バイオメカニクスを生かしたスポーツ用ウェアラブルデバイス開発のNURVVが9.9億円調達

CES 2020でローンチしたバイオメカニクスのスタートアップであるNURVV(ナーブ)が、スポーツとeスポーツのベンチャーキャピタルファンドのHiro Capitalが主導し、Games Workshopの共同創設者であるIan Livingstone CBE(イアン・リビングストンCBE)氏とLoveCraftsの共同創設者であるCherry Freeman(チェリー・フリーマン)氏が参加したシリーズA投資で、900万ドル(約9億9000万円)を調達した。

同社は、スマートフォンを落としても壊れない方法がわかれば、バスケットボール選手がどれだけ高くジャンプできるかもわかるということを証明した。Jason Roberts(ジェイソン・ロバーツ)氏は、世界トップクラスのスマートフォンのケースのメーカーであるTech21の創業者だ。彼と、彼の共同創業者、そして彼の夫人Ulrica(ウルリカ)は、その知識を応用して、新しいウェアラブル製品を発売した。靴の中にこれを敷くと、足が着地したときの力や跳躍の測定が可能になるというものだ。

このウェアラブルは、32個のセンサーを埋め込んだ軽量な中敷きで、ひとつのセンサーごとに、1秒間に1000回、足裏のデータを取得する。

今回の投資金は、NURVVの最初の製品、NURVV Run(ナーブラン)を国際市場への投入と、さらなる研究開発に使われる。Wired、CNET、Gear Patrolで高い評価を受けたほか、英国立物理学研究所で3年にわたりテストされてきた。

測定できるのは、ケイデンス、歩幅、接地パターン、プロネーション、バランス。このデータをNURVV Runのコーチングアプリに送り、その人のランニング技術を図で示す。これを見ることで、自分の技術とペースが改善できる。

ランニングに関するデータを膨大に収集するのは今でも可能だが、そのデータが見られるのは、いつだって走った後だ。創設者でCEOのロバーツ氏は、NURVV Runはランナーのデータを「アクションがあった時点で足から直接取得し、簡単に理解できるシンプルな方法で走りの改善をリアルタイムでコーチングできます」と話している。

同氏はTechCrunchに対して、この中敷きに組み込まれたテクノロジーは「ステップ数やストライドや消費エネルギーを測定する腕時計よりも正確で、怪我も検知できる」と話していた。彼はこう問いかける。「走っている人のステップ数をリアルタイムで配信することも可能です。バスケットボールでそのデータが見られたら、どうですか?」。

共同創設者のウルリカ・ロバーツ氏はこう付け加えた。「私たちはいつも同じ疑問に立ち返ります。重要な情報は足で発生しているのに、どうしてランニングのデータを腕で計るのかって」。

【中略】

「私たちは専門家を探して、それを実現しました」。

Hiro Capitalの業務執行社員であるLuke Alvarez(ルーク・アルバレス)氏は声明で「Hiro Capitalは、4回目の契約で、初めてのスポーツテックへの投資としてNURVVを支援できたことをうれしく思っています。NURVVの成功は、彼らの事業のすべての点でアスリートの体を中心に据えたことに起因します。NURVVの基礎は、ディープなバイオメカニクスとデータサイエンスを結合させたセンサーの特許技術にあり、これはスポーツ、ゲーム、VRとAR、そして健康全般に革命を引き起こす潜在力があります。ジェイソンとウルリカは、類いまれな起業家であり、この2人とその仲間たちと共に、NURVVを次のレベルに引き上げる手伝いができることに、大変にエキサイトしています」。

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(翻訳:金井哲夫)

マイクロソフトはパワポ用のAIプレゼンコーチを導入開始

画像クレジット:NBC/Contributor/Getty Images

数カ月前、Microsoft(マイクロソフト)は、PowerPoint(パワーポイント)で、AIを活用したプレゼンテーションコーチがもうすぐ使えるようになると発表した。フィードバックをその場で返すことで、重要なプレゼンテーションの準備を手助けする機能を備えたものだ。米国時間の9月25日、同社はまずウェブ版のPowerPointから、この新ツールの導入を始めた

公衆の面前で話すのは本当はかなりの練習を要するスキルだが、プレゼンをリハーサルする人はほとんどいない。自分のプレゼンの出来栄えがすでに素晴らしいから(本当はそうでもないのに)練習の必要はないと考える人もいれば、リハーサルするだけで緊張してしまうからしないという人もいるだろう。それでも、プレゼンの練習が有効であることは間違いない。

PowerPointの新しいプレゼンテーションコーチの目的は、練習のわずらわしさを取り除くこと。このツールの現在のバージョンは、3つの点に着目する。ペース、スライドの読み方、単語の選択だ。ペースについては自明だろう。プレゼンの話の早さ、あるいは遅さをチェックする。「スライドの読み方」のチェックは、スライドにある文章を単語ごとに区切って読んだりしていないかどうか確認する。そのような退屈なプレゼンを、ずっと見ていたいと思う人はいない。「単語の選択」ツールは、(英語版の場合)「um(えーと)」「ah(おっ)」「actually(実は)」あるいは「basically(基本的に)」といった言葉の使用頻度を検出するだけでなく、「you guys(男性諸君)」や「best man for the job(この仕事に最適な男)」のような文化的に無神経な言葉の使い方を指摘してくれる。

このプレゼンコーチ機能以外にも、Office 365には、今回いくつかの新機能が加わっている。例えば、PowerPointでのインク機能のサポートの向上がある。スライドにインクで書き込む様子をプレゼン時に再生できるもので、一種のアニメーション効果を埋め込むことができる。この機能は、今のところWindows版とMac版で利用可能となっている。ウェブ版Officeでのインクのサポート強化も、もうすぐ提供される予定だ。また、Microsoft Whiteboard(ホワイトボード)もアップデートされ、新たなテンプレートが追加された。また、Office 365のサブスクリプションを利用している教師は、新しく10種類のレッスンプランを利用できるようになった。その中にはレッスンで活用できる23種のカスタムな3Dモデルも含まれている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

PowerPointのAIツールは発表のやり方をコーチしてくれる

好む、好まざるにかかわらず、Microsoft(マイクロソフト) のPowerPointは企業の世界ではいたるところに使われているツールだ。ここ数年、マイクロソフトは同社のAI資源を投入し、PowerPointで見栄えのいいスライドを作るための機能を提供してきた。米国時間6月18日に同社は、その機能をさらに強化すべく、いくつかの新機能を公開する。最高にデザインされたプレゼンテーションであっても、発表者が話し下手では強いインパクトは与えられるない。そのためのスキルを身につけるためには多くの練習が必要だが、本日発表された新しいAiツール「Presenter Coach for PowerPoint」は、ユーザーがコンピューター相手にプレゼンテーションの練習をすると、フィードバックを返してくれる。

マイクロソフトのAIはユーザーのジョークがウケるかどうかはもちろん教えてくれないが、たとえば発表のペースについてリアルタイムにフィードバックを返したり、差別のない表現を使っていないか、「えー」「あー」などの言葉をどれだけ使っているかなどを教えたりする。さらにこのツールは、スライドを読むだけ、というプレゼンテーションにおける最大の罪を犯さないように監視する。

リハーサルセッションが終わると、PowerPointは発表パフォーマンスの概要を示し、スキルを改善するためにのポイントを教えてくれる。

本機能はまずウェブ版のPowerPointに、その後Office 365のデスクトップ版に導入される。

ビジュアルデザインに関しては、ユーザーがプレゼンテーションを作成する際に写真、スタイル、色などを推奨するデザイナー・テーマ・アイデアなどの新機能が追加された。この機能はWindows、Mac、およびウェブのOffice 365加入者が今すぐ利用できる。

大企業に勤めている人は、会社やブランドで決められたスタイルを使わなくてはならないことが多いだろう。「Designer for branded」テンプレートを使ってブランドのガイドラインやロゴを定義しておけば、PowerPointが新しいデザインを推奨するときにデザインアイデアがそれを考慮に入れる。この機能はWindows 10およびMacのOffice 365 Iniders加入者向けに本日から提供される。

マイクロソフトはバニティーメトリクス(虚栄の評価指標)の発表も忘れてはいない。同社はユーザーがPowerPointデザイナー機能を使って、2016年の提供開始以来10億枚のスライドを作成して保持していると発表した(作ってもさまざまな理由で捨てられたものもたくさんあったに違いない)。願わくばこれが、ここ数年世界からまずいプレゼンテーションが減ったという意味であってほしいものだが、今日コーチング機能が加わったことで、これからはまずいプレゼンテーションを「聞く」ことも減るのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook