自分用ミニ地球ローバーを手に入れるチャンスだ

火星は遠く離れていて、辿り着くには途轍もないコストがかかるので、もし自分自身の火星ローバーを所有するという夢があっても、それが実現することはおそらくないだろう。しかし、 地球ローバーが必要な場合は、資金調達目標に達することがでできれば、それを提供できる新しいKickstarterプロジェクトがある。Turtle Roverは、これまでヨーロッパ、ドイツ、スウェーデンの宇宙機関のための、いくつもの火星ローバープロトタイププロジェクトに取り組んできた小さなチームによって開発された新しいロボットだ。

5人のチームが、彼らのローバーを「着陸」させるために6万ユーロ(約7万1500ドル)を調達しようとしている。車両の出荷は来年の4月を目標にしていて、DIYキットもしくは完全に組立済のマシンとして支援者には提供される。最低額はおよそ1000ドルだ。

Turtle(ローバーの名前)は、内蔵バッテリーに対する1回の充電で、最大4時間運転できる4輪の地上無人機で、ほとんどのコンピュータ、タブレット、スマートフォンで使えるアプリを介して簡単に制御することができる。Turtleは外部の通信グリッドに接続されていない場合でも、独自のWi-Fiネットワークを構成することが可能だ。これは大事なことだ。なぜなら、こうしたものは未踏の地に分け入るためにデザインされているものだからだ。

Raspbianで動作するRaspberry Pi 3コンピュータを搭載していて、ビデオキャプチャとライブストリーミング用のフルHDカメラを装備している。デザインは水密性があり、プロジェクトのクリエイターによれば、悪影響なしに完全に水没させることが可能だ。最大500グラム程度のものを持ち上げることのできるロボットアームも用意されている。また、これは完全にカスタマイズ可能なため、奥行きや環境検知用のために、Microsoft KinectやLiDARセンサーなどの、独自のアドオンを組み込むこともできる。

5キロまでの荷物を載せることができるので、実際にDSLRとレンズを搭載することや、遠隔洞窟探検をする際に、興味深い地質サンプルを集めるための箱を載せることもできる。すべてのハードウェアとソフトウェアは完全にオープンソースであり、プロジェクトのクリエイターたちは、これを開発プラットフォームまたは教育プラットフォームとして使うことを推奨している。

Turtle Roverは人間がアクセス困難な場所に、より簡単にアクセスできるように、そして足取りの重い人間のように邪魔にならないようにデザインされている。ビデオでは、人間が探索できない場所をTurtleがいかに探索できるかを見ることができる。チームはまた、ローバーが非常に低い重心を持ち、実際のNASA火星ローバーに触発されたサスペンションは、厄介な地形を航行するのに役立つ筈だと語る。

Turtle Roverは、Simon Dzwonczyk、Julia Marek、Martin Twardak、Aleksander Dziopa、Justyna Pelcの5人のチームで外部資金を使わずに作製され、現時点では支援者に100%頼っている。それにもかかわらず、5人は企業の仕事を辞めて6ヵ月で完全に機能するプロトタイプを作製した。彼らによれば、Turtleを実際に構築する能力を示すことができたので、現在ベンチャーキャピタルからの接触も受けているところだという。

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自己資金で設立されたハードウェアスタートアップにとって、これはとても有望な話だ。そして自分の興味を更に掘り下げたいアマチュアの宇宙もしくは無人機ホビーイストたちにもアピールするだろう、また真のメイカープロジェクトで教育に使うこともできる。Kickstarterのキャンペーンは9月24日に終了する、この記事の執筆時点における達成額は半分ほどだ。

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(翻訳:Sako)

火星ローバーのキュリオシティは気になるものを自分で選ぶ

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キュリオシティ(2012年に火星に着陸したローバー)は、もはや老犬かもしれないが、いまだに新しい技を身につけ続けている。NASAのジェット推進研究所(JPL)が最近The Vergeの記事で明らかにしたのは、このロボットは今やレーザー分光計でスキャンする岩石を選ぶ際に、自分自身で目標を選ぶことができるようになったということだ。この作業はこれまでは地球の科学者たちによって遠隔で行われていたものである。

JPLは、ローバーに搭載されたChemistry and Camera(ChemCam)機器による分析のために、「週あたり複数のターゲット」をキュリオシティに選ばせるソフトウェアを開発した。ターゲットの大半は、まだ人間による指示を受けているものの、ある程度の自律性の付加により、キュリオシティはChemCamが視野に入れているものに対する人間の指示が無くとも、ターゲット候補の識別と分析を続けることが可能になった。

キュリオシティがどこに向けてそのレーザー分光計を向けるべきかを助けているソフトウェアはAEGIS(Autonomous Exploration for Gathering Increased Science:先進科学知識増強のための自律探索)と呼ばれている。これは人間が他のことで忙しい際に、補佐する役割を果たすように設計されている。

「おそらく長い移動の途中とか、あるいは地球、火星、探査船の活動のスケジュールによって惑星間の情報共有に遅延が発生する際に、科学チームが探査に関わることが難しい、あるいは不可能な場合においては自律性は特に有益です」と、JPLにおけるAEGIS開発のリーダーのロボットエンジニアTara Estlinは説明している

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NASAのキュリオシティ火星ローバーは、ChemCam機器のレーザーと分光計カメラのターゲットを自律的に選択する。例えば、オンボードソフトウェアは、左のようなNavcamの画像を分析し、黄色のドットで示される目標を選ぶ、そしてレーザー照射のためにChemCamをそちらに向けて右側のような画像を取得する。

キュリオシティの自律動作は人間の指定した範囲も考慮して行われる。つまり科学者達は発見に興味がある対象に応じて、適切なターゲットを選択するための基準を変更することができるということだ。

自律ガイド機能はまたキュリオシティが科学者を重要な点で支援する手助けをしている。私たち人間の目は物体のとても細かい表面上でターゲットを探そうとするときには、ひどく当てにならなくなる、特にそれが広大な宇宙空間を横切って遠隔で行われる際にはなおさらだ。AEGISはキュリオシティがごく小さなターゲットでも始めからイメージ分析に使う手助けをしてくれる。自律的に対象の絞り込みが行われるおかげだ。

宇宙探査のための自律性の増強は、より大きなデータセットが取扱えることを意味している。そしてそれは画期的な発見につながる可能性の拡大を意味するのだ。ただNASAには、いつでも(映画スタートレックの)ヴィジャーの警告的な逸話を心に留めていて欲しい

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(翻訳:Sako)