昨年8月に正式ローンチしたスタンドアップコメディのストリーミングサービスを提供するLaugh.lyは、New York Angelsが中心となったシードラウンドで225万ドルを調達したと本日発表した。iOSとAndroidの両OSに対応しているLaugh.lyは、業界初となるコメディアンのスタンドアップセットだけを配信するアプリで、Kevin HartやAmy Schumer、Louis C.K.、Hannibal Buress、George Carlin、Chris Rockといったコメディ界のスターのコンテンツが登録されている。
New York Angelsがリードインベスターとなった今回のラウンドには、Shark TankのBarbara Corcoranやthe Wharton Alumni Angel Network、Social+Capital、Backstage Capital、Treehouse Capital、Accelerator Ventures、Atlas Holdingsが参加した。
以前Laugh.lyはSAFEノート(コンバーチブルノートよりもシンプルな資金調達手段)を使って、共同ファウンダーから75万ドル、投資家から150万ドルを調達していた。
その後TechCrunch Disrupt New York 2016に参加していた同社は、Startup Battlefield Wild Cardの対象企業として展示企業の中から引き抜かれ、審査員やVCの前でプレゼンを行うチャンスを勝ち取った。
Startup Battlefield Wild Card: Laugh.ly Brings Customized Comedy to Devices at #TCDisrupthttps://t.co/927jYM6TzU
— TechCrunch (@TechCrunch) May 9, 2016
Startup Battlefield Wild Card: Laugh.lyがお気に入りのコメディをあなたのデバイスへお届け
Laugh.ly設立までには面白い歴史がある。このアプリをつくったDave Scottは、ECやマーケティングオートメーションを専門とする連続起業家だ。しかしコメディに惹きつけられた彼は、その後スタンドアップコメディアンになり、San Francisco Comedy Collegeに通いながら、夜はオープンマイクに参加していたとScottは説明する。この経験から、彼はコメディビジネスやその課題についての理解を深めていった。
Laugh.lyローンチ当時からの同社の目標は、NetflixやHBOといったオンラインストリーミングサービスを通してコメディを見ることが主流になり、コメディアンのCDやDVDの売上が落ちる中、彼らの新しい収入源をつくり出すということだ。動画に関していえば、オンライン化が進んだことでファンも簡単にお気に入りのコメディアンの作品をみつけられるようになったが、CD経由で販売されていた音声に関してはあまり状況が変わっていない。その穴を埋めるのがLaugh.lyのサービスだ。
コメディのPandoraとも言われるLaugh.lyでは、ユーザーがオンデマンドでスタンドアップコメディを聞くことができるほか、自分専用のコメディ”ラジオ”局をつくることもできる。
Laugh.ly上でコンテンツを提供しているコメディアンの数は、ローンチ当初の400人から今では650人まで増え、登録コンテンツ数も数万個増加した。
2016年8月から同アプリは20万人以上のユーザーに利用されており、Scottによればそのほとんどが口コミでアプリの存在を知ったユーザーだという。さらに平均聴取時間は一回あたり60分以上だとLaugh.lyは話す。
「私たちはお笑いのワンストップショップをつくろうとしています」とScottは資金調達に関する声明の中で語った。「私たちのビジョンや、高品質なスタンドアップコメディを多くの人に届けたいという私たちの情熱が形になっていくのを見ることができ、大変うれしいです」
アプリ自体は無料だが、オフライン機能や広告を非表示にしたり、汚い言葉をフィルタリングしたりする機能などが使える、有料のプレミアムオプションも準備されている。(一方Scottは収益面についてはコメントしなかった)
さらにユーザーが自分の好きなコメディアンをみつけやすいよう、アプリの裏側ではLaugh.lyが自社で開発したシステムがコンテンツの内容を分析している。例えばユーザーは、検索窓にキーワードを入力することで、あるトピックに関するジョークを検索することができるのだ。またLaugh.lyは書き起こしテクノロジーを利用して汚い言葉のフィルタリングも行っている。
また今回調達した資金は、エンジニアチームの増強や、コメディ・エンターテイメント界のキープレイヤーの採用、新しい機能の開発などに充てられるとLaugh.lyは話す。
Laugh.lyのアプリは現在iTunesとGoogle Playで公開中。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)