ベルリン拠点のオンライン語学学習のBabbelはサブスク加入者1000万人達成と発表

ドイツ・ベルリンを本拠とするオンライン外国語学習サービスのBabbelは現地時間9月21日、サブスクリプションの登録者が1000万人になったと発表した。語学学習サービスの有料ユーザー数としては驚くべき数字だ。 Babbelは無料プランを提供していないのでなおさらだ。1000万人達成への道のりは新型コロナウイルスの感染拡大が加速した面もあるが、それ以前から登録者の伸びは著しいものがあった。大きな要因の1つは米国における積極的な拡大策だろう。ここではBabbelのサブスクリプション数も売り上げも対前年比で3倍になっている。

実はパンデミックかでさらに成長が続いたことはBabbelにとっても驚きだったという。外国語を学ぼうという動機は。、少なくとも米国の場合は夏休みなどを利用して外国旅行を計画することが大きな割合を占めていたからだ。

米国BabbelでCEOを務めるJulie Hansen(ジュリー・ハンセン)氏は私の取材に対して 「私たちは米国では外国語を学ぼうとする大きな動機は外国旅行であることが多かったのに気づいていました。外国旅行でその国の言葉を学習しておきたいのは納得できる理由です。事実、昨年は米国からヨーロッパへの旅行者数が新記録を作りました。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染蔓延そのものについてはもちろんだが、Babbelのビジネスに与える悪影響についても心配しました」と述べた。

しかし多少の遅れはあったものの、米国を含む世界の各地で新型コロナウイルスによるロックダウンが実施された後、Babbelのサブスクリプション数は増え始めた。ロックダウンの期間を自己改善に利用することにした人々が多かったようだ。Babbleでは、高校生、大学生向けに無料の語学コースを開設して大人気となった。ハンセン氏によれば、この試みだけで「数十万のダウンロードがあった」という。この影響もあって同社のユーザーベースは年齢がやや若い層に振れた。なおハンセン氏は、ソーシャルメディア、特にTikTokでの広告も大きかったと考えている。

BabbelのCEOであるArne Schepker(アルネ・シェプカー)氏は「各国におけるサブスクリプション数のグラフを描けば 学校が閉鎖された日、ロックダウンがが実施された日、それにもしかするとNetflixで新しいドラマのシリーズが始まった日などをそれぞれ指摘できます(未訳記事)。そうした出来事からわずかに遅れてサブスクリプション数が増加しているのがわかります」と述べていた。

Babbelにとって今後の課題の1つはB2B分野だ。ここではBabbelもライバルは明瞭な減速を経験している。しかしハンセン氏が「新型コロナウイルスの感染蔓延に対応して社員研修のデジタル化を一層強化している企業もある」と述べているとおり、現実の教室におけるプログラムをBabbleのようなオンラインサービスに置き換えている会社も多い。市場全体として成長は減速しているものの、 BabbelはB2B分野の売上を対前年比で2倍に伸ばしている。またベルリンを本拠とするフードデリバリーのスタートアップであるDelivery Heroをユーザーに増やしている。

 Babbelは新型コロナウイルスの感染蔓延以前、2018年にLingoVenturaを買収したのを手始めとして旅行会話の分野に大型投資をしていた。シェプカー氏も「今のところ誰も外国旅行には出かけられずにいるためビジネスは低調だ」と認めている。しかし同社は近い将来この分野も回復するものと信じている。

Babbelでは近くハンセン氏が「別の学習メソッド」と呼ぶサービスをスタートさせる。ただし「学習者がいる場所に対応して多様な学習体験を提供する」という以外に具体的な内容はまだ明らかにされていない。

画像: Babbel

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

好調の外国語eラーニングサービス「Duolingo」が10億円超を調達した理由

SEC(米証券取引委員会)への提出書類によれば、外国語のeラーニングを提供するユニコーン企業(10億ドル企業)であるDuolingo(デュオリンゴ)は2020年4月初めにベンチャーキャピタルのGeneral Atlanticから1000万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。好調を伝えられるオンライン言語学習プラットフォームとしては、ほぼ3年ぶりの外部投資の受け入れとなった。これにともないGeneral AtlanticはDuolingoに取締役の席を1名分確保した。

Duolingoの最近の会社評価額は15億ドル(約1605億3000万円)だったが、「今回のラウンドにより評価が増加した」と述べている。ただし具体的な額についてはコメントを避けた。

General AtlanticはOpenClassroomsRuangguruUnacademyなど世界で多数エドテック企業に投資している。Duolingoは「General Atlanticのグローバルなプラットフォーム、アジアでのオンライン教育の経験は、特にこの地域におけるDuolingoの英語試験を拡大する計画に大いに役立ち、同社の成長を加速させる」と述べた。

Duolingoは2019年12月に15億ドルの会社評価額で3000万ドル(約32億1000万円)を調達している。こうした資金調達の数カ月後にそれより小さい額の資金調達を行うのは異例だ。 過去の例をみると、そうした資金調達は次のようないくつかの理由で起きている。1つは後の投資が同じ資金調達ラウンドの一部だった場合だ。もう1つの可能性はなんらかの理由で企業がさらに現金を必要とする事情があり、単にそれを調達した場合だ。あるいは新しいラウンドでも多額の資金を調達しようとしたそれができなかった場合もある。

ではDuolingoはどれだったのか?

Duolingoは、新しい投資家を獲得したかったが、多額の資金は必要なかったため1000万ドルとなったとしている。同社はキャッシュフローには余裕があると述べている。

過去数週間で、Duolingoは子供たちが読み書きを教えるアプリをリリースした。このDuolingo Plusの有料サブスクリプションは100万を超え、収入は通年換算で1億4000万ドル(約149億8000万円)となったとしている。また同社は最近、最初の最高財務責任者と顧問弁護士を採用した。

DuolingoはTechCrunchの取材に対して次にようにコメントしている。

「我々のビジネスはとても急速に成長しており、資金も十分以上にある。自己資本を拡大するために資金調達を行う必要性は少なかった。しかし、我々は2019年にGeneral Atlanticとの提携関係を強化してきた」。

他方でGeneral AtlanticのマネージングディレクターのTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は「Duolingoは外国語学習では市場リーダーだ。急速な成長を維持しながら事業は利益を上げており、ビジネスモデルも効果的だ」と述べている。

もう1つの興味深い事実は、1000万ドルの調達と同時に二次市場における発行済株式の売買があったことだ。こうした取引は株主が持ち株を売却したり、会社が自社株買いを実施した場合などに起きる。

Duolingoの場合は、General Atlanticの所有率を押し上げるために既存投資家が持ち株の一部を同社に売却した。General Atlanticはこの取引の詳細を明かすことを避けている。

この情報に照らしてみると、常に大量の英語学習者を抱える有望市場であるアジア地域へのDuolingoの進出をGeneral Atlantiは歓迎しており、他の投資家は株式売却によって負担を減らしたようだ。

つまり公開株式市場が厳しさを増し、未公開株の市場も事実上停止している状況でDuolingoの既存投資家の一部は株式の現金化を図ったのだろう。現在、スタートアップが未公開のまま留まる期間がこれまで以上に長期化しているため、二次市場における取引はまったく普通のことになっている。

二次市場における売却は既存株主が投資先企業の方向性に対して懸念を抱いていることを示す場合ももちろんある。

しかしDuolingoはこの分野の世界制覇という大きな目標に向けて全力で前進しており、金庫にキャッシュを加え、取締役会にこの提携先の代表も加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook