スタートアップ特化のクラウド型バックオフィスサービスを展開するWORK HEROが1.4億円のシード調達

シード・アーリーフェーズのスタートアップを中心に、コーポレート専任担当がいない企業に向けたオールインワンのクラウド型バックオフィスサービス「WORK HERO」を提供するWORK HEROは3月23日、シードラウンドとして、第三者割当増資による総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はCoral Capital、East Ventures、ニッセイキャピタル。調達した資金は、人材採用およびサービスの開発・広報にあてる。

WORK HEROは、経営者・コアメンバーが事業に専念できるよう、経理・労務・税務・総務といったバックオフィス業務をオールインワンで引き受け、運用するサービス。顧客の事業内容とバックオフィス状況をヒアリングしたうえで、ベストプラクティスの業務フローを設計し、運用を代行する。各種SaaSツールの設計やメンテナンス業務も含めて対応するほか、専門家や社員との窓口代行も行うため、リソースの限られているスタートアップが、新たにコーポレート専任担当を採用せず利用を開始できるという。顧客企業は、経営資源を戦略策定やプロダクト開発などコア事業の成長に必要な業務に集中できるとしている。

WORK HERO代表取締役CEOの大坪誠氏は、自身が携わった30社以上のスタートアップの多くにおいて、すべての経営者がバックオフィス業務に課題を感じていたものの、リソース・ノウハウ不足から手を付けられずその成長を妨げてしまっているケースを数多く目の当たりにしたという。高いポテンシャルや強い個性を持つ経営者・企業が、その本領を発揮できていない状況が社会にとって大きな損失だと強く感じ、WORK HEROを2018年9月設立したとしている。

バックオフィス向けクラウド「ジンジャー」を提供するjinjerが51億円調達、開発・マーケティング・採用を強化

バックオフィス向けクラウド「ジンジャー」を提供するjinjerが51億円調達、開発・マーケティング・採用を強化

バックオフィス業務の効率化を図るクラウドサービス「ジンジャー」を開発・提供するjinjerは3月23日、第三者割当増資による総額51億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターの香港Tybourne Capital Management(タイボーン・キャピタル・マネジメント)、SBIグループ、事業会社1社、VC1社。調達した資金は、ジンジャーシリーズのプロダクト開発とマーケティング投資、エンジニアやセールスなどの採用活動への強化へあてる。

ジンジャーは、人事労務・勤怠管理・給与計算・ワークフロー・経費精算・電子契約・ウェブ会議などのバックオフィス業務の効率化を支援するクラウドサービス。「ジンジャー勤怠」「ジンジャー人事」などをシリーズとして提供している。バックオフィスに関わるすべてのデータをジンジャーシリーズに集約し、1つのデータベースで管理することで、各システムにおける情報の登録や変更手順の手間を削減する。

2021年10月設立のjinjerは、「世の中のすべてを『as a Service』へ」をミッションとして掲げ、ジンジャーシリーズを開発・提供。世界が直面する少子高齢化という社会課題に対して、テクノロジーにより様々なサービスを進化させ、課題解決と顧客の発展へ貢献するという。

 

法人設立、会計、税金、規制遵守など煩わしいバックオフィス管理を行うSleek、ビジネス構築に集中したい起業家向けサービス強化

Sleekの創業者ジュリアン・ラブリエール(右)とエイドリアン・バーゼル氏(左)(画像クレジット:Sleek)

起業家や中小企業は、カンパニーセクレタリー業務、簿記、銀行業務、税務、給与計算、雇用サービス、保険など、サイロ化された機能への対応に苦労することがよくある。

フランスの起業家Julien Labruyere(ジュリアン・ラブリエール)氏とAdrien Barthel(エイドリアン・バーゼル)氏は2017年にSleek(スリーク)を設立し、起業家がシンガポールと香港で事業を設立して運営するのを支援した。Sleekは法人設立、行政、会計、税金、ビザから規制遵守まで、すべてを処理するバックエンドのOSプラットフォームを構築した。

同社の使命は、Sleekによってバックオフィスの煩わしさをすべて取り除くことで、ビジネスの構築に集中したい起業家やビジネスオーナーにとって最適なプラットフォームになることだと、バーゼル氏は述べている。

Sleekは米国時間11月16日、White Star Capital(ホワイト・スター・キャピタル)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)がリードする1400万ドル(約15億9800万円)のシリーズAラウンドを獲得したことを発表した。これにより、Sleekの総調達額は2400万ドル(約27億3900万円)となった。

この資金は、技術および製品開発の強化、人員の増強、既存市場でのプレゼンスの拡大、オーストラリアや英国を含む新規市場への参入に使用される。

英国市場への参入にともない、Sleekは、英国の法人設立管理会社で、2005年の設立以来、45万社以上の法人を設立してきたLtd Companies(Ltdカンパニーズ)の買収を発表した。Sleekは、既存のLtd Companiesのサービスに同社のスタックを加え、英国の中小企業向けのオペレーティングシステムを構築する。

Sleekは設立以来、シンガポールだけでなく、香港、オーストラリア、英国、フィリピンにも拠点を拡大してきた。

同社は、パンデミック時に顧客ポートフォリオの規模を2倍にした。興味深いのは、Sleekの顧客は経済全体の混乱の影響をあまり受けていないようだ、とバーゼル氏はTechCrunchに語っている。また、2021年初めには1000万ドル(約11億4100万円)の年間経常収益を達成したとバーゼル氏は述べている。

5000社以上のポートフォリオを管理しているSleekは、2020年に140万件以上の簿記取引を処理し、約7億ドル(約799億円)の収益を計上した。

Sleekは最近、中小企業の銀行口座開設を簡素化したSleekビジネスアカウントを発表した。これにより、起業家や中小企業の経営者は、Sleekアプリを使ってわずか1日で預金口座を開設し、取引を開始することができ、口座開設前の煩わしい書類作成の必要性がなくなった。さらに、ユーザーはSleekのダッシュボード上で、他の会社の指標と一緒に口座の詳細を確認することができ、会計や簿記のための銀行照合を効率的に行うことができる。また、送金やカード発行に対応した製品のリリースも予定している。

「Sleekビジネスアカウントのリリースにより、起業家のためのオペレーティングシステム(OS)を構築するという当社の製品ビジョンに、大きな一歩を踏み出すことができました」とバーゼル氏は述べている。

また、経験豊富なCFO(最高財務責任者)がビジネスインテリジェンスツールを介してクライアントの会計データにアクセスし、クライアントへの提案や分析(予算編成、戦略、資金調達)を行うCFOサービスを試験的に開始した。

「テクノロジーが人間の超効率化を可能にする未来では、人間は手作業よりも顧客へのアドバイスに多くの時間を費やします。現在、当社のカンパニーセクレタリーは、従来の会社の4~5倍多くのクライアントにアドバイスを行っていますが、その機能の100%自動化を実現し、クライアントへのアドバイスのみに集中できるようにすることを目指しています」と、バーゼル氏はTechCrunchに語っている。

White Star Capitalの創業者兼マネージングパートナーであるEric Martineau-Fortin(エリック・マルティノー・フォーティン)氏は「我々は、Sleekの優れたパートナーとなり、我々のグローバルなカバーエリアを活用して、すべての中小企業が抱える根本的な問題を解決し、ヨーロッパやオーストラリアへの成長を加速できると信じています」と語っている。

「Sleekは、世界中の起業家や中小企業が抱えるバックオフィス管理という、まだ十分なサービスが提供されていない領域の課題に取り組んでいます。Sleekの地域を超えた成長と急速な拡大は、プラットフォームの導入が加速していることと、それがエコシステムにもたらす価値を証明しています」。とJungle VenturesのマネージングパートナーであるDavid Gowdey(デビッド・ゴウディ)氏は語っている。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)