工場や建設現場で、人間とロボットが一緒に作業することは、非常に大きな可能性を秘めている。しかし、特にロボットが大型でパワフルな工業用である場合には、人間に対しての信じられないほどの危険性もあわせ持っている。
ドイツのロボット大手ABBによって製造されたYuMiのような製造機械などをはじめとして、「コロボティックス(協調ロボット)」を現実のものにするために、多くの努力が注がれている。だが、MITの研究者によって作成された新しいアルゴリズムは、人間とロボットが一緒に働くことを、さらに安全にするために役立つ。
自動車メーカーのBMWとの共同作業を通して、現在の製品ワークフローを観察していた研究者たちは、ロボットが工場内の人間に注意を払う際に、過剰なほど用心深いことに気が付いた。ロボットたちは自分の動線上を横切ろうとする人間が、実際にその行動を行う遥か前から待ちに入ることによって、生産に使えたかもしれない時間を失っていたのだ。
今回研究者たちが開発したのは、ロボットが人間の動線を予想する能力を大幅に改善するソリューションである。通常なら、あまりはっきりしなくても人間になんとなく似たものの前では停止してしまうロボットたちを、人間が歩く流れの周りに回避させながら、動作を継続させるのだ。
研究者たちは、通常行われるような(比較的一貫した移動経路を予測する場合にはとても優れている)音楽や音声処理に対するアルゴリズム予想を借用することは避けて、その代わりに、以前に収集した参照軌跡の大きなライブラリを使用してリアルタイムの軌跡データを参照する「部分軌跡」方法を案出した。
これは人間の動きを予測するより優れた方法だ。たとえ同じアクションを何千回も繰り返している工場労働者であったとしても、人間の動きは一貫性がなく頻繁に止まったり動いたりしているからだ。
これは潜在的な消費者アプリケーションの可能性も秘めている。研究者たちによれば、家庭内の人間のうごきでもこの手法を使った方がより良く予測できると言う。例えば、そのことは長期的観点から眺めた場合の老人ケアなどの役に立つだろう。
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(翻訳:sako)