イーロン・マスク氏がテスラ株1240億円超分を売却

Tesla(テスラ)のCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、先週末にTwitterでフォロワーに所有する自社株の10%を売却すべきかどうかを問う投票を行った結果、約10億9000万ドル(約1243億円)分のTesla株を売却した。投票では57.9%が売却に賛成し、42.1%が反対した。そして今に至る。

米国時間11月10日に米証券取引委員会(SEC)に提出された複数の書類によると、マスク氏は210万株を超えるストックオプションのうち93万株以上を、1株あたり6.24ドル(約710円)で売却した。11月8日にTeslaの株価が4.8%下落したため、マスク氏の株は1株あたり1200〜1100ドル(約13万6800〜12万5400円)で売られた。

マスク氏は提出書類の中で、ストックオプションの行使に関連する納税義務を満たすために持ち株の一部を売却したことを明らかにした。同氏は、2012年に1株あたり6.24ドルで付与されたストックゲインに対して所得税を課せられているが、11月10日に1067.95ドル(約12万1800円)で取引を終えた今日の株価を見ると笑ってしまう。マスク氏がこれらのストックオプションを行使する場合、150億ドル(約1兆7000億円)超の税金が課せられることになる。

このニュースはまったく驚くべきものではない。マスク氏は以前から、保有するテスラ株の大規模な売却を公言しており、SECへの提出書類によると、同氏はすでに9月14日に株の売却を計画していたことが明らかになっていて、ツイッターでの動きは単なるショーだった。さらに、9月に行われたテックジャーナリストKara Swisher(カーラ・スウィッシャー)氏との対談で、マスク氏はストックオプションの大部分が2022年8月に期限切れになると述べ、第4四半期に売却することを多かれ少なかれ約束していた。

マスク氏は現在も1億7000万株以上を保有しており、持分は約17%だ。

画像クレジット:Britta Pedersen-Pool / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Index Venturesが従業員のストックオプションを計算するウェブアプリを発表

スタートアップにとって、ストックオプションの提供は非常に重要だ。ストックオプションがあれば、すでに大企業となったテック企業が提示できるような高い給与を払えないスタートアップでも、優秀な人材を入社させることができる。

だが、競争力のあるストックオプションプランを開発するには複雑な計算が必要だ。幸いなことに、ロンドンに拠点を置くベンチャー企業のIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)は現地時間9月15日、計算に使える手軽なウェブアプリと、欧州と米国のスタートアップが重要な従業員にどのような報酬を与えているかについて、新しい調査結果を発表した。

OptionPlan Seedは、シードステージの創業者がESOP(従業員自社株保有制度)を設計するためのウェブアプリだ。これは、Index Venturesが実施したシードステージ企業のオプション付与に関する分析がベースになっている。同社は1000社以上のスタートアップから得たデータを分析に使った。

このウェブアプリは、さまざまなポジションを網羅し、6段階の配分ベンチマークがあり、各チームメンバーの金銭的なアップサイド(税金を含む)を計算し、米国、カナダ、イスラエル、豪州、欧州20カ国の政策の枠組みに応じて調整を行う。

これは、Index Venturesが数年前に発表したシリーズA企業向けの「OptionPlan」をベースにしている。

Index Venturesによると、新ツールのための調査の結果、シードステージ企業の従業員のほぼ全員がストックオプションを受け取っていることがわかったという。だが、米国ではシードステージのスタートアップの技術系従業員の97%、技術系以外の若手の80%に達しているのに対し、欧州では技術系の75%しかオプションを受け取っておらず、技術系以外の若手では60%にとどまっている。

とはいえ、Index Venturesによると、ストックオプション付与の規模は拡大している。特に「技術的なDNAを多く持ち、ベイエリア志向」のスタートアップで増加している。一方、電子商取引やコンテンツなど、技術的要素が少ない分野では、付与額はあまり変化していない。一方、ここ数年でシードのバリエーションが上昇しているため、付与の規模は全体的として拡大し続けている。

Index Venturesは、シードステージの企業でESOPの割合が上昇していることを発見した。これは、採用のスピードが速く、従業員1人当たりの付与割合が大きくなっているためだ。同社は、シードステージでのESOPの割合を、従来の10%ではなく、12.5%または15%に設定することを推奨している。これは、スタッフの維持と誘致が目的だ。

また、今回の調査では、欧米でシード時の資金調達額が2倍になった一方、評価額は2.5倍になったことがわかった。

さらに、シードステージの給与は「劇的に上昇」しており、平均給与は60%以上も上昇した。米国のシードステージのスタートアップ企業におけるシニア技術職の給与は現在、平均18万5000ドル(約2035万円)で、3年間で68%増加した。22万ドル(約2420万円)を超える者もいる。だが欧州で給与の上昇が最も著しいのは、技術系・非技術系を問わず若手従業員だ。

しかし、Index Venturesの調査によると「欧州の技術系人材の間で、依然として報酬格差があり」、欧州のシードステージ企業の技術系社員の平均給与は、米国に比べ40〜50%低いという。同社の調べでは、この格差は2018年以降拡大しているという。「技術系以外のポジションでは格差が縮小しているにもかかわらず」だ。

また、欧州では、ロンドンのような高コストの拠点と、ブカレストやワルシャワのような低コストの都市があることから、給与のばらつきが「米国よりもはるかに大きい」ことがわかった。

人材獲得競争は今やグローバルなものだ。技術系人材の米国との給与格差は20〜25%に縮小している。

Index Venturesは「欧州の野心的なシードステージの創業者は、特に技術職において、採用する人材の水準を高めるべきだ」と結論づけている。また、給与面で競争力を高めるためには、より多くの資金を調達して、より経験豊富で高い能力を持った候補者を狙うべきだとしている。

画像クレジット:OptionPlan web app

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi