AIが描いた選挙区はゲリマンダーを止めるのに役立つ可能性がある

ゲリマンダー(ジェリマンダーで)とは、政治プロセスに影響を与える最も陰湿な方法の1つだ。票の集め方や数え方を合法的に変えることで、結果に影響を与えることができる。解決策は、公平な手で投票区を描くAIシステムかもしれない。

通常、州内の選挙権に対応する選挙区は人間が決めている。会派の両側にいる党派的な工作員は、このプロセスを利用して敵対的な有権者を排除して自分たちの有権者を囲い込むような歪んだかたちを作り出そうとしてきた。それはとても効果的で、いまでは当たり前のことになっている。実際に文字のような形をした選挙区を集めて作られたフォントもあるほどだ

この問題は、いったどう解決すればいいだろうか?Wendy Tam Cho(ウェンディ・タム・チョー)氏とBruce Cain(ブルース・カイン)氏は「民主主義」 をテーマにした特集記事 「Science」 の最新号で、少なくとも部分的には選挙区の区割りを自動化するべきだと主張している。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で教鞭をとるチョー氏は、何年にもわたってコンピュータによる区割りを変更を要求してきたが、ちょうど昨年ACLU(米自由人権協会)の訴訟で専門家の証人となった。

彼らの研究を説明するエッセイの中で、彼らはこのアプローチを次のように要約している。

今後は、ほかの方法では不可能な結果を生み出すために、人々が機械と協力して作業できるようになる。そのためには、人工知能(AI)と人間の知能の長所を生かし、短所を最小限に抑える必要があるだろう。

機械は、人間が想像を絶するほど大きく複雑な情報量をうまく処理することで合理的な意思決定を強化し、適切な情報を提供してくれる。一方人間は、その地形の中で自分の考えに合った偏った経路にしたいという誘惑に抗し切れないことを示してきた。

選挙区割りを分割する方法は事実上無数にあるため、AIエージェントはこれらの形状を制限する基準に優先順位を付ける必要がある。例えば、150平方マイル以上の区域を設定したくない州があるとしよう。この場合、実際にゲリマンダーエリアでしばしば起こるのだが、蛇のようないびつな区分け地区が他の地区の端にずらりと並ぶことを回避することも考慮しなければならない。そして、数え切れないほどの歴史的、地理的、人口統計学的な考察についても検討する必要がある。

ChoとCainの記事に掲載されているこのイラストは、区割り問題を簡略化したもので、誰が描くかによって党派的な選挙区がどのように作られるかを示している(画像クレジット: Cho/Cain/Science)

言い換えれば、区分けの根拠は人によって証明されなければならないが、「天文学的な数が存在する区分け方法について綿密な調査」をしなければならないのは機械ということだ。

これをどのように機能させるかは個々の州に委ねられており、区分けは各州が独自の規則と権限を持つ。問題は明らかだろう。政治の世界に入ると、人間は「偏った道筋を描く」傾向があるという複雑な状況に陥ってしまうのだ。

チョー氏はTechCrunchの取材で、区割りの自動化はほぼすべての州のプロセスに潜在的な利益をもたらすが、「その過程における透明性は、国民の信頼を醸成し維持し、偏見の可能性と認識を最小化するために不可欠です」と強調した。

「いくつかの州はすでに区割りの自動化を採用している」と同氏は指摘した。ノースカロライナ州では、コンピューターで描かれた1000枚の地図から無作為に選んでいるそうだ。しかし、自動区割りを広範な地域に適用するにはさらなる国民の信頼を得る必要があるだろう。

テクノロジーと政治を融合させるのは簡単なことではない。その原因の1つは、選挙で選ばれた役人のテクノロジーに対する無知がある。また、一部にはシステムに対する漠然とした不信感がある。それは、必要であれば正しいものに変えられるが、一般市民には理解しにくい。

「これらのモデルの詳細は複雑で、統計学、数学、コンピュータサイエンスの知識をかなり必要としますが、政治制度や法律がどのように機能しているかについても同様に深い理解が必要です。同時に、すべての詳細を理解するのは大変なことですが、一般市民や政治家がこのレベルの理解を必要としているとは思えません。一般の人々はワクチンやDNA検査、航空機の飛行などの技術的な詳細を理解することなく、その背後にある科学を信じている」とチョー氏は語る。

確かに、飛行機が落ちるかどうかを心配する人はほとんどいないが、飛行機は1世紀ほどの間にその信頼性を実証してきた。一方、ワクチンにとっての最大の課題は、新型コロナウイルスの感染が蔓延している現在の先にあるのかもしれない。

「社会は現在大きな信用不足を抱えています。信頼は獲得されるべきであり、獲得されなければならない。私たちは信頼を生み出す過程を発展させなければならない」と同氏。

しかし重要なのは、統計学者や機械学習の専門家でなくても、これらの方法で生成された専門家チェック済みの地図を見られること。その地図は、さまざまな思惑で決められた区分けよりも公平になるはずだ。

国民が何かを受け入れるための最善の方法は、それがきちんと動作することを確認することだろう。我々は郵便投票のように、すでに有効な手段をいくつか持っている。第1に、ノースカロライナ州のシステムがある。同州のシステムは公平な選挙区をコンピュータで確実に区分けできることを示している。実際に1000枚の公平な地図を簡単に作成できるので、いい所だけを切り取る「チェリー・ピッキング」の問題はない。

第2にオハイオ州の事例は、選挙に有利な区割り(ゲリマンダー)と事実との対比を示している。この区割りは、無作為性や人口統計学的な条件ではなく、党派の干渉によってのみ説明できるからだ。

AIがあれば、普通は人間が輪の中にいるのが賢明だし、政治の世界ではAIがあれば二重にそうなる。
自動化されたシステムの役割は慎重に制限されなければならず、その限界は適切に説明されなければならない。そして既存プロセス内での役割は、便宜性よりも慎重な考慮の結果であることが示されなければならない。

「一般の人々は、これらのアルゴリズムを生み出した科学界の中での熟考や熟考の感覚を持つ必要があります」とチョー氏は言う。

これらの手法がすぐに広く使われることはなさそうだが、今後数年のうちに、他の理由で地図が書き直されるにつれ、公平なシステムをプロセスに参加させることが、おそらくプロセスの標準的な部分になるかもしれない。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

モバイル投票は新型コロナに苦悩する投票所を救う

2020年大統領選挙を目前にして、不正投票への不安を巡って激しく対立しする米国では、今なお脅威が衰えない新型コロナウイルスへの対応として、州や地方の選挙管理人たちが投票の延期と投票妨害の告発を求めている。

選挙管理人の課題は、投票所の安全と効率性を保ち、市民により効果的で信頼性の高い選択肢を提供することだ。

新型コロナウイルス対策として全国に広がった郵便投票という選択肢は、選挙事務員への過度な負担増加(AJC記事)と、有権者の選挙権が剥奪されかねないという点で非難されている。予備選挙では、郵便投票の投票用紙が失われたり、票数に入れられないことがあった。

最近になって、従来の不在者投票よりも多くの郵便投票を許可することに政府の批判(Washington Times記事)やメディアの批判(CBS News記事)が集まっているが、そこではシステムの欠陥に鋭い光が当てられている。

私は、投票者の身元を保証しつつ、その匿名性を保ち、新型コロナウイルスから守ることができる、より優れたテクノロジーの導入という道があると信じている。人が投票所に赴く直接投票を補完するモバイル投票は、今の政治的に緊迫した空気の中では、最も合理的な選択肢だ。

今の投票システムは時代遅れ

投票所で直接行う以外の投票方法の選択肢を提供する取り組みは、いまだ底知れず低迷を続ける投票率の向上を目指して年々増加している。郵便投票、投票時間の延長、週末投票、その他のアイデアは、ある程度は成功しているものの、旧来の時代遅れな手段への依存は変わらない。地域ごとに投票方法を決められるアメリカの分散型投票制度は、紙による投票から、メカニカルな投票装置、タブレットのタッチスクリーンを使う電子投票に至るまで、さまざまな投票デバイスを生み出した。

古風な投票方式について語ろうとするなら、「Hanging Chad」という言葉が選挙用語に加わった2000年大統領選挙の再集計問題を見れば事足りる。Hanging Chadとは、パンチ式投票用紙の穴がきれいに開かずに、穿孔くずがくっついている状態のこと。それを有効票とするか否かで過去に問題になった。この2000年大統領選挙の教訓から数々の投票方式の改善が試みられてきたが、20年が経過した現在でも、多くの地域で同じ方式が使われており、同じ失敗が繰り返されている。

今年前半の予備選挙では、郵便投票を広めようとする努力が難航(Newsweek記事)した。ペンシルベニア郡では6000人の投票者が、投票日の前日までに票を発送せず、締め切り前日の消印がもらえなかった。

投票用紙の請求を行ったにも関わらず、投票期限までに用紙を受け取れない投票者が全国にいた。期限までに投票用紙が郵送された場合でも、一度に大量の投票を受け取った選挙事務員は、すべてを集計しきれなかった(New York Times記事)。

投票所での投票は長い行列やマスクなど危険な密集状態

新型コロナウイルスが大部分の地域に居座っている状況で、選挙事務員は、投票所で行われる直接投票での住民のための安全対策を考える必要があるが、それでも惨事となる危険性は残る。大統領選挙では、投票所に長い行列ができて長時間待たされる地域が少なくない。投票者の登録を確認する受け付けテーブルで、選挙管理人やボランティアの数が不足していることもしばしばだ。

ボランティアは高齢者が多く、ウイルスに感染した場合に重篤化するリスクが高い。選挙管理人は、投票者の安全を守るだけではく、職員やボランティアの安全も同様に守る必要がある。そのためには、より多くの手順、検査方法、必要に応じて消毒の方法を設定しなければならず、それが投票者の待ち時間をさらに延長しかねない。

何百もの人たちが列に並び、待ち時間が数時間にもおよぶとなれば、投票を諦める市民が増えてしまう恐れがある。これは米国の民主主義にとって大変な災難だ。

モバイル投票なら安全

モバイル投票システムでは、登録投票者は自分のスマートフォンと認証されたアプリで投票を記録できる。ブロックチェーン技術を使ってアプリはオーディット・トレール(監査記録)を提供し、投票者の身元を確認する。モバイル投票は、紙の記録も残せるので、さらに安全度が高まる。

初期のモバイル投票プログラムは、米国の住民と海外に赴任している軍関係者が簡単に投票できる手段を提供した。新型コロナウイルスの耐性が低い身体障害者にも有効だ。

2018年、ウェストバージニアで市民と海外の軍関係者に対して実施されたモバイル投票の試験運用では、高い投票率が示された(New York Times記事)。

モバイル投票はまた、ウェブによる投票システムを含む(Voatzブログ記事)その他の電子投票方式よりも安全であることが証明されている。電子投票に批判的な人たちはハッキングの危険性を指摘するが、事実はそれを否定している。

2020年5月、慈善団体のTusk Philanthropies(タスク・フィランソロピーズ)は、5つの州で、複数のモバイル投票技術のプラットフォームを用いて、海外の投票者と障害者を対象にモバイル投票の実験を行った。選挙の安全性を心配するのはいいことだが、モバイル投票は、投票用紙の期限切れや紛失、書き損じ、機械の故障などさまざまな欠陥の可能性を含む既存のどの選挙制度よりも安全性は高い。

全員が参加してこそ民主主義は強くなる

この困難で不安な時期、私たちの政府のリーダーには、信頼と誠実さが何よりも求められる。安全で確実で信頼できる環境で投票する米国人の権利は、実に多くの祖先たちが命を賭して守ってきた理想を堅持するための礎となる。

参加する市民の数が増えれば、民主主義は強くなる。新型コロナウイルスのパンデミックが世界的で続く中、この秋の大統領選挙で「投票災害」を防ぐ新たな選択肢の探求を怠れば、米国の未来に深刻な影響を及ぼしかねない。

【編集部注】著者のJonathan Johnson(ジョナサン・ジョンソン)は、Medici Venturesの社長でOverstock.comのCEOを務める人物だ。

画像クレジットerhui1979 / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

インドのFacebook幹部がジャーナリストの投稿を批判し刑事告訴

インドのFacebook(フェイスブック)の経営幹部であるAnkhi Das(アンキ・ダス)氏は、Facebookの公開投稿で彼女の名誉を傷つけようとし、「性的偏見による発言」をしたとして一人のジャーナリストを刑事告訴した。

そのジャーナリスト、Awesh Tiwari(アウェッシュ・ティワリ)氏のFacebook投稿は、ヒンディー語(インドでもっとも広く使われている言語)で書かれているが、見たところ新しいウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事の要約に過ぎない。それは、一部の投稿に対してFacebookのヘイトスピーチに関する規約を適用しないダス氏の施行方針を批判した内容だ。

WSJは先週、インドのFacebookで公益担当の最高幹部を務めるダス氏が、同社のヘイトスピーチに関する規約を、インド首相ナレンドラ・モディ氏が所属するインド人民党の党員による投稿への適用を拒んでいると伝えた。

その記事によれば、インド人民党の少なくとも3人または3組以上の個人とグループが、「暴力を奨励し参加した」ことで内部規約に違反したという。ダス氏はそれらの投稿について、モディ首相の党所属議員に罰則を与えては、この国でのFacebookの事業展望に支障をきたすと話していたと、現在と過去の従業員の証言を元に、同記事は書いている。

この記事は、モディ首相のインド国民党と野党のインド国民会議の両方の政治家も交え、ソーシャルメディア上で議論を巻き起こした。互いに批判し合い、Facebookの政治的な偏りも攻撃された(未訳記事)。一部のユーザーは、Twitter(ツイッター)やFacebookにダス氏の判断を批判する投稿をしている。

米国時間8月17日、ダス氏はデリー警察サイバー部隊と共同で、例の記事を投稿したジャーナリストのティワリ氏を含む数人のユーザーを刑事告訴した。ダス氏によれば、その記事は彼女を中傷し脅迫し、さらに性的な偏見に基づく主張を行ったとのことだ。

ただ、ティワリ氏の件に関しては、彼の投稿は単にWSJの記事の要約であり、そこに、すでに公開情報となっているダス氏の経歴の一部を書き加えてあるに過ぎない。

ティワリ氏は、インドの報道機関Newslaundry(ニューズローンドリー)の記事で、Facebookの当該幹部による告訴は、Facebookでの言論の自由を抑圧するものだと話している。

現地の法律に従えば、ティワリ氏とその他の対象者たちは、起訴されて有罪が確定した場合、性的いやがらせで罰金刑と最高2年の懲役刑、名誉毀損で最高2年、犯罪的脅迫で最高7年の懲役刑に処せられる。

ジャーナリスト保護委員会は米国時間8月19日、ティワリ氏の告訴を取り下げ、彼女の批判する市民の権利を尊重するように呼びかけた(CPJリリース)。同委員会との対話の中で、ティワリ氏は、ダス氏による告訴で彼の名前が知れ渡って以来、告訴、肉体的危害、監禁などで脅迫する電話が、知らない人間から11本もかかってきたと訴えている。

公に言論の自由を約束している企業であるFacebookにコメントを求めたが、すぐには応じてくれていない。

米国時間8月19日のロイターの記事では、アンキ・ダス氏が擁護し、自身もシェアしているインド国民党の所属議員による「イスラム教徒への偏見」を含む投稿を告発するよう求める書簡を、数人の従業員が書いたと伝えてられている。

インドのFacebookのトップAjit Mohan(アジット・モハン)氏は、政治家との癒着がインドでの意思決定に影響を与えているというWSJの記事の主張は「不正確であり何ら有用性がない」と従業員に向の内部投稿で伝えたとロイターの記事は報じている。

Facebookは、WSJの記事でなされた主張に対して、いまだ否定できる証拠を示しておらず、各報道機関への反論も一切行なっていない。公的な声明でFacebookは、「施行は進んでおり、的的な監査も行なっている」と述べている。
画像クレジット:MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

広告主のボイコットが拡大する中、フェイスブックに米上院議員グループが白人至上主義対策で圧力

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に送られた新しい書簡の中で、3人の米民主党上院議員は、Facebook(フェイスブック)の最高経営責任者に対して、同社が白人至上主義を助長し、Boogaloo(ブーガルー)グループに代表される暴力的過激主義者の同プラットフォームでの結社を容認している現状(Tech Transparency Project記事)について説明を求めた。

長年の懸案だった人種差別による不平等の全国規模の監視を引き合いに出し、ハワイ州選出民主党Mazie Hirono(メイジー・ヒロノ)氏、バージニア州選出民主党Mark Warner(マーク・ウォーナー)氏、 ニュージャージー州選出の民主党Bob Menendez(ボブ・メネンデス)氏は、フェイスブックが自ら定めたポリシーと実績との乖離を問題視する取り組みの一環として、ザッカーバーグ氏に書簡を送付した。

「合衆国は、長年の懸案となっていたこの社会に蔓延する組織的人種差別の調査を開始しようとしています。あらゆる人種、年代、経歴の米国人が勇敢にも街頭に立ち、すべての人の平等を要求しています」と議員たちは書いている。

「フェイスブックはこの運動に賛同の意を表明したものの、そのプラットフォームでのヘイトの拡散を止められずにいることで、人種間の平等を約束したフェイスブックの宣言と、同社の活動と業務上の関心との間にある大きな溝が露わになりました」。

この書簡は、複数の質問への回答を要求している。一部は、フェイスブックに現在のルールの確実な施行を重ねて約束するよう求める比較的表面的なものだ。しかし、中には大変に興味深いものが2、3あった。1つは、同社プラットフォームでの白人至上主義拡散対策の担当者に明示的に任命されているフェイスブック社員の名前を示せというもの、そしてグローバル公共ポリシー担当副社長でありフェイスブックの保守派の代弁者として特に名高いJoel Kaplan(ジョエル・カプラン)氏(未訳記事)の、過激主義コンテンツへの同社の対応を決定する上での役割の詳細な説明を求めるものだ。

また3人の上院議員は、保守派の政治コメンテーターであるTucker Carlson(タッカー・カールソン)氏が共同創設者であり白人至上主義者たちとつながりのある右翼系ニュースサイトのThe Daily Caller(ザ・デイリー・コーラー)を、フェイスブックのファクトチェック・プログラムのパートナーに加えるか否かの難しい決定(The Daily Beast記事)に対するカプラン氏の影響についても問いただしている。人種間の平等を訴える人権団体のColor of Cange(カラー・オブ・チェンジ)は、フェイスブックに送った最も新しい要望書でも、カプラン氏を名指しして解雇を要求している(Color of Cange投稿)。「変化はトップから始まります。ジョエル・カプラン氏は追放すべきです」と要望書の著者たちは、ザッカーバーグ氏宛の書簡に記した。

関連記事:Facebookはポリシー違反の「報道価値のある」政治発言にラベル添付を約束、広告主の離反受け

上院議員たちの最後の質問には、ユーザーの投稿内容に対してプラットフォームは法的責任を負わないことを保証した通信品位法第230条の見え隠れする危機に関する問題も含まれていた。2020念6月にDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、インターネット事業を可能にし、私たちが慣れ親しんでいる現代の社会的インターネットの基盤ともなっているその強力な法律の盾に自ら攻撃を加えた(未訳記事)。

上院議員の書簡は、#StopHateforProfit(営利目的のヘイトを阻止しよう)キャンペーンを機にそのプラットフォームのポリシーを綿密に審査しようという新しい波にフェイスブックが直面している(未訳記事)この時期に届けられた。キャンペーンはAnti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)、Color of Change(カラー・オブ・チェンジ)、NAACP(全米黒人地位向上協会)といった公民権擁護団体によって立ち上げられた。フェイスブックの広告出稿のボイコットはCoca-Cola(コカ・コーラ)、Best Buy(ベストバイ)、Ford(フォード)、Verizon(ベライゾン)など最大手ブランドが名を連ねる驚くべき規模に膨れ上がっている。さらにAdidas(アディダス)、Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)、Reebok(リーボック)、REI(アールイーアイ)、Patagonia(パタゴニア)、Vans(ヴァンズ)などのブランドも追従している。

あり得ないような異種企業の集まりであり、フェイスブックへの広告費を一時停止した動機もまた異種混合といった感じだが、この取り組みの方針と要求は明確だ(Stop Hate For Profit記事)。ウェブページには、白人至上主義に立脚するプライベートなグループと暴力的な陰謀論の排除、フェイスブックのおすすめエンジンによるヘイトグループや陰謀論グループの推薦の停止、そして「最高」が付くレベルの企業幹部に公民権の専門家を加えること、という要望が示されている。

画像クレジット: Aurora Samperio/NurPhoto / Getty Images

原文へ
(翻訳:金井哲夫)