極小3Dプリント技術のScronaは大規模な製造業向けのプランを立ち上げる

Scrona AGは2015年に「最小のインクジェットプリントカラーイメージ」でギネスの世界記録になり、ちょっとした話題を呼んだ。80×115マイクロメートルのカクレクマノミの絵は、Kickstarterでキャンペーンときも話題になった。

ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)からスピンオフした同社は、さらに大きな志を抱き、積層造形 / 3Dプリントを大量生産の世界に導入するために、極小プリント技術の規模を拡大することを計画、特にディスプレイ、PCB、半導体などのエレクトロニクス分野への応用を視野に入れている。後者は、チップ不足が続く中、多くの人が破壊を切望している分野であることは間違いないだろう。

Scronaの共同創業者でCEOのPatrick Galliker(パトリック・ガリカー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「Scronaを使えば、これまで不可能だったものをデジタルでプリントできます。それはどのような素材でも、スケールでもよいため、今日の製造技術と明日の革新的な製品の両方で速さと精度とコストを改善します。今回、Scronaのスケーラブルなプリント技術のディスラプティブなポテンシャルを理解しているエキスパートの投資家たちのシンジケートに支援されることに、私たちはとてもエキサイトしています。私たちの技術には、製造工程の工程数を1/10に減らす能力があり、また素材やエネルギーや水の使用量も大幅に減らすことができます」。

彼らのプランは、新しい投資という形でゴーサインをもらった。670万ドル(約7億8000万円)のシリーズAはAM Venturesがリードし、またスイス政府からの290万ドル(約3億4000万円)の助成金を加えると、合わせて1000万ドル(約11億6000万円)ほどのラウンドになる。

同社によると、3Dプリントは、従来の方法と比べて、速くてしかも解像度100倍のはるかに精密なプリントが可能になる。そのシステムは静電吐出を用いるので、金属や生物素材など、さまざまな素材を使うプリントが可能だ。

AM VenturesのJohann Oberhofer(ヨハン・オーバーホーファー)氏は、リリースで「Scronaの技術には大きなポテンシャルがあります。特に添加物の製造では、この技術で、これまでのプリントヘッドで処理できなかった素材も処理できます。最高の解像度と、高性能な素材をめぐる処理のこれまでの制約がなくなることの両方があることは極めてユニークなことです」と述べている。

画像クレジット:Sittikan Raingkhun/EyeEm/Getty Images (画像を加工した)

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

チューリッヒ工科大学の四足歩行ロボットANYmalがハイキングに挑戦

ここ数年、ロボット研究者たちが有脚ロボットで実現した成果は驚くべきものばかりだ。2021年7月にオレゴン州立大学はCassieを5km走らせたのは記憶に新しいところだが、今週、チューリッヒ工科大学の研究者たちは、ANYmalロボットが近くの山を登る訓練でその身体能力を伸ばしたと発表した。

訓練した四足ロボット(Boston Dynamicsの製品をどうしても連想させる形状の)は、近くのエッツェル山という標高1098メートルの山頂を歩くように訓練されている。このロボットは、120メートルの標高差がある山道を31分間で歩くことができたという。これは、人間のハイカーの標準的な歩行時間よりも4分も速い。さらにつまずいたり、踏み外したりすることなく、このロボットがタスクを達成したということは、多くの人間が思う以上にすばらしいものだ。

研究者たちによると、この偉業は制御方式の変更で達成できたとのことで、科学誌でも紹介された。方式は、画像による視覚と触覚のフィードバックを組み合わせたというもので、この組み合わせにより、ロボットはハイキングではよくある視野が限られた凹凸のある地面を楽に歩けるようになる。このフィードバックをもとに、ロボットはどの程度慎重に歩けばいいのかなどを判断する。この技術は、四足歩行ロボットが山を登る前に、まず仮想環境で試された。

研究リーダーのMarco Hutter(マルコ・フッター)氏は、「このロボットは、視覚による環境認識と、脚の直接接触に基づく固有感覚(触覚)を組み合わせることを学びました。これにより、より速く、より効率的に、そして何よりも堅固に悪路に望むことができるのです」という。ANYmalは将来、人間にとって危険な場所や、他のロボットでは通れないような場所でも使用できるようになるだろう。

不整地での安定した歩行は、四足歩行ロボットにおける重要な研究開発課題だ。このようなリアルタイム処理の活用は、最終的には、人間を危険から守るために危険な状況に送り込まれるロボットに役立つと考えられている。

画像クレジット:Takahiro Miki/ETH Zurich

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)