クロスロケーションズが金融業界向けの位置情報ビッグデータ・クラウド「LAP オルタナティブデータ版」

クロスロケーションズが金融業界向けの位置情報ビッグデータ・クラウド「LAP オルタナティブデータ版」

位置情報ビッグデータ活用クラウド型プラットフォーム「Location AI Platform」(LAP。ロケーション エーアイ プラットフォーム)を開発・提供するクロスロケーションズは1月7日、業況分析・投資判断・ファンド運用などの金融業界向けに「LAP オルタナティブデータ版」の提供を開始すると発表した。

LAP オルタナティブデータ版は、LAPのデイリー・アワリー来訪速報の機能を基に、任意で多地点の店舗や事業拠点の人流をほぼリアルタイムに把握して、稼働状況やトレンドを分析できるビッグデータ統計・分析クラウドサービス。

LAPは、AIが位置情報ビッグデータから消費者行動の分析・見える化を行った上で、位置情報を使ったスマホ広告、LINEなどのSNS広告やDM・チラシ・ポスティングなどのエリアマーケティングの実施と効果測定を一気通貫で実行できる統合型位置情報活用プラットフォーム。主としてマーケティング目的で企業ユーザーに利用されているという。

一方金融・投資の業界では、トラディショナルデータといわれる政府や企業の公式発表データが利用されるものの、これらのデータは月次や四半期単位の発表が多く、タイムリーな市場や概況の把握には不十分という声があった。

また昨今では、AI・マシンラーニングなど技術革新が進み、膨大なデータを安価・迅速に入手可能になった。位置情報データを含む「オルタナティブデータ」(代替データ。Alternative Data)と呼ばれる様々なビッグデータの統計・分析など投資活動に必要な情報を素早く入手し、業況分析・投資判断に必要な材料を見つけ出すことが注目されているという。

そこでクロスロケーションズでは、LAPの主機能のひとつ「デイリー/アワリー来訪速報」機能を中心に、金融・投資業界向けの「LAP オルタナティブデータ版」を開発。クラウドサービス、データ提供サービスとして提供を開始した。

LAP オルタナティブデータ版により、位置情報ビッグデータの解析結果をほぼリアルタイムに活用可能になるという(最新データとして前日までのデータが利用可能。毎日正午ごろにデータ更新)。コロナ禍で変化した業界・店舗・拠点周辺に来訪する人流を、性年代別・曜日時間帯別に把握することで、業況分析や投資活動に必要な情報や洞察を素早く入手することが可能になるとしている。

LAP オルタナティブデータ版は、すでに大手証券会社・外資系ファンド運用会社が先行利用しており、データ分析機能、視覚化、データポータビリティーなどの点で評価されているという。今後同社では、さらなる位置情報ビッグデータのAI解析の技術向上と、将来の動態を予測する技術を発展させ、様々な分野の企業・団体と消費者に役立つ情報の提供に取り組むとしている。

  • オルタナティブデータに求められる大量の地点の登録・分析が可能:従来のLAPは、分析地点数に制限があったが、LAP オルタナティブデータ版では、オルタナティブデータとして活用しやすくするため、登録地点数の上限を撤廃。業界ごとや銘柄ごとに、大量の店舗・拠点を一括登録可能になった
  • ほぼリアルタイムに市場変化を把握:任意の地点を指定し、その場所の分析がほぼリアルタイムに実施可能。各店舗・拠点などに加え、業種全体のトレンドを計測することも可能。LAPの「デイリー来訪速報」機能により指定した場所の推計来訪人数を性年代別・商圏サイズ別に把握可能。2019年1月からのデータを保有している
  • 投資銘柄別などでデータの視覚化が可能なインターフェースを開発:LAPでは、複数のPOI(Point of Interest。施設・店舗・拠点などの場所)をグループで登録し、同社「全国業種業態・主要都市人流グラフ」のように業界セクターごとにモニタリングしたり、地方・県別などの特定のエリアごとに、人流の動きを捕捉できる。LAP オルタナティブデータ版では、これをさらに進化させ、分析したい投資銘柄ごと、業態の拠点ごとなどで分析、その結果を一覧として視覚化するインターフェースを開発した
  • データの自動更新が可能なAPIを提供:LAP オルタナティブデータ版の解析結果は、1日ごとに更新するほか、CSVファイルとして逐一ダウンロードも可能。データ連携のためのAPIを用い、大量の解析データを共有するためのシステム連携や他のDMP(Data Managament Platform)、BIツールなどとの連携も行える
  • 未来の人流変化を予測:クロスロケーションズは、最大1週間先までの人流変化・来訪者数を予測が可能な「人流予測モデル」(α版)を開発中。天気予報・新型コロナウイルスによる影響など人流に変化を与える複数の要因を考慮したAI解析に加え、かつ人々のライフスタイルごとの行動傾向を考慮した未来の人流予測データも利用可能になる

2017年11月設立のクロスロケーションズは、「多種多様な位置情報や空間情報を意味のある形で結合・解析・可視化し、誰でも活用できるようにすること」をミッションとするスタートアップ企業。
位置情報ビッグデータをAIが解析・視覚化する独自技術「Location Engine」の開発と、それをビジネスに生かすプラットフォーム「Location AI Platform」の開発・提供により、「ロケーションテック」を推進している。

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タグ:位置情報(用語)オルタナティブデータクロスロケーションズロケーションテック(用語)日本(国・地域)

位置情報ビッグデータ解析・活用のクロスロケーションズが「ロケーションテック カオスマップ」を公開

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位置情報ビッグデータ解析のクロスロケーションズは8月17日、位置情報データの活用技術を主軸とするビジネスに関連する業種分類・企業をまとめた「ロケーションテック カオスマップ」を公開した。

クロスロケーションズによると、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大により、位置情報データを基に、都市の人出・混雑状況・店舗商圏の変化を確認できるものなど、身近な活用方法が増加しているという。

一方で、急激な拡大と多様な活用が可能な地理・位置情報業界であることから網羅的な情報が乏しく、位置情報データサービスを利用したい顧客は、何を利用すればいいのか分からない状態となっているとした。クロスロケーションズはその解決に向け、これから位置情報データ技術・サービスの利用を検討している企業が、サービスの発見・比較検討、提携企業のポジショニングを一目で把握できる「ロケーションテック カオスマップ」を作成したという。2020年8月時点では合計52サービス・7カテゴリーに分類がなされている。

スマホの普及に続き、今後日本版GPSにあたる準天頂衛星「みちびき」の本格活用やIoTデバイス、5Gの普及により、位置情報データの種類・量は拡大することが見込まれ、企業・行政の活動に活かすことでビジネスの効率化、消費者向けサービスの高度化が期待されているという。

クロスロケーションズは、「多種多様な位置情報や空間情報を意味のある形で結合・解析・可視化し、誰でも活用できるようにすること」をミッションとする、2017年11月設立のスタートアップ企業。位置情報ビッグデータをAIが解析・視覚化する独自技術「Location Engine」の開発、そのビジネスプラットフォームににあたる「Location AI Platform」(LAP)の開発・提供により、「ロケーションテック」を推進している。

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タグ:日本 ロケーションテック カオスマップ 位置情報

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位置情報 ロケーションテック クロスロケーションズ Location AI Platform

位置情報ビッグデータ活用のクロスロケーションズは7月14日、第三者割当増資により2億2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は東京理科大学ベンチャーファンド。合わせて、位置情報ビッグデータ活用クラウド型プラットフォーム「Location AI Platform」(LAP。ロケーション エーアイ プラットフォーム)の大幅刷新を明らかにした。

クロスロケーションズは、「多種多様な位置情報や空間情報を意味のある形で結合・解析・可視化し、誰でも活用できるようにすること」をミッションとする、2017年11月設立のスタートアップ企業。位置情報ビッグデータの収集・集計、AIによる分析・視覚化、また活用法開発などにより、新しい情報と価値の創出を可能とする技術「ロケーションテック」の開発・推進に注力している。

今回調達した資金は、 LAPのバージョンアップ開発をはじめ、同社独自技術である位置情報データ解析技術「Location Engine」の高度化や市場導入の推進に対応する資金として活用する。

LAPは、AIが位置情報ビッグデータから消費者行動の分析・見える化を行った上で、エリアマーケティングの実施と効果測定を一気通貫で実行できるプラットフォーム。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた消費者行動など、毎日更新される位置情報ビッグデータから読み取れる市場変化および消費者行動変化を捉え、部門ごと・業務ごとに把握・確認でき、即座にマーケティング活動に利用できるようLAPの大幅なバージョンアップを行った。

LAPの位置情報ビッグデータ解析機能である「人流モニタリング」や「商圏分析」などの各機能のウィジェット化と、ウィジェットを自由に組み合わせて1つのユーザーインターフェースとして把握・確認できる「LAP ダッシュボード」機能をリリース。LAPの解析結果をマーケティング活動につなぎ、商圏が変わった場所・ユーザーに消費者調査を行える「XL ロケーションベースアンケート」、サイネージ広告やSNS広告が出稿可能な「XL ロケーションベース広告」も提供を開始している。

位置情報 ロケーションテック クロスロケーションズ Location AI Platform

XL ロケーションベース広告では、SNSで保有するユーザープロファイルでのターゲティングに加え、LAPから抽出した位置情報ビッグデータの解析結果により、消費者のリアルな行動変化を組み合わせたターゲティングユーザーの設定が可能。特にLAPによる解析では、任意の店舗利用者の居住エリア(推定)だけでなく、前日に来店したと推測される人々も広告配信のターゲットに選定できるという。

また、スマホアプリへのオンライン広告、サイネージ広告に加え、LINE、Facebook、InstagramといったSNSへの広告配信も可能としている。

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「位置情報3.0」時代を支えるデータ活用プラットフォームへ、クロスロケーションズが数億円を調達

位置情報データ活用プラットフォーム「Location AI Platform」を開発するクロスロケーションズは6月20日、NTTドコモ・ベンチャーズ、アイリッジ、アドインテより資金調達を実施したことを明らかにした。具体的な調達額は非公開だが、数億円規模になるという。

今回調達した資金をもとにLocation AI Platformの開発体制を強化し、機能拡充や調達先各社との協業に向けたシステム開発を進める。

位置情報3.0時代へ

近年スマホを始めとする新しいデバイスやメディア、テクノロジーの登場によって、さまざまな領域でパラダイムシフトが起こり始めている。

クロスロケーションズが取り組む「位置情報データ」もまさにそのひとつ。同社で代表取締役を務める小尾一介氏は「世の中が『位置情報3.0時代』へと向かっている最中であり、全く新しいデータの世界へ突入しようとしている」という。

位置情報データがビジネスで活用される一例としてイメージしやすいのが、1990年代の後半から普及したGPS搭載のカーナビだ。小尾氏はこのような仕組みを位置情報1.0と説明する。その後スマホの普及で2.0の時代が到来。そして今、日本版GPS「みちびき」の本格運用や各種センサー、IoTデバイスなどの進化によって3.0時代を迎えようとしている。

1.0の時代は地図関係の情報などがメインで、そこに人の要素がでてくることはなかった。それが2.0以降になると、スマホのGPSからとれる位置情報データによって「特定地域にいる人に対して広告を出す」といったことも可能に。今後ビーコンやIoTデバイスが広がることで、位置情報の利用分野はあらゆる産業や公共サービス、家庭、個人へ拡大することも見込まれている。

クロスロケーションズのLocation AI Platformは、各種位置情報やGIS(地理情報システム)関連データを統合し、統計的なモデル化を実行。その上でAIによる特性把握やデータ活用の提案までをカバーするプラットフォームだ。

たとえば出店計画を立てる際や自社に来店する顧客を分析する際に、位置情報データを活用することで「このエリアにはどのような顧客層が普段訪れているのか」「自社店舗にはどのエリアから、どんな顧客が、どれくらい来店しているのか」といったことが分析できるのだという。

さまざまな位置情報データを統合・分析し、新しい発見を

Location AI Platformでは蓄積したデータの解析や統計、モデリングだけでなく、活用方法のレコメンにもAIを利用する計画。位置情報をもとに状況や目的に応じて適切な施策を提案する、といった機能を盛り込んでいく。

小尾氏の話では昨今、地図ナビゲーションやスマホゲーム、スマホ広告など各分野ごとに位置情報が独自の形で活用されてきたようだ。そのためGPSからの緯度経度情報、ビーコンなど特定地点に設置されたセンサーからの情報、携帯基地局の加入者情報など位置情報の種類や形式が別々に。結果として蓄積されたデータを統合的に管理したり、活用したりすることは難しかった。

もちろん各分野で集めた情報はビジネスに活かせるが、「データを重ね合わせることでより新しい発見や価値が生まれてくる」というのが小尾氏の見解だ。

クロスロケーションズはシンガポール発のスタートアップNearと、Google Japanの執行役員やデジタルガレージ取締役を務めた経験を持つ小尾氏ら、現経営陣の合弁により2017年11月に設立された。

Nearはかねてから位置情報データを活用した広告配信プラットフォーム「Allspark」を、日本を含むグローバルで展開。小尾氏は日本事業のアドバイザーを務めていたそうで、日本市場にある程度フォーカスしたプロダクトを作るため、Nearの日本チームのメンバーを中心にクロスロケーションズを立ち上げた。

同社ではNearが保有するデータと、ビーコンなどから取得したデータを持つパートナー企業から集めた情報をLocation AI Platformに統合し、位置情報3.0時代のスタンダードとなるプラットフォームを目指す方針。

今回のラウンドも純投資ではなく、ユニークな位置情報データやプロダクトを持つ3社との協業も含めた資金調達になるという。