米国の新年度である9月を控えて、Apple(アップル)は米国時間の8月13日、iPhoneの「Wallet」(ウォレット)アプリを利用した非接触の学生証を、さらに多くの米国の大学に導入することを発表した。その結果、10万人以上の大学生が、iPhoneまたはApple Watchとして学生証を携行できるようになる。利用範囲は、食事や軽食代金の支払い、学生寮やキャンパス内の施設といった建物への入場など、かなり幅広い。
今回新たに採用を決めた大学としては、クレムソン大学、ジョージタウン大学、テネシー大学、ケンタッキー大学、サンフランシスコ大学、バーモント大学、アーカンソー州立大学、サウスダコタ州立大学、ノーフォーク州立大学、ルイバーグ大学、ノースアラバマ、チョウワン大学が挙げられる。
以前から利用していた大学は、デューク大学、オクラホマ大学、アラバマ大学、テンプル大学、ジョンズホプキンス大学、マーシャル大学、マーサー大学だ。Appleが、この非接触型学生証の計画を最初に発表したのは、2018年のWWDCだった。その後、昨年の10月から上記の大学で初めて配備を開始した。
このデジタル学生証は、学生の身分証明書として機能するだけでなく、学内での購買に対する支払いにも使える。たとえば、カフェテリアでの食事、学内の書店での教科書や文具の購入などが賄える。非接触のIDを使って建物に入場したりすることは、大学のキャンパスでもだいぶ一般的になってきた。Appleの学生証を使えば、入場カードを毎回リーダーに通さなくてもドアを開けることができる。
大学の学生証をサポートすることは、Appleが物理的な財布を置き換えようとしている取り組みの1つの側面に過ぎない。同社は、デビットカードやクレジットカードから、交通カードやポイントカード、チケット類まで、Walletに追加する機能をサポートしている。さらに、Apple Pay Cash(アップルペイキャッシュ)によって、紙幣を追加することまで可能にしている。そして今、独自のクレジットカードを導入して、Apple製品のショッピングや、Apple Payでの支払いに対してキャッシュバックしようとしている。
「iPhoneとApple Watchを使い、かつてないほど便利にキャンパス内を動き回って活動できる学校を増やすことができるのをうれしく思っています」と、Appleのインターネットサービス担当副社長であるJennifer Bailey(ジェニファー・ベイリー)氏は、学生証のサポート拡大に関する声明の中で述べている。「学生たちが、この機能を気に入っているのは間違いありません。私たちのパートナーとなっている大学によれば、導入以来、全国のキャンパスで、学生は、iPhoneとApple Watchをタップすることで、125万食を購入し、400万回以上ドアを開いたということです」。
今回の発表の中でAppleは、キャンパスにおける認証とモバイルアクセスに関するソリューションプロバイダーとして、CBORD、Allegion、HIDの各社をサポートすることも表明している。そうした会社のシステムを利用可能とすることで、すでにそれらを導入している他の学校に対しても、Appleは今後容易に食指を動かすことができるようになったわけだ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)