テスラの蓄電事業は小規模ながらQ2に着実な伸び

Tesla(テスラ)の蓄電事業は第2四半期に加速し、同社の4四半期連続の黒字達成にもわずかながら貢献した。米国時間7月22日に発表された四半期決算で明らかになった。

商用・住居用の蓄電事業ならびにソーラー事業の売上はテスラの事業全体においてはわずかなものだ。同社の売上の大部分は自動車部門が占める。しかし第2四半期決算は、蓄電事業、特に2019年にローンチされた発電所規模の蓄電プロダクトであるMegapack(メガパック)が有望であることを示している。Megapackは同社が南オーストラリアで展開した大規模なバッテリーシステムの後に作られた。

テスラはソーラー事業と蓄電事業をそれぞれに展開しているが、売上に関してはこの2つの事業を合算するので、Megapackがどれくらいうまくいっているのか完全に把握することはできない。ただ、同社は第2四半期決算発表の中で、Megapackを「Winner」(勝者)と取り上げ、初めて黒字を達成したと記した。

「このプロダクトにはかなりの需要があり、出来る限り早急に生産率を上げる」と、パワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当上級副社長Drew Baglino(ドリュー・バッリーノ)氏は決算発表で述べた。

これまでの4年間、テスラは投資家らに同社を単に自動車メーカーとしてではなくエネルギー企業としてみるよう求めていた。一部のアナリストは同社の事業の真の価値はエネルギー事業と自動車事業が対等になったときだと考えている。対等というのは、Elon Musk(イーロン・マスク)氏も追求している目標だ。

しかし同社のエネルギー事業と自動車事業はやがて対等になるという請け合いにもかかわらず、蓄電とソーラーは自動車事業の影に隠れてきた。現在のところ蓄電事業は同社全体の売上高に占める割合は小さいが成長している。CEOのマスク氏はエネルギー事業が長期的には自動車事業とほぼ同じくらいの規模になると予測した。ただ、そのタイムラインは明らかにしなかった。

テスラ待望のプロダクトは、同社の自動化されたエネルギー売買用の機械学習プラットフォームAutobidderだ。「Autobidderはグリッドの安定化を提供し、物事が「超スムーズ」であることを約束する」とマスク氏は述べた。また「持続可能なエネルギー問題を解決するために必要不可欠なもの」とも語った。

結局、蓄電の展開は四半期ベースで61%増え(260MW/hから419MW/h)、事業は新型コロナウイルスパンデミック前の水準へと回復し始めていることを示している。第2四半期における蓄電の配備は前年同期比でわずか1%増で、同社が2019年第3四半期と第4四半期に達成した数字までにはもうしばらくかかる。

一方で、テスラのソーラーパネルの展開は縮小した。同社は第2四半期に27MWのソーラーパネルを設置した。これは前四半期比23%減、前年同期比7%減だ。減少の一部は、経済後退と、新型コロナウイルス対応として全米で展開された外出禁止令のためだ。

同社はSolarCityの買収で、米国の主要なソーラーパネル設置事業者となった。しかし SunrunとVivint Solarが米国マーケットでシェアを拡大し、トップの地位から転落した。テスラはいま、Solar Roofで再びシェアを拡大しようとしている。Solar Roofは、何年もかけて開発・テストされてきた板状の製品だ。同社は7月22日、Solar Roofの設置台数は第2四半期に前四半期の3倍になったと述べた。ただ、実際の数字については明らかにせず、いくつのSolar Roofの設置が完了したのかは不明だ。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:Mizoguchi

テスラのエネルギービジネスは将来自動車を上回るとイーロン・マスク氏は予想

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社のエネルギー事業は最終的には自動車部門と同じくらいか、それ以上のものになると予測している。

「もっと大きくなる可能性があります。間違いなく同程度にはなるでしょう」と、米国時間10月23日の決算報告でマスク氏は述べた。同社は、第3四半期に採算性を回復したことを報告してウォール街を驚かせた。

テスラの収益の大部分は、Model S、Model X、Model 3といった電気自動車の販売によって得られるもの。これらの車による第3四半期の収益は、53.5億ドル(約5810億円)だった。同社は、太陽光発電、エネルギー貯蔵、その他の製品やサービスによる収益の内訳を公表していない。それらを含めた第3四半期の総収益は63億ドル(約6842億円)であり、この数字から他の事業と比較した自動車事業の規模をうかがい知ることができる。

テスラのエネルギー貯蔵およびソーラー発電設備事業は、ほぼ2年間に渡って衰退するままとなっていた。同社はModel 3に注力し、リソースも集中させていたからだ。例えば、家庭用のPowerwallやビジネス用のPowerpackといったエネルギー貯蔵製品向けのバッテリーセルの生産ラインを、自動車用に振り向けていた。バッテリーセルの絶対量が不足していたからだ。

「まずModel 3をなんとかしなければテスラ自体が生き残れなかったので、そのような措置を取らざるを得ませんでした」とマスク氏は説明した。「そのために、残念ながら会社の他の部分を犠牲にしたのです」。

現在、同社はエネルギー貯蔵とソーラー発電設備の事業拡大に取り組んでいる。Powerwallのシニアプロダクトマネージャーとして2015年にテスラに入社したKunal Girotra(キュノ・ジロトラ)氏は、エネルギー部門のシニアディレクターに昇進した。

この第3四半期に、Teslaは43MW(メガワット)ぶんのソーラー発電設備を設置した。これは直前の四半期と比較して48%増加している。ただし、前年同期と比べるとソーラー発電の設置は54%の減少となっている。

10月23日に発表された収益によれば、エネルギー貯蔵設備の設置は成長を続け、第3四半期にはこれまでで最高の477MW/h(メガワットアワー)を達成した。

新しい取り組みとしては、2016年から始めている屋根用ソーラータイル製品もある。マスク氏は、3世代目の屋根用ソーラータイルを、米国時間10月24日午後(日本時間10月25日早朝)に発表すると予告した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)