ファームノート、乳牛ごとの遺伝子解析情報をクラウドで提供し理想の牛群を追究できる酪農家向けサービスFarmnote Gene

ファームノート、乳牛個体ごとの遺伝子解析情報をクラウドで提供し理想の牛群を追究できる酪農家向けサービスFarmnote Gene

酪農・畜産特化IoTソリューションの開発・提供を行うファームノートは2月25日、乳牛の遺伝子情報(ゲノム)を採取し、その解析結果をクラウドで提供するサービス「Farmnote Gene」(ファームノート・ジーン)の提供を3月より開始すると発表した。個々の乳牛の特性を遺伝子レベルで確認し、「理想の牛群の追究」を実現させるというものだ。遺伝子情報を解析することで乳量や乳質、生産寿命、繁殖成績といった牛の各個体の遺伝由来の能力を把握しやすくなり、データに基づく飼養管理、意思決定を実現し、速やかな牛群改良を可能にするという。

Farmnote Geneでは、乳牛個体ごとの遺伝子情報を専用のインターフェイスでわかりやすく提示するため、酪農家は、専門知識がなくとも解析結果を直感的に理解し利用できる。具体的には、次の特徴がある。ファームノート、乳牛個体ごとの遺伝子解析情報をクラウドで提供し理想の牛群を追究できる酪農家向けサービスFarmnote Gene

  • わかりやすい画面と項目表示:気になる項目ごとのデータ表示などで、乳牛の個体特性を判断できる。良い牛かどうかの判別が容易になる
  • ひと目でわかる牛のランキング画面
    牛のランキング表示機能により、細かいデータ表を読み込んだりデータ加工を行うなどの手間をかけることなく、牛ごとの遺伝子データの全体像が把握できる
  • 牧場がすべき次のアクションを確認:データに基づく後継牛の提案を受けることができ、牧場の短期から長期の繁殖目標を確認できる

具体的な活用例としては、後継対象外となった母牛に和牛受精卵を種付けして子牛を育成し販売する、疫病リスクが少ない母牛を選んで種付けして病気が少ない子牛の誕生確率を上げる、搾乳ロボットに適した体型補正で搾乳作業を効率化するなどが挙げられている。

Farmnote Geneは、PCやタブレットで解析結果を見るための「Farmnote Gene Webサービス」(無料)と、実際のゲノム検査とで構成される。ゲノム検査の料金は応相談。また、解析結果をもとにしたアドバイスが受けられる「定期レビュー」サービスも提供が予定されている。

牛群管理クラウドや牛向けウェアラブル機器など手がけるファームノートHDが14.4億円調達、累計調達額が約44億円に

牛群管理クラウドや牛向けウェアラブル機器など手がけるファームノートHDが14.4億円調達、累計調達額が約44億円に

ファームノートホールディングス(ファームノートHD)は9月29日、第三者割当増資による総額14億4000万円の資金調達を発表した。引受先は未来創生2号ファンド、マイナビ、丸紅、前田工繊キャピタル、千葉道場2号投資事業有限責任組合、中部飼料、SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合、KOBASHI HOLDINGS、萩原建設工業、イノベーション・エンジンPOC第2号投資事業有限責任組合、個人・事業会社など。累計資金調達額は約44億円となった。

ファームノートHDは、ファームノートとファームノートデーリィプラットフォーム(ファームノートDP)の2社を保有する、2016年設立の純粋持ち株会社。

同社は、ファームノートを通じクラウド牛群管理システム「Farmnote Cloud」と牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を提供している。Farmnote製品の有償ユーザー数は約1600生産者、契約頭数約32万頭(2021年8月時点、参考:日本の飼養頭数380万頭)まで成長したという。

またファームノートDPは、2020年8月に自社牧場による生乳生産を開始。牛舎設計やロボット搾乳といったリアル技術とFarmnote製品などのデジタル技術を統合し、労働生産性は国内平均の2倍以上を実現したという。設立8カ月でEBITDA黒字を達成したそうだ。

調達した資金は、酪農DXを実現するための製品群強化と拡大に向けたシステム開発投資をはじめ、顧客基盤拡大と既存顧客の継続課金収入(ARR)の増加を狙った営業体制強化とマーケティングへの投資、酪農生産事業の拡大と酪農DXプラットフォーム構築(設備・開発投資)にあてる予定。

酪農DXは、ファームノートホールディングスが保有する2社を通して推進している事業。内容としては、牧場におけるIoTやAIソリューションの活用、牛舎の設計から搾乳などの自動化技術・牛の遺伝改良技術・疾病予防技術といった酪農生産技術を高いレベルで両立・パッケージングしたものという。