暗号化コミュニケーションプラットフォームのSignalを開発するOpen Whisper Systemsは現地時間14日、同アプリで暗号化ビデオ通話のオープンβを公開すると発表した。Signalはこれまでにも、完全に暗号化されたend-to-endのチャットと音声通話機能を提供していた。しかし、今回そこにビデオ通話機能が伝わったことで、情報漏えいを避けたコミュニケーションがより簡単になった。また、Open Whisper Systemsは同時に既存の音声通話機能のアップデートも発表している。
Edward Snowden氏から全面的な支持を受けるSignalは、これまでに幅広いユーザーを獲得している。情報漏えいの危険性がある地域にいるユーザーは、このアプリのセキュリティ機能を利用することで、より安全でセキュアなコミュニケーションが可能となる。しかし、Signalを利用するユーザーはアクティビストやジャーナリストだけではない。セキュリティ志向の高い一般のユーザーは、Signalを使ってよりカジュアルなコミュニケーションを楽しんでいる ― そこでは、GIFなど比較的センシティブではないコンテンツがやり取りされているのだ。
このビデオ通話機能が、SignalほどセキュアでないAppleのFaceTimeやGoogleのHangoutsと同程度のパフォーマンスをもつのであれば、広範なユーザーのニーズを満たすことになるだろう。そこに到達するまでに、Open Whisper Systemsは開発者がSignalをプロダクトに組み込みやすくするようなアプリのアップデートを続けていくという。
iOS10に搭載されたCallKitでは、ユーザーはロック画面から直接かかってきた電話を受け取ることができる。iPhoneでは、Signalによる通話も同様にネイティブなかたちで受け取ることが可能だ。しかし不幸にも、この統合機能によって脆弱性が生まれる可能性もある。iPhoneでは通話時間や通話先がiCloudと同期されるようになっているからだ。ただし、利便性よりセキュリティを重視するユーザーは、iPhoneの設定からこの機能を無効にすることもできる。
Open Whisper Systems創業者のMoxie Marlinspike氏は、ビデオ通話の暗号化は技術的にはそこまで困難ではないと話す。この新機能を実現するために必要だったのは、Signalがこれまで培ってきたセキュリティ技術を単に有効活用することだけだったという。
「ある意味では、リアルタイムな暗号化はとても単純な技術でもあります」とMarlinspike氏は説明する。「通話は、言うなればわずかな時間だけ継続する同期コミュニケーションであり、その特徴によって通話の暗号化はより簡単なものとなるのです」。
今回のアップデートから追加された暗号化ビデオ通話のβ版を試すには、Signalの詳細設定で「video calling beta」を有効化すればいい。ただし、相手もこの機能を有効化していないと通話することができないので、注意が必要だ。
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