タイム・ワーナー傘下のターナーとワーナー・ブラザーズは、共同でBoomerangと呼ばれるサービスをローンチし、競争激化が続く定額制動画配信サービス(SVOD)業界に進出した。Boomerangでは、月額5ドルで懐かしの作品から最近のものまで、さまざまなアニメシリーズを楽しむことができ、将来的にはワーナー・ブラザーズ傘下のHanna-Barberaや、Looney Tunes、MGMの作品を含む、計5000タイトル以上が視聴できるようになる。『スクービー・ドゥー』『トムとジェリー』『バッグス・バニー』『宇宙家族ジェットソン』『原始家族フリントストーン』といったクラシック作品のほか、オリジナルシリーズの配信も決まっている。
しかし、3月のBoomerang発表時に謳われていたよりも、ローンチ時点でのタイトル数は少なくなっている。
同サービスのウェブサイトに掲載されているFAQを見てみると、現在のところ配信されているアニメの数は1000エピソードに留まり、毎週新たなコンテンツが追加されると書かれている。『宇宙家族ジェットソン』や『原始家族フリントストーン』など、以前から配信が決まっている作品もまだウェブサイト上には見当たらないが、恐らく今後追加されるのだろう。
Boomerangのようにニッチなコンテンツを配信するサービスへの需要があるかどうかについては、これから市場の反応を見て判断するしかない。
Netflix、Amazon、Huluなど、現在業界のトップを走っているサービスでは、既に子ども向けのプログラムが配信されており、子どもたちはヒット映画やライセンスされたテレビ番組、各サービスのオリジナル番組を楽しんでいる。HBOも『セサミストリート』の配信をスタートし、NickelodeonはNogginと呼ばれる独自のサービスをローンチした。
Boomerangが配信している番組のほとんどはクラシック作品だが、『Warner Bros. Animation’s Dorothy and the Wizard of Oz(ワーナー・ブラザーズ版オズの魔法使い)』やHanna-Barberaの『チキチキマシン猛レース』のリメイクなど、オリジナル作品の制作も進められている。なお、『オズの魔法使い』はローンチ時点ではまだ配信されていない。
さらに、ユーザー別のレコメンド機能や家族ひとりひとりのアカウント設定、オフライン時にも番組が見られるダウンロード機能、スペイン語音声など、他のサービスでは概ね準備されているさまざまな機能も、今後Boomerangに追加される予定だ。しかし現時点のウェブサイトは、十数本の映画を含む各番組のカタログが表示され、プレイリストがいくつか準備されている程度。
Boomerangの開発には、Warner Bros. Digital Networks傘下のDaramaFeverが携わっている。
アニメ好きの人は、Boomerangというサービス名に既に馴染みがあるかもしれない。というのも、この名前はBoomerang TVというケーブルテレビのチャンネルからとったもので、同チャンネルでは似たような(全く一緒というわけではない)番組が放映されている。他局で類似サービスを利用する場合、視聴者はプロバイダーでの認証プロセスを経なければいけないが、Boomerangは別サービスとしてローンチされ、コードカッター(ケーブルテレビの契約を解除=接続をカットしたユーザー)をメインの顧客層としている。
利用料については、4.99ドルの月額プランに加え、39.99ドルの年額プランも準備されている。年額プランであれば、月々の利用料は実質約3ドルまで下がるので、番組のバラエティーに限りがあるBoomerangであっても納得がいく。もちろん価格以前に、そもそも新たな動画配信サービスが必要かどうかということは検討しなければいけない。
今のところBoomerangはアメリカ国内でのみ利用可能で、ウェブ、iOS、Androidに対応しており、今後Amazon、Roku、Chromecast、Apple TVにも対応する予定だ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)