商品のプロモーションを行いたい“メーカー”とその商品を配布したい“施設”をオンライン上でマッチングする「aircatalog(エアカタログ)」。同サービスを展開するquatre(キャトル)は4月4日、複数の投資家より約1億円を調達したことを明らかにした。
同社に出資したのはセレス、voyage ventures、ハックベンチャーズの3社。そのうちセレスとは業務提携も締結している。quatre代表取締役の横町享之氏に聞いたところ、今回の資金調達は現在同社が実施中の調達ラウンドの一環として行われたものだという。
aircatalogは「商品をもっと多くの人に体験してもらいたい」メーカーと、「顧客や従業員の満足度を高めたい」企業やホテルなどの施設をマッチングすることで、双方のニーズに応えるサービスだ。
商品のタッチポイントを広げたいメーカーはaircatalog上に商品情報とターゲットの情報を登録。するとその商品を配布したい施設からリクエストが届くので、メーカーが承認すればマッチングが成立となる。
これによってメーカーとしては自社の商品を本当に体験して欲しい人にだけ届けることができ、一方の施設側もコストをかけずに顧客や従業員に対して良いサービスを提供できるのが特徴だ。
たとえば美顔器を手がける美容家電メーカーとホテルの事例では、ホテル側で宿泊客向けに美顔器を体験できるプランを作成。アメニティ用品のような位置付けでターゲットユーザーに商品を体験してもらえる仕組みを作った。
aircatalogには商品の配布先として1万5000箇所を超える施設が登録されていて、ホテルやフィットネスジムの他、一般企業のオフィスも対象になる。ビジネスパーソン向けにコーヒーやエナジードリンクを訴求したいメーカーと企業がマッチングされる場合など、同サービスが企業における「無料の福利厚生ツール」の役割を果たすこともある。
横町氏によるとIT企業などがそのような用途で導入するケースが増えているそう。商品を提供する登録メーカーの数も約170社まで拡大しているとのことだ。
直近では新しい試みとして、最新家電など大型の商品を一定期間オフィスや宿泊施設に貸し出す「ディスプレイプラン」や、企業の社内イベントにメーカーが協賛してセミナー形式で商品体験の場を儲ける「セミナー型商品体験プラン」もスタート。
前者では空気清浄機とIT企業をマッチングした事例、後者ではユーザベースの社内交流イベントにキリンがドリンク協賛し、ビールセミナーとクラフトビールの提供を含めた商品体験会を実施した例などがある。
なお冒頭でも触れた通り、投資家の1社であるセレスとは業務提携も締結。セレス側では今回の提携について「セレスでは、モッピーをはじめとしたポイントサイト等の運営を通じて、インターネット上の価値を現実世界の価値へと転換するサービスを展開しております。セレスの運営するポイントサイト等の事業とquatreの運営するaircatalogは親和性が高いと考えており、今回の資本業務提携を締結いたしました」とコメントしている。
quatreは2014年12月の創業。2018年2月にはハックベンチャーズや名古屋テレビ・ベンチャーズから5250万円を調達済みだ。