医療スタートアップLinc’wellが女性のウェルネスのためのクリニカルブランド「sai+」を発表、など

【1/20〜1/26 Weekly FemTech & BeatyTech】

1月20日から1月26日の1週間に発表された、FemTechやBeatyTechを中心とした領域における、特に注目すべきニュースをまとめて紹介する。

女性のウェルネスのためのブランドが誕生、サプリメントや低用量ピルをサブスクで提供へ

医療スタートアップLinc’well(リンクウェル)は1月22日、女性のウェルネスのためのクリニカルブランド「sai+」を発表した。同社は、ITを徹底活用したスマートクリニック、クリニックフォアをプロデュース。同社は自社開発のクリニック向けSaaSや患者、消費者向けオンラインプラットフォームなどの提供を通じて、クリニックにおける、「予約が取れない」、「長い待ち時間」、「現金のみ決済」、「薬局でも待ち時間」といった課題の解決を目指している。

この新ブランドsai+では、クリニックとの連携を活かし、サプリメントや低用量ピルなどの処方薬までを、自社ECサイトからサブスクリプションできるサービスを提供していく。処方薬に関しては、一度クリニックフォアグループでの受診が必要となる。Linc’wellは同日、クラウドファンディングサービス「Makuake」を通じて、第一弾の商品の先行予約販売の受付も開始している。

今後の展開について、Linc’wellは、生理周期に合わせたリズムスキンケア商品や、PMSと同じように、個人の差がありデリケートな問題である、妊娠期のウェルネスの問題へアプローチする製品ラインを開発中であることを明かしている。

Linc’wellは2018年1月に設立された。2019年5月に3.5億円の資金調達を実施を発表。2019年12月には男性向けのD2Cメディカルブランド「Sui+」を立ち上げ、頭皮ケアやエイジングケアなど、男性の幅広い悩みに対応する製品を揃えている。

【編集部】同社はTechCrunch Japanが2019年11月に開催したスタートアップや最新テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」におけるピッチバトル「スタートアップバトル」のファイナリスト。ファイナルラウンドに進出し、freee賞 、トヨタコネクティッド賞、FUJITSU ACCELERATOR賞、Ballooon賞を受賞した。

花嫁プラットフォームの「ウェディングニュース」が2.8億円の資金調達を発表

花嫁プラットフォーム「ウェディングニュース」を運営するオリジナルライフは1月20日、2.8億円を調達したことを発表。同社の累積資金調達額は4.7億円となった。今後はプロダクト開発、マーケティングを強化していく。TechCrunch Japanによる取材記事はこちら

ウェディングニュースは、結婚式をあげた“卒花嫁”の熱量高い実例レポをメインコンテンツとした「花嫁プラットフォーム」。同サービスでは約5000人の先輩花嫁による結婚式の実例レポのほか、ネット上に公開されているクチコミ、情報コンテンツなどを集めてユーザーに提供。月間ユーザー数は80万人を超える。

地球環境に優しい“ラボグロウンダイヤモンド”を使用、D2Cジュエリーブランド「PRMAL」がローンチ

プライマルは1月22日、地球環境に優しい「ラボグロウンダイヤモンド」のみを採用したD2Cジュエリーブランド「PRMAL(プライマル)」を発表した。2月1日より公式WEBサイト上で販売開始される。

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プライマルによると、ラボグロウンダイヤモンドは近年、天然ダイヤモンドと同一成分の新素材として注目を集めている。天然のダイヤモンドは、採掘する際の環境破壊や採掘労働者の労働環境が守られていないなどの課題が問題になっていたが、ラボグロウンダイヤモンドは環境、社会問題を生み出さず、エシカルかつサステイナブルに供給できることから、社会問題への意識が高いセレブなどを中心に支持されているという。

プライマルは「天然ダイヤモンドは、採掘時に大量の土を掘り起こす必要があり、良質な1グラムのダイヤを得るために1トン以上もの土砂を掘り起こすとも言われている」、「天然ダイヤによって生まれる利益が、紛争を支援する裏組織の資金源となっているケースがあり、問題視されている」、「採掘労働者の健康、労働環境の安全が守られていない、児童労働、公正な賃金が支払われないなど、採掘現場における労働者からの搾取が問題となっている」などと指摘している。

(文・橋本岬)

卒花の実例レポから式場検索、結婚準備に必要な情報を集約した「ウェディングニュース」が2.8億円調達

SNSやクチコミサイトを通じて“消費者のリアルな声”が世の中に行きわたるようになった今の時代、個人が情報を集めたり何かを購入したりする経路にも変化が訪れている。

従来は雑誌などアナログでの情報収集が基本だった「ブライダル」もその1つ。近年はインスタグラムやオンライン上の情報サイトを参考にする人が増えてきた。たとえば楽天(ラクマ)が2019年5月に発表した調査結果を見ても、結婚式を挙げた人たちの情報収集源が変わってきていることがわかる。

ただし本当に欲しい情報を得るためには複数のサイトを回遊するなどして“情報武装”する必要があるのが現状。実はくまなく探せば情報を拾うことができたものの、自身でそこにたどり着けずに「結婚の準備を進める過程で苦い思いをした」という人も存在する。

この課題に対する解決策として、結婚準備に必要な情報を1箇所に集約し簡単にアクセスできる仕組みを構築してきたのが「ウェディングニュース」だ。同サービスでは約5000人の先輩花嫁による結婚式の実例レポのほか、ネット上に公開されているクチコミ・情報コンテンツなどを集めてユーザーに提供。月間ユーザー数は80万人を超える。

昨年1月には結婚式場のメタサーチ機能をリリースするなど新たな取り組みもスタート。運営元のオリジナルライフでは今後もプロダクトを進化させていく計画で、それに向けて本日1月20日に複数の投資家より総額2.8億円を調達したことを明らかにした。

同社にとってシリーズAラウンドとなる今回はニッセイキャピタル、セプテーニ・ホールディングス、有安伸宏氏が投資家として参画。オリジナルライフでは2018年1月にベクトルなどから1.2億円を調達しているほか過去に複数回の資金調達を実施していて、累計の調達額は4.7億円となった。

結婚準備の情報を一箇所に集め「情報の非対称性」を解消

上述した通り、ウェディングニュースは結婚準備に役立つ情報を集めたポータルメディアだ。自社オリジナルのコンテンツに加えて、他社サイトのコンテンツや花嫁ブログなどから関連する情報を集約し「花嫁コーデ」「式場」「お金・段取り」などカテゴリ分けした上で配信している。

初期からインスタに力を入れていて、フォロワー数は20万人を突破。iOSアプリではインスタで人気を集めたウェディング関連の投稿が毎日100件ピックアップされているほか、「ケーキ」「アクセサリー」など特的のキーワードについてインスタ、花嫁ブログ、複数サイトを横断検索することもできる。

もともと代表取締役の榎本純氏が「情報の非対称性が大きい」ことを課題に感じて立ち上げたのがきっかけということもあり、ネット上に散らばる有益な情報に1つのアプリから素早くたどり着けるのがウリだ。

前回紹介した2018年1月の時点では情報コンテンツを集めたアグリゲーションサイトの色合いが強かったけれど、そこから徐々に結婚式を終えた卒花ユーザーが投稿する実例レポを蓄積。そのコンテンツを軸に、2019年1月からは式場選びにフォーカスした「ウェディングニュース式場検索」を始めた。

これは実例レポと結婚式場に特化したメタサーチサービス(複数サイトを横断比較できるサービス)を組み合わせたような仕組みだ。式場選びに関する「トリバゴ」「トラベルコ」などをイメージしてもらうとわかりやすいだろう。

ユーザーは5000人・60万枚を超える先輩花嫁が投稿したリアルなレポートによって各式場の特徴を把握できるほか、複数サイトを比較した上で最もお得な予約ルートをチェックすることが可能。また会場ごとに「初期見積もり費用と実際の価格でどのくらいの開きがあるのか」本当の料金を調べられる機能も備える。

榎本氏の話ではこの式場検索機能はユーザーからの反響もいいそう。ウェディングニュース上での結婚式場などのフェアの予約件数は月間で1500人を超え、売り上げも安定的に月1000万円を超える規模に成長してきているという(予約件数は式場検索だけでなく、記事コンテンツ経由のものなども含めた数値)。

実例レポによる結婚式選びで業界構造を変える

オリジナルライフが式場検索機能の提供を始めたのには、ユーザーの課題を根本から解決するには業界の構造自体を変える必要があるという考えに至ったからでもある。

「徐々にユーザーから支持を集めるようになってきたものの、そもそも情報武装しなければ損をしてしまうような構造自体がおかしい。ウェディングニュースを運営する中で気づいたのが、真の課題は『結婚式にリピーターがいない』こと。(式場は)常に新規の顧客を開拓し続けるために広告費用の負担が大きくなり、それが高いマージンなどにも繋がっている」(榎本氏)

結果的に日本の結婚式費用は世界一高いと言われることもあるそう。ただ榎本氏によると高いマージンによって式場が暴利をとっているわけではなく、営業利益の6割はメディアに集中している。式場としては利益を確保するためには新規ユーザー獲得に直結する広告費に目がいきがちで、いい結婚式の体験を作ることにフォーカスしにくい構造だという。

そんな業界の課題を「卒花による実名レポで結婚式場を探す体験」が広がれば変えられるのではないか。それがまさに式場検索機能を通じてオリジナルライフが取り組んでいることだ。

結婚式はその性質上、同じ人が何度も頻繁にリピートすることは考えづらいけれど「サービスを体験した人の体験談が次のユーザーを連れてくる仕組みができれば、そのユーザーはリピーターに近い」というのが榎本氏の考え。この流れが加速すれば結婚式場もいい結婚式を作ることが新規顧客の開拓に直結し、最終的にユーザーも恩恵を受けられる。

ここで「要は口コミサイトでしょ?そんなの前からあったよね」と思う人がいるかもしれない。それは本当にその通りで、みんなのウェディングやウエディングパークといったベンチャーは何年も前から式場の口コミサービスを軸として事業を拡大してきた。

では従来の口コミとウェディングニュースの口コミは何が違うのか。榎本氏は「“人となりがわかる”実例であること」をポイントにあげる。

「従来の口コミは“レビュー”に近かった。匿名のユーザーによるテキスト中心の投稿で、結婚式場の目星がついた後に『本当に大丈夫なのか』をチェックするような使われ方をしていた。一方でウェディングニュースの口コミは実名ではないものの投稿者の顔がわかり、実例写真を軸にエモーショナルな体験談を投稿している点が特徴だ。内容もネガティブなものよりもポジティブで加点採点型が多く、その人となりを踏まえた実例から式場を選ぶという流れが、実際に起こり始めている」(榎本氏)

冒頭で触れたインスタで結婚式の情報収集をする人が増えてきているというのも、まさにそれと同じでことなのかもしれない。この「人を軸に選ぶ」というトレンドは何も結婚式に限った話ではなく、コスメの「LIPS」、インテリアの「RoomClip」、グルメの「Retty」などにも共通するのではないかという話だった。

OEMで事業会社とタッグ、新たなスタンダードの確立目指す

オリジナルライフでは「ウェディングニュース」の基盤を活用した他社との取り組みを加速させる計画。1月には第一弾として宝島社が発行する女性ファッション誌「sweet」と共同で新サービスをリリースした

今回の資金調達はプロダクト開発やマーケティングへの投資を強化しウェディングニュースの使い勝手を向上させるとともに、実例による式場選びの体験を広げていくためのものだ。

オリジナルライフには現在9人のコアメンバーが在籍していてCEOとCTO以外は女性、それもほとんどが卒花のメンバー。これまで自分たち自身の体験や課題感なども踏まえてコンテンツやプロダクトを作ってきたことで「ユーザーのニーズに合致したものが作れたのではないか」(榎本氏)という。

今後はそれを継続しつつも、プロダクト開発やビジネスサイドのプロフェッショナルを仲間に加えることで、プロダクトに磨きをかけていきたいとのこと。新機能に加えてWeb版のリニューアルやAndroid版の開発なども見据えているようだ。

またビジネスをスケールさせていく上ではウェディングニュースの認知を広げ、ユーザーの第一想起を獲得していく必要もある。その施策としてオリジナルライフではウェディングニュースの基盤をOEM提供し、他社と共同で今までリーチできなかった潜在ユーザーに訴求する取り組みを進めていく。

第一弾として今月11日には宝島社が手がける女性ファッション誌「sweet(スウィート)」とタッグを組み新しいウェディングメディアをリリース。今後も20代〜30代の独身女性の顧客基盤を持つ事業会社とも連携しながら、結婚式準備や式場選びにおける新たなスタンダードの確立を目指す。