モバイルでウェブサイトを構築できるプラットフォームのUniverseがアップデートを公開し、同社のグリッドベースのウェブビルダーに高度な制作用コントロール、便利なテーマ、ブロック機能などが追加された。Universeを使うとスマートフォンから直接、コーディングをすることなくシンプルなグリッドシステムでオリジナルのサイトを作ったりeコマースのストアを開設したりすることができる。新たなアップデートであるGRID System IIは、これまでの複雑なコーディングのプロセスを直感的なジェスチャーにして、ウェブサイトをもっと簡単に作れるようにすることを目指している。
Universeの創業者でCEOのJoseph Cohen(ジョセフ・コーエン)氏はTechCrunchのインタビューで「Universeの特徴はグリッドシステムで、今回はそのグリッドシステムの大幅なアップデートを発表しました。これにより、専門知識がなくてもこれまで以上に多くのことができるようになります」と語った。
コンテンツをドロップできる広いグリッドが用意されたプラットフォームで、シンプルなブロックをベースにしてウェブサイトを作っていく。今回のアップデートでは制作用のコントロールが再設計されてグラフィカルインターフェイスが改善し、グリッド内のブロックのパディングやテキストの細かな間隔をコントロールできるようになった。コーエン氏は、グリッドを詰めて最大7列にすることができるようになったと述べた。新しいインターフェイスではカラー選択ツールも強化されている。
さらに、30種類の新しいテーマから好みのものを選んだり、オリジナルのテーマを作ったりすることもできるようになった。テーマが登場する前は、ブロックの1つ1つにその都度スタイルを設定していた。今回のアップデートでテーマが導入され、フォントやページの背景、ボタンの色といったデザイン要素に一貫性を持たせることができる。テーマを使うと、テキスト、背景、見出し、カラーなどがサイト全体の外観に適用される。
コーエン氏は「我々はサイト全体に適用できる、30種類の魅力的なテーマを作りました。ユーザーがオリジナルのテーマをゼロから作ってもかまいません。我々が提供するテーマの中のいずれかを適用したりカスタマイズしたりすることができます。変更を加えると、サイト全体に反映します。テーマは基本的に、サイト全体にわたってすべてのスタイルを美しく、使いやすく変更する手段です」と説明した。
新しいテキストスタイルを利用して、テキストをタイトル、サブタイトル、キャプションなどに分類することもできる。タイトルのインジケータを使うとサイトのSEOが向上し、アクセシビリティも拡張されるとUniverseは説明している。
新しいレイヤー機能も追加され、ブロックの上にブロックを重ねられるようになった。これまでは画像のブロックとテキストのブロックというように2つのブロックを重ねることはできなかった。今回の新しいレイヤー機能を使うと、ウェブサイトのデザインに関する制作の自由度がずっと高くなる。
さらにUniverseは、1つのサブグリッド内で複数のブロックを組み合わせて集合体を作る、新しいグリッドブロック機能も公開した。サイトにブロックを追加するとそのブロック内に別のグリッドが作られるもので、フォトギャラリーなどを追加するのに使える。グリッドブロックでブロックをグリッド上に正確に配置した後、サブグリッドをページ上の任意の場所にドラッグできる。
UniverseはShopifyやWixといった人気ウェブサイト構築ツールの競合だと思う人もいるかもしれないが、コーエン氏はまったく違うものだという。
同氏はこう説明する。「我々はグリッドと呼ばれる新しいインターフェイスを開発しました。これは基本的には、テック系でない人、あるいはプロのデザイナーではない人が完全にオリジナルのウェブサイトを構築できるようにするものです。Squarespace、Shopify、Weebly、 Wixなどのシステムがありますが、これらはデスクトップベースでテンプレートベースのウェブサイトビルダーです。Universeで利用できるテンプレートはありますが、テンプレートベースではありません。テンプレートで制限されないため、グリッドそのものが制作のためのインターフェイスです」。
利用状況についてコーエン氏は、コロナ禍で多くの人がビジネスや副業を始めてウェブサイトを作ろうとしたことからUniverseのユーザーが増えたと語る。同社はコロナ禍の初期に、サイトで製品を販売し出荷できるようにした。そのためユーザーは、Shopifyなど他社のeコマースツールに登録する必要がなかった。
同氏は「コロナ禍が始まってからの1年半、当社は急速に成長しました。全体としては、作成されたアクティブなサイトの数が10倍ほどになりました」と述べた。
またコーエン氏は「リンクインバイオ」サイトを求めるインフルエンサーのユーザーが増えていると語る。「リンクインバイオ」サイトとは、Instagramのプロフィールの最後に書いておいてInstagram外のウェブサイトに誘導するURLのことだ。誘導先のサイトは、製品を販売したり、他のソーシャルメディアアカウントにリンクしたり、ポートフォリオを紹介したりするのに使われることが多い。同氏によれば、Universeで作られるサイトの40%が「リンクインバイオ」で、このようなサイトがコマースと並んでUniverseで最も大きく成長している領域だという。
Universeには現在数十万のアクティブなサイトがあり、同社は今後もプラットフォームの成長に合わせてコンシューマにとって使いやすいアップデートをリリースしていく予定だという。
コーエン氏は「今回のアップデートで我々は飛躍を遂げましたが、今後もこのグリッドシステムの改良を長く続け、いずれはインターネット上で可能なことはすべて我々のグリッドシステムで実現できるようになるでしょう。中心となっている制作の機能だけでなく、ビジネス構築に関わるコマースの機能も充実させていきます」と語った。
画像クレジット:Universe
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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)