。加えて、ページ速度が遅い50ページを2週間に1回のペースで自動的にEメールで伝えてもらおう — その際は、地域のデスクトップのユーザーとモバイルユーザーに分類すること。続いて、トラフィックの特に多い速度の遅いページを拾い上げ、gtmetrix.comでモニタリングの設定を行ってもらいたい。このツールは、ページを遅くしている原因を評価する際に役に立つ。
10. サーバーが応答する時間
サイトの速度の遅さは、必ずしも、ページの読み込みにかかる時間が長いことが原因になっているとは限らない。サーバーの速度が、サイトの速度を遅くしていることもある。そのため、サーバーの応答時間がXX(ミリ秒)を超えたら、自動的にアラートを送ってもらえるように設定しておくと良いだろう。
11. クロールエラー
Google ウェブマスターツールのクロールエラーレポートは、サイトの健康およびSEOの健康を把握する上で欠かせないアイテムである。バックエンドでバグが存在している可能性があり、その場合は、特定しにくい。また、リダイレクトに誤りがある可能性等も教えてもらえる。このツールは、さらに、外部のサイトが自分のサイトにリンクを張っているものの、URLのエラーが生じているケースも伝えてくれる。ウェブマスターツールで、通知に関するEメールの設定を変更しておこう。タイミング良く通知してくれるわけではなく、また、サイトに大きな問題が発生した場合のみアラートが送られる設定になっているため、Google ウェブマスターツールのAPIで週に1回クロールエラーのレポートを送信してもらえるように調整する必要がある。Raven等のSEOプラットフォームは、この機能を用意している。
12. サーバーエラーのログ
サーバー側の問題は、通常のSEOツールを使うだけでは、なかなか特定することが出来ない。そのため、サーバーエラーのログに変化が起きた際にアラートを送る設定を行っておきたいところだ。
13. 1日あたりのクロールされたページ数 & ページのダウンロード時間
この2つのスタッツは互いを補い、また、共にGoogle ウェブマスターツールで知ることが出来る。1日あたりのクロールされたページ数が減り、ページのダウンロード時間が増えているなら、サイトのパフォーマンスに問題が生じている可能性が高い。このスタッツは週に2回チェックする価値がある。
14. ブランドキーワードのインプレッション & クリック
not providedのおかげで、アナリティクスで、キーワードのトラフィックを計測する作業は大幅に制限されてしまったが、キーワードのデータに関連する主要なスタッツは、ウェブマスターツールで今でも得ることが出来る。トラフィックのスタッツの変化を追跡調査するために、このスタッツを確認しておこう。インプレッションとクリックの変化は、ブランドアウェアネスにおける変化、そして、マーケティングアクティビティにおける変化の存在を把握する上で役に立つ。
15. 非ブランドキーワードのインプレッション、クリック & CTR
非ブランドのキーワードのパフォーマンスは、検索のパフォーマンスだけでなく、(証明するのが困難な)季節性における情報を豊富に伝える。非ブランドキーワードのパフォーマンスは、トラフィックの基準値の変化に対する補足の調査としてチェックするべきである。インプレッションに関して:
- キーワードのランキングは変化したか?
- 季節の影響を受けているのか?
クリック数 & CTRに関して:
- ユーザーと関係のないキーワードのターゲティングを行っているか?
- ユーザーが関心を持たないメタデータを利用しているか?
16. キーワードのランキング
読んで字の通りであり、SEOのプロにとっては常識である。キーワードのランキングが下がると、トラフィックを失う。ランキングが下がったら、キーワードの戦略を調整する、または、ペナルティを科された可能性があるか調査しよう。
17. 手動による対策
Google ウェブマスターツールは、「手動による対策」機能を加えており、Googleが手動のアクションを起こしたかどうかを把握することが出来る。サイトで手動による対策が行われたら、アラートを送ってもらえるように、Eメールを設定しておこう。ただし、アルゴリズムのペナルティに関する通知は行われない。アルゴリズムのペナルティに関しては、14、15、16に従ってもらいたい。
18. セキュリティの問題
手動による対策と同じような仕組みで、「セキュリティの問題」ツールも、マルウェアが検知された場合、ウェブマスターに通知を行う。検索エンジンは、悪意のあるウェブサイトからユーザーを守るために、多種多様な対策を行っているため、セキュリティの問題が生じたら、迅速に対応する必要がある。
19. インデックスステータス
Google ウェブマスターツールのインデックスステータスツールは、Googleがインデックスでサイトにどのように対応しているのかを知る上でとても有効である。インデックスに登録されたページが増えた場合、次の点を確認しよう:
- 新しいページが追加されたか?
- クロールされるべきではないページがクロールされてしまったか?
- robots.txtのルールが無視されているのか?
減った場合は、次の点を確認しよう:
- サイトはペナルティを受けたのか?
- ページは隔離されているのか、あるいは、クロールすることが出来ない状態になっているのか?
- robots.txtで変化が生じているか?
- meta robotsタグの利用に変化が生じているか?
20. 直帰率
直帰率の増加は、SEOプログラムの健康度に関連する様々な手掛かりを示す。例えば:
- 関連性のないコンテンツ
- 関連性のないキーワードのターゲティング
- 劣悪なユーザーエクスペリエンス
- ページの読み込みに時間がかかる
- メタデータの記述が稚拙
Google アナリティクスで、直帰率が10%以上増加したら、自動的にアラートを送信してもらえるように設定しておこう。
21. 404ページのビュー
.NET等、多くのフレームワークは、404ページのURLにクエリ文字列を加えて、ユーザーがリクエストした404を生じさせるURLをウェブマスターに伝える。この機能は、ユーザーとスパイダーがアクセスしているリンク切れを発見する上で大いに役立つ。そこで、Google アナリティクスで、404ページのURLパラメータを持つページのビューを記載したEメールを週に1回送ってもらえるように設定しよう。最後に、このリストに加えるべき、SEOの健康度を測る上で効果的な基準をご存知なら、コメント欄で是非紹介してもらいたい。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「21 Metrics For Monitoring SEO Health」を翻訳した内容です。