Googleタグマネージャは、2012年10月1日(日本だと10月2日)にgoogleから公開された新ツールです。10月26日には日本語インターフェースがリリースされました。(タグマネージャー、と書きたくなりますが公式に合わせて「タグマネージャ」と書いておきます。)
タグマネージャに関してはGoogleアナリティクスなどとは違い、まだまだそこまで世の中に情報が出回っているという状況ではないため、個別に細かな設定をしようかなと思った時には結構試行錯誤しながらやっていく、ということも出てくると思います。今後もう少し実用的な使い方についても解説したいと思いますが、今回はひとまず基本的な使い方、特に初期導入時の設定方法や手順をまとめておきました。
Googleタグマネージャとは何か?
名前の通り、タグの管理(タグマネジメント)が出来るツールです。
※参考: タグマネジメント、きちんと理解できてる? 【タグマネジメント概論第1回目】
具体的には、googleアナリティクスやAdWordsなどでwebサイトに埋め込まないといけないタグやFacebookやtwitterなどJavascriptを使用するタグなど、今まで個別にサイトに埋め込んでいたような様々なタグを一括で管理することができます。
例えば、今までGoogleアナリティクスのタグを変更したい場合(eコマース設定等でトラッキングコードを書き換えなければならない場合等)はウェブサイトの管理者にお願いして、全ページまたは指定箇所のタグ入れ替えを行わないといけませんでした。タグマネージャを利用することで、こうした変更が今までよりも簡単に行えるようになる、といったメリットがあります。
SEOやアクセス解析、リスティング広告などのマーケティングに関わっている方が、必ずしも自社のサイトを管理・更新しているわけではなく(というか管理していないことの方が圧倒的に多いと思いますが)、多くの場合は別の担当者か外部の管理会社にまかせていると思います。
その場合、いちいち何かを変更する際にも、担当者間での依頼のやりとりが発生しますし、解析をより高い精度で、よりスピーディに行おうとすればなるほどそのコストもかさんでしまいます。
タグマネージャを使用することによって、何か変更が起きた時でもサイトに直接変更を加えるのではなく、タグマネージャの管理画面の情報を変更することでサイトに直接トラッキングコードを埋め込み直した状態と等しくなりますので、アクセス解析やマーケティングに関わる方が直接そうした変更を行えるようになります。
とても便利!なのですが、例えば、既にアナリティクスのコードが直接サイトに埋め込まれている場合は、一度既存のトラッキングコードを削除してからタグマネージャのコードを埋め込まなければなりません。
ちょっと手間な上に一時的に解析ができなくなります。また、サイト毎に設けている細かな指標の測定など、オリジナルな測定をしたい場合にはJavascriptなどの知識が必要になったり、導入に際してのコストが膨らんでしまうこともあります。
ですので、何でもかんでもタグマネージャを使用する価値があるかないかといわれると、大きなメリットがある場合もあれば、メリットがそんなにない場合もあるんじゃないでしょうか?と思います。
導入メリットが少なさそう
以下のような場合では今時点では敢えて導入する必要もないんじゃないかと思います。
タグの種類が少なく、変更頻度も少ない場合
1種類のタグ以外は使用していないし定期的に変更する必要もない、そして今後も当分使用する必要がない場合などには、そもそも大した管理コストは割いていないはずですのでわざわざタグマネージャのタグを埋め込み直したりする方が手間だと思います。
既に多くのタグが埋め込まれ、更に細かなオリジナルの設定を加えている場合
タグマネージャは他のgoogleプロダクトに比べ新しいので、そこまで情報が多くありませんし、まさに改良が加えられている最中のものなので今世の中に出ている情報以外のことを行おうとする時に必ずしも誰でも設定が行えるわけではありません(今後はもっと使いやすくなるとは思いますが)。
ですのでエンジニア(というかJavascriptが不自由なく使える人)のいない環境で、カスタマイズされた設定を必ずしもタグマネージャを使用して実現できるわけではないかもしれません。
・・・とは言え思いつくのはこの位でしょうか。。
導入したほうがいい場合
以下のようなケースでは導入する価値は十分にあるように思います。
様々なタグが埋め込まれていて何がなんだかわからなくなってしまっている場合
タグマネージャを使用すれば、全てのタグを一つの管理画面上で一元管理出来ますので、ごちゃごちゃしていて状況がサッパリ、という状態は改善できると思います。
今後ウェブサイトの解析をしっかりと行なって行きたいと考えている場合
それなりに細かな解析を行っていく場合、必要に応じて様々なタグを追加で埋め込む必要が出てくることがありますので、予めタグマネージャでの管理を行なっておけばより効率的にタグを運用していくことが出来ると思います。
サイト内のタグ変更などを行う場合に、外部の管理会社とやり取りをして変更しなくてはならない場合
タグマネージャを使用すれば、都度発生したタグ変更などの作業もいちいち管理会社に依頼しなくても変更が行えるようになります。
(ただし先ほど述べた通り、それなりに細かな設定を行う場合はJavascript等の知識が必要になることもあります)
ページ毎に異なるタグを埋め込む必要があるタグを使用している場合や、そのタグが発動するページを指定する場合
「カテゴリページにはこのタグを埋め込むけど、TOPページには埋め込まない」などといった条件があるようなタグ、またそういったタグが多岐にわたってサイト内にバラバラと埋め込まれている場合には管理がかなりややこしくなってしまうと思うのですが、タグマネージャで管理することで、それぞれのタグが発動するページや条件を指定することができるので管理、整理がしやすくなります。
新しいもの好きな方(おまけ)
まだそんなに世の中に情報が多くないので、自分で調べて設定してテストして、を繰り返すことになると思います。そういう作業が好きな方にはとても楽しいツールだと思うのでお勧めです。実利が伴うのであれば使い倒して見るのもよいのではないでしょうか。
つまり、長期的なタグの管理とか更新の手間や時間を考えれば、多くのケースでは入れておいた方が後々いいんじゃないでしょうか?と思います。
タグマネージャでGoogleアナリティクスを計測できるよう設定する
さて、ここからは、実際にタグマネージャを使ってGoogleアナリティクスの計測を行えるように設定してみます。(機会があれば、別途AdWordsの設定方法、アナリティクスeコマース設定、facebook等のアイコンの設定等もご紹介させて頂きます。)
※5/28追記※
ちょっとした応用で、Googleタグマネージャーを用いてアナリティクスのeコマースやイベントトラッキングを設定する方法の記事を書きました
今回は、最もよくあるタグの設置です。Googleアナリティクス側の設定の話は省きます。
1.ログインします
Google タグマネージャ公式サイトにて右上のログインボタンをクリック
2.アカウントを作成します
Googleアナリティクス等でも最初にアカウント登録を行いますがそれと同じような感じで企業毎に1アカウント作成します。
※名前は 該当アカウント > 設定 から後で変更可能です。
3.コンテナを作成します
Googleアナリティクスでいう”プロパティ”みたいな感じでウェブサイトごとに1つのコンテナを作成します。タイムゾーンを選択してドメインを記入します。
※名前は 該当アカウント > 該当コンテナ > ユーザーと設定 > 設定 から後で変更可能です。
4.利用規約に同意します
敢えて書くまでのことでもないですが同意しないと次に進めません。
5.コードを取得します
これが色々なタグの変わりにサイト内に埋め込むタグマネージャのタグになります。
(固有のIDが割り振られているため一部画像を加工してあります。)
6.コンテナにタグを追加します
今回はGoogleアナリティクスなのでアナリティクスを選択。タグの追加は後で行っても問題ありません。
7.タグ名を記入します
今回はタグの種類をGoogleアナリティクスにしたのでウェブプロパティIDを記入する枠が出てきます。ここにウェブプロパティIDを記入しましょう。
※アナリティクスの該当アカウント > 該当プロパティ > トラッキング情報 に表示されているUA-から始まるIDです。
ちなみにアナリティクス以外にも下図のタグを登録出来るようになっています。登録できるタグの種類はリリース直後よりも増えています。機会があればまた別で紹介しますが、ここに書かれていない種類のタグに関しては全て「カスタムHTMLタグ」で設定します。
さて、カタカナが多くてそろそろ混乱しそうです。
ここで一回配信の流れに関して説明しますと、先ほど「タグマネージャの管理画面の情報を変更するだけでサイトに直接トラッキングコードを埋め込み直した状態と等しくなります。」と説明させて頂きましたがそこに関してもう少し具体的にみてみます。
今、[7.タグ名を記入します]まで設定しましたが、これはタグマネージャの中にあるコンテナの1つに1つのタグを追加した。という状態です。
この後各ページにコンテナ([5.コードを取得します]で発行したコード)を埋め込みますが、埋め込んだだけでは何も変わりません。なぜかというとそのコンテナが空っぽだからです。コンテナ単体では何かを計測することはできません。
ではどうやって計測出来るようにするかというと、次の[8.ルールを設定します]で設定するルールによってコンテナの中にタグを入れてあげるイメージです。ルールはページ単位ではなくタグ単位で設定します。
上の図でいうとGoogleアナリティクスのタグは「1、2、4ページ目のコンテナに入れてあげてね」というルールが設定されています。
逆に「全ページのコンテナに入れてね、でも3ページ目にはいれないでね」というルール設定をすることもできます。
その他にも「3ページ目のyahooプロモーション広告のタグは2ページ目にアクセスしたことのある場合のみコンテナにタグをいれてね」といった設定も可能です。
最初にタグマネージャはタグを管理するツールとお伝えしましたが、もう少し具体的にいうと、ルールによってタグを管理・制御しているツール。という感じでしょうか。
8.ルールを設定します
「タグを配信するルールを追加」をクリックすると下図の様な画面に遷移します。
ここでは最も普通なアナリティクスのタグの追加を行うので、「既存のルールから選択」でデフォルトで登録されている、「すべてのページ」をチェックし、「保存」をクリックします。
9.登録情報を確認します
トラッキングタイプは最も一般的なアナリティクスのタグの設置なのでページビューのままで問題ないです。
プルダウンをクリックすればその他の種類がでてきます。イベントの設定に関しては今度記事にします。
タグ名、タグの種類、トラッキングタイプ、配信のルールの4項目が記入されていることを確認したら「保存」ボタンをクリックしてください。
10.コンテナの中身を確認します
設定したコンテナに何のタグが入っていてどういうルールが入っているか確認できます。マクロに関してはちょっと分かりにくいので、ひとまず今回は触れないでおきます。
11.バージョンを作成します
バージョンを作成することでやっとタグ配信の準備が整います。
バージョンを作成をクリックしてください。
バージョン作成と言われてもピンと来ない方もいるかもしれませんが、ブログとかでもある「下書きで保存」と似たようなイメージをしていただければわかりやすいかと思います。[10.コンテナの中身を確認します]までの状態ではコンテナにタグとルールをいれただけで放置した状態になります。
また、バージョンとは履歴。と考えてもらえればいいと思います。バージョン管理とか聞いたことあるかと思いますがそれと同じ様なことだと思っていただければいいかと思います。
なので、何か新しいタグの設定を行ったけれど今までうまく計測できてたものがうまく行かなくなった。といった場合にはきちんと動いていた時のバージョンに戻せば前の状態できちんと動くことになります。
12.バージョン公開前にチェックします
下書き状態のこのコンテナの内容が正常に公開されるかをチェックするためにプレビューを見てみましょう。プレビューをクリックしてください。
13.プレビューとデバックを選択します
自分ではよくわからない等、何か理由がある場合はプレビューを共有で他の人にもチェックしてもらうことができます。また、プレビューのみでもいいですが、両方できるプレビューとデバックを選択していいと思います。
14.プレビューを確認します
ドメインをクリックしてください。
15.プレビュー確認画面を見ます
下図のように該当サイトの半分にタグマネージャが配信されているかどうかが表示されます。配信されている場合は「配信」と表示され、配信されていない場合は「未配信」と表示されます。
配信されているということは、そのタグがそのページで読み込まれている状態なので、この場合だとGoogleアナリティクスの計測ができていることになります。
未配信ということは、コンテナからきちんとタグが表示されていない状態なので、タグかルールの設定をどこかしらで間違えているということになります(基本的には。)
16.ようやく公開!
新しいタブでプレビューが開かれているはずですので、元のタブにもどってください。
「プレビューモードを終了」をクリックしてください。[12.バージョン公開前にチェックします]の画面に戻ってきたかと思うので、「公開」ボタンをクリックしてください。
下図が表示されるので、特に問題がなければ「はい」をクリックしてください。
17.バージョン一覧
一番最初に作成したバージョンは恐らく2になると思います(最初から1が登録してあるので)。
これでアナリティクスが計測される状態になりました!!ひとまずお疲れ様でした。
おまけ
最後に、バージョン名の変更等に関しても少し触れておこうと思います
バージョン名の設定
バージョン > 該当バージョン > 編集
バージョン名とメモを記入することができます。ここでバージョン名をきめておくと左側のメニュバーみたいなところに表示されるバージョンがIDではなくバージョン名で表示されます。
バージョン名を設定せずにたくさんのバージョンを作成してしまうと数字が並んでいて意味わからなくなってしまいます。わかりやすいバージョン名を設定しておきましょう。
また、複雑な設定を行ったバージョンの場合はメモにどういう設定したかを記入しておくと良いです。こうした管理は一人だけが把握できている、ではなくて他の人が見た時にもわかりやすい状態にしておいた方が良いと思います。
ユーザー管理
ユーザーと設定 > ユーザー
ここでアカウントに対する権限とコンテナごとに対するユーザー権限の設定が行えます。
以上になります。
最後に注意点
とても便利なツールなのですが、いろんな細かい設定をしたい、とかこれとこれを組み合わせてこういうことをしたい、とかいう場合に、ちょっとまだ情報が少なく調査やテストなどに時間がかかってしまってしまうなあというところが悩みどころです。
例えば社内で導入に向けて提案するとき、或いはクライアントに提案するときに「今大変なのがめちゃくちゃ簡単になりますよ」みたいな感じで安易に伝えてしまうと、特に初期の導入時には「全然カンタンじゃないじゃないですか」ということになりかねません。導入するときにかかるコスト、或いは運用にかかるコストもある程度はかかるということは前提に導入されると良いのではないかと思います。
とはいえ、まだリリースしてそこまで時間も経っていないなかでも徐々に使いやすくなってきている印象はあるので、ぜひ機会がありましたら早い段階で導入を検討してみてはいかがでしょうか。
文責:ヴォラーレ株式会社 三好
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