長期間の隔離を終え次期クルーが国際宇宙ステーションに到着

在宅勤務は楽な人もいれば難しい人もいるが、まったく不可能なのが国際宇宙ステーションだ。パンデミックがあろうとなかろうと、次のクルーはそこへ行くしかない。最新ミッションの宇宙飛行士たちは無事に打上げに成功して到着した、ただし、長期の隔離期間の後に。

念のために言うと、ISS乗組員はどのミッションでも、インフルエンザを持ち込むことがないように隔離されている。しかし、新型コロナ流行の中、いまは特別な状況だ。隔離は3月から始まり、乗組員の家族でさえ一緒に過ごすことはできなかった。打上げ時には必要最小限の関係者のみ立ち会いが許された。

私はNASA(米航空宇宙局)に、今回および将来のミッションについて、新型コロナに関連する特別な措置の詳細を尋ねている。

今回のミッション、Expedition 63は現行クルーと約一週間同時に滞在した後に交代する。その間のISSがかなり混雑することは間違いない。

本クルーには通常任務以外に、最初の商用有人飛行ミッションでやってくる宇宙飛行士たちを出迎えるという特別なしごとがある。彼らはSpaceX(スペースエックス)のCrew Dragon(クルードラゴン)カプセルに乗り、Falcon 9(ファルコンナイン)ロケットに打ち上げられてやってくる。このミッションもパンデミックの中、5月打上げに向けて計画通り進んでいる。

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ここ数年のミッションでは常に、ロシアの由緒あるソユーズ宇宙船が使われていた。ソユーズは何十年にもわたって改修され続けてきたが、「繰り返し飛行した実績」のあるテクノロジーであること以上のものはほとんどない。

有人ミッションのために最先端技術の宇宙船を作る取組みは何年も続いたあと、SpaceXとライバルのBoeing(ボーイング)がゴールに向かってホームストレッチを走っている。両社とも再度の遅延に悩まされてきたが、Boeingはほかにもいくつかのトラブルを抱え、打上げ時期は年末かそれ以降になりそうだ。一方のSpaceXは準備完了だ。

この商用有人ミッションは、来月であれ少々遅れるにせよ、何年にもわたる競争の集大成であり、アメリカ製宇宙船で宇宙飛行士が軌道に行くのはスペースシャトル引退以来初めてのことだ(民間宇宙旅行会社のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は自社の宇宙船を宇宙の端まで飛ばしたが、この有人宇宙船は軌道周回機ではない)。

すべてがうまくいけば、NASAのChris Cassidy(クリス・カシディー)氏、Rscosmos(ロスコスモス)のAnatoly Ivanishin(アナトリー・イワニシン)氏とIvan Vagner(イワン・ワグナー)氏の各宇宙飛行士は、近々ISSで歴史的ミッションを出迎えることになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロシアのヒューマノイドが国際宇宙ステーションに着任

ロシアのソユーズ宇宙船は、米国時間8月27日の夜遅く、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。本来は、8月24日に予定していたが、その際にはうまくいかなかった。

この2回目の試みは順調に進行し、カプセルはISSのロシアのZvezda(ズベズダ)モジュールのポートに駐機した。このカプセルの船長席は、もちろん人間が乗るように設計されたものだが、今回は代わりにSkybot(スカイボット)のF-850が座っている。ロシアのRoscosmos(ロスコスモス)宇宙局によって開発されたヒューマノイド型ロボットだ。

ロボットが実際に宇宙船を操縦したわけではない。今回は手動操縦をする人間も搭乗しない、完全自動操縦による運行だった。また今回は、ロシアのソユーズロケットの新しいバージョンを使って、ソユーズ宇宙船を打ち上げた。これまでは、貨物を運搬する無人の宇宙船を打ち上げるためにしか使われていなかったロケットだ。このミッションは、人を乗せないソユーズ宇宙船を使って、改良されたロケットをテストするために計画されたもの。来年以降、同じモデルのロケットを使った有人飛行を始めるための準備としてだ。

Skybot F-850には、多数のセンサーが内蔵されている。乗員の体に加わるGや振動、温度、その他の値を測定して、実際にロボットではなく人間が座席に座った場合に体験することを、正確に把握することができる。

今回は、こうした能力を持ったRoscosmos製ロボットの最初の任務であり、SkybotはISSに2週間ほど滞在してから地球に帰ることになる。Skybotは、打ち上げ時の状態を計測するだけではない。一般的なAlexaスピーカーのような機能も備えていて、質問に答えたり、短い会話をしたり、たまには冗談も言う。しかし本当の目的は、Skybotやその後継機が、船外の真空状態など、人間を寄せ付けないような環境でも活動できる能力を持つ相棒となるよう、開発を進めることにある。

画像クレジット:Rocsosmos

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

国際宇宙ステーションに商用ドッキングアダプターの取り付け成功

ISS(国際宇宙ステーション)は、民間宇宙企業が運用する有人ロケットによる訪問者の受け入れ準備OKとなった。NASAの宇宙飛行士、ニック・ハーグとアンドルー・モーガンの宇宙遊泳により、ISSには2つ目のIDA(国際ドッキングアダプター)が設置された。

このドッキングアダプターは2個目であるにもかかわらずIDA-3と呼ばれる。実はIDA-1はCRS-7ミッションのペイロードに含まれていたが、2015年6月28日のSpaeceXの打上失敗で失われてしまった。そのため2016年6月のSpaceX CRS-9ミッションに搭載されたIDA-2が最初のIDAとなった。

既存のIDA-2はすでに充分に有効性を実証している。今年3月3日にSpaceXのく有人ドラゴンの実験機、Demo-1がドッキングアダプターに自動操縦で結合し、実際にクルーが搭乗した状態での結合に重要な装置であるいことを示した。

IDA-3は自動操縦結合をサポートする2番目のドッキングアダプターだ。従来、ドッキングする機体はISSの至近距離に近づいて同一軌道を飛行し、ISSのロボットアーム、Canadarm2で慎重に引き寄せられる必要があった。新しいドッキングアダプターではプロセスが標準化され、マニュアル操縦なしにドッキングできるだけでなく、SpaceXの有人宇宙往還機、Crew Dragonからボーイングが計画しているCST-100など各種の機体と接続可能となっている。これによりISSへの人員、カーゴの搬入、搬出はきわめて容易となる。

ドッキングアダプターを設計、製造したのはボーイングで重量は521kg(1150ポンド)、サイズは高さ約1m(42インチ)、幅1.6m(63インチ)だ。つまりこのアダプターは普通の体格の男性にはやや狭い(SF映画で見るような立派な通路ではない)。

IDAの設置はISSが民間宇宙飛行の利用者を受け入れるために必須のステップの1つだったが、これでハードルがすべてクリアされたわけではない。まずは有人飛行によるドッキングを実証する必要がある。

【 Japan編集部追記】上のNASAの公式ビデオはライブ配信のためビデオの最後が現在。過去のシーンはタイムラインをスクラブして探す必要がある。今のところPDA-3の取り付けシーンはタイムラインの冒頭にある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

民間宇宙探査のパイオニアAnousheh Ansariは国際宇宙ステーションの商用化を歓迎

XPRIZEのCEOでProdeaの創設者であるAnousheh Ansari(アニューシャ・アンサリ)氏は、イランで過ごしていた子供時代に宇宙飛行士になることを夢見ていた。しかし、ご想像のとおり、周りの人間はほとんどがその野心を理解してくれなかった。ところが2006年、彼女はロシア宇宙センターで私財を投じて訓練を受けてソユーズ宇宙船に乗り、個人資金で国際宇宙ステーション(ISS)を訪れた世界最初の民間女性となったのだ(しかもそれは、イランの民間人、そしてイスラム教徒の女性としても初だった)。

その当時NASAは、アンサリ氏が料金を支払ってISSに搭乗するというアイデアには興味がなく、むしろ明らかに嫌がっていた。それから13年が経った今週の初め、NASAは、ISSを「ビジネスに開放する」と公式に発表し、一晩の宿泊料を1人あたりおよそ3万5000ドル(約380万円)と提示した(これはあくまで宿泊料金。旅費は自分で考えないといけない)。今週、トロントで開かれているCreative Destruction Lab(創造的破壊研究所)イベントで、私はアンサリ氏に会い、今回の画期的な決定が宇宙ビジネスにどのような利益をもたらすのか、またこの分野での彼女の展望、さらに宇宙に特化したスタートアップ全般に与えられるチャンスについて話を聞いた。

「ほんと7年前の6日間、もっと長かったかも知れないけど、そのとき使っていたノートパソコンを持ってくればよかったわ。そこにはISSの賃貸化。それは現実になる!って書いてあったの。私には予知能力があったのね」とアンサリ氏は冗談を飛ばした。「でも、それは理に適っていると思います」。

宇宙ステーションを訪れ利用することで得られる商業的、個人的な利益に対するNASAの認識を考えるに状況が変化した理由はいくつもある。とりわけ大きな理由は、当初のミッションで設定されていた期間を超えて老朽化が進み、現実に機能上の寿命を迎えようとしていることだ。

「宇宙ステーションは【中略】、現在すでに寿命を延長した状態です」とアンサリ氏は言う。「なので、次世代への投資のために、(当初予定してたミッションに上乗せして)うまく利用して利益を生むことができるようになったのです」

最初に計画されていたミッションが事実上終了したとしても、まだしばらくの間は、民間企業がその施設を使うことで多大な恩恵を引き出せる。

「宇宙ステーションでの研究や実験には非常に大きな関心があるため、コストは劇的に下がると思います」と彼女は、NASAのガイドラインに提示された民間宇宙飛行士の費用に関して言い添えた。「とはいえ、それでもそこへ行くまでのコストはかかります。つまり、誰もが支払える額にはならないということです。しかし、一晩3万5000ドルの家賃を支払えば実験が行えるのです。それは驚きです」。

「多くの企業が、製薬、医療、健康などの本当にたくさんの企業が、それを利用して実験を行うと私は考えています」とアンサリ氏。「それに私はわくわくしています。実現してよかった」

5月15日、米国カリフォルニア州プラヤ・ビスタにて。写真に向かって左から、XPRIZEのCEOを務めるAnousheh Ansari(アニューシャ・アンサリ)氏、XPRIZEの創設者で執行委員長を務めるPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏、Global Learningでエグゼクティブディレクターを務めるEmily Church(エミリー・チャーチ)氏。XPRIZEは、Global Learning XPRIZE財団大賞授与式のためにGoogleのプラヤ・ビスタ・オフィスを訪れた。(写真:Jesse Grant/Getty Images for Global Learning XPRIZE)

アンサリ氏にとって、宇宙の商用利用分野の成長は、XPRIZEの原点だ。彼女は昨年の10月から、この財団のCEOを務めている。アンサリ氏とその義理の弟であるAmir Ansari(アミー・アンサリ)氏が多額の寄付を行ったことでその名が冠された賞金1000万ドル(約11億円)のコンテストAnsari Xprizeは2004年に勝者が決まり、それが今日のSpaceXの事業の道筋を付けた。

「最初のコンテストは、2週間以内に2回宇宙に行くというもので、賞金は1000万ドルでした。繰り返しの打ち上げが可能であることを証明したかったのです。SFの話ではなく、商業的に可能だということを。しかも、妥当なコストで行えるということをです」とアンサリ氏は振り返る。「必須要件がありました。たしか、燃料の容積を除く95%が再利用可能であることです。2台のロケットを作って、ひとつを飛ばして、次にあっちを飛ばすとったやり方では主旨に合いません。それが本当にビジネスに利用できることを確かめられるよう、条件を整えたのです」。

そこで大切な要素は、民間企業でも手が届く投資レベルで商業的に実現可能な関心事になり得ることを、初めて実証することだった。もうひとつの大切な要素として、関係当局の認可のもとで、参加者が実際に打ち上げが行える環境を作ることがあった。

「私たちは規制当局と米連邦航空局(FAA)との協力のもとで、民間人の打ち上げがどうしたら可能になるかを探りました。FAAには、対処方法がわからなかったからです」とアンサリ氏。「彼らは、宇宙に何かを打ち上げたいという民間企業と関わったことがなかったのです。そこで私たちの働きかけと、NASAや規制当局と行ってきた実績から、彼らは門戸を開き、そのための部門を立ち上げました。今それは、FAA Office of Commercial Space Tranportation(民間宇宙輸送局)と呼ばれています」。

2017年から打ち上げられているSpaceXのCRS-11。SpaceXが民間ロケットを打ち上げられるようになったのも、XPRIZEが商用打ち上げ事業のガイドラインを確立したお陰だ

今日までの働きで、数多くの分野を開拓し、スタートアップのための道を切り開いてきたアンサリ氏だが、Creative Distruction Labの初日に行った基調講演で、参加していた起業家たちに対して、このチャンスに満ちた新しい分野についていくつかの要求を突きつけた。彼女は、「雲の上に存在するクラウドシステム」には多大な可能性があり、データ・ウェアハウス施設を宇宙で運用すれば、電力と熱管理の面で今すぐ恩恵が得られると指摘した。

彼女はまた、スタートアップに対して、自分たちが作るものの波及的な影響力を念頭に置くよう訴えた。具体例をあげれば宇宙デブリだ。より広義においては、急激な変化は自然に恐怖の反応を引き起こすことを忘れないで欲しいと話した。

「エンジニアは、おもちゃやテクノロジーで遊ぶのが、ただただ大好きなので、これは難しい問題です」と彼女は話した。「しかし、こうした考えを理解させるのは、ここに集った私たちの役目です」。

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(翻訳:金井哲夫)

ロボット宇宙飛行士CIMON、国際宇宙ステーションへ

国際宇宙ステーションに向けて今朝、新たな宇宙飛行士が補給物資を載せたSpaceX社のロケットで出発した。その宇宙飛行士は、メディシン・ボールほどのサイズだ。CIMON (Crew Interactive Mobile Companion)は、欧州宇宙機関の宇宙飛行士が宇宙ステーションで行う毎日の業務をアシストするために、AirbusとIBMが共同で開発した人工知能アシスタントだ。重量はわずか11ポンド、メディシン・ボールほどのサイズ。この小さな宇宙飛行士はIBMが開発したワトソンのニュートラルネットワークという武器を持っている。

宇宙ステーションのクルーは、CIMONと音声コマンドで連携をとり、実験などの手順のデータベースにアクセスできる。AirbusでCIMONプロジェクトを主導したTill EisenbergがSPACE.comに語ったところによると、CIMONはクルーの気分やムードを感知することもできる。

今年2月に発表されたCIMONの投入についてのニュースリリースでは、CIMONのフレンドリーな顔や声に加え、感情知性でもってCIMONは本物の宇宙飛行士のように働く、とAirbusは述べている。手始めに、CIMONには友達がビルトインされている。

今日の打ち上げの前に、CIMONはドイツ人宇宙飛行士Alexander Gerstとトレーニングを行った。Gerstの声と顔を認識し、宇宙ステーションで行う3つの異なる実験を完了させられるようアシストするというものだ。CIMONは地球物理学者や火山学者が宇宙ステーションで結晶生成を研究するのを手伝い、ビデオデータを使ってルービックキューブを攻略したり、“高度なカメラ”として医学実験を記録したりする。

CIMONのGerstとのミッションは今年10月までとなっている。しかしAirbusは将来的にはCIMONがもっと長い期間、宇宙飛行士と行動を共にし、長期宇宙飛行における社会変動ーきたる火星植民の構想を考えるときに重要なテーマとなるーについての科学者の研究を手伝えるようになればと考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)