Tシャツ用プリンタを持ってない人にお好みのテク系スローガンをプリントしてくれるSiliconvictsはスタンフォードのデザイン専科卒

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[筆者: Nitish Kulkarni]
シリコンバレーに関するジョークで、自分のTシャツにプリントしたいなと思ったやつって、たくさんあるよね。カリフォルニア州Malibuでシャツを作っているSiliconvicts Clothing Co.が、きみより先にそれをやってしまった。‘Unicorn Hunter’(一角獣(10億ドル企業)ハンター)や‘Coding Is My Cardio’(プログラミングがぼくのランニング)など、スタンフォードを卒業したばかりのCameron Lindsayの副業作品は、きっと、きみの次のお気に入りTシャツになるだろう。

今日の午後スタンフォードのデザイン学科の前のキャンパスに立っていると、自転車ですいすい通り過ぎる学生たちはみなスタートアップのロゴ入りのTシャツを着ているが、GoogleFacebook の求人用ノベルティ(無料提供品)が多い中に、バズワードが風刺的に使われてるのを見つけると、とても新鮮に感じる。‘Hacker Chick’のような意味が二とおりありそうなのや、‘Coffee + Coding’のようなさりげないユーモアもある。ひとつを除いて色はすべてグレーか白だったが、そこに真っ赤な文字で‘Tindered Spirit’なんてあると、誰もが笑ってしまうね。

   Chick … 初心者、女の子
   Coffee + Coding … コーヒーに合うのはプログラミング
   Tindered Spirit … Tinderは人気のデートサイト

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Lindsayは昨年ロサンゼルスに行ったとき、ストリートアートにとりつかれた。その後ロスに頻繁に行くようになり、Plastic Jesusなどの有名なストリートアーチストの仕事を手伝った。テクノロジにも関心のあった彼はスタンフォードでプロダクトデザインを勉強し、二つの関心を結びつけようと決めた。“テクノロジをテーマとするストリートアーチストになりたかったけど、壁にペンキを塗りまくる度胸はぼくにはなかった”、と彼は告白する。

そこで彼は、壁ではなく織物に色を塗ることに決めて、Malibuにいたころの幼なじみCole Arutianとチームを作った。最初は完璧に地下室操業タイプのスタートアップだった。“Coleの家の地下室に球撞き台を2台並べて、その上に大量のシャツと織物用のプリンタを置いた”。

Arutianと彼の職場の同僚Tynan Danielsが、シャツの製造と流通を管理し、社名を#YOURBRANDにした。

現代のテクノロジはシャツのテーマを次々と作り出してくれる。だから、アイデアに困って行き詰まることはない。“何もせずに座っていた方が、アイデアがたくさん湧いてくる”、とLindsayは語る。今日の午後キャンパスで話をしているときも、シャツのための新しいスローガンを10ぐらい着想していた。“うちはTシャツプリントの産直だからね”、と言う彼は、今はTシャツのベータテスト中で、デザインを何度も変えて試している、と、まるでシャツがシステム製品であるかのようなジョークを言った。

今の社名は分かりにくいが、Lindsayが学生時代に作ったアート作品の題名だ。“最先端でクールな名前にしたかった”、と彼は言うが、深い意味はなさそうだ。

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今は二年前に立ち上げたばかりのサイドプロジェクトだが、計画は大きい。同社は今、HBOの人気番組Silicon ValleyがTシャツを提供するよう、交渉中だ。“Caffeinate, Incubate, Iterate”(カフェイン中毒になってインキュベートして試行錯誤する)のようなスローガンなら、バレー族に受けるだろう。彼らもまた、サンフランシスコでFour BarrelやBlue Bottle Coffeeに入り浸っていたカフェイン中毒人間だ。まさに、このスローガンどおりに。

シャツは同社のWebサイトで32ドルで売っている。ただしラベルを見ると、綿100%ではない。にもかかわらず、肌触りはソフトだ、それだけは保証する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

なぜテクノロジ業界では会社でもTシャツが正装なのか?–その社会哲学を考察する

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[筆者: Zack Fisch](Dash MDのCEO。)

ふだんは、ファッションにあまり関心がない方だ。ぼくはファッションブロガーではない。ファッションの記事も読まない。自分が気に入ったものを、着るだけだ。

と言ったけれども、そんなぼくがおもしろいと思うのは、テクノロジの世界には、ドレスダウン(日常着)がドレスアップ(正装)である、というトレンドがあることだ。VCに売り込みに行くために、(VCの多い)Sand Hill Roadにスーツを着て行ったら、とても居心地悪く感じるだろう。ここトロントでも同じだ: Vネックの海に文字通り“浮いている”スリーピース男の、恐怖の表情。

テク世界ではいつごろから、カジュアルが仕事の正装になったのか? Steve JobsとMark Zuckerbergをまず見てみよう。Steveは公(おおやけ)の場で、彼のトレードマークのジーンズとスニーカーと黒のタートルネックを着ていた。業界の人びとは、革命児Steve Jobsの真似をしていると思われたくないので、だれもタートルネックを着なくなり、ファッションの選択肢から外れてしまった。

Markの場合は、毎日同じグレーのTシャツを着ている。その理由は、毎日同じもの(しかもすごくカジュアルな)を着れば、着るものに心と頭を使わなくてもよくなり、仕事、すなわちFacebookの経営に専念できるからだ。そうやって生活の方程式から、毎朝のルーチン(着るもの選び)という変数をなくしてしまうのは、とても合理的だ。毎朝、起きたら着るものが決まっている。なんと効率的な人生だ。

テク世界には、カジュアル志向の理由がほかにもある。それは、厳密に能力主義の世界であること。大学を中途退学した者が自分のコードで大成功をおさめ、その見事にヴァイラルなプロダクトで人びとのコミュニケーションと世界を変えてしまう。学位は、何の意味も持たない。意味があるのは、何を作り、何を世の中に提供するかだ。外見よりも作品の質が重要だ。ここまで服装にこだわらない業界は、ほかにないだろう。ここでは、彼/彼女からの出力とそのクォリティがすべてだ。

逆に、弁護士の世界などでは、服装と学歴が重視されるだろう。

法律家は専門職であり、この場合の専門職は特定の社会的な「形」が要求される。服装は、その形(かたち)を構成する重要な要素だ。でも、なぜ、それがスーツなんだろう? 仕事の結果で人が評価されるのは、弁護士もプログラマも同じではないか? しかし法律家の世界は、そうではないらしい。法律事務所も、若いアシスタントたちはちょっと違う服装の傾向だけどね。

Tシャツはボタンが全然ないから他のどんなシャツよりも脱ぎ着が簡単だ。

いちばん重要なのは、自分が選んだ自分の外見は、自分をどう見てもらいたいかという意思の表れであることだ。そしてこの理論をやや延長すれば、仕事の世界における服装に対する想定も、その業界が自分自身をどう見ているか、世の中にどう見てもらいたいか、という意思の表れなのだ。

とにかく言えるのは、テク業界では仕事の正装ないしビジネスカジュアル*が、カジュアルそのものであることだ。Tシャツはボタンが全然ないから他のどんなシャツよりも脱ぎ着が簡単だ。しかもそこでは、職場での外見よりも人間の中身と仕事のクォリティが重視される。だから、そこはより快適な職場になり、一人一人が自分に自信を持っている。Tシャツはまさに、そうであることの象徴だ。〔*: business casual, ふつうの会社や役所などでは、ノーネクタイや無地のポロシャツの許容、など。〕

もしも万一Tシャツでクビになっても、これで裁判に勝てるよね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

人気ブログはファッションでも成功するか?…Tumblrは本気でその気だ

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Web上にはいつも、いかがわしいミームが氾濫しているが、それらがついに現実世界に侵入するらしい。しかも、人間がそれを着て、地球上のあちこちの通りを歩くのだ。

Yahooに買われた人気ブログTumblrが今日(米国時間9/11)、Tumblr上の10名のアーチストがデザインした服をNew York Fashion Weekで発表した。The New York Timesがそう報じている。

Tumblrの“ファッション・エヴァンジェリスト”Valentine UhovskiがNYT紙に語っている:

“ファッションもTumblrのポストみたいにしたいんだ”、Tumblrのファッション・エヴァンジェリストValentine Uhovskiはそう言っている。“アンテナショップに入ったら、Tumblrのダッシュボードの中にいるような感じがするだろう”。

今のTumblrは熱心なファンに支えられた一種のカルトだから、すばらしい才能のアーチストもいるが、すでに売られているTumblr的ファッション数々を見るかぎり、ぼく個人的には、同社のファッション進出を楽観視することはできない。

そのクレージーでカラフルなデザインは、ドレスやバックパック、レインコートなどなどに適用され、来週からPrint All Over Meでネット販売される。今週末開店する物理店舗(アンテナショップ)は、ニューヨーク市の339 West 38th Streetにある。

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衣類のデザインから製造出荷までを数日数週間から2時間弱に短縮するKnyttanがシードで£2Mを調達

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顧客からのオンデマンドでファッションを提供するKnyttanは、Techstars Londonの出身で、このほど200万ポンドのシード資金を獲得し、衣類の‘製造’の部分をディスラプトすべく頑張っている。

人気の乗り換え案内アプリCitymapperにも投資しているロンドンのConnect Venturesがこのラウンドをリードし、Frederic Courtの新ファンドFelix CapitalとPlayfair Capital、そしてBallpark Venturesが参加した。

2013年の4月に創業されたKnyttanは、協同ファウンダBen Alun-Jones、Kirsty Emery、Hal Wattsの三名がロンドンのRoyal College of Artの同窓生で、彼らがやろうとしているのは、業務用ニッティングマシン(編み機)を3Dプリンタのような簡易なものに変えて、ニット衣類のオンデマンド化を実現することだ。

“衣類の中で製造がいちばん難しいのがニットだ”、とWattsは言う。だから今の業務用のニッティングマシンは“プログラミングが気が狂いそうなほど難しくて、専門的なプログラミングスキルを要する”。ニットは、ファッション産業のボトルネックになっている。

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“うちは専門プログラマが要らないようにし、3Dプリンタのように簡単にニットを作れるようにした。いわば、衣類用3Dプリンタだ”、と彼は言う。

デザイナーがこのプラットホームにアクセスすると、そのデザインに応じてKnyttanのマシンが動き出し、製造から販売までの流れが自動化される。これまでは作れなかったような、ニットのデザインでも製品化できる。

また、デザイナーと顧客との‘共同創作’ができるのも、この3Dプリンタ的ニッティングマシンの特長だ。つまり顧客が、デザインに関して、細部の変更などを指定できる。今現在はスカーフとジャンパーでそれができる。もうひとつの利点は、在庫は単なるデジタルデータだから、物理的な在庫が発生しないことだ。

“在庫ゼロで完全オンデマンドの製造と流通の仕組みを作れた。顧客がお金を払ってから品物を作っても、遅いと不平を言われることはない”、とWattsは語る。

今でかい面(つら)をしている古い流儀では、ニットどころか、単なるボタン付けや裾上げでも一週間近く平気で待たされるが、Knyttanのシステムでは、顧客が注文して出来上がるまでが数時間だ。オーダー服の数時間は、超革命的だ。既製服とみなした場合も、デザイン決定から店頭に並ぶまでが数時間というのは、すごいディスラプトだ。

Techstars LondonのJon Bradfordはこう言う: “過去20年間のファッション業界の唯一の革命は、ZARA〔“ヨーロッパのユニクロ”、すでに日本にも50店〕が工場から店頭までのサイクルタイムを6週間に短縮したことだ。Knyttanでは、6週間でも6日でも6時間でもない。これまでどこにもなかった、好みのデザインの服が出来上がるまで、待つ時間は2時間弱だ。衣料品市場の従来型垂直型のサプライチェーンを、完全に破壊するだろう”。

Knyttanのシードラウンドにも、ファッションリテイル畑の人たちが何人も参加している。それらは、José Neves(FarFetch, CEO)、Pascal Cagni(Apple, Net-a-porter担当)、Edoardo Zegna(元Everlane CPO; 現Ermenegildo Zegnaデジタル担当)、Mark Evans(Balderton Capital, VC)、Jon Kamaluddin(Asos, 元国際担当ディレクター)など。

KnyttanがTechstarsのデモデーで行ったピッチ(売り込みトーク)はこれだ。

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「男が嫌うファッション」をネタに月間1000万のページビューを稼ぐMan RepellerのファウンダLeandra Medineにインタビュー

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Man Repeller〔仮訳: 男除け(おとこよけ)〕はファッションのブログで、女性は好きだけど男が嫌う衣類、がそのメインテーマだ。たとえば、ぶかぶかで不格好なジャンプスーツ。ファウンダのLeandra MedineはDisrupt NYのステージにそんなぶかぶかジャンプスーツで登場し、本誌の編集者Alexia Tsotsisと、今後の計画やブランドについて話した。

Medineが自称“意地でも独身”を通しているときに創刊したMan Repellerhaには、“女性は自分が本当に好きなものを着てそんな自分を祝福しましょう”、というメッセージが込められている。当時のMedineは、自分自身を”man repeller”と呼ぶことによって、独身であることに自信と誇りが生まれ、異性への印象を良くすべしという社会的規範を無視して好きなものを着ることによって、かえって自分を肯定でき、明るい気持ちになれた。

でも、そういう考えはギリシャやローマの時代からあったはず、とMedineは言う。自分はただそれを、ネットに持ち込んだだけだ。“おもしろいのは、そんな社会状況がWeb以前からあったこと。私はそれに言葉を与えただけ”。

おもしろいのは、そんな社会状況がWeb以前からあったこと。私はそれに言葉を与えただけ。
— Leandra Medine

その発祥がどこであれ、それは女性に人気のある考え方なのだ。Man Repellerの月間ページビューは1000万に達し、NARS(ナーズ)と提携、しかも今だに自己資本のみだ。Instagram上のMan Repellerのフォロワーは86万を超えている。Instagramは、ファッション好きな2000年世代の女性に人気がある。

近くVCの資金を導入する件についてMedineは、有料会員制を始めたいからだ、と言った。有料会員には、会員のみの特集号や、“あなただけのための季節の五品”などを提供する。Man Repellerならではの市場機会、と言えそうだ。

いろんなファッションブランドからの、広告メッセージの嵐もある。“男をモノにするために必要な5つのもの”、とか、“彼に気づかせるためには何を着るべきか”、とか。女性が実際に欲しがるものや、好きなものに関するコンテンツが多いことが、Man Repellerの定着ファンの多い理由だろう。

有料会員制によって、コンテンツを見て読んでもらうだけの関係から、女性の実際の生活に、正しいもの+正しい値段で入り込むことになる。Medineは今日のステージで、“安い安くないで評価されるサービスにはしない。実際に役に立つサービスを提供していきたい”、と言った。

福袋的なボックスを定期的にお届けするやり方は、Birchboxなどほかでも成功している。Bbは3年半で有料会員が80万人になり、企業の評価額は4億8500万ドルだ。Kim Kardashianの靴とバッグのカスタムサイトShoeDazzleも、2013年にJustFabに買収される直前には会員数が300万に達し、6600万ドルを調達していた。

こういうタイプの有料会員制は、福袋的ボックスの中の、自分が“これもらうわ!”のぶんだけお金を払う。毎回全部をもらっちゃう人は少ない。しかしそれでも、人気絶大のサービスで、利益も上げているのだ。

Medineはボックス配布型の有料会員制を、今すぐにでも始める気はないけど、二年後ぐらいをめどに、と言っている。それを開始したらMan Repellerにもそのためのコンテンツが載るけど、“シリアスなファッションのための楽しいサイト”であることは変わらない。でも、読者である女性を笑わせ楽しませるための弾(たま)が、もっといろんな方角から飛んでくるようになるだろう、と彼女はインタビューを結んだ。

下のビデオでインタビューの全編を見られる:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa