ジオロジック「GeoLogic音声広告」が「radiko」上でエリア指定ラジオ広告を配信可能に

ジオロジックが「radiko」上でエリア指定ラジオ広告を配信できる「GeoLogic音声広告」を開始

位置情報データをもとにした広告配信サービスなどを提供するジオロジックは8月26日、民放ラジオ放送局によるインターネットラジオ共同サービス「radiko」(ラジコ)上で、配信エリアを細かく指定してデジタル音声広告を配信できる「GeoLogic音声広告(radiko)」の開始を発表した。

radikoは、スマホ(iOS版Android版)やPCなどでラジオを聴ける無料サービス。2020年4月に月間ユニークユーザー数が約910万人に到達したほか、2020年9月1日には民放ラジオ全99局およびNHK(ラジオ第1、NHK-FM)、放送大学の参加を実現予定で、10月には設立10周年を迎える。

GeoLogicの位置情報ターゲティングは、お店の半径5km以内に住んでいるユーザー、特定の鉄道路線を利用するユーザー、特定の場所へ訪れたユーザーなどにターゲットを絞り込んで広告を配信できるサービス。今回の連携により、配信エリアを絞りこんだラジオ広告を差し込めるようになる。

また、従来の「GeoLogic音声広告」はSpotifyなどの若年層の多いメディアが中心の配信先となっており、40~50代のラジオ世代が多いradikoが加わることによって、全年代に渡って幅広くリーチすることが可能となるとしている。

ジオロジックは音声メディアが移動中に多く聴取されることに着目し、人の移動データと音声広告を掛け合わせた「GeoLogic音声広告」を2019年に開始。今後、欧米でブームとなっているポッドキャスティングなどへの展開も予定している。

関連記事
位置情報データ分析のクロスロケーションズが2.2億円の資金調達、顧客の推定居住エリアにSNS広告配信
米国でケンタやマックが活用する位置情報データスタートアップのBluedotが約9.8億円を調達
位置情報データ分析のPlacer.aiがシリーズAで約13億円を調達
位置情報からライフスタイルを推測して広告を配信するジオロジックが1億円を資金調達

位置情報からライフスタイルを推測して広告を配信するジオロジックが1億円を資金調達

位置情報データをもとにした広告配信サービスなどを提供するジオロジックは6月22日、総額約1億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先はGenesia VenturesLINE子会社のLINE Venturesが運用するファンド、東急エージェンシーの各社・ファンド。ジオロジックにとって今回の資金調達はシリーズAラウンドに当たる。

ジオロジックが提供するアドネットワーク「GeoLogic Ad(ジオロジック・アド)」は、スマートフォンユーザーの行動を解析することで、ライフスタイルや興味などを推定して広告を配信するサービスだ。

「今近くにいるユーザー」だけでなく、ある地点を過去に訪問したユーザーを対象に広告を配信できるほか、大学、ショッピングセンター、工場などの施設の訪問者や、鉄道路線の利用者などにターゲティング配信ができる。

GeoLogic Adの面白いところは、「お店の近くに来たことがあるユーザーにクーポンを配る」といった従来の位置情報を使ったスタイルの広告配信だけでなく、「この行動パターンを持つユーザーはどういう人か」を推測して広告配信が行える点だ。

ジオロジックではアドネットワークのほかに、マーケティングのための独自の地理情報データベース「GeoGenome(ジオゲノム)」を保有している。

GeoGenomeは国勢調査などのデータをもとに、どの住所にどのような人がすんでいるか、町丁目単位で地域傾向を分類。住所に対して「超高級住宅地のエグゼクティブ」「子育てマイホーム」「超高齢化が進む農村」など36の地域クラスターが割り当てられている。

GeoLogic Adでは、この地理情報とスマートフォンの位置情報データを掛け合わせることで、ユーザーをプロファイリングする。

たとえば、同じ「六本木に夜いる人」であっても、一人暮らしなのかファミリーなのか、都心住まいなのか近郊に住んでいるのか、などで趣味嗜好は異なるはずだ。それらを行動データから推定することで、従来より広い範囲のユーザーに対して広告配信を行う。

またリアル店舗を持たないアプリやサイトなどの提供者でも、位置情報を活用してターゲティングを行い、広告を配信することが可能となる。

ジオロジックを設立した代表取締役社長の野口航氏は、NTTコミュニケーションズからサイバーエージェントに転職し、アドネットワークのアルゴリズム開発やマーケティングに従事。事業拡大にともない分割して設立されたマイクロアドでは京都研究所所長を務めていた。

その後2014年11月にジオロジックを創業。2015年2月に地理情報データベースGeoGenomeの提供を、2016年2月からはGeoLogic Adの提供を開始した。

写真前列中央:ジオロジック代表取締役社長 野口航氏

ジオロジックではこれまでに、乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を提供するヴァル研究所から2017年3月に資金調達を実施している。

GeoLogic Adは現在、広告主数300社を超え、同社の主力サービスとして成長。位置情報広告事業の伸びにより、同社は既に黒字化しているが、資金調達に至った理由について野口氏はこう話している。

「今回の調達は、事業会社であるLINE、東急エージェンシーとの連携の性格が強い。LINEと東急エージェンシーとの事業シナジーに加え、今年の位置情報広告市場の立ち上がりを確信し、そこで勝つための布陣を整えるため、資金調達に踏み切った。調達資金はGeoLogic Adの販売・開発体制の拡充に投資する」(野口氏)

各社との連携内容については「具体的にはまだ言えないが」としながらも、「LINEとは特にネット広告事業と連携し、O2Oの分野で協業を検討していく」と野口氏は言う。

また東急エージェンシーについては「チラシ広告のクライアントが多い点が強み」とし、「デジタル内でのチラシ的な商品の共同開発を考えている。また東急グループの持つ位置情報との連携や、投資先となっているスタートアップとの連携も検討していきたい」と野口氏は述べていた。

位置情報データ関連のスタートアップでは、データをAIも利用して統合的に解析し、施策の提案も行うプラットフォームを開発するクロスロケーションズが6月20日に数億円規模の資金調達を行ったばかり。今後も既存の地理情報データや位置情報プロダクトをちょっとひねった視点から、新たなサービスが生まれそうな分野だ。