従業員のスキルアップ支援プラットフォーム「Workera.ai」が約17.6億円調達

企業にとって、最適な学習プラットフォームを見つけることは困難だ。特に、データサイエンス、機械学習、人工知能といった特定のエリアの技術能力の需要に応えるために、人材のスキルアップや新しい技術を身に付けさせることを考えている場合はなおさらだ。

Workera.aiのアプローチは、対象となるリソース(技術的な役割と非技術的な役割の両方)の学習プランを、その人の現在の習熟度に基づいてパーソナライズすることで、スキルギャップを解消するというものだ。

パロアルトを拠点とする同社は、New Enterprise Associatesを中心に、既存の投資家であるOwl VenturesやAI Fund、さらにはRichard Socher(リチャード・ソーチャー)氏、Pieter Abbeel(ピーテル・アブベル)氏、Lake Dai(レイク・ダイ)氏、Mehran Sahami(メーラン・サハミ)氏といったAI分野の個人投資家を含め、シリーズAで1600万ドル(約17億5800万円)の資金を確保した。

Workeraの共同創業者兼CEOであるKian Katanforoosh(キアン・カタンフォロッシュ)氏は、すべてのチームが明確に構造化されているわけでもなく、学習の取り組みに関して十分なサポートを受けていると感じているわけでもないと述べている。そのため同社では、技術的なスキルに関する評価、従業員がキャリア上どこに行きたいか、そのためにどんなスキルが必要かなど、いくつかの角度からソリューションを検討し、それらのスキルセットのうち今いる場所から、到達したいレベルの場所まで、Workeraが橋渡しをしてくれる。そのライブラリには、3000以上の細かなスキルと、パーソナライズされた学習プランが用意されている。

「これは、私たちが貴重なスキルアップと呼んでいるものだ」と彼はTechCrunchに語ってくれている。「スキルデータはその後組織に送られ、一緒に働くのに最も理想的で、自分たちに欠けている部分を補ってくれるスキルを持っている人が誰なのかを判断することができるようになる」。

Workeraは、Courseraの共同創業者でWorkeraの会長であるAndrew Ng(アンドリュー・ング)氏の協力を得て、カタンフォロッシュ氏とCOOのJames Lee(ジェームズ・リー)氏によって2020年に設立された。リー氏は、カタンフォロッシュ氏と最初に連絡を取ったとき、この会社がコンテンツやスキルアップにおける基本的な原理にまつわる問題を解決できると確信した。

同社は2020年10月に500万ドル(約5億4900万円)のシードラウンドを実施し、これまでに調達した総額は2100万ドル(約23億800万円)に達している。今回のラウンドでは、12カ国で30社以上の顧客を獲得した後の、同社のGo-To-Market戦略と顧客の牽引力が評価された。

過去数四半期の間に、専門サービス、医療機器、エネルギーなどの業界で、Siemens Energyをはじめとするフォーチュン500社と仕事をするようになった、とリー氏は述べている。2022年にはAIスキルへの支出が790億ドル(約8兆6800億円)を超えると予想されていることから、Workeraはそのギャップを解消するための支援になるという。

「私たちは、スキルを測定することのニーズを感じている」と彼は付け加えた。「技術者や非技術者のチームがAIリテラシーを身につけることに関心を持っているのと同様に、今回の契約の規模はその現れであり、これはより差し迫ったニーズだ」。

その結果、エンジニアリングチームとサイエンスチームを増やす時期が来たとカタンフォロッシュ氏はいう。彼は新たな資金を使って、これらの分野の人材を増やし、新製品を作り上げることに注力することを計画している。さらに、裏では多くの自然言語処理が行われているが、企業がそれをより細かいレベルで理解し、企業がより正確に人を評価できるようにしたいと考えている。

NEAのジェネラルパートナーでアジア担当のCarmen Chang(カルメン・チャン)氏は、ング氏のAIファンドとCourseraのリミテッドパートナーを務めており、彼の会社をたくさん見てきたという。

彼女は、今回のラウンドを主導できたことと、Workeraのコンセプトに「非常に興奮している」と述べている。同社は、従業員のスキルセットをよく理解しており、オーダーメイドの学習プログラムによって、企業のニーズに合わせて成長することができると、チャン氏は付け加えた。

「誰でも雇うことはできるが、今いる人材に投資し、教育やトレーニングを行うことで、従業員の全体像を把握することができる」とChang氏はいう。「Workeraは、AIや機械学習を使ってテストを行い、企業内のスキルセットをマッピングすることができる。それにより企業は自分たちが今どんなスキルセットをもっているのかを知ることができ、これは特に今の環境においてはとても大切なことだ」。

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画像クレジット:Brighteye Ventures

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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Tangoの創業者。左からダン・ジオヴァッキニ氏、ケン・バブコック氏、ブライアン・シュルツ氏(画像クレジット:Tango)

Ken Babcock(ケン・バブコック)氏と共同創業者のDan Giovacchini(ダン・ジオヴァッキニ)氏、Brian Shultz(ブライアン・シュルツ)氏が、ワークフローの理想的な進め方を自動で取得し、チームがトップパフォーマーから学べるようにするChromeの拡張機能Tangoを立ち上げようと思い立ったのは、2020年3月に彼らがハーバード・ビジネス・スクールに通っている頃だった。

「この機会は、多くの企業が分散してリモート化するようになった、パンデミックによってもたらされた。多くのチームリーダーが、おそらく初めてリモートで社員を入れるようになり、採用後の時間を短縮していた。もはやオフィスで直接人にお願いする機会はなくなり、新入社員トレーニングの多くは社員自身のデバイスまかせとなっていた」と、CEOのバブコック氏はTechCrunchに語っている。

彼らは、ロサンゼルスを拠点とするTangoを設立するためにビジネススクールを退学し、米国時間8月24日、同社のワークフロー・インテリジェンス・プラットフォームのために、570万ドル(約6億2600万円)のシードラウンド獲得を発表した。このラウンドには、Wing Venture Capitalがリードし、General Catalyst、Global Silicon Valley、Outsiders Fund、Red Sea Venturesが参加した。また、Yelpの元役員であるMichael Stoppelman(マイケル・ストップペルマン)氏、Uberの元データ部門責任者であるJai Ranganathan(ジャイ・ランガナサン)氏、KeepTruckinのCEOであるShoaib Makani(ショアイブ・マカニ)氏、Awesome People VenturesのJulia Lipton(ジュリア・リプトン)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Tangoは、特にカスタマーサクセスやセールスイネーブルメントに携わる従業員が、1つの情報を探したり、タスクを手伝ってくれるのに適切な同僚を探したりするのに費やす時間を、1週間のうち20%程度削減することができるように設計されている。この技術は、ユーザーのワークフロー(アクション、ページへのリンク、URL、スクリーンショットなど)を記録し、それをビデオで順を追ってドキュメントに変換することで、チュートリアルを作成する。

以前、共同設立者たちはブートストラップで会社を運営していたが、Tangoがプロダクト主導の成長戦略をとることができるよう、プロダクトチームとグロースチームを拡大し、プロダクト開発に注力するためにシード資金を調達することを決めた、とバブコック氏は語っている。現在、チームには13名の社員がいる。

2020年の開始以来、Tangoは9月の公開に向けて、データや機能を把握するための10のパイロットを準備した。バブコック氏によると、Tangoには無料版だけでなく、追加機能を提供するプレミアム版や法人向けも用意されている。

「大きな問題は、統合と、コンシューマーのコンテンツがある場所で人々と繋がることだ」とバブコック氏は述べている。「私たちは、ドキュメント作成の負担を軽減しており、すでにWikisやその他の資料を備えている企業に対しては、それらのシステムにいかに自分たちのプロダクトを組み込めるかを学んでいる」。

Wing Venture CapitalのパートナーであるZach DeWitt(ザック・デウィット)氏は、3年前に共通の友人を通じて同社と出会ったという。

彼の会社は、斬新なデータセットをアクセス可能にするアーリーステージのBtoBのスタートアップ企業に投資している。Tangoの場合は、企業やビジネスのために、ユーザーがワークフローを分析できる新しいデータセットを作成していた。

10年前の20個から150個のSaaSアプリを使用している平均的なテック企業では、どのアプリを使用すべきか、それらをどのように使用すべきか、ユーザーが行き詰った場合はどうするか、何もデータを取得していない場合はどうするかなどいくつものパターンが考えられる、とDewitt氏は述べている。Tangoはバックグラウンドで動作し、ビジネスを成功させるための基盤となるユーザーのワークフローをキャプチャしてくれる。

「私はそのアプローチに圧倒された」と彼は付け加えた。「Tangoのチュートリアルを提供できるよう、多くの人が行き詰まるカ所を理解し、むしろ予測しなくてはいけない。また、知識を共有する人たちを社内で称えることで、会社の文化を変えることもできる。このアイデアは、行き詰まっている人、新入社員など複数の人たちにメリットがある。これは強力だ」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

職場や業務プロセスの3Dシミュレーションを活用する企業研修スタートアップAttensiが約28億円調達

ノルウェーのオスロで生まれた企業研修のスタートアップのAttensiは、ニューヨークのLugard Road Capital、DX Ventures(Delivery Heroが支援するVCファンド)、そして既存の株主であるViking Ventureから2600万ドル(約28億円)を調達した。今回調達した資金は、北米および欧州での事業拡大に充てられる。

Attensiは企業研修に「ゲーム化されたアプローチ」を採用しており、従業員を職場や業務プロセスの3Dシミュレーションに参加させる。競合他社にはGoSkills、Mindflash SAP Litmos Skilljarなどがある。

パンデミックですべてのオフィスワークがリモートに移行する中、このようなデジタルトレーニングプラットフォームにはメリットがある。

今回の資金調達は、米国のベンチャーキャピタルが欧州の新興企業を「狩り」にいき、現地のベンチャーキャピタルに圧力をかけていることを示す最近の例でもある。

Attensiの共同創業者であり、共同CEOでもあるTrond Aas(トロンド・エース)氏は「ゲーム化されたシミュレーショントレーニングにより、私たちは職場心理学の長所と、シミュレーションとゲーム化の専門知識を組み合わせて、新しいカテゴリーのトレーニングソリューションを生み出しました」と述べている。

Attensiは年間経常収益で63%の年平均成長率(CAGR)を達成したとしている。同社のクライアントにはDaimler Mercedes Benz、Circle K、Equinor、BCG、ASDAなどがある。

Lugard Road CapitalのパートナーであるDoug Friedman(ダグ・フリードマン)氏は次のように述べている。「Attensiのソリューションを通じて、企業の学習と開発を永遠に変え、改善させようとしているAttensiのチームに投資できることを、これ以上ないほどうれしく思います」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Attensi企業研修ノルウェー資金調達

画像クレジット:attensi

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter