MakerBot共同創業者のBre Pettisが、デスクトップフライス盤メーカーであるOther Machineを買収

起業家Bre Pettisと、バークレーを拠点とするOther Machineは、理想の組み合わせのようだ。MakerBotの創業者であるPettisは、苦労を既に一度味わっている。彼はかつて3Dプリンティングの巨人Stratasysに、自身が共同創業し運営していた会社を売却し、同社を去った。しかし、今度は彼は買う側だ

Other Machineの創業者でCEOのDanielle Applestoneは、彼女のCNCフライス盤スタートアップは、外部からの影響を避けるために、最初の数年は意図的に独立を保っていたのだと語った。しかし、強い絆で結びついた、メイカーコミュニティ時代からの長い友人であるPettisが、会社への影響を避けながらも、成長させるチャンスを提供したのだ。

「遅くとも半年前には、買収も成長のための1手段だと考え始めていましたね」とApplestoneは語った。「もしビジネスを売却することに焦点を当ててしまうと、間違った製品を作ることになるでしょう。Breと私は、これまでそれなりの縁が続いていましたが、この先3年から5年にわたる期間で誰がベストパートナーかと考えたときに、彼こそが私が助言を求めていた人だったのです。彼はStratasysと仕事をしていたので、それは自然なことでした」。

Applestoneは、会社はほとんど変わらないだろうと言っている。彼女は(オーナーとしてのPettisからの入力は得ながらも)引き続きCEOとして日々の業務を遂行し、会社の本社はイーストベイ(ベイエリア東側)に留まる。「それは昔ながらのビジネスのようなものです」と彼女は説明する。「週に1度程度の頻度で私とPettisは一緒に働いていますが、大部分のオペレーションは変わらないままです」。

Pettisにとっても、明るい未来と堅実な現在を実現する会社を引き継げている。Othermill ProのようなOther Machineの製品群は、MakeBotが3Dプリンティングで実現しようとしていたことをCNC電子フライス盤で 実現しようとしているのだ。既にプロダクトは出荷は始まり、良いレビューを受けている。同社はエンジニアたちへの訴求力があることと、真の成長力を備えていることを証明した。そして同じくらい大切なことは、Applestoneがこの市場の限界を認識しているようにみえるということだ。

MakerBotはその登場に際して、3Dプリンティングの大衆化を約束して、テクノロジー界の注目を集めた。しかし、数年が経ちそうした普遍性が実現されなかったとき、かつて同社を賞賛したテックメディアは手のひらを返してその失敗を言い立てた。とはいえMakeBotは深刻な縮小を経験したものの、会社はまだ頑張っている。

そして3Dプリンタは一般の家電製品とはかけはなれているものの、信じられないかもしれないが、まだ売れ続けているのだ。主に学校と、素早く簡単にプロトタイプをデスク上で作る手段を求めている企業に対して。偶然にも、それらの用途は既に、Other Machineの事業の柱ともなっている。そして、同社には確かに成長の可能性はあるものの、Applestoneは同社の市場については冷静な見通しを持っているようだ。少なくとも今のところは。

「私たちが提供するのは、エンジニアたちやエンジニアになりたい人たちのためのプロダクトです」と彼女は説明する。「私は、エンジニアになりたいと願うことが、エンジニアになるための第1歩だと思っていますが、オーブントースターやその類のものの横に座ればエンジニアになれるというわけではないでしょう。私は自分たちの製品を消費者向けプロダクトとは考えていません」。

ここで彼女は、ビジョンの説明を一旦止めて「少しお待ち下さい」と言った。「今から…を…オフィスに連れて行きます」という男性の声が、電話越しに微かに聞こえてくる。どうやら就職面接のために誰かがやってきたようだ。もし事前に計画していたとしても、それ以上のうまいタイミングにはならなかったことだろう。

同社はすでに拡大を始めている。Applestoneはエグゼクティブアシスタントを募集していて、様々なスキルのエンジニアたち向けの多くの求人も行われている。同社のプロダクトを拡大するためのプランは既に練られている。スタートアップにとってはエキサイティングな時だ。CEOはその事実が声に現れることを隠そうともせずに、私に「とてもエキサイティングです。本当にワクワクしています」と言った。

Other Machineの既存のプロダクトとPettisの業界経験はぴったりマッチするに違いない。会社が着実な足取りを続けるかぎり、明るい未来が待ち受けていることだろう。

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(翻訳:Sako)