東京ファクトリーは1月25日、ANRIを引受先とする第三者割当増資により、約1億円の資金調達を発表した。また、製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」(プロシードクラウド)正式版を2月から提供開始すると明らかにした。
Proceedクラウドは、分散していた生産情報を工程写真を基に製造情報データベースを構築し、製造状況の可視化を行うサービス。モバイル端末での写真整理・保存機能、写真一覧画面への工程情報の表示機能、写真への書き込み機能などにより、業務効率化、遠隔での製作進捗状況の把握、技能継承の基になるデータベースの構築を実現する。
調達した資金は、Proceedクラウド強化に加え、顧客サポートに向けた社内体制強化を行う。今後も事業展開を加速させるとともに、日本のものづくりの実績・経験の蓄積により競争力を保ち続けることをサポートする。
製造業の中でも、大型構造物の生産現場では、製品サイズが大きくライン生産が困難なことや、受注生産品が多いことから製造工程の自動化が難しく、人手に頼った生産を行う必要があるという。そのため、人件費が高い国内工場は新興国の工場に比べコスト競争力が低下しており、海外への生産移転が進んできた。
また国内製造業では人材確保が困難になっていることから、熟練技術者に属人化している管理手法や高品質を担保するためのノウハウを効率的に継承することが急務になっている。
またコロナ禍により、海外サプライヤーへの視察やスーパーバイザーの派遣が困難になったことで、工程の進捗を正確に把握できないことも大きな課題という。
そこで東京ファクトリーは、2020年10月から、製造過程において撮影した工程写真をベースに製造情報データベースを構築することでサプライチェーンの見える化と技能継承を実現するSaaS「Proceedクラウド」β版を公開。造船系メーカーや大手プラントエンジニアリング会社などに提供してきたという。
イワキテックでは、船舶部品などの製造現場でProceedクラウドを導入。製造状況の可視化と現場での実績・経験のデジタル化、モバイルを用いた作業効率の改善に寄与してきた。
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