【初心者向け】 アクセス解析を売上につなげるカギは「目標設定」と「現状分析」

スタビライザー小松氏による寄稿5記事目。今でこそアクセス解析を行っていないWebサイト自体少なくなりましたが、一方でツールを導入していてもなんとなく数字を眺めているだけ、、というケースも少なくないのでは。基本に立ち返り、なぜアクセス解析が必要なのか?改めて見直してみてはいかがでしょうか。

「アクセス解析って、何のために行うんですか?」

さて、この質問、あなたならどう答えますか?

これは、最近私のクライアントの方から立て続けに聞かれた質問です。この記事を見られている方の多くはアクセス解析をしてる人のほうが多いかもしれませんね。

Webサイトじゃなくて、自分の体でまずは考えてみましょう。

「アクセス解析って必要なの?」という質問は「健康診断って受けないといけないの?」によく似てます。

ちなみに、会社の健康診断は安全衛生法により定められている為、会社は健康診断を受けさせなければなりません。

では、皆さんは、法律で決まっていなかった場合、健康診断は受けますか?受けませんか??

「悪いところあったらやだから、受けようかな・・・」という人、「体調悪くないし別に受けなくてもいいや」と思う人など、様々かと思います。ただ、あくまで「現状確認」にすぎないと思います

今の自分のカラダがどうなっているのかな?というのを知りたい、そしてなにかしら対策をするべきなのか?それを知りたい方が多いかと思います。

「Webサイトのアクセス解析、よくわからないけどちゃんとやった方が良いのかな?」という方は、この状況に近しい方が多いです。

アクセス解析して悪いところを直そうと思う人もいますが、見たって別に修正しないし、修正すると費用かかるし…。

そういうことであれば、売上や問い合わせが増えない、急激に落ちたと体感した時に原因を探る一つとして参考程度に見ればよいのです。まさに、自分のカラダの健康診断と一緒ですね。

売上をWebサイトであげよう!と思っている場合はどうするか?

一般的なサラリーマンの健康診断に例えると上記のような話ではあるのですが、Webを活用して売上を上げよう!と考えている場合はまた少し違います。つまり多くの場合はこちらの話です。

この場合はアスリートの体力測定です。

皆さんがアスリートとして大会に向けて例えば背筋力、持久力、肺活量Upの為にトレーニングに励んでいた場合、体力測定って受けますか?受けませんか?

この場合はおそらく積極的に受けるはずです。

トレーナーの方がつく場合もありますが、まずは、トレーニング前に一度は体力測定を行い、一定期間トレーニングを行った後、改めて同じ項目を測定します。そして、数値を測った結果、

  • もっとここの筋肉をつけたほうが良い
  • このトレーニングをもっと増やしたほうがいい
  • こっちは達成しているから別のトレーニングにしよう

と、まず

  1. 現状を分析し、
  2. 結果をもとに差異を測り、
  3. 今後の計画をたてる

といったようなことをされるのが普通ではないでしょうか。そして、Webで売上をあげるためのアクセス解析は、このアスリートの体力測定と同じです。

大事なことは目標設定と現状分析

CV(コンバージョン)目標を決めて、まずは現状分析を行います。その上で、例えば

  • アクセスを増やす施策を行った、広告出してみた、SEOに取り組んだ
  • サイトの改善を行って直帰率の高いページを改善した
  • CVRが1%だったので、エントリーフォームを改善することで1.2%を目指したetc

など、あくまで【現状】を元に【目標】を設定し【計画】を立てる

アクセス解析は【現状(結果)】しか分かりません。大事なのは目標を目指して何かをした結果をどう捉えて、どう次のアクションに結びつけるか?ということです。

アクセス解析で改善点を見つけ、手を打つ。また、アクセス解析して打った手がどうだったか検証する。この繰り返しです。

アクセス解析に必要なのはGoogleアナリティクスのテクニカルな使い方とか、タグマネージャーの高度な使い方を細かく知ることではありません。

アクセス解析をすることは、Webサイトの目標設定と目標を達成する為の手法です。目標設定なしにアクセス解析のデータをいじくり回しても何の価値もありません。

理想と現実のギャップを埋めるのがアクセス解析のやり方の一つですから、まずは現状分析から初めて、その上で、目標設定してみることが大事だと言えます。

目標なしにWebサイトを運営するのはただ、その辺をうろうろと散歩しているのと同じです。決して目的地に着くことはありません。登る山(目標)が決まれば必要な装備(施策)も決まってきます。

まとめ:目標なしにアクセス解析をしても無意味

とはいえ、下記のような方も多くいらっしゃるのが現実です。

  • 現状Webサイトはあるが、何となく運営していて目標が明確でない
  • Webサイトを全面リニューアルしたいが、どのような戦略で進めていいのか分からない。
  • アクセス解析は実施しているが、何を見ていいか良く分からない

そのような方は、お気軽にご相談ください。

Googleタグマネージャを用いたイベントトラッキングやeコマーストラッキングの設定方法

Google タグマネージャは複数の煩雑なタグ管理を容易に行うためのツールです。使い慣れないとなかなか便利さを実感しにくいツールではありますが、慣れてしまえば色々な場面で利用できます。特に専任の技術担当がいない商用サイトにおいては、非常に有用なツールだと思います。

基本的なツールの使い方については、Googleタグマネージャ 初期設定の手順、使い方まとめで紹介しておりますので、そちらをご覧下さい。本記事では、データレイヤー変数を使用したタグマネージャのより応用的な使い方をご紹介いたします。

今回紹介するのは、次の2つの例です。

  1. タグマネージャを使用してGoogleアナリティクスのeコマーストラッキングを設定する方法
  2. カスタムHTMLタグを使い、リファラによる検索順位の取得を行う方法

特に後者のイベントタグを使用した例では、運用中のWebサイト自体には何ら手を加えず新しい機能を導入しています。

サイトの制作を制作会社に外注している場合など、通常はタグの設置を制作会社に依頼する必要があると思います。タグマネージャを利用すれば運用側でタグを自由に追加できるため、このような煩雑なやり取りも不要になります。

こうした点でも、タグマネージャの便利さを実感できるのではないでしょうか。

それでは、具体的な利用方法を見てみましょう。

タグマネージャを使用してGoogleアナリティクスのeコマーストラッキングを設定する方法

Googleアナリティクスのeコマーストラッキング機能は、受注時の受注した商品や売り上げの情報を集計して、アナリティクス上で分析することのできる機能です。

今回は、Googleタグマネージャを使用して、eコマーストラッキング機能を設定してみます。タグマネージャのタグがWebサイトの各ページに挿入されていることを前提としますので、タグマネージャの導入がまだの場合は、こちらの記事をご覧下さい。

必要な作業は次の3つです。

コンバージョンページに購入情報を含むJavaScriptを設置する

それぞれの顧客が購入した商品の情報は、ECサイトのシステム上で管理されているはずです。この購入した商品の情報をGoogleアナリティクスで集計・分析するには、購入情報をGoogleアナリティクスへデータを渡す必要があります。

タグマネージャを利用しない通常の場合、アナリティクスの_gaqオブジェクトを利用するのが一般的です。_addTrans, _addItem, _trackTrans の3つのメソッドで、受注した情報を送信します。

一方タグマネージャを使用する場合、一般的な方法では_gaqオブジェクトを使用することができません。サンクスページで決済時の購入商品情報をデータレイヤー変数として渡す必要があります。

データレイヤー変数については、末尾に簡単な解説を設けましたので興味のある方はご覧ください。ここでは設置方法のみを紹介しておきます。

以下2つのタグの設置が必要です。

1. タグマネージャタグより前に、以下のタグを挿入します。

このタグをタグマネージャタグより前に設置することで、タグマネージャからデータレイヤー変数を参照することが可能になります。

<script>
  // dataLayer(TagManagerとのデータ交換用)
  dataLayer = [];
</script>

2. 以下のような購入情報を含むタグを設置します。

<script type=”text/javascript”>
//<![EDATA[
  // 受注番号
  var transactionId = "0001";
  var cartProducts = [];
  // — 購入商品 —
  cartProducts.push({
    ”id”: transactionId, // 受注ID
    ”sku”: “product00000001″, // 商品番号
    ”name”: “サンプル商品”, // 商品名
    ”category”: “サンプルカテゴリ”, // 商品カテゴリ
    ”price”: “10000″, // 単価
    ”quantity”: “2′”// 数量
  });
  // — / 購入商品 —-
  // TagManagerへデータを転送
  dataLayer.push({
    ”transactionId”: transactionId,
    ”transactionTotal”: “20000″, // 合計
    ”transactionTax”: “0″, // 税金
    ”transactionShipping”: “0″, // 送料
    ”transactionProducts”: cartProducts, // 商品情報
    ”event”: “trackTrans” // イベント名
  });
//]]>
</script>

こちらはサンプルなので固定値を入力していますが、商品名や金額などの値を含む箇所は、購入した商品の情報に合わせて動的に出力できるようにします。

パッケージやオープンソースのECシステムを利用して構築した場合、購入した商品の情報は、完了ページで参照できるようになっているはずです。システムの構築を外部に委託している場合、この作業はシステム制作業者に依頼するとよいでしょう。

データレイヤー変数の名前は、公式ドキュメントに推奨されるデータレイヤー変数名が例示されているので、この命名規則に合わせて設定します。個々の値の意味について詳しく知りたい場合は、Google アナリティクスの公式ドキュメントを参照してください。

Google アナリティクスのeコマース設定を有効にする

アナリティクスでeコマースの設定を有効にしていなければ、eコマーストラッキング機能が使用できないので設定しておきましょう。すでにeコマース機能を利用している場合は不要なので、読み飛ばしてください。

アナリティクスにログイン後、ページ右上のアナリティクス設定に移動し、プロパティを選択します。次いでプロファイルを選択して移動、タブの中からプロファイル設定をクリックします。「eコマースの設定」という欄がありますので、ここで「はい、eコマースサイトです」を選択して「適用」をクリックします。

アナリティクス eコマースの設定

アナリティクス側の設定はこれで完了です。

Google タグマネージャ上でeコマーストラッキング用のタグを作成し、サンクスページに配信する

今度はタグマネージャ側での設定です。

ここではタグの登録と(配信)ルールの設定を行い、バージョンを作成します。このバージョンを公開することで、実際にWebサイトへタグを配信することができます。

タグマネージャでは、Google アナリティクスのトラッキングコードなど予め用意されたタグ以外、サードパーティ製のトラッキングコードや、オリジナルのタグなどもタグマネージャ上から配信できます。ただしGoogle アナリティクスのトラッキングコードに関しては、既にタグマネージャ上で用意されているため、わざわざカスタムHTMLタグを使用する必要も特にありません。

今回も、タグマネージャ上に用意されているGoogle アナリティクスのタグを使用します。

ログイン後、タグマネージャタグに一致するコンテナを選択して、コンテナのサマリーを開きます。eコマーストラッキング用のタグを作成する必要があるので、「新しいタグの作成」をクリックします。

タグ名を適当に入力し、タグの種類は「Google アナリティクス」を選択します。Google アナリティクスのウェブプロパティIDを入力します。アナリティクスのウェブプロパティID は、トラッキングタグを複数導入する場合など、何度か必要なので、定数文字列のマクロ変数として登録しておくと後々便利です。

eコマーストラッキングを行う場合、「トラッキング タイプ」は「トランザクション」を選択します。

配信のルールについてはサンクスページに挿入したタグで、’event’ : ‘trackTrans’ というイベント名を設定しましたので、ルールは「{{event}} 含む trackTrans」としておきましょう。

「trackTransイベント」ルールの追加

eコマースタグの追加

ここまで入力して、タグを保存します。次にバージョンを作成します。実際のWebサイトで公開する前に、まずはデバッグモードにして、タグが正しく配信されるかどうか見てみましょう。

eコマースタグのプレビュー

図のように、配信:イベント「trackTrans」となっていれば正しく配信されています。正しく配信されていることを確認したら、バージョンを公開しましょう。

トラッキングデータを確認する

実際に正しく測定できているかは、Google アナリティクスのレポートを確認してみましょう。受注データが集計されていれば成功です。お疲れさまでした。

なお、eコマーストラッキングによるデータの反映は、少々タイムラグがあるので気長に待ってみましょう。

カスタムHTMLタグを使い、リファラによる検索順位の取得を行う方法

次は、例として海外SEO情報ブログで紹介されているリファラを使った検索順位の取得を、Googleタグマネージャ上のタグ発行のみで設置してみたいと思います。

必要な作業は次の2つです。

カスタム HTML タグで、Googleからのランディング時のリファラ解析用のタグを配信する

参照元記事では _gaq オブジェクトを使用してタグマネージャのランディングを計測していますが、今回はタグマネージャを使用しますので、リファラ解析用タグをそのまま用いることはできません。先のeコマーストラッキングの例と同じく、データレイヤー変数を用いてイベントを発生させることになります。

Google タグマネージャにログインし、コンテナを選択します。ドラフトコンテナを選び、新しいタグの作成をクリックします。「タグの種類」は「カスタム HTML タグ」を選択します。次いで以下のコードを貼り付けましょう。

<script type=”text/javascript”>
//<![EDATA[
  var myString, r, rank, kw, keyWord, p;
  if (document.referrer.match(/google.(com|co.jp)/gi) && document.referrer.match(/cd/gi)) {
    myString = document.referrer;
    r = myString.match(/cd=(.*?)&/);
    rank = parseInt(r[1]);
    kw = myString.match(/q=(.*?)&/);
    if (kw[1].length > 0) {
      keyWord = decodeURI(kw[1]);
    } else {
      keyWord = “(not provided)”;
    }
    p = document.location.pathname;
    dataLayer.push({
      ”event” : “trackEvent”,
      ”eventCategory” : “RankTracker”,
      ”eventAction” : keyWord,
      ”eventLabel” : p,
      ”eventValue” : rank
    });
  }
//]]>
</script>

タグを配信するルールは特に気にならない限り、すべてのページで問題ありません。以上が設定できたら、タグを保存します。順位計測用のタグはこれでOKです。

イベントトラッキング用のアナリティクスタグを発行してイベントを計測する

先ほどのタグで抽出した順位の情報を、Google アナリティクスのイベントとして計測させるために必要な作業です。

新しいタグを作成し、「タグの種類」として アナリティクスを選択します。「トラッキング タイプ」は「イベント」を選択します。

先ほどのdataLayer.push内の設定値に対応するよう、マクロでデータレイヤー変数を設定していきましょう。このとき、マクロ名は自由に決めて構いませんが、データレイヤー変数はdataLayer.pushで送信した名前に合わせて入力しましょう。(逆に変更すると紛らわしくなる可能性もあるので、よくわからなければとりあえず同じ名前を使用しておくのがよいでしょう。)

新しいマクロの作成

配信ルールも dataLayer.push() で送信したオブジェクトの名前に合わせる必要があります。ここでは “event” : “trackEvent” というイベント名を設定しているので、これに合わせて {{event}} 等しい trackEvent としておくとよいでしょう。

「trackEvent」ルールの追加

最終的には、以下のようになります。

順位トラッキング集計用タグの追加

この配信ルールを有効にしたら「保存」 をクリックします。

動作確認

後は先ほどと同様に、バージョンを作成し、プレビューモードで確認してみましょう。

Googleから適当なキーワードを入力して検索結果に表示させ、流入してみたときに、カスタム HTML タグとアナリティクスタグが配信されていればうまくいっています。

Chromeの場合はリファラの関係上、このトラッキング自体が有効にならないようなので、配信されていることを確認したい場合、IEやFirefox、Operaなどを使って確認するとよいでしょう。

問題なければバージョンを公開すると、検索順位が取得できるようになります。

ここまでの流れで分かるように、今回の追加は、Webサイト内のHTMLを直接書き換えることは一切していません。それでいてWebサイト全体にタグを配信できるのですから、少しはタグマネージャが便利であると感じていただけるのではないでしょうか?

その他、Googleタグマネージャの挙動について補足

タグマネージャにはいくつか分かりづらい点がありますので、この場を借りて補足をしたいと思います。少々技術的な話になりますので、分からなければ読み飛ばしていただいて全く問題ありません。

データレイヤー変数について

通常、タグマネージャ上のタグは名前空間が分離されているため、ドキュメント内のスクリプトの変数にアクセスすることはできません。これを解消する方法として、タグマネージャ側から参照できるグローバル変数がデータレイヤー変数です。データレイヤー変数を使用することで、名前空間を無駄に汚さずデータのやり取りを可能にしてくれます。

データレイヤー変数は、タグマネージャ側ではマクロを利用して内容を参照します。マクロは事前に登録しておき、 {{(マクロ名)}} の形で、タグマネージャ内に挿入するスクリプトや変数フィールドに挿入します。

タグマネージャで配信するスクリプト内にマクロを挿入しておくと、dataLayer.pushで挿入した内容を参照できるようになります。

なおデータレイヤー変数名は標準でdataLayerという名前ですが、名前を変更することも可能です。ただし、サイト内で同名の変数を使用しているなどの場合を除き、通常変更する必要はないでしょう。

タグマネージャの “配信” とは

タグマネージャからロードされるスクリプトを見てみると分かりますが、1つのアカウントで配信されるタグはルールによらずすべて同一のタグが配信されています。

設定したルール自体がJavaScriptのコードになっており、タグマネージャの配信条件に合わせてスクリプトの実行をコントロールしていることが分かります。タグマネージャからロードされるJavaScriptを見ると、配信ルールの名前なども含まれているのが分かります。

1度タグマネージャのスクリプトをロードしてしまえば、その後はキャッシュされたスクリプトを利用でき、読み込み時間を短縮できます。

なお、タグマネージャに挿入したスクリプトは、自動的にMinifierで圧縮されるので、挿入タグの大きさ次第でWebページに直接タグを挿入するよりも転送速度の向上が期待できます。特に多くのタグを使用する場合や、タグ自体が長い場合は有効だと思います。

まとめ

今回の記事では、タグマネージャの少しだけ応用的な使い方を2つほど紹介しました。この他にも、例えばjQueryのプラグインをタグマネージャで配信し、サイトのメンテナンス情報をWebサイトに表示させるといった応用も可能です。

まだまだ日本ではタグ マネージャに関する情報が少なく、利用しがたいところもありますが、使いこなせるようになると色々な応用が効くツールですので、ぜひ積極的に使ってみることをオススメします。

ヴォラーレ株式会社 若松

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Googleタグマネージャ 初期設定の手順、使い方まとめ

Googleタグマネージャは、2012年10月1日(日本だと10月2日)にgoogleから公開された新ツールです。10月26日には日本語インターフェースがリリースされました。(タグマネージャー、と書きたくなりますが公式に合わせて「タグマネージャ」と書いておきます。)

タグマネージャに関してはGoogleアナリティクスなどとは違い、まだまだそこまで世の中に情報が出回っているという状況ではないため、個別に細かな設定をしようかなと思った時には結構試行錯誤しながらやっていく、ということも出てくると思います。今後もう少し実用的な使い方についても解説したいと思いますが、今回はひとまず基本的な使い方、特に初期導入時の設定方法や手順をまとめておきました。

Googleタグマネージャとは何か?

名前の通り、タグの管理(タグマネジメント)が出来るツールです。
※参考: タグマネジメント、きちんと理解できてる? 【タグマネジメント概論第1回目】

具体的には、googleアナリティクスやAdWordsなどでwebサイトに埋め込まないといけないタグやFacebookやtwitterなどJavascriptを使用するタグなど、今まで個別にサイトに埋め込んでいたような様々なタグを一括で管理することができます。

例えば、今までGoogleアナリティクスのタグを変更したい場合(eコマース設定等でトラッキングコードを書き換えなければならない場合等)はウェブサイトの管理者にお願いして、全ページまたは指定箇所のタグ入れ替えを行わないといけませんでした。タグマネージャを利用することで、こうした変更が今までよりも簡単に行えるようになる、といったメリットがあります。

analytics

SEOやアクセス解析、リスティング広告などのマーケティングに関わっている方が、必ずしも自社のサイトを管理・更新しているわけではなく(というか管理していないことの方が圧倒的に多いと思いますが)、多くの場合は別の担当者か外部の管理会社にまかせていると思います。

その場合、いちいち何かを変更する際にも、担当者間での依頼のやりとりが発生しますし、解析をより高い精度で、よりスピーディに行おうとすればなるほどそのコストもかさんでしまいます。

tag_manager

タグマネージャを使用することによって、何か変更が起きた時でもサイトに直接変更を加えるのではなく、タグマネージャの管理画面の情報を変更することでサイトに直接トラッキングコードを埋め込み直した状態と等しくなりますので、アクセス解析やマーケティングに関わる方が直接そうした変更を行えるようになります。

とても便利!なのですが、例えば、既にアナリティクスのコードが直接サイトに埋め込まれている場合は、一度既存のトラッキングコードを削除してからタグマネージャのコードを埋め込まなければなりません。

ちょっと手間な上に一時的に解析ができなくなります。また、サイト毎に設けている細かな指標の測定など、オリジナルな測定をしたい場合にはJavascriptなどの知識が必要になったり、導入に際してのコストが膨らんでしまうこともあります。

ですので、何でもかんでもタグマネージャを使用する価値があるかないかといわれると、大きなメリットがある場合もあれば、メリットがそんなにない場合もあるんじゃないでしょうか?と思います。

導入メリットが少なさそう

以下のような場合では今時点では敢えて導入する必要もないんじゃないかと思います。

タグの種類が少なく、変更頻度も少ない場合

1種類のタグ以外は使用していないし定期的に変更する必要もない、そして今後も当分使用する必要がない場合などには、そもそも大した管理コストは割いていないはずですのでわざわざタグマネージャのタグを埋め込み直したりする方が手間だと思います。

既に多くのタグが埋め込まれ、更に細かなオリジナルの設定を加えている場合

タグマネージャは他のgoogleプロダクトに比べ新しいので、そこまで情報が多くありませんし、まさに改良が加えられている最中のものなので今世の中に出ている情報以外のことを行おうとする時に必ずしも誰でも設定が行えるわけではありません(今後はもっと使いやすくなるとは思いますが)。

ですのでエンジニア(というかJavascriptが不自由なく使える人)のいない環境で、カスタマイズされた設定を必ずしもタグマネージャを使用して実現できるわけではないかもしれません。

・・・とは言え思いつくのはこの位でしょうか。。

導入したほうがいい場合

以下のようなケースでは導入する価値は十分にあるように思います。

様々なタグが埋め込まれていて何がなんだかわからなくなってしまっている場合

タグマネージャを使用すれば、全てのタグを一つの管理画面上で一元管理出来ますので、ごちゃごちゃしていて状況がサッパリ、という状態は改善できると思います。

今後ウェブサイトの解析をしっかりと行なって行きたいと考えている場合

それなりに細かな解析を行っていく場合、必要に応じて様々なタグを追加で埋め込む必要が出てくることがありますので、予めタグマネージャでの管理を行なっておけばより効率的にタグを運用していくことが出来ると思います。

サイト内のタグ変更などを行う場合に、外部の管理会社とやり取りをして変更しなくてはならない場合

タグマネージャを使用すれば、都度発生したタグ変更などの作業もいちいち管理会社に依頼しなくても変更が行えるようになります。
(ただし先ほど述べた通り、それなりに細かな設定を行う場合はJavascript等の知識が必要になることもあります)

ページ毎に異なるタグを埋め込む必要があるタグを使用している場合や、そのタグが発動するページを指定する場合

「カテゴリページにはこのタグを埋め込むけど、TOPページには埋め込まない」などといった条件があるようなタグ、またそういったタグが多岐にわたってサイト内にバラバラと埋め込まれている場合には管理がかなりややこしくなってしまうと思うのですが、タグマネージャで管理することで、それぞれのタグが発動するページや条件を指定することができるので管理、整理がしやすくなります。

新しいもの好きな方(おまけ)

まだそんなに世の中に情報が多くないので、自分で調べて設定してテストして、を繰り返すことになると思います。そういう作業が好きな方にはとても楽しいツールだと思うのでお勧めです。実利が伴うのであれば使い倒して見るのもよいのではないでしょうか。

つまり、長期的なタグの管理とか更新の手間や時間を考えれば、多くのケースでは入れておいた方が後々いいんじゃないでしょうか?と思います。

タグマネージャでGoogleアナリティクスを計測できるよう設定する

さて、ここからは、実際にタグマネージャを使ってGoogleアナリティクスの計測を行えるように設定してみます。(機会があれば、別途AdWordsの設定方法、アナリティクスeコマース設定、facebook等のアイコンの設定等もご紹介させて頂きます。)

※5/28追記※
ちょっとした応用で、Googleタグマネージャーを用いてアナリティクスのeコマースやイベントトラッキングを設定する方法の記事を書きました

今回は、最もよくあるタグの設置です。Googleアナリティクス側の設定の話は省きます。

1.ログインします

Google タグマネージャ公式サイトにて右上のログインボタンをクリック

e383ade382b0e382a4e383b3e794bbe99da2

2.アカウントを作成します

Googleアナリティクス等でも最初にアカウント登録を行いますがそれと同じような感じで企業毎に1アカウント作成します。
※名前は 該当アカウント > 設定 から後で変更可能です。
アカウント名

3.コンテナを作成します

Googleアナリティクスでいう”プロパティ”みたいな感じでウェブサイトごとに1つのコンテナを作成します。タイムゾーンを選択してドメインを記入します。
※名前は 該当アカウント > 該当コンテナ > ユーザーと設定 > 設定 から後で変更可能です。
コンテナ名

4.利用規約に同意します

敢えて書くまでのことでもないですが同意しないと次に進めません。

利用規約

5.コードを取得します

これが色々なタグの変わりにサイト内に埋め込むタグマネージャのタグになります。
(固有のIDが割り振られているため一部画像を加工してあります。)

コード

6.コンテナにタグを追加します

今回はGoogleアナリティクスなのでアナリティクスを選択。タグの追加は後で行っても問題ありません。
タグ追加

7.タグ名を記入します

今回はタグの種類をGoogleアナリティクスにしたのでウェブプロパティIDを記入する枠が出てきます。ここにウェブプロパティIDを記入しましょう。
※アナリティクスの該当アカウント > 該当プロパティ > トラッキング情報 に表示されているUA-から始まるIDです。

GA新規タグ追加

ちなみにアナリティクス以外にも下図のタグを登録出来るようになっています。登録できるタグの種類はリリース直後よりも増えています。機会があればまた別で紹介しますが、ここに書かれていない種類のタグに関しては全て「カスタムHTMLタグ」で設定します。

タグの種類選択

さて、カタカナが多くてそろそろ混乱しそうです。

ここで一回配信の流れに関して説明しますと、先ほど「タグマネージャの管理画面の情報を変更するだけでサイトに直接トラッキングコードを埋め込み直した状態と等しくなります。」と説明させて頂きましたがそこに関してもう少し具体的にみてみます。

タグマネージャルール配信の流れ

今、[7.タグ名を記入します]まで設定しましたが、これはタグマネージャの中にあるコンテナの1つに1つのタグを追加した。という状態です。

この後各ページにコンテナ([5.コードを取得します]で発行したコード)を埋め込みますが、埋め込んだだけでは何も変わりません。なぜかというとそのコンテナが空っぽだからです。コンテナ単体では何かを計測することはできません。

ではどうやって計測出来るようにするかというと、次の[8.ルールを設定します]で設定するルールによってコンテナの中にタグを入れてあげるイメージです。ルールはページ単位ではなくタグ単位で設定します。

上の図でいうとGoogleアナリティクスのタグは「1、2、4ページ目のコンテナに入れてあげてね」というルールが設定されています。

逆に「全ページのコンテナに入れてね、でも3ページ目にはいれないでね」というルール設定をすることもできます。

その他にも「3ページ目のyahooプロモーション広告のタグは2ページ目にアクセスしたことのある場合のみコンテナにタグをいれてね」といった設定も可能です。

最初にタグマネージャはタグを管理するツールとお伝えしましたが、もう少し具体的にいうと、ルールによってタグを管理・制御しているツール。という感じでしょうか。

8.ルールを設定します

「タグを配信するルールを追加」をクリックすると下図の様な画面に遷移します。
ここでは最も普通なアナリティクスのタグの追加を行うので、「既存のルールから選択」でデフォルトで登録されている、「すべてのページ」をチェックし、「保存」をクリックします。

ルールの追加

9.登録情報を確認します

トラッキングタイプは最も一般的なアナリティクスのタグの設置なのでページビューのままで問題ないです。

プルダウンをクリックすればその他の種類がでてきます。イベントの設定に関しては今度記事にします。

タグ名、タグの種類、トラッキングタイプ、配信のルールの4項目が記入されていることを確認したら「保存」ボタンをクリックしてください。

ルール追加元

10.コンテナの中身を確認します

設定したコンテナに何のタグが入っていてどういうルールが入っているか確認できます。マクロに関してはちょっと分かりにくいので、ひとまず今回は触れないでおきます。

11.バージョンを作成します

バージョンを作成することでやっとタグ配信の準備が整います。
バージョンを作成をクリックしてください。

バージョン作成と言われてもピンと来ない方もいるかもしれませんが、ブログとかでもある「下書きで保存」と似たようなイメージをしていただければわかりやすいかと思います。[10.コンテナの中身を確認します]までの状態ではコンテナにタグとルールをいれただけで放置した状態になります。

また、バージョンとは履歴。と考えてもらえればいいと思います。バージョン管理とか聞いたことあるかと思いますがそれと同じ様なことだと思っていただければいいかと思います。

なので、何か新しいタグの設定を行ったけれど今までうまく計測できてたものがうまく行かなくなった。といった場合にはきちんと動いていた時のバージョンに戻せば前の状態できちんと動くことになります。

タグの中身

12.バージョン公開前にチェックします

下書き状態のこのコンテナの内容が正常に公開されるかをチェックするためにプレビューを見てみましょう。プレビューをクリックしてください。

バージョン公開

13.プレビューとデバックを選択します

自分ではよくわからない等、何か理由がある場合はプレビューを共有で他の人にもチェックしてもらうことができます。また、プレビューのみでもいいですが、両方できるプレビューとデバックを選択していいと思います。

プレビューとデバッグ

14.プレビューを確認します

ドメインをクリックしてください。
プレビュー確認

15.プレビュー確認画面を見ます

下図のように該当サイトの半分にタグマネージャが配信されているかどうかが表示されます。配信されている場合は「配信」と表示され、配信されていない場合は「未配信」と表示されます。

配信されているということは、そのタグがそのページで読み込まれている状態なので、この場合だとGoogleアナリティクスの計測ができていることになります。

未配信ということは、コンテナからきちんとタグが表示されていない状態なので、タグかルールの設定をどこかしらで間違えているということになります(基本的には。)

プレビュー中

16.ようやく公開!

新しいタブでプレビューが開かれているはずですので、元のタブにもどってください。
「プレビューモードを終了」をクリックしてください。[12.バージョン公開前にチェックします]の画面に戻ってきたかと思うので、「公開」ボタンをクリックしてください。
下図が表示されるので、特に問題がなければ「はい」をクリックしてください。

公開の確認

17.バージョン一覧

一番最初に作成したバージョンは恐らく2になると思います(最初から1が登録してあるので)。

version

これでアナリティクスが計測される状態になりました!!ひとまずお疲れ様でした。

おまけ

最後に、バージョン名の変更等に関しても少し触れておこうと思います

バージョン名の設定

バージョン > 該当バージョン > 編集

バージョン名とメモを記入することができます。ここでバージョン名をきめておくと左側のメニュバーみたいなところに表示されるバージョンがIDではなくバージョン名で表示されます。

バージョン名を設定せずにたくさんのバージョンを作成してしまうと数字が並んでいて意味わからなくなってしまいます。わかりやすいバージョン名を設定しておきましょう。

また、複雑な設定を行ったバージョンの場合はメモにどういう設定したかを記入しておくと良いです。こうした管理は一人だけが把握できている、ではなくて他の人が見た時にもわかりやすい状態にしておいた方が良いと思います。

ユーザー管理

ユーザーと設定 > ユーザー

ここでアカウントに対する権限とコンテナごとに対するユーザー権限の設定が行えます。

以上になります。

最後に注意点

とても便利なツールなのですが、いろんな細かい設定をしたい、とかこれとこれを組み合わせてこういうことをしたい、とかいう場合に、ちょっとまだ情報が少なく調査やテストなどに時間がかかってしまってしまうなあというところが悩みどころです。

例えば社内で導入に向けて提案するとき、或いはクライアントに提案するときに「今大変なのがめちゃくちゃ簡単になりますよ」みたいな感じで安易に伝えてしまうと、特に初期の導入時には「全然カンタンじゃないじゃないですか」ということになりかねません。導入するときにかかるコスト、或いは運用にかかるコストもある程度はかかるということは前提に導入されると良いのではないかと思います。

とはいえ、まだリリースしてそこまで時間も経っていないなかでも徐々に使いやすくなってきている印象はあるので、ぜひ機会がありましたら早い段階で導入を検討してみてはいかがでしょうか。

文責:ヴォラーレ株式会社 三好

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