ターミネーター方式で造形するCarbonは驚異の液体ポリマー3Dプリンター

Carbonの3Dプリンターは液状ポリマーから光凝固反応によってラティスオブジェクトを高速で生成する。TechCrunchは施設を訪れ、実機の動作を見学した。また開発チームからテクノロジーについて説明を受けた。ラティス構造にはさまざまなメリットがあるが、デモではランニング用シューズやフットボールのヘルメットの衝撃吸収材の成形を見ることができた。

共同ファウンダーでCEOのJoseph M. Desimone(ジョゼフ・M・デシモン)氏によれば、Carbonの画期的なところは複雑なラティス形状のポリマー製品の大量生産に道を開いたことにあるという。格子状に成形されたポリマーは軽量で強度が高くメリットが大きいが、形状が複雑なためこれまでは大量生産が不可能だった。

Carbonではデジタルデザインによる情報をプリンターに送り、複雑な3D形状のプロダクトを高速で生成できる。これはDesimone氏らによって開発されたCLIP(連続液面インターフェイス成形 Continuous Liquid Interface Production)と呼ばれるプロセスで、現在Carbonが独占的に利用している。

簡単にいえばビデオのイラストで示してあるように、底が透明な板になっている製造容器に光凝固性の液状ポリマー(青い部分)を満たし、下から紫外線でデジタル描画して底面を固化し、プラットフォームを上昇させて連続的に成形を続ける。通常では効率的に製造することが不可能な複雑な形状の物体も生産が可能になる。ビデオではターミネーター2の映画さながら、エッフェル塔を容器から引き上げていくところが見られる。

デシモン氏とマーケティング責任者のDara Treseder(ダラ・トレセダー)氏の説明によれば、従来の光凝固樹脂による成形では薄い層を成形し、いったん液から引き上げて固化し、再度液に浸して次の層と接着するため成形速度が極めて遅く、特殊なプロトタイプを除けば量産に向かなかった。Carbonは独自の連続成形プロセスによって量産を可能にしたという。

デモではランニングシューズのソール、フットボール用ヘルメットのクッションなどによって優れた衝撃吸収能力をデモしている。デシモン氏によれば通常の緩衝材は反発力を利用しているが、トーラス構造はつぶれるときにエネルギーを吸収するため衝撃が少ないという。応用範囲は自動車部分から歯科その他の医療用品まで多岐にわたる。

CLIPプリンターは小型がソフトウェアアップデート料金を含めて年額7000ドル、大型でも1万4000ドル程度で利用可能だという。これは製造業の将来に大きな影響を与える可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook