神奈川県が新型コロナによる社会課題の解決に挑むスタートアップを募集開始

神奈川県 ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK) かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)

神奈川県は7月3日、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた社会課題の解決などに取り組むスタートアップ企業などによるプロジェクトを募集し、「新しい生活様式」の実行・定着に資する新たなサービスの開発を支援すると発表した。7月14日14時~15時にオンライン説明会を開催する。

募集内容は、ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK)による「新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)」、かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)による「社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)」の2種類。

審査・採択を経たプロジェクトに対しては、BAKまたはKSAPが開発・実証の支援を行い、社会課題の解決を図るサービスの早期事業化を目指す。

7月14日開催のオンライン説明会への申し込みは、「【BAK/神奈川県】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託の公募に関する説明会」を参照。

新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

BAKの新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)では、ベンチャー企業中心に複数企業などが連携し、新型コロナにより生じる課題の解決を行うなど、神奈川県において新しいビジネスモデルを構築するプロジェクトを募集を行う。

審査・採択したプロジェクトに対して、県が開発・実証にかかる費用を支援(最大1100万円)するとともに、県運営のBAKにおいて事業化を支援する。

「新しい生活様式」の定着・普及に資するプロジェクトの想定例として、地元店舗や大手物流などとの連携による自宅での買い物サービス、AR・VRなどを活用した大規模オンラインイベントや、在宅での買い物体験サービスなどが挙げられている。

想定例以外にも、新型コロナの収束後に成長・発展が見込まれる領域をテーマとしたプロジェクトなども対象としている。

    • 募集期間: 8月7日まで
    • 主な応募要件:
      ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
      ・ベンチャー企業中心に、複数企業が連携して取り組むプロジェクトであること(今後の連携見込みも含む)
      ・構成法人のうち、少なくとも1社は県内に本店・支店・営業所などを有すること
      ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどのプロトタイプ開発を完了すること
    • 主な支援内容:
      ・ベンチャー企業と大企業との連携事例のマネジメント経験を有し、調整に長けたコーディネーターが事業化に向けた助言・調整など個別支援を行う
      ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、3件程度×1100万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
    • 応募方法などの詳細: 【公募】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

神奈川県では、県内に拠点を持つ大企業と、質の高いベンチャー企業による事業連携プロジェクトの創出、オープンイノベーションに向けたコミュニティ形成を目的に、大企業・ベンチャー企業・研究機関・支援機関などが参画する協議会としてBAKを運営。

大企業の経営課題から導き出したテーマなど「テーマ」単位で、オープンイノベーションに向けたプロジェクト組成を支援するとともに、組成されたプロジェクトの事業化をコーディネーターが支援している。

社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)

KSAPによる社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)では、ビジネスを通じて社会の課題を解決するスタートアップを公募・選抜。4ヵ月にわたるアクセラレーションプログラム・メンタリングやネットワークによる支援などを通じ、社会価値の実現と事業拡大を支援する。

プログラム実施期間は、12月20日まで(WEWORKオーシャンゲートみなとみらい、またはオンラインでの開催)。ウィズコロナ時代に求められる新しいサービス・製品の開発に取り組む採択企業に対し、開発実証費用として最大税込み110万円の支援も行う。

想定例としては、リモートワーク支援、オンライン医療・教育、自宅でのバーチャル観光体験やオンラインフィットネスサービスなどが挙げられている。

  • 募集期間: 8月11日まで。7月23日までに応募した者に限り、応募事業について、運営事務局より事業成長に向けたフィードバックコメントをメールなどで送付する。フィードバックを受け、8月11日までに再提出することも可能
  • 主な応募要件:
    ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
    ・県内に本店を有するスタートアップ企業が行うプロジェクトであること(起業準備者については、支援期間内に法人登記を行うことが条件)
    ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどの実証を完了すること
  • 主な支援内容:
    ・個別課題の解決に向けたメンタリングや資金調達に向けたベンチャーキャピタルとのマッチングなど、アクセラレーターと呼ばれる担当者が伴走型の支援を行う
    ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、10件程度×110万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
  • 応募方法などの詳細: エントリー / 募集要項(KSAPエントリー案内)

KSAPは、世の中の困りごと・解決しにくい社会の課題を、ビジネスを通じて解決するスタートアップを公募・選抜し、メンタリングやネットワークによる支援などを通じて社会価値の実現とスタートアップの事業拡大を支援するプログラムとなっている。

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多様性のあるスタートアップの支援を目指す学生主導のアクセラレーターEnvisionが動き出した

新しいスタートアップ・アクセラレーターEnvision(エンビジョン)を紹介しよう。現役大学生と卒業したばかりの人たちによって設立されたこのグループは、最初のスタートアップ・コホートの募集を締め切った。

だが彼らの目標は、単にスタートアップを支援してくれる企業を探すことではない。Envisionの2人の共同創設者Annabel Strauss(アナベル・ストラウス)氏とEliana Berger(エリアナ・バーガー) 氏は、今や誰もが知るところとなった多様性の現状を打破することだと話す。

「私たちがEnvisionを始めたのは、Womxn、黒人、Latinxの企業創設者が、それぞれ3パーセント以上、1パーセント以上のベンチャー資金を獲得できる未来を確信しているからです」と彼女たちは電子メールに書いてくれた。「学生のチームとして、自分自身で問題に対処し、企業創設者の成功を助けたいと考えました。私たちの使命は、早い時期に成功できるよう起業家を支援し、無視されがちな声を大きく伝えることです」
(訳注:Womxnは女性のインクルーシブな呼称。発音はウォムエックスエヌ。Latinxはラテン系の人たちの男女を問わない呼称。発音はラティネックス)

彼らのデータによれば、Envisionには190件の応募があり、最初に設定したストレッチゴールの100件を大きく上回った。その200件近い応募者の中から、彼らは15組を選考した。ストラウス氏とバーガー氏は、当初は10組まで絞り込む予定だったと話している。しかし、その応募の勢いに応えるべく、最初のコホートのサイズを2倍にしたのだと2人はTechCrunchのインタビューで述べた。

Envisionでは8週間のカリキュラムが予定され、参加企業のエクイティーを求めない資本金およそ1万ドル(約107万円)が提供される(彼らはまだ必要な資金の調達中だが、TechCrunchに提示された数値からすると、急速に金額を伸ばしているようだ)。

8週間のプログラム期間中に予定されているのは、テーマ、1対1のメンタリング、スタートアップ経験が豊富な講師とのオフィスアワー、そして最後にメンターによる投資家対策の集中講座と招待客のみのデモデーだ。Envisionアクセラレーターの回転の軸となっているのは、6月の初めにこの世に現れてから集めたメンターと協力者たちだ。

Envisionは、大学生と卒業したばかりの人たち11人によって運営されており、Ryan Hoover(ライアン・フーバー)氏、Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏、Alexia Tsotsis(アレクシア・ツォツィ)氏など、同プログラムに欠かせない十分な数のスタートアップ専門家講師を急いで選定した。企業からの支援も潤沢にあるようだ。今朝、TechCrunchに送られてきたこの電子メールによれば、Soma Capital、Underscore VC、Breyer Capital、Grasshopper Bank、Lerer Hippeauがスポンサーに加わっている。実際、Envisionのパートナー紹介ページは、シリコンバレー人脈と有名スタートアップ起業家の名士録といった感じだ。

Envisionと話をしているうちに、私は、今日ベンチャー投資に関わっている学生がいかに多かを知り、少々驚かされた。Envisionはその傾向を表す好例だ。たとえばストラウス氏は、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)を「動力」とするRough Draft Ventures(ラフ・ドラフト・ベンチャーズ)に参加している。EnvisionのスタッフであるQuinn Litherland(クイン・リザーランド)氏もまた、Rough Draft Venturesの一員だ。TechCrunchでも今朝お伝えした学生の起業に特化したContrary Capital(コントラリー・キャピタル)は、EnvisionのTimi Dayo-Kayode(ティミ・ダヨカヨデ)氏、James Rogers(ジェームズ・ロジャーズ)氏、Eliana Berger(エリアナ・バーガー)氏、Gefen Skolnick(ゲフィン・スコルニック)氏が代表を務めている。まだまだある。Danielle Lomax(ダニエル・ロマックス)氏、Angel Onuoha(エンジェル・オヌオハ)氏、Kim Patel(キム・パテル)氏も、みなベンチャー投資の世界で活動している。

ストラウス氏、バーガー氏、そしてその他のEnvisionのメンバーの今の悩みは、190件の応募から参加企業をいかにして理性的に選考し、その最初のコホートにどのようにして最大限の支援を提供するかだ。プログラムが首尾良く進み、2カ月以内に開催を予定しているデモデーが、スタートアップと投資家の双方に有意義なものと認めらたならば、Envisionは第二のクラスを開催しないわけがない。だが当然のことながら、今の時点ではY Combinator(ワイ・コントリビューター)、TechStars(テックスターズ)、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)などの足跡を辿り、支援企業から一定のエクイティーを受け取るほうが得策と言えるだろう。

Envisionのウェブサイトのトップには、大きな文字で「多様な人たちの会社創設を支援します」と書かれている。この目標を達成できれば、それは、歴史的に多様な起業家への投資を拒否してきた昔ながらのベンチャー投資世界への露骨な批判となる。

10名ほどの大学生と卒業したばかりの人たちが、ほんの数週間でアクセラレーターを立ち上げ、200件近くの応募から多様な参加者を選考する。そうなれば、どんな言い訳も通用しなくなる。

画像クレジットchuttersnap Unsplash

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(翻訳:金井哲夫)

NYのスタートアップ育成アクセラレーター「ERA」から13社が卒業

世界の動きが止まっているように思われる中でも、新しいスタートアップは変わらずに出現している。米国時間5月22日、13の企業がニューヨークを拠点とするEntrepreneurs Roundtable Accelerator(ERA)を卒業する。卒業にあたって、13社はERAからそれぞれ10万ドル(約1080万円)の資金援助を受ける。

彼らはERAの18期生となる。ERAは設立以来200以上の企業を世に送り出し、総額で5億ドル(約538億円)以上を調達している。

それでは卒業生たちをご紹介しよう。

Artists on Goはフリーランスの美容師とサロンオーナーを繋ぐマーケットプレイスプラットフォームだ。美容師は1時間20ドル(約2150円)でサロンオーナーからスペースを借り、売上はサロンオーナーと分けるのではなく自分のものとなる。サロンオーナーは予約が空いているときにスペースを提供することで利益を得る。

Coinapolyは、家を借りながらその家の所有者になれるよう支援する資産管理プラットフォームだ。借主には長期的にその家を部分的に購入できるようにし、不動産投資家にはより良いリスク調整後収益を提供する。Coinapolyは管理対象の物件に対し手数料を請求する仕組みだ。

FieldClixは遠隔建設プロジェクト向けのSaaSプラットフォームで、無線、ソーラー、ブロードバンド通信の建設プロジェクトに特化している。通信会社が5Gの展開を急ぐ中、作業員はFieldClixを使用して、プロジェクト計画や現場のリソース管理、原価管理などを協力して行えるようになる。現在は30社が同社プラットフォームを利用しており、ライセンスごとに段階的なサブスクリプション料金を毎月請求している。

Hailifyは、配車サービスドライバーの空き時間を利用するB2Bプラットフォームだ。ドライバーが次の客を待つ間を活かして収入が得られるよう、宅配の仕事を提供する。Hailifyはオンデマンド配車サービスを運営する企業に料金を請求し、プラットフォームから発注された宅配ごとに、手数料を差し引いた料金をドライバーに支払う。

Hazelは、女性の尿漏れに対応する、フィット性と機能性が高く見た目にも気を配ったまったく新しいタイプの大人用紙おむつを製造している。新しい素材と新しい技術を使用し、見た目も履き心地も本当の下着と変わらない使い捨て商品を提供するこのD2Cビジネスは、2020年秋のローンチを予定している。

Mouth Offは口臭を防ぐことを目的とした溶けるタイプのガムだ。口臭を別のにおいでごまかすのではなく、口臭の元になる口腔内の分子に作用する。Mouth Offは植物性で、糖分や人工的な原材料は使用していない。2020年秋にローンチが予定される同社は、D2Cサブスクリプションと小売りオプションを提供する。

Nayyaは、雇用主が従業員に最適な健康保険を見つけられるように支援する企業だ。データを使って透明性を高め、費用削減に関する情報や最寄りのプロバイダーネットワークに関する情報を提供する。従業員はNayyaのCompanion(コンパニオン)を通じてプランに登録し、1年を通じて補償内容や医師の検索、追加補償オプションの確認などが行える。またNayyaでは給与管理の統合サービスも行っている。

企業の従業員にとっても雇用主にとっても育児休暇がますます重要視されている中で、Parentoは、従業員向けに、保険に基づいた有給育児休暇のプラットフォームを提供する。従業員が16週間まで休めるように予想価格設定を導入し、新米パパママ向けのコーチングや生活の変化におけるサポートを提供する。同社は、顧客の従業員の給与と既存の有給育児休暇ポリシーに基づいて変動する価格設定のB2Bモデルを採用している。

RillaVoiceは食料品店やファストフードチェーン、病院、実店舗を持つ企業に、顧客との会話を記録し、分析できる機会を提供する。会話は小型マイクと機械学習技術により分析され、匿名かつ安全そしてコンプライアンスに準拠した方法で、カスタマーエクスペリエンスや会話の内容などの理解を深めることができる。サービスは1ライセンスあたり月額50ドル(約5380円)から350ドル(約3万7660円)で提供される。

Salusionは消費者とその雇用主のためにHSA(医療用貯蓄口座)の税優遇を最大限にすることを重視したSaaS企業だ。同社はHSAのプロセスを改善することで、ユーザーには「その都度使えるHSA」を提供し、HSA口座管理費として雇用主に対して従業員あたりの手数料を毎月請求する。

Spotterは長距離トラック業界をターゲットにしたソフトウェア企業だ。歩合やスケジュール、燃料コストなどの入力条件に基づき、トラックと運転手に最適な積荷を割り当てることができるプラットフォームを提供する。また運転手に荷積みと荷降ろしの指示も伝えることができる。同社はトラック1台ごとのサブスクリプション料金を運送業者に請求する。

Topは、ブランド向けのマルチチャネルエンゲージメントプラットフォームだ。ブランドはCookieを使用せずに、プライバシー保護に準拠するデータを収集できるようになる。Topを使用すると、投票やゲーム、コンテストなどのインタラクティブコンテンツを作成し、そのデータを収集して顧客プロファイルを作成できるようになる。顧客プロファイルには買い物の傾向や購入意思などのデータが含まれる。同社ではデータとエンゲージメントプラットフォームの使用料をクライアントに毎月請求する。

Undockは、会議のスケジュールと調整に重点を置いたSaaSビジネスだ。予測機械学習モデルによって、空き時間、優先事項、行動を比較し、参加者に最適な会議時間を見つける。またUndockプラットフォームは、あらゆる会議プラットフォームに対応する共同アジェンダとメモ機能を提供する。Undockはフリーミアムモデルを導入している。

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Category:VC / エンジェル

Tag:アクセラレータープログラム ERA

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(翻訳:Dragonfly)