フリーランス向け報酬先払いのyupがセブン銀行と提携、24時間365日ATMから引き出し可能に

フリーランス向け報酬即日払いサービスを提供中のyupは4月23日、セブン銀行との業務提携契約を締結したことを発表した。yupは、TechCrunchが主催したスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」のスタートアップバトルでファイナリストに輝いた2019年2月設立のスタートアップだ。

今回の提携によってyupは、セブン銀行が提供する「リアルタイム振込機能」を利用可能になり、フリーランスは営業時間の制約を受けずに原則24時間365日いつでも報酬を即時に受け取れるようになる。
リアルタイム振込機能とは、セブン銀行が企業向けに提供する機能(API接続)。このAPIを利用することで、yupから振込指示を受けて即時に振込が実行可能になるという仕組みだ。セブン銀行のATMは、セブン-イレブンのほかショッピングモールやスーパーマーケットなどに設置されているので、利用しやすいのもメリットだろう。

yupの先払いサービスは、2019年9月26日にβ版の提供を開始。面談や書面でのやり取りは不要で、審査はオンラインのみで最短60分で完了する。そして、会員登録をした当日からサービスを利用できる。利用者は報酬の支払い元に送る請求書をyupに送ることで10%の手数料を差し引かれた金額を即日受け取れる。後日、支払い元から受け取った報酬額をyupに振り替えることで処理が完了する。利用者は手数料を取られるものの、通常は1~2カ月後にになる報酬の受け取りを大幅に短縮できるほか、回収不能のリスクを回避できるというメリットがある。

同社代表取締役社長の阪井 優氏によると、yupサービスは新型コロナウイルスの影響もあり、3月の申請は2月の2倍に増えたとのこと。同社は、直近の収入が減少したフリーランスが手元資金を増やすため、取引先の経営不安などの理由で利用者が増えたと分析している。

口約束だけで業務委託契約などを結んでいない場合、支払い元の発注担当者の事務処理能力が原因で期日どおりに報酬を受け取れないケースはいまだに多い。今回の提携により、フリーランスの資金繰りを迅速に支援するための新しい選択肢が増えたことになる。

無料送金アプリ「プリン」を使いセブン銀行ATMでお金をおろせるように、手数料は1日1回まで無料

右がPring代表取締役社長の荻原充彦氏

無料送金アプリ「プリン」提供のPringは3月12日、セブン銀行子会社のセブン・ペイメントサービスのATM受取に対応開始したと発表した。

この接続により、プリン内の残高はいつでもセブン銀行ATMで引き出せるようになる。ATM出勤手数料は1日1回まで無料。当日の会見で代表取締役社長の荻原充彦氏は、ATMでの出勤が24時間無料となるのは「送金アプリとして日本初」の試みになると話した。2回目からは216円となる。

プリンからセブン銀行ATMへ出勤する方法は以下のとおりだ。

  1. アプリトップ画面の左下にある「お金をおろす」をタップ
  2. 引き出す金額を入力し「現金受取り」をタップ
  3. 表示金額が正しいことを確認、セブン銀行ATMの操作を開始
  4. セブン銀行ATMで画面右上の「カードを使わない番号入力での取引」をタップ。

Pringは3月8日、プリンのリリースから1周年をむかえ、累計総金額は15億円を突破したと発表していた。

荻原氏はPringが目指しているのは「お金を動かすたびに生じる摩擦を限りなく無くし、お金コミュニケーションの活性」をはかることだと話した。

Pringの提供価値は「お金にまつわるストレスを解消」すること。荻原氏は今回の接続の目的は「更なるストレス解消のため」と話していた。

面接不要で空いた時間にすぐ働ける「タイミー」が3億円調達、2019年中には新サービスの公開も

空いた時間にすぐ働けるワークシェアサービス「タイミー」を運営するタイミーは1月10日、サイバーエージェント、エン・ジャパン、オリエントコーポレーション、セブン銀行、西武しんきんキャピタル、名称非公開の上場会社ならびに個人投資家2名から3億円を調達したと発表した。

タイミーは、人手が足りない飲食店などと、空いた時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービスだ。お店ごとの求人に応募したり、採用面接を受けたりする必要はない。アプリに空いた時間を入力するだけで、数多くの候補から「今ヒマな時間」に働けるお店を探すことができる。2018年のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルにも登場したサービスだ。

同サービスは現在約400店舗に導入済みで、その約8割が飲食店だという。タイミー代表取締役の小川嶺氏は、「求人広告の数自体は増えている一方で、アルバイト人口は減っている。求人広告を出しても人が集まらないという共通課題を抱えるお店がタイミーを導入してくれている」と語る。

一方で、タイミーを利用して働く側のユーザーの大半は学生だ。タイミーのダウンロード数は現在約3万5000件。そのうち3万人が学生ユーザーだという。「ユーザーの中には10回以上タイミーを使って働く人もいる。どこかの店舗にアルバイトとして常勤するのに比べ、毎回新鮮な経験や出会いがあることもタイミーの魅力の1つ」(小川氏)。小川氏によれば、今回の資金調達に向けて動き出したのは約3ヶ月前。当時は月間の売上が15万円ほどしかなかったというが、現在ではその約10倍の150万円まで売上が伸びているという。

ところで先日、藤田ファンドの第一号案件がタイミーであることがサイバーエージェントから発表されていたが、サイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏との出会いはサイバーエージェント側が開催したスタートアップ起業家向けの食事会だったという。

100人以上の若手起業家が集まったその食事会で、藤田氏は藤田ファンドの復活を告知。起業家はその食事会で各テーブルを周る藤田氏に向けてピッチを行ったという。小川氏もその1人だったが、後日「1億円を出資してください」という旨のメールを藤田氏に直接したところ、そのまま出資を受けることが決まったようだ。

サイバーエージェントの他にも、今回のラウンドには事業会社の名前がずらりと並んでいる。タイミーはそれらの企業との協業も準備しているようだ。例えば、セブン銀行とはタイミーがこれまで提供してきた即金機能をセブン銀行ATMを使って提供する協業を予定している。また、具体的な内容はまだ非公開だが、オリエントコーポレーションとはペイメント分野での協業を進めるようだ。

そのほか、タイミーは独自で新サービスの開発も進める。2019年中には「旅行」とタイミーをかけ合わせたサービスを公開予定だという。小川氏によれば、これは「0円で旅行が行けるサービス」で、ユーザーはタイミーを使って旅行先で働くことで、旅行代金タダで旅に行けてしまうという内容のサービスだという。そのために、今後タイミーは地方向けの営業を強化。2019年8月頃をめどに新サービスをリリースする構えだ。