技術シーズ向けアクセラレータープログラム「BRAVE2021 Autumn」が参加スタートアップ募集開始

技術シーズ向けアクセラレータープログラム「BRAVE2021 Autumn」が参加スタートアップ募集開始主にシード、アーリー期のディープテック・スタートアップへの出資や支援を行う独立系ベンチャーキャピタル(VC)Beyond Next Venturesは6月9日、アクセラレータープログラム「BRAVE」(ブレイブ)の2021年秋コース参加者の募集を開始すると発表した。

高度な技術シーズを事業化し成長させることを目標に、2016年にスタートした「BRAVE」は、これまで6回開催され、102チームが参加し、うち45%が起業に成功。卒業後の累計資金調達額は121億円にのぼる日本最大級のプログラム。

デモデイで優秀な成績を収めたチームには、最大200万円の賞金か、金額相当の事業化支援が贈られる。さらに、パートナー企業からの特別賞のほか、総額1億円規模の助成金への推薦、Beyond Next Venturesからの出資が受けられる。

プログラム概要およびエントリー方法

  • 応募期間:2021日8月27日午後11時59分まで
  • 応募資格:高度な科学技術シーズを持つ研究チーム・スタートアップ・カーブアウトを狙うチーム(学生、社会人、国籍、起業の有無は問わない)
  • 募集領域:アグリ・フード、AI、環境・エネルギー、メディカル・デジタルヘルス、バイオ・創薬
  • プログラム期間:2021年10月2日から11月20日までの約2カ月間。デモデイは12月22日に予定
  • BRAVE2021 Demo Day開催日:2021年12月22日
  • BRAVE2021 Demo Day開催場所:日本橋ライフサイエンスビルディング(オンラインで開催に変更する可能性がある)
  • 参加費:無料
  • 申し込み方法BRAVE公式サイトの「APPLY」ボタンより応募

賞金・特典

  • 最大200万円の賞金または金額相当の事業化支援を授与
  • 総額1億円規模の助成金への推薦。Beyond Next Venturesがプロモーターを務める助成金「START:研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム」(JST START)、NEDO STSなど
  • パートナー企業からの特別賞
  • Beyond Next Venturesからの出資

またBRAVEの特徴としては、同社が保有する2000名以上の経営人材プールを活用した経営幹部候補人材とのマッチング、ビジネス・技術・知財・法律などのスペシャリストによる事業プラン・事業計画作成サポート・ピッチ大会/Demo Dayに向けたプレゼンのアドバイスなどの実戦的メンタリングなどがある。BRAVEの卒業生(BRAVE Alumni)だけが参加するコミュニティへのアクセスも可能となるほか、BRAVEのコンセプトに共感しスタートアップとの連携機会を模索しているパートナー企業とのマッチングも実施される。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:アクセラレータープログラム(用語)Beyond Next VenturesVC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

シード資金の真空地帯を埋める企業ファンドのススメ

過去5年間の間に、シード投資は明らかに落ち込んだ。それに先立つ2010年から2014年の間には、シードキャピタルを専門とするマイクロVCたちの流入が続いていたが、それ以降、流れは徐々に減少していた。

この現象の主要な理由の1つは、そうしたマイクロVCたちが成功したことだ。シード段階で投資することは、リターンを生み出すための非常に強力な戦略であることははっきりした。彼らのポートフォリオは高い成績を収め、その結果、はるかに多額の2番目や3番目の資金調達を行うことができたのだ。

残念ながら私の見るところ、ファンドの規模が7500万ドルを超えると、シード段階に焦点を当てることは非常に困難になる。その資金全額に見合う、素晴らしい機会を、十分な数だけ見つけることが非常に難しくなるからだ。結局少額の小切手を多数書くのではなく、より高額の小切手を書く必要に迫られる。そうするために、ファンドはより後期のラウンドに集中し始める。これがシードステージに真空地帯が生まれる原因である。だがシードステージこそが最もエキサイティングなものなのだと私は言いたい。

そうした理由から、私はここに、企業ベンチャーファンドたちが埋めることができる、素晴らしい機会があると信じているのだ。私たちは、投資会社dunnhumbyで、ここ何年もの間、投資を成功裏に進めてきた。そして、ここで言う成功とは、(投資に対してはるかに大きなリターンは得てはいるが)単なる財政的なものを指しているだけではない。戦略的な成功も意味しているのだ。シード段階で投資することには、驚くほど戦略的な利点があるのだ。

イノベーション

シードステージは最高のイノベーションが起こっている場所だ。私たちは、私たち自身の戦略的方向性を知らせ、私たち自身の事業に影響を与える前に新しい技術やビジネスモデルを特定するために投資を行う。また、いつの日か素晴らしいパートナーになれるスタートアップを特定し、しっかりと取り込むためにも投資を行っているのだ。

最近企業によるイノベーションへの取り組みが急増している中で、ベンチャー投資は十分に活用されていない。生き残りのために日々イノベーションを行っている企業と付き合うこと以上に、イノベーションに晒される方法はあまりないし、2人のチームが100人以上のチームに成長するのを見ること以上に刺激を受ける機会も存在しない。共同作業を行うことで動きの遅い企業が引っ張られることもしばしばだ。

コラボレーション

初期段階の企業には、コラボレーションを促進する柔軟性と意欲がある。彼らは、自身の確立した官僚主義を持つほど大きくはなく、一緒に働くことを積極的に望んでいる。多くの場合、彼らがストラテジックパートナーからの資金を受け入れるのは、その関係から資金以上の何かを得ることができることを期待しているからなのだ。

多くの場合、これらの相乗効果はすぐには現れることはない。しかし、私の経験から言うならば、果実を生み出し始める2つの会社の密接な関係は、投資後約1年ほどで形つくられるものだ。

スタートアップにとっては、投資家の顧客基盤やリソースへ触れる機会が増えることになる。企業側にとっては、スタートアップのビジネスモデル、技術、そして市場での成功への直接的な知見を得ることができる。ここから、パートナーシップと買収の機会が生まれる。

M&Aとパートナーのパイプライン

こうした投資は、背後に戦略的な性質を持っているため、将来のパートナーシップと買収のためのインキュベーターとしても機能する。

シード段階に関わることで、会社が成長する過程を観察するユニークな機会を持つことになる。例えば、市場の要求とはどのようなものであり、他の企業がそのチャンスに気がつく前に参入できるようなチャンスは存在するだろうか?という問いかけを行うことができる。多くの場合、私たちは取締役または取締役会のオブザーバーとしての立場をとることになる。これにより、彼らの業績だけでなく、より密接な関係の可能性についてのより深い洞察を得ることができる。

また、ほぼ同様に重要なことは、相手の会社文化と自社の文化の整合性についての深い知見までも得ることができるということだ。多くの場合、こうした議論は初期のコラボレーション段階から発生する。そこでは、自分たちのより幅広いチームが、彼らと交流して、独自の文化を形成する機会を得ることになる。それがパートナーシップであろうと完全な買収であろうと、この文化的な整合作業は、成功の可能性を高める。

価値

シード段階への参加には、大きな資本拠出を必要としない。1つの後期ステージへの投資金額で、3件から4件のシード投資を行うことができる。これによって上にも述べてきたようなものに触れる機会が増え、貸借対照表上の財政的影響を大幅に減らすことができる。もしうまく行けば、4年から5年以内に、ファンドはそれが注ぎ込まれたコストより、はるかに多くの見返りを返すようになるだろう。

これは、企業にとって、1つのシードラウンド全体に資金を供給すべきであることを意味しているのだろうか?通常はそうではない。実際、これまでのほぼすべての投資案件について、私たちは投資家のシンジケートの一部として参加している。多くの場合、こうしたシンジケートは他の企業投資家(しばしば「ストラテジック=Strategic」と呼ばれる)で構成されている。これにより、このステージでの各投資家のリスクと経済的負担が軽減される。ここでの目的は、テーブルに着席する場所を得ることだ。戦略的な目的のためには、この段階で5%を所有しているのか20%を所有しているのかの間には、ほとんど違いがない。会社が大きくなったときに、この力学は変わることになる。

おわりに

これまでにdunnhumbyが投資したのは、会った企業の2%未満である。私達はどこに投資するかについて熱心に検討している。だが私たちが見送った98%も、同じくらい重要であると私は思っている。私たちは投資部門を持っているので、シード投資戦略を欠いているほとんどの企業が目にすることのない、さまざまな業界にわたる、信じられないほどのイノベーションに出会っている。少なくとも、手遅れにならないうちに気がつくことができている。投資によって私たちはテープルに着席することができる。

この記事が提供している話題は、私たちの投資業界だけでなく、私たちの顧客の業界にも見られる新たなトレンドである。私たちが投資を見送ったとしても、しばしば関係はそこで終了とはならない。多くの場合、そこからスタートアップにとっては同じように有益である、パートナーシップの議論や、レファレンス、そして紹介など通じるからだ。

チャンスはそこにある。企業が、ただそれをつかむ必要があるだけだ。

【編集部注】著者のKyle Fugereは、dunnhumby Venturesの代表である。

画像クレジット: amenic181 Shutterstock (画像は変更されている)

[原文へ]

(翻訳:sako)

現在シード投資家が注目している5つの分野

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シード投資家は、その名の通り、世界を変える力を持っているスタートアップやテクノロジーに誰よりも早く投資している。そのため、2000年代前半のソーシャルメディアや、ここ数年でいえば自動運転車のように、彼らの投資が集まる業界は将来的に爆発的な成長を遂げる可能性が高い。

これを考慮に入れ、この記事では現在シード投資家の間で話題になっている業界やテクノロジーのカテゴリーについて紹介したい。分析にあたってはCrunchbaseのデータを使用し、前年同期比で投資額や投資案件数に著しい増加が見られた業界をピックアップしている。以下が今後注目の業界だ。

自動車:自動車業界でのディスラプションに関する話は、UberやTeslaといった有名企業や、レイトステージ企業の資金調達・買収などを中心に語られることが多い。しかし、実は設立されたばかりの企業の間でもさまざまなことが起きている。今年は、推定で57社が約5500万ドルをシード投資家やエンジェル投資家などから調達しており、2015年の3200万ドルから増加した。自動運転技術のようなテック企業らしい事業を運営している企業も少数存在するが、多くは既存のビジネスモデルに変革を起こそうと、車の売買やシェア、レンタル、駐車、修理関連の新しいサービスを提供している。

AR・VR(拡張現実、仮想現実):シード投資家は、必ずしもたくさんの数のAR・VR企業に投資をしているというわけではない。しかし、ひとつひとつの企業には多額の資金を投じている。これが、今年の投資関連数字からAR・VR業界についてわかることだ。昨年は39社が2600万ドルを調達していた一方、今年は42社が5200万ドルをシード・エンジェルラウンドで調達した。

機械学習:機械学習のサービスを提供しているシードスタートアップへの投資額は昨年急増し、今年もその勢いを保っている。2016年は、これまでに90社が1億2500万ドルを調達したが、2015年の調達額は年間で80社、8200万ドルだった(これでも2014年の調達額合計から2倍以上増えている)。最近投資を受けた企業は、スマート幼児モニターや給与最大化ソフト、さらには”牛用のFitbit”など、数々の面白いプロジェクトに取り組んでいる。

食品・飲料:どうやらシード投資家は、去年にも増して食品・飲料スタートアップに興味を持っているようで、今年は145件以上の投資ラウンドに合計1億2500万ドルが集まった。なお、去年のデータは企業数が155社、調達額が8900万ドルだった。豪華な食事を現地市場で提供するための新しいビジネスモデルやスペシャリティコーヒー専門店、代替タンパク源の開発、食料品やおやつを扱うオンラインショップなどが、この業界で特に注目の分野だ。

農業:種をまいて収穫を待つ、というつまらない冗談を言うこともできるが、農業スタートアップの状況は数字を見れば明らかだ。シード・エンジェル投資家は、今年に入ってからこれまでに、3300万ドルを農業スタートアップに投じており、その額は2015年の合計投資額1800万ドルから倍近く増加した。投資を受けた企業の数を見ても、去年の18社から今年は25社に増えた。人気の分野としては、害虫駆除や病原体検出、収穫物モニタリング技術などが挙げられる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter