今年のアカデミー賞はNetflixが最多ノミネーション、 「アイリッシュマン」や「マリッジ・ストーリー」が作品賞候補に

今年もアカデミー賞の季節を迎えたが、主役はNetflixのようだ。合計24件のノミネーションを受け、ハリウッドのメジャー映画スタジオを押し退けて件数でトップだった。

アイリッシュマン」がNetflixとして最多の10件のノミネーションを受けた。作品賞と視覚効果賞のほか、個人ではマーティン・スコセッシが監督賞、アル・パチーノとジョー・ペシが助演男優賞、スティーブン・ザイリアンが脚本賞にノミネートされている。TechCrunchでも、デニーロを若返られせた驚異の視覚効果について報じている

Netflixからはさらに「マリッジ・ストーリー」が作品賞、個人ではアダム・ドライバーが主演男優賞、スカーレット・ヨハンソンが主演女優賞、ローラ・ダーンが助演女優賞、ノア、バームバックが脚本賞、ランディ・ニューマンが作曲賞という6件のノミネーションを受けている。

このほかNetflixからは、「2人のローマ教皇」「失くした体」「クロース」もノミネートされた。

ただし、今年最多のノミネーションを受けた作品はホアキン・フェニックスとロバート・デニーロの「ジョーカー」 で、作品賞ほか11件だった。 Netflixはゴールデングローブ賞でも多数のノミネーションを受けたわりに実際の受賞は少なかった。「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーン、「ザ・クラウン」のオリヴィア・コールマンの2件にとどまった

昨年 Netflixはアルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的映画、「Roma/ローマ」が監督賞を含む10件のノミネーションを得たが、作品賞は伝統的配給方式で公開された「グリーンブック」に行った。

また報道によれば、スティーブン・スピルバーグらの著名映画人がNetflixやそのほかのストリーミングサービスに対し、「オスカーにノミネーションされる資格を得るにはストリーミング公開に先立って最低4週間、劇場で先行公開すること」という条件を課すためにキャンペーンを行ったという。結局、キャンペーンは失敗したが、映画業界にはストリーミングサービスに対する反感が根強く残っていることに注意すべきだろう。

Netflix関連を別にすると、監督賞候補は全員男性で白人以外の現役女優のノミネーションはシンシア・エリボだけだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

デニーロがデジタルで脅威の若返り、Netflixが「アイリッシュマン」の予告編公開

Netflixオリジナルの「アイリッシュマン」が素晴らしいフィルムノワールである理由はいくつもある。まず監督が巨匠マーティン・スコセッシだ。主演はロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシというアカデミー賞俳優で、1960年代の米国の闇社会に君臨した労働組合のボス、ジミー・ホッファとアイルランド系ヒットマンのフランク・シーランを描いている。ただしTechCrunchとしては、この映画の驚異的なデジタルエフェクトを紹介したい。

一般メディアではスコセッシ監督の作品を紹介するのにデジタル・テクノロジーの話からは始めない(デニーロとパチーノという監督お気に入りのアカデミー賞俳優がスクリーンで顔をあわせる作品ならなおさらだ)。しかし「アイリッシュマン」におけるILMの役割は非常に大きく、少なくともインターネット上で大きな話題になっている。

ILM(インダストリアル・ライト&マジック)は1970年代に「スターウォーズ」のオリジナルの製作にあたってジョージ・ルーカス監督によって設立されたハリウッドを代表するSFX企業だ。「アイリッシュマン」ではILMは主演俳優、ことにデニーロをデジタル・テクノロジーで若返らせることに成功している。なんといっても現実のデニーロは1943年生まれで70代半ばだが、中年の人物を演ずる必要があった。昨日発表された最初の予告編にはジミー・ホッファからの電話受けるシーンが登場するがデニーロの若返りに驚く。

2分間の予告編を見たところでは、この作品はスコセッシ監督ならではのスタイリッシュな映画になっている。ドラマッティックな緊張が高まり、激しい暴力が散りばめられる。公開は「この秋」というだけで正確なスケジュールは不明だが、デニーロ、パチーノ、ペシに加えて共演者もハーヴェイ・カイテル、ボビー・カンナバーレ、アンナ・パキン、レイ・ロマノといったオールスターメンバーだという。

Netflixでのストリーミングに加えて劇場公開も予定されているが、これは劇場公開がアカデミー賞の選考対象の条件の一つだからだ。Netflixが昨年公開し、大きな反響を呼んだ60年代のメキシコの中流家庭を描いた傑作「Roma/ローマ」がこのアプローチを採用している。

【Japan編集部追記】この作品のワールドプレミアはニューヨーク・フィルム・フェスティバルが舞台で9月27日だという観測が出ている。またTechCrunchでは人工知能を利用した特殊効果技法の発達によって第三者の顔情報を用いて動画を合成する「ディープフェイク」が問題となっていることを報じている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook