月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

デジタルマーケティング事業、メディアテクノロジー事業、モビリティサービス事業を営むナイルは1月18日、総額約37億円の第三者割当増資を実施し、さらに複数金融機関から合計13億円を上限とする融資契約を締結、総額で50億円超の資金調達を実施したと発表した。

引受先は、DIMENSION、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、環境エネルギー投資、博報堂DYメディアパートナーズ、SBIグループ、日本ベンチャーキャピタル、グリーベンチャーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、その他個人投資家。累計資金調達額は55.7億円となった。

今回の資金調達により、同社は「おトクにマイカー 定額カルモくん」におけるマーケティング活動を強化、またより価値あるサービスとすべく、自動車整備工場や自動車ディーラー、サービスステーションなど自動車関連事業者様とのアライアンスを強化・拡充していく。さらに、モビリティサービス事業のみならず、同社運営の各事業との親和性が高い企業のM&Aについても積極的に検討するとしている。

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが50億円超の資金調達

同社は、2018年1月に定額カルモくんをローンチ。頭金なし・ボーナス払いなし、税金、自動車損害賠償責任保険料コミコミで月1万1700円という月額料金から新車に乗れるサービスとなっている。

同サービスは自動車購買プロセスにおけるDXをテーマとし、完全非対面でのインターネット販売にて展開。過去3年間で累計4万5000件に及ぶサービス申込みがあったという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:カルモ資金調達(用語)日本(国・地域)

月定額のマイカー賃貸サービス「カルモ」を展開するナイルが15億円を資金調達

月定額で自動車を保有できるサブスクリプションサービス「カルモ」を運営するナイルは4月22日、総額約15億円の資金調達を発表した。このラウンドのリードインベスターは、未来創生2号ファンドを運営するスパークス・グループで、ほかSBIグループ、AOKIグループなど複数の投資家を引受先として第三者割当増資を実施している。

ローンで車を購入するのと、レンタカーやカーシェアリングで一時的に車を借りるサービスとの中間にあたる、車をある程度の長期にわたって「賃貸」するサービス、それがカルモだ。

以前、本誌記事でも紹介しているが、カルモは月額定額料金でメーカー保証付きのディーラー新車に乗れる、個人向けのカーリースサービス。取り扱い車種は国産全メーカーのほぼ全車種を網羅。日本全国に納車が可能だ。

カルモでは、1年から9年の賃貸期間、車種や契約期間によるが月額1万数千円からの定額で利用できる。料金には税金などの法定費用が含まれ、オプションで、返却時の原状回復費用補償や車検整備、消耗品交換などのメンテナンスも月額払いで受けられるプランもある。2019年2月には事前に契約しておくことで、リース契約満了後に乗っていた車がもらえるオプションも加わった。

自家用車を家のように賃貸する「カルモ」

ナイルは2007年1月に、当時大学在学中だった代表取締役社長の高橋飛翔氏により設立された(当時の社名はVOLARE)。設立からしばらくは、ウェブソリューションやSEOなど、法人向けのデジタルマーケティング事業を展開してきた。その後「Appliv」などのインターネットメディアをスタート。さらに2018年1月、個人向けの自動車サブスクリプションサービス、カルモをリリースし、最近では個人向けサービスにも注力している。

車好きの両親の影響もあって、幼い頃から車が好きだという高橋氏。実は2012年のAppliv立ち上げのときにも車に関するサービスを検討するほど、自動車関連事業については注目をしてきたそうだ。カルモ立ち上げのきっかけも、車好きの実家の両親が「ヤフオク!」で自動車を買おうとしていたことに衝撃を受けたことから。「実物を見ないで買うような時代になっている」と驚いたという。

「既存で展開してきたサービスからは、カルモは不連続なサービスに見られることが多いが、デジタルマーケティングで社会を良くするのがナイルの使命。ソリューションサービスに加えて、世の中に残る事業を作り、社会を良くしたいと始めたのがカルモだ」(高橋氏)

高橋氏は「モビリティの分野はこれから10年は伸び続ける革新的な分野だが、プレイヤーは日本ではまだ少ない」として、「今までになかったものができる」と考えている。

この分野で今注目されているサービスとして、高橋氏が挙げるのは「コネクテッドカー」「自動運転」「電気自動車」そして「シェアリング」の4ジャンルだ。

大手メーカーやGAFAが手を付ける前者3ジャンルはさておくとして、高橋氏がはじめに着目したのはカーシェアリングだった。しかし「自家用車のシェアリングは、日本では(適法な状態での)解禁はまだ見込みがない。また人口が密集していない地方では、損益分岐点が高く採算が取れず、サービス展開が現実的でない」と分析。

その“地方”に目を付け、「車のサブスクリプションサービス」ならニーズがある、と踏んだ。

「地方は都市設計的に車が必要なようにできている。地方での人口1人あたりの自動車(乗用車)の所有率は60%以上で、まさに必須アイテムだ。となれば、車の所有の概念を変えた方がいい」そう考えた高橋氏は、自家用車を家のように賃貸するサービス、カルモを立ち上げた。

ナイル代表取締役社長 高橋飛翔氏

「スマホのように車が持てる」世界を目指す

他の領域でもサブスクリプションモデルのサービスが注目を集める中で、利用者を着実に増やしているカルモ。月額固定の料金設定に加えて、オプションとして提供されているメンテナンスサービスも評判となっているそうだ。

メンテナンスに関しては、車検や修理を取り扱う自動車整備工場やガソリンスタンドなどからも、経営が苦しい中でのクロスセル商材として注目されているという。

利用の80%は地方で、7年以上の契約が多数を占める。「カーローンの返済期間設定は3〜5年がほとんど。だけど地方では同じ車に7年、8年、9年と長く乗る人が多く、実は利用者のニーズを外している。7年とか9年の契約なら、リースでも月当たりの金額は十分減らすことができる」(高橋氏)

サービス開始から1年3カ月で、カルモは累計申込数が約3000件に達した。高橋氏は「このサービスはより伸びるという感触を得た」という。既存事業は順調で「資金調達しなければ困るという状況にはない」という同社だが、あえて調達を行い、投資によりさらにカルモの成長を加速させる考えだ。

カルモは現在は新車のみの扱いだが、今年の初夏をめどに、中古車版カルモの立ち上げを目指している。「地方で車が必須アイテムなのだとすれば、対象を中古車にも展開することで利用料金を引き下げ、より拡大が目指せる」と高橋氏。中古車買取事業者などとの提携により、全国でサービスを展開し、数万台の在庫から選べるようにしたいという。

「必需品として、スマートフォンの分割払と月額利用料を合わせた金額ぐらいで車が持てるようになれば。中古車版カルモなら、月額7500円ぐらいからの価格設定も実現可能ではないかと見込んでいる。サービスが広く地方にも利用されるようになったところで、『シェアリング機能付き』サービスなども展開して、より低料金で誰もが利用しやすいサービスにしていきたい」(高橋氏)