マイクロソフトがTo Doアプリの新版をリリース、元アプリWunderlistの創業者の心中は複雑

Microsoft(マイクロソフト)は数年前、人気が高かったiOS用To DoアプリのWunderlist(ワンダーリスト)を買収した。Wunderlistから最高の機能を取り出して、独自の生産性向上のためのリスト管理アプリを開発し、より多くのモバイルユーザーに届けるためだ。以前にもMicrosoftは、これと同様の手法を使っている。後にモバイルデバイス用のMicrosoft Outlookになったメールアプリ、Acompliを買収したことだ。

Wunderlistの場合には、Microsoftは単にアプリのブランドを変更するのではなく、「Microsoft To Do」という新しいアプリを開発した。このTo Doが出てからも、何年にも渡ってWunderlistは生き延びている。それもあって、Wunderlistの創立者は、買い戻すことができないか検討しているのだ。

Wunderlistを開発した6Wunderkinderの創立者、クリスチャン・リーバー(Christian Reber)氏は、最近になって、 MicrosoftがTo Doアプリの新バージョンをリリースするのを機に、Microsoftからアプリを買い戻したいと考えていることをツイートした。

そのツイートによると、リーバー氏は、Wunderlistの再取得を真剣に検討していて、もしできるなら、オープンソースにして無料アプリにしたいと考えているという。彼はさらに、今後開発してアップグレードに加えたいと考えている機能のリストもツイートしている。例えば、共有フォルダーや、 複数チーム間のコラボレーションのための機能、といったものだ。

リーバー氏は、けっして負け惜しみを言っているわけではないだろう。彼はただ、彼のWunderlistについての計画がうまくいかなかったことが悲しいのだと言っている。ただし、Microsoftが買収してくれたこと自体には感謝しているとも。

それはそうとして、Wunderlistというアプリが破棄される予定であることに耐えられないのだろう。

Microsoftは、数年前からWunderlistはなくすつもりであることを明らかにしている。ただしその期限は、Wunderlistのユーザーが納得できるだけの競争力を持つアプリが開発できるまで、先送りにすると言ってきた。

Microsoftは、米国時間9月9日に、Microsoft To Doの新たなアップグレードを公開した。これは、Wunderlistの破棄が近づいていることを示唆している。

今回のアップグレードでは、選択可能な背景の種類を増やし、より洗練されたルック&フィールを実現している。その中には、Wunderlistで人気があった、ベルリンのテレビ塔のテーマも含まれている。

さらに新バージョンには、ユーザーが実行すべきタスクを、アプリがユーザーに対してスマートに提案するスマートリスト機能と、パーソナライズ可能なデイリープランナーも含まれている。このアプリは、iOS、Android、Windows、Macなど、幅広いプラットフォームをサポートしている。

そしてついに、Outlook、Microsoft Planner、Cortana、Android上のMicrosoft Launcherなど、他のMicrosoft製のアプリとも統合された。ユーザーが望めばAlexaとも連携する。

今回のアップデートで、Microsoftはユーザーに、こうした機能を利用するためには、WunderlistからTo Doへ移行することを促している。

にもかかわらずMicrosoftは、Wunderlistの寿命が尽きる日を明らかにしていない。ちなみにApp Annieのデータによると、買収されてから4年以上が経っているのに、Wunderlistは米国のApp Storeで、今でも「仕事効率化」でトップ100のアプリに入っている。これは注目に値する。

Microsoftに、Wunderlistに関する計画の詳細を明らかにするつもりがあるか、またリーバー氏のリクエストに応えるつもりがあるのかどうかを尋ねてみた。

「Wunderlistの最良の部分をMicrosoft To Doに組み込むことができ次第、Wunderlistを破棄します。私たちは、Microsoft To Doがさらに便利で、直感的かつ親近感のあるものになることを楽しみにしています」と、Microsoftの広報担当者は回答した。ただし、リーバー氏のツイートに関するコメントは拒否した。

Sensor Towerのデータによると、Microsoft To Doは、最初に登場してから世界で約580万回インストールされている。その同じ期間に、Wunderlistのほうほ約1000万回もインストールされているのだ。

リーバー氏によれば、彼は以前からMicrosoftに何度もレターを書いてきたが、今回、それを公のものとするためにツイートしたのだという。彼がTechCrunchに語ったところによれば、彼の申し出は本当に真剣なものであり、買い戻しの価格も交渉次第で柔軟に考えているという。「可能性は低いのですが、私はまだあきらめていません」と彼は締めくくった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

シンプルさに向かうEvernoteのiOSアプリ

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Evernoteのモバイルアプリを本当に好きだった人はいるだろうか?いるはずがない?オーケー、それなら良い知らせだ。あなたのアイデアをよりシンプルに効率よく記録するだけでなく、検索しそして整理するために、新たなモバイルバージョンが提供された。

覚えていると思うが、これまでのアプリは少々煩雑だった。画面上部にはショートカットが並んでいた。つまり、テキストのノートを開始したり、写真を追加したり、リストを作成したり、音声ノートを作成したり、リマインダーを設定したりするために押すボタンたちだ。その下にはカスタマイズ可能なホーム画面があって、ノート、ノートブック、ワークチャット、タグ、地図、その他のショートカットといったセクションを、追加したり削除したりすることができた。

Evernoteによれば新しいバージョンはゼロから設計され、レイアウト全体とナビゲーションが再考されたということだ。

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今度のアプリには、下部により標準的なナビゲーションボタンの列がある。それぞれノート、検索、ショートカット、そしてアカウントといったものにアクセスできる。

シンプルな緑の十字ボタン(+)を押せば、新しいノート作成を始めることができる。そしてこのボタンを長押しすることで、音声、写真、リマインダーを作成するための他のボタンが現れる。

Evernoteのソーシャルプラットフォーム化の試みであるワークチャットは、今回はやや取り扱いが控え目になって、アカウントセクションの中に仕舞われてしまった。

一方、アプリは古いバージョンのときのようなホーム画面ではなく、最新の更新ノートを表示するように起動する。Evernoteによれば、これで最後にしていた作業を再開しやすくなるとのことだ。

また画面の最上位にあるドロップダウンタブによって、ノートブックをより簡単に切り替えることもできるようになった。

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必要なノートを見つけやすくするために、ノートのプレビューも再考された。サイズを小、中、大と切り替えることができて、ノートの中のイメージもプレビューに表示される。そのため必要なノートをビジュアルに探すことができる。フィルターオプションを使えば、ノートをタグやリマインダーで検索することができる。また単一のノートブックの中だけ、あるいはアカウント全体を検索することができる。

ノートを書き込む機能もアップグレードされた。テキストサイズを小、中、大と変えたり、テキストの色を変えたりすることができる。

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全体としては、少なくとも第一印象としては、以前の厄介なアプリケーションよりはその使い勝手が改善されているようだ。とはいえ、アプリは相対的にシンプルになったと言うことはできるものの、必要とされるシンプルさにはまだ達していない。

デザインには依然として混乱した要素が含まれる。例えばノートのメインスクリーンの検索ボックスの横にある小さなタグやリマインダーアイコンのように。そもそも、既に専用の検索タブがあるのに、どうしてここに検索ボックスがあるのだろうか?

また、ホーム画面の右上の微妙な3ドットのドロップダウンメニューをプルしてみよう。なぜ1つのスクリーンではこれはカスタマイズオプションで、他のスクリーンでは違う機能なのだろうか?こうした本質的でない機能は、標準的なギア設定アイコンの中に詰め込んでしまった方が良くはないだろうか?こうすれば、「カスタマイズ」セクションと「ショートカット編集」オプションを提供しながら、アカウント画面とワークチャットを1タップで呼び出し可能にできる。

一部のユーザーを除いて、必ずしもEvernoteユーザー全員には活用されているとは言えない「ショートカット」に、専用のボタンが割り当てられている理由もあまりはっきりしない。今やドロップダウンを用いてノートブックを容易に切り替えることができるのだから、お気に入りにアクセスするための画面を必要としているのは、膨大な数のノートブックを持っている人か、同じノートに何度も繰り返しアクセスする人だけだ。

そもそも、どうしてこのセクションを「お気に入り」と呼ばないのだろうか?

そしてどうして「すべてのノート」ドロップダウンメニューの中にお気に入りに切り替えるオプションを追加しないのだろう?なにしろリマインダーに切り替えるオプションさえ、既にそこに置かれているのだ(そしてEvernoteは、あなたが最後に「お気に入り」セクションに切り替えて使ったことをただ覚えておいて、次に立ち上がるときにはそこを開くこともできる。独立したセクションは必要ではないのだ)。

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そう、それらは再考に際して出た思いつきのようものだ、そしてそれらは恐らく全員のワークフローに役立つというものではないだろう。

とはいえ仕事効率化アプリをスリムダウンすることは難しいと思われる。特にカスタマイズ可能なシステムの場合には、ユーザーたちが自分自身のシステムを作り上げてしまうからだ。例えばGmailを見てみるが良い。Googleは受信ボックスを作り直そうと思った時、彼らは単純にGmailを離れて完全に新しい電子メールアプリであるInboxを作り始めた。

しかし、Evernoteの場合は、このアップデートは会社がビジネスの成長に向けて苦労しているときにやってきた。会社はずっと、MicrosoftのOneNoteとの競争に晒され、マネジメントは混乱し、スタッフがユーザーのプライベートコンテンツを読むことができるようにプライバシーポリシーを変更しようとしたときに巻き起こったような論争に、直面してきた(その変更は激しい抗議の声を受けて速やかに撤回された)。

Evernoteは現在の利用者が船を見捨てて逃げ出すのを防ぐために、そのアプリを有益で簡単なものにしなければならない。そしてやっとそのゴールへ向かって歩き出したものの、まだまだやることは残されている。

新しいアプリ、Evernote 8.0は、現在iPhone、iPad、そしてiPod touchで利用可能になっている。

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(翻訳:Sako)