スマートリング「Oura Ring」が累計販売数100万個を突破

ハードウェアの世界では我々は、大きくてきりのいい数字が大好きだ。どんなものでも100万個を達成するのはすごいことで、その100万個が399ドル(約4万8800円)のスマートリングならなおさらだ。Ouraがウェアラブル分野を永久に変えたというのは早計だが、スマートウォッチというフォームファクター、そして特にある特定のスマートウォッチを中心に物事が固まっている今、状況を揺るがすスタートアップの登場は注目に値するだろう。

Ouraは、その高い値段にもかかわらず、パンデミックに後押しされたスタートアップの1つといえるだろう。このデバイスは、アクティブなフィットネストラッカーというよりは、ヘルスモニターである。そのバイタルトラッキングと控えめなフォームファクターにより、NBAからNASCARまで、多くのスポーツリーグとの提携を得た。これほどまでに世界レベルの著名人の指にまとわれている製品は少ない。

こうしたパートナーシップは、製品に内蔵された体温のトラッキングなどに関するいくつかの研究と相まって、うまく機能している。2020年末、科学ジャーナルNatureは「Feasibility of continuous fever monitoring using wearable devices(ウェアラブルデバイスを用いた連続的な発熱モニタリングの実現可能性)」と題する研究を発表し、体温の変化を検出するためにこのデバイスをどのように使える可能性があるか、それにより新型コロナ感染を早期に発見できる可能性があることを強調している。

また、同社は本日のニュースを通じて、睡眠トラッキング機能をアピールした。これもパンデミックによって世界が一変し、我々が夜通し眠れなくなってから2年余り、多くの人がたくさん考えたに違いないトピックだ。

「睡眠が私たちの健康の他の側面にどれだけ影響するかを理解していたので、Ouraは当初から睡眠に焦点を当てた最初のウェアラブルでした」とCOOのMichael Chapp(マイケル・チャップ)氏はブログ記事に書いている。「そして測定することにより、改善することができます。慢性的な睡眠不足と病気には直接的な相関関係があることが研究により明らかになっています。良い睡眠は、免疫力、パフォーマンス、メンタルヘルスなど、生活のほぼすべての側面を向上させます」。

Ouraは最初のスマートリングであったわけではなく、最後にもならないだろう。OuraはMotivに先を越されたが、後者はパンデミックの真っ只中にヘルストラッキングからバイオメトリクスにシフトして以来、ほとんど沈黙を守っている(控えめに言っても、きついタイミングだ)。その後、MovanoCircularといった企業が登場し、当初は支持を得られなかったこのフォームファクターでトラクションを獲得しようとしている(ちなみに、筆者は今でもリング派ではない)。Google(グーグル)傘下のFitbit(フィットビット)は、最近公開された特許のいくつかを発見し、独自のスマートリングに取り組んでいると噂されている。

Ouraはまた、いくつかのネガティブなフィードバックにもさらされている。Ring 3の概ね肯定的なレビューで指摘したように、同社は最近、いくつかの重要な指標をサブスクリプション制に変更し有料化した。これは、ハードウェアの高額な初期費用を支払った後では、当然ながら人によっては受け入れ難い。しかし、少なくともこれまでのところ、このような反発は、良いレビューと全体的なマーケティングを背景とした堅調な成長に影響を与えていないように見える。

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

Circular、約3万円のスマートリングで人気のOuraに挑戦

Ouraは、最初に市場に出たスマートリングではないが。その製品寿命が尽きるまで、驚くほどライバルは少なかった。これは、一般に消費者向けハードウェア企業が手首以外の場所にその足場を築くことは難しいという証明だ。しかし、同ブランドが比較的成功したことで、フィットネスバンドやスマートウォッチが必ずしもこのカテゴリーのすべてではないという希望が生まれたのは間違いないだろう。

CESはこれまでウェアラブルデバイスの展示会ではなかったが、初めてスマートリングを見ることができたこのイベントでは、2022年、さらに2つのスマートリングが発表された。2021年末に紹介したMovanoは、下半期に発売予定だという。また、Circularも注目すべき製品だ。しかしこのフランスのスタートアップは、展示会でスニークプレビューを行ったがそれ以上のことは行わなかった。

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米国時間2月4日、そんなCircularは、社名と同じ名前のリングを2月27日から259ドル(約2万9800円)で予約販売すると発表した。それは最新のOura Ring(第3世代)と比べて50ドル(約5800円)も安く、Circularは「単なる生のデータだけでなく、個人的なインサイト」を約束する月間サブスクリプションプランについてはまだ何も述べていないが、率直にいって最近はどの企業もその方向性にあるようだ。

実際の発売日は、4月から6月にかけてと相当な幅がある。しかしそれは、若くて小さな企業ではようくあることだし、しかも現在は半導体のサプライチェーンに問題がある。

このリングには、心拍数や呼吸数、体温など、さまざまなセンサーが搭載されている。この点では、少なくとも一般的なOuraのテリトリーで動作しており、マーケティング資料によると、「パーソナルヘルスの民主化」を目指して、多くのバイタルに基づいた実用的なインサイトを生み出している。また、アプリには「パーソナルアシスタント」がある。バッテリーは最大4日間持ち、充電は45分程度で完了する。

聞くところによると、まだ小さなハードウェアのスタートアップにとって、「消費者向け」は最初のステップだ保険やヘルスケアの企業と組んでB2Cへの進出を視野に入れている。このような製品でお金を稼ぐには、その方が良いと思うが、しかし規制も厳しくなるだろう。

このリングはヨーロッパ(フランス、ドイツ、イタリア、英国)と米国、香港、シンガポール、オーストラリアで販売される予定だ。。

画像クレジット:Circular/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

CES 2022大注目カテゴリーのフィットネスリング、医療機器Movanoが女性向けを発表

筆者の初のフィットネスリング実体験は、CES2017にさかのぼる。あれから4年、2022年1月5日から開催される展示会では、対面であろうがなかろうが、フィットネスリングが注目を集めるかもしれないと思っている。Motiv(モーティブ)リングは、フィットネスバンドの機能をリングに移行する可能性を示したが、結局は失敗に終わった。最近、Oura(オーラ)は、これらの製品が実際に何ができるかを示すことに成功した

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2022年には、急成長するフィットネスリング分野においてより多くのスタートアップがフォームファクタを模索することになると筆者は予想しているが、CESはその先鋒という位置づけにある。イーストベイに拠点を置く医療機器メーカーMovano(モバノ)は、独自のRingデバイスを発売することを発表した。この製品は女性をターゲットにしており、心拍数、睡眠、歩数、カロリー、血中酸素、呼吸など標準的なフィットネス項目を測定するよう設計されている。

このリングはより本格的なヘルスケア製品として差別化を図っているようで、装着者に実用的な洞察を提供している。こうした洞察は、ウェアラブルメーカーが単純な歩数計算を超えたものに着目している中で、ターゲットになりつつある。例えば、Ouraは追跡するすべてのデータをより深く理解するために、さまざまな研究に参加している。

また、Ouraもそうだが、Movanoはアプリを情報の中心に据えている。スクリーンなしのフィットネストラッカーの時代に戻ったデバイスとしては理解できることだ。同社CEOのJohn Mastrototaro(ジョン・マストロトタロ)氏は、リリースで次のように語っている。

Movanoは、良好な健康は基本的人権であるという信念のもとに設立されましたが、健康であるためには、毎年の健康診断で得られるいくつかの静的な指標だけでは不十分です。我々は、手頃価格の威圧感のないデバイスを使って、あなたの健康を自身で管理できるようにすることを使命としています。我々のアプリは、あなたの体のシグナルを記録し、それを洞察へと変換します。

リリースにあるように、Movanoはまだ、特に血中酸素や心拍数などに関する部分でFDA(米食品医薬品局)の承認を求めている最中のざっくりとしたフィットネス機器だ。承認の取得は、比較的若い企業にとって厳しいハードルだが、ヘルスケア製品としてより真剣に扱われるためには重要なものだ。

FDAの承認取得などは最終的には発売日、あるいは会社のやり方によっては、発売時の機能セットに影響を与える可能性がある。現時点では、2022年下半期のどこかでベータ版としてリリースされる予定だ。米国時間1月5日から開催されるCESに展示されるフィットネスリングとしてはMovanoが最初のものになるが、ほぼ間違いなくMovanoだけではない。

画像クレジット:Movano

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】邪魔にならない、スマートリング「Oura Ring」第3世代モデル

Oura Ringについて、誤った意見を持っていたことを認めざるを得ない。筆者はこのデバイスをApple Watchの代替品として考えていた。ざっくりいえばその通りだが……ほとんどの人がどちらか一方を選択するだろう。活動量計2つは多すぎるし、コスト的にも難しい。299ドル(約3万4000円)あればスマートウォッチが1つ買える。

また、この第3世代からOura Ringには月額6ドル(約700円)のサブスクリプションが追加される(6カ月の無料期間あり)。サブスクリプションには新しい機能も追加されているが、これまで無料だった機能まで有料になる。Oura Ring 3はまさに「投資」だが、スマートウォッチではない。

Oura Ring 3はどちらかといえばフィットネスバンドを後継する製品だ。最近はフィットネスバンドの話をあまり聞かないが、Appleがウェアラブル市場に参入する前は、フィットネスバンドがこの市場を完全に支配していた。Fitbit(フィットビット)やXiaomi(シャオミ)のような企業は今でも毎年大量にフィットネスバンドを販売しているが、同種の、さらに機能が充実した製品に押されてもはや時代遅れになってしまった。しかしながら、Oura Ringをフィットネスバンド(あるいはヘルスバンド)として考えてみると、その意味がわかるようになる。

画像クレジット:Brian Heater

Oura Ringは、いうなれば受動的なデバイスだ。ブザーやビープ音が鳴り、常に注意を向けなければならないデバイスではない。装着しておくだけのデバイスで、活動のリマインダーなど、あらかじめ設定された小さな刺激がある以外はほとんど無視できる。実際その通りなのだ。フィットネスバンドにはディスプレイがあったりなかったりするが、リングという形状はスペース的に非常に大きく制限される。

それを逆手に取り、Oura Ringは邪魔にならないように設計されている。リングで収集された睡眠、健康、フィットネスの実用的なデータは、後から接続済みのモバイルアプリで見ることができる。それこそがOura Ringのセールスポイントだ。リングという形状はフィットネスバンドよりも邪魔にならないようにすることができる。このタイプの最初の製品であるMotiv(モーティブ)のリングはそれが魅力だった。Motivはその後フィットネスカテゴリーから離れていったようだが、Ouraがその後を引き継いだ。

画像クレジット:Brian Heater

先に進む前に告白しておこう。筆者はリング的なものが好きではないので、身につけることもない(締め付けないでくれ、といったところだ)。これはOura Ringを使わない大きな理由の1つだが、正直なところスマートウォッチに愛着もある。とはいえ、ここ2週間はOura Ring 3を装着している。製品をレビューするにあたり、Oura(オウラ)に提案、というか控えめに要求されたのだ。

筆者はこの提案を不思議に思った。ハードウェアをレビューする際、できるだけ長く製品を試して欲しいと思うのは一般的だ。時としていうは易く行うは難しだが。しかし同社は、ある種の基準となる測定を行うために2週間使ってくれと主張する。最初の2週間の測定値が悪いということではなく、少しの間デバイスを装着し、Ouraがユーザーの習慣、睡眠、生体認証をより明確に把握するとより良い結果が得られるということらしい。

私たちはそれぞれが異なる個性を持っているので、どのような種類の健康器具にとってもカスタマイズは重要だ。299ドルのリングを購入しようとするユーザーには賛同してもらえると思う。付けていてもあまり影響はないので装着し続けるのも難しくはない。繰り返しにはなるが、リングが好きではなく、寝不足気味の筆者にとっては慣れるまでに多少時間がかかった。それでも大きくてかさばるスマートウォッチを装着したままにするよりも楽だった。睡眠の邪魔になる睡眠トラッキングデバイス、というのも皮肉なものだが、Oura Ringはそれには該当しない。

Oura Ringはリングであるが故に快適だ。リングが好きでなくても、単に身体に触れる面積が小さいだけで侵襲性が低い(影響が少ない)。デザインは前作とほとんど変わらず、丸い単色のメタルバンドだが、上下を示すために上部は平らになっている。

画像クレジット:Brian Heater

自分の指輪のサイズがわからない場合は、プラスチック製のダミーリングが多数入ったサイズ調整キットが送られてくる。Warby Parker(ワービー・パーカー、気になるメガネを自宅で試着できるサービスを展開)みたいだ。人間の指は日中でもサイズが変わるから、1つのリングを丸一日装着することが推奨される。サイズとカラー(筆者はマットブラックを選択)を選び、製品を待つ。実際のリングはプラスチック製のダミーよりも少しゆるい気がしたが、問題なく装着できた。そして日を追うごとにフィット感が増していくように感じられた。

一見すると普通のリングのように見え、それが実に魅力的である。しかし、心拍数の計測時にはリングの内側から緑の光が見えてしまうことがある。発売当初に搭載されたいくつかの新機能の中には日中の心拍数モニターがあり、(筆者が使う機会はなかったが)生理日予測や温度感知機能も改善されている。これらの新機能だけを見ても、第3世代は第2世代よりも進化していることがわかる。

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2021年から2022年にかけて搭載される予定の機能は、瞑想や呼吸法などの新コンテンツ、ワークアウト時の心拍数モニター、より正確な睡眠ステージング、動脈血酸素飽和度(SpO2)測定など、盛りだくさんだ。最後のSpO2測定機能については、導入が遅れたとしてもまったく不思議ではない。発売後に重要なヘルスセンシング機能を追加するのはOuraだけではない。Ouraの場合は、(少なくとも今のところ)米国食品医薬品局(FDA)の承認の問題ではなく、実装の問題だ。

Samsung(サムスン)やApple(アップル)でもなければこの種の機能をきちんと実装するのは難しいだろうが、今後の予定となっている機能は数多くあり、多くの潜在ユーザーが「なぜOuraはより完全に機能を実現した製品まで待たなかったのか」と思うことだろう。筆者は、これはベースとなるハードウェアを提供し、製品の耐用年数が尽きるまで機能の改善と展開を続けることを約束する、という熟慮された戦略の一環なのではないかという考えに至った。

Ouraがこの製品に対して長期的な目標を持っていることは間違いない。同社が参加した数多くの研究に目を向けてみよう。同社のブログをざっと見ただけでも、うつ病、スマートフォンの使用が睡眠に与える影響、海底環境への適応など、あらゆる研究が紹介されている。すべてが解明されるわけではないとはいえ、ほとんど(または多く)が今までにない、新しい機能につながると思われるが、少なくとも、センサーを使用するとどれだけ正確にモニター / 予測できるかについては興味深い洞察が載っている。特に、これらの研究では指と手首で心拍数などを測定する際の精度が明らかになっているようだ。

結局、筆者はワークアウトのトラッキングにはApple Watchのような手首に装着するタイプのトラッカーの方が好みだが、この2つを組み合わせることで自分の活動の全体像を知ることができた。とはいえ、誰もができる方法ではないし、皆が希望するものでもないことは承知している。Oura Ringが従来のトラッカーと比較しても結果的に成功しているのは、Ouraが実用的な分析情報にフォーカスしているからだ。だからこそ、Oura Ringの効果を判断する前に基準を決めることにこだわるのだろう。

画像クレジット:Brian Heater

この手のデバイスでは、回復(リカバリー)や準備状態(レディネス)といったものが見落とされがちだが、Ouraは後者について次のように説明している。

レディネスはOuraのメインスコアであり、あなたのためだけに設計され、何があなたの身体とライフスタイルに合っているのかを認識できるようにします。レディネスは、最近の活動、睡眠パターン、身体に負担がかかっているかどうかを示す直接的な身体のシグナル(安静時心拍数、心拍変動、体温など)を考慮した、あなたの健康の全体像です。

実際上は、収集したすべての指標を使用して十分にリカバリーできているかを判断する。筆者にとってはリカバリータイム(身体が次のトレーニングに適した状態になるまでの時間)が常に要注意だった……まあそれはおいておこう。筆者はワークアウトとワークアウトの間に身体を回復させることができたし、もっと上手くやるべきだった。赤の「Pay attention(注意)」が示しているように、確かに改善すべきポイントだった。

画像クレジット:Brian Heater

もう1つ注目すべきは睡眠だ。「ホーム」タブをタップすると「昨日の夜、心拍数が低下したので、まだ完全には回復していないかもしれません。身体の充電のために、今日はゆっくりしてみませんか?」と表示される。例えば、(筆者は朝に瞑想をしているが)朝ではなく夜に瞑想したり、寝る前に呼吸法を行ったりする方が、イヤフォンで音楽を聴きながらTwitterでネガティブ情報ばかり追ってしまうよりも良い睡眠が得られる(実際筆者の睡眠の質は悪い)というのは明らかだろう。

しかし、日々の仕事に追われているとこの事実は見失いがちである。筆者は常々、ウェアラブルデバイスの利点は指に結んだ紐と同じように気にならないことであり、過小評価されていて議論もされていないと発言している。このテクノロジーは、マインドフルネスをもたらし、そもそもなぜ投資をしたのかを思い出させてくれる。私たちがこれらの製品を購入するのは、自分自身を改善したいからである。ともすればテクノロジーが真逆のことをしてしまう現在、ウェアラブルのテクノロジーによるポジティブな補強はネット・ポジティブ(差し引きプラス)だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)