ご近所SNS「マチマチ」が東京消防庁と連携、コロナ禍対応のデジタル防災インフラ目指す

各地域に特化したSNSを運営するマチマチは9月1日、東京消防庁との協定を締結した。東京消防庁が、スタートアップ企業と提携するは初とのこと。

マチマチは、2015年10月設立のスタートアップ。居住地、勤務地、出身地を設定し、半径1〜10km内に地域設定した利用者同士がコミュニ ケーションをとれるSNSを運営している。同SNSでは、設定した地域の情報を得たり、他の利用者の投稿へコメントを投稿するなどの機能を備える。

主な用途としては、子育て中の女性が地域の保育園、幼稚園、病院、イベントなどの情報を交換するのに利用しているとのこと。サービス利用開始時に携帯電話番号を用いたSMS認証による本人確認を行っており、実名もしくはニックネームによりサービスを利用するため、不特定多数が参加する匿名掲示版に比べて安心して使えるのが特徴だ。

東京消防庁との具体的な締結内容としては、東京消防庁がマチマチのSNSを活用し、防災訓練や防災知識の情報を各地域ごと発信可能となる。さらにマチマチ上で、全国1800以上の地域で展開している「災害情報共有コミュニティ」を活用し、住民同士の共助を中心とした防災の強化が行えるという。平時の防災の強化としては、防災訓練の認知度向上、防災知識の共有 台風、地震など。災害時としては、近隣住民同士の共助、被災状況の共有などがある。

なお、東京消防庁は、「あつまれどうぶつの森」を活用した防災動画をSNSで公開するなど、ネットを活用した情報を提供を強化している。

同社は今回の東京消防庁との提携に合わせ、情報システム、化学品の販売を手掛ける三谷産業、マンションの大規模修繕、インフラメンテナンス、建築・リフォームなど事業を手掛けるカシワバラ・コーポレーション、レンタルサービス大手の三和物流サービス、個人投資家などなどを引受先とする第三者割当増資も明らかにした。

今回調達した資金は、開発体制、地方展開の強化を進めていくという。出資元の事業会社との連携で、地域コミュニティの活性化を進めるようだ。

これまでのマチマチの災害発生時の活用例としては、以下のような事例がある。

  1. 2019年台風15号および19号発生時の活用例:台風19号の接近時にマチマチは、近隣の被災状況(川の水位上昇、浸水など)や避難所のキャパシティ(満員で入れないなど)などの情報を住民同士で共有。
  2. 新型コロナウイルス感染拡大時の活用例:2020年3月ごろより、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、近隣住民同士で新型コロナウイルスの感染情報、在宅勤務時の過ごし方、近隣の店舗、公共施設の混雑情報、生活物資の在庫情報(マスクなどの販売状況)、テイクアウト・デリバリー対応店の情報などを活発に共有。

なお同社は、2020年8月31日時点で29の公共機関、1省庁および1団体と提携している。

提携及び協定締結自治体

  • 東京都:渋谷区、豊島区、文京区、港区、中野区、目黒区、江戸川区、品川区、北区、小金井市
  • 埼玉県:さいたま市
  • 神奈川県:横浜市、川崎市、厚木市、寒川町
  • 千葉県:千葉市、習志野市、鴨川市
  • 茨城県:水戸市、土浦市
  • 愛知県:犬山市、名古屋市
  • 静岡県:三島市
  • 岐阜県:関市
  • 大阪府:大阪市
  • 兵庫県:神戸市
  • 秋田県:湯沢市
  • 長崎県:佐世保市
  • 香川県:高松市

提携省庁
東京消防庁

提携団体
一般社団法人大森医師会

近所のおすすめレストラン、歯医者はどこ?――ご近所SNSマチマチが1.7億円の資金調達

ご近所SNS「マチマチ」を運営するマチマチは11月21日、ANRIBEENEXT、および個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額で1.7億円を調達したと発表した。また、マチマチは同時に茨城県水戸市との連携を開始した。ご近所SNSのマチマチは、生活圏内の近所に住むユーザー同士がコミュニケーションをとるためのサービスだ。近所のおいしいレストラン、おすすめの歯医者、地域イベントの開催情報などをユーザー同士がやりとりできる。

マチマチは日本に昔からあるリアルな“ご近所付き合い”をデジタル化しようとしていて、サービス登録には携帯電話番号を用いたSMS認証が必要だ。登録も実名でしなければならない。

TechCrunch Japanではマチマチをローンチ当初から紹介しているけれど、以前はサービス登録時に郵送による住所確認が必要だった。しかし、想定以上の離脱率からSMS認証に切り替えると、離脱率が大幅に改善。マチマチ代表取締役の六人部生馬氏は「『近所×実名』というプロダクトの設定が生きて、トラブルやネガティブな投稿はほとんどない」と話す。

前回の取材時から比べると展開地域数も大幅に伸びている。約半年前には2000地域だったのが、その約3倍の6300地域にまで拡大した。六人部氏によれば、展開地域数が急激に拡大した要因は主に、ユーザー同士の口コミと「コミュニティデザイナー」を活用した草の根活動の結果だという。コミュニティデザイナーとは、各地域に住むインターンやボランティアのことで、近くに住む知り合いに声をかけたり、ポスティングしたりといった地道なPR活動を行っている。

そこに住んでいるからこそ分かる有益な情報

ところで、僕はいま、東村山市という都心から(ほんの少しだけ)離れたところに住んでいる。マチマチを取材するにあたりサービスを試してみたのだが、僕の近所でもちゃんとマチマチコミュニティが立ち上がっていた。まだ11人程度の小さなコミュニティだったけれど、おすすめレストランなど、実際にこの近所に住む僕にとっては非常に価値の高い情報が掲載されている。離れた場所にあるレストランで撮ってフィルターをかけたインスタの写真なんかより、こっちの方がよっぽど有益だ。

僕のマチマチコミュニティでは子供のいる主婦の方がメインユーザーのようだったが、六人部氏によれば、「全体のユーザーの内訳は、20代後半〜40代が70%、50〜60代前半が20%。都心では上京したての新大学生や新社会人の利用が若干増加してきている」という。

マチマチは現在、マネタイズよりも利用者の増加と自治体との連携に注力している。今回連携した水戸市は、2017年6月の渋谷区などに続いて4例目の連携となる。マチマチは今後もこの戦略にフォーカスし、1年間で50〜100程度の自治体と連携をしていく予定だ。

マチマチを含むSNSには「他のみんなが使っているから使いたい」というようなネットワーク効果がある。その効果が現れる臨界点をユーザー数が超えられるかが鍵となるだろう。

「2016年3月のサービス以降、確かな手応えを感じており、利用者数さえ増えれば、ビリオンダラーを超えるポテンシャルのある領域だと確信した。既存のソーシャルサービスとは違い、短期間に成長するモデルではないが、12ヶ月の利用継続率は約50%と、1度登録すると使い続けるサービスとなっている。マネタイズは、MAUで2ケタ〜3ケタ万台を超えた段階で開始していく」(六人部氏)

自治体の緊急警報も配信、ご近所限定SNS「マチマチ」が渋谷区と業務提携

マチマチ」は近所の住民とその地域の病院やお店、幼稚園などの情報をやり取りできる実名制SNSだ。マチマチを運営するProper本日、渋谷区との業務提携を発表した。渋谷区との連携により、区が地域の住民に情報発信などができる「マチマチ for 自治体」の提供を開始する。

マチマチのローンチ時点でサービスの詳細をお伝えしているが、マチマチは実名制のご近所限定SNSだ。登録ユーザーは、近所の人とコミュニケーションを取ったり、地域のお店や保育園、病院といった情報交換に役立てることができる。

同じマンションに住んでいる他の住民のことを知らない人も多いかもしれない。マチマチを使うことで例えば、同じ年代のお子さんがいるママ友と知り合ったり、新しくその地域に越してきた人が近所のお店や病院などの情報を見つけたりすることができる。コミュニケーション機能以外には、ユーザーはその地域のイベント情報やニュース、物件情報なども配信している。

Properが今回新たに提供する「マチマチ for 自治体」は自治体がその地域の住民にリーチすることを支援するサービスだ。マチマチは地域のあらゆる情報を可視化することを目指しているが、住民にとって重要な行政や自治体の配信する情報もサービス上に加えたい考えだ。そして今回、渋谷区が「マチマチ for 自治体」を利用することが決まった。

マチマチが2016年3月、最初にサービスをローンチしたのも渋谷区だった。そこから1年が経ち、渋谷区のコミュニテイーで300人以上の住民、商店街、NPOが参加するようになったとProperの代表取締役CEOを務める六人部生馬氏は言う。

これまで自治体は町の掲示板のチラシやお知らせなど紙で住民に情報を発信することが多かったが、マチマチを活用することで、公共サービスやお知らせをデジタルで配信することが可能になる。有事の緊急警報や防犯や防災の注意喚起も配信することができる。

左から渋谷区長の長谷部健氏、Proper代表取締役CEO六人部生馬氏

また、自治体の町会に参加している住民の高齢化も課題になっている。渋谷区長の長谷部健氏は、マチマチと提携した理由について「マチマチは1年近く運営している中で実績を出していて、次世代とつながる方法になると考えています」と説明している。

渋谷区は2017年2月より、LINEでも住民に情報配信する取り組みを行っている。

自治体は無料で「マチマチ for 自治体」を利用することができる。マチマチのマネタイズについて六人部氏は、将来的にはFacebookと似たように広告モデルでマネタイズしていく考えと説明している。

Properは2015年10月に設立した。また、六人部氏はメガネECの「オーマイグラス(Oh My Glasses)」の共同創業者でもある。2016年6月には6000万円の資金調達を実施している。