相乗りアプリのNearMe、都市部で最大9人をピックアップしてゴルフ場まで運ぶシャトルバスの運用開始

タクシーの相乗りアプリ「nearMe.」を提供するNearMeは3月28日、同社がもつ乗客ピックアップルートの最適化アルゴリズムを応用し、都市部の住民とゴルフ場をつなぐ相乗りシャトル運用の実証実験を、東急リゾートサービスと共同で実施すると発表した。

NearMeは、タクシーで同じ方向に行きたい人同士をつなぐ相乗りアプリを提供するスタートアップ。深夜、終バスの時間が過ぎた頃の郊外の駅では、タクシーに乗るために長い列ができているところをよく目にする。その中には同じ方角に向かう人もいるはずだが、1人に1台というかたちでタクシーが割り当てられるので、待ち時間がどうしても長くなってしまう。そんな中、NearMeは同じ方角に向かう人をアプリでつなげることで、その無駄を解消しようとしている。同社についてはこちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてほしい。

同社はこのアプリの提供と同時に、NearMeは、最適なルートで複数人をピックアップすることを目的としたアルゴリズムの開発にも取り組んできた。今回の実証実験は、そのアルゴリズムを活用することで都市部とリゾート地をつなぐシャトルバスの運用を行うことが目的だ。シャトルバスの定員は最大9名。東京都渋谷区や東急沿線沿いに住むゴルフ利用客を効率的にピックアップして、ゴルフ場まで届ける。

NearMeは、2018年11月に開かれたPlug and Play Japanのアクセラレータープログラムに採択され、その公式コーポレートパートナーである東急不動産と実証実験の検討を開始。約3ヶ月間の期間をへて実施に至った。実証実験の開始は2019年5月頃を予定しているという。

中国Didi、殺人事件を受けて相乗りサービスを一時停止へ

中国最大の配車サービスDidi Chuxing(滴滴出行)は、乗客がドライバーに殺害されるという事件の発生を受け、同社が展開する相乗りサービスの一つのHitchを1週間停止する。

殺害されたのは21歳の女性客室乗務員Liさんだ。中国の官営英字メディアGlobal Timesの報道によると、事件は5月5日夜に発生した。仕事を終えたLiさんは、河南省の鄭州新鄭国際空港から帰宅するためHitchで配車を依頼。Hitchは、同一の目的地に向かう人が相乗りできるサービスだ。報道では、Liさんはドライバーに凶器を使って殺害された、との警察発表を伝えている。

Didiは2016年から、ドライバーを確認するのに顔認証システムを活用している。最初に行うドライバー登録手続きをスピードアップし、また運転業務を行う際の不正行為を防ぐためのものだ。このシステムでは、アカウントを持つドライバーが自撮り写真を撮り、そのデータがDidiの持つ情報と一致したときにだけアプリが使えるようになる。

今回の悲惨な事件では、このセーフガードは機能しなかった。

Didi によると、Liu Zhenhua容疑者はプラットフォームに登録はしていなかったが、父親が持つドライバーアカウントを利用し、アプリにアクセスして配車依頼を受けることができる状態にあった。Didiは、その日は顔認識システムに“欠陥”があり、アカウントの不正利用を防ぐことができなかったとしている。

しかしながら、予兆はあったようだ。Didiによると、そのアカウントに関しては、今回の事件が起こる以前に乗客からセクハラの苦情があった。その苦情は父親に対するものなのか、アカウントにアクセスしていた容疑者へのものなのかは不明だが、苦情を受けてDidiは少なくとも5回アカウントに連絡を試みて、結局つながらなかった。苦情があったにもかかわらず、このアカウントはログインでき、配車依頼を受けることができたのだ。

「プラットフォーム上の仲裁規則が完全でなかったために、苦情はその後適切に処理されていなかった」とDidiは文書で認めている。

Hitchは、通勤や中長距離移動にフォーカスした都市をまたぐ相乗りサービスで、乗り合わせた人が燃料代とドライバーの基本料金を割り勘にするというものだ。Didiの稼ぎ頭の相乗りサービスには影響はないが、Hitchの一時停止は5月12日からだ。この一時停止期間中、同社はドライバー全員を対象にドライバーと車両の情報にミスマッチがないか再調査を行う。

Didiはまた、プラットフォームの運用と顧客サポートシステムの改善を約束している。

TechCrunchへのコメントで、Didiは事件に関して責任があることは“否定できない”として“深い自責の念”を明らかにしている。

我が社が提供するサービスDiDi Hitchの利用中にLiさんに起こった悲劇につきまして、遺憾の意とともに深くお詫び申し上げます。極めて非道な事件であり、慚愧に堪えません。Liさんのご家族に対し、心からのお悔やみとお詫びを申し上げます。利用者の信頼を得るためには、何らかの行動が必要と考えております。今回の事件に関しましては、当社に責任があることは否定できません。

この件に関しては専従の職員を配置し、現在、捜査当局にできる限りの協力を行なっております。殺人犯は処罰されるべきであり、これはLiさん、そしてLiさんのご家族が当然望むものです。

被害に遭われたLiさんとLiさんのご家族、そして広く皆さまにも重ねてお詫びを申し上げます。このような事件が二度と発生しないよう、今後、事業全般を見直す所存です。

Global Timesの報道では、同社は今回の殺人事件に関する情報提供者には100万元(15万ドル超)の懸賞金を支払うとしている。

Didiはいま、同業他社との競争に直面している。ライバルであるMeituan Dianping(美団−大衆点評)はつい最近ライドシェアサービスを導入し、またMobikeの買収でドックレスの自転車シェアサービスにも参画を果たした

Didiは2016年にUberの中国事業を買収して以来、中国唯一そして最大のライドシェア事業者となったわけだが、今回のような乗客が被害に遭う殺人事件は初めてではない。2年前、深セン市の女性がDidiのドライバーにより強盗殺人に遭っている。

UberやLyftでも同様に極めて重大な事件が発生している。

米国では、2014年にサンフランシスコで7歳の少女がUberドライバーによってひかれ、2016年にはミシガン州でドライバーが配車サービスの業務中に6人を殺害した。そのほか、オーストラリアやレバノン、シンガポール、インドなどでも深刻な事件が起きている。

Uberの自動運転車は今年、市民を巻き込んだ交通事故を起こしている。3月にはアリゾナ州テンペで自動運転中だったUberのSUVに女性がひかれ、死亡した。警察は、この事故に関しUberに責任はないとしたが、同社はその後自動運転テストを一時停止した。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

自動運転車と共有モビリティが保険に与えるインパクト

self-driving-car

【編集部注】著者のSeth Birnbaum氏は、米国最大のオンライン自動車保険市場EverQuoteのCEO兼共同創業者である。

「次の5から10年の間には、わたしたちが過去50年の間に見てきたものよりも大きな変化に出会うことになるでしょう」GMのCEOであるMary Barraはこのように言っていた 。この発言から1年が経ったが、その内容は正しいままだ。車の所有形態が変化しつつあり、自動運転車は次の10年で実用化される。保険業界に影響があるのはどれだろうか:自動運転車(self-driving cars)なのか、共有モビリティ(shared mobility:移動手段の共有)なのか?

自動運転車

Googleの自動運転車のうちの1台が、最近これまでで最も損傷の大きな自動運転者衝突事故の1つに巻き込まれた。これは自動運転車のせいではなく、側方から赤信号で突っ込んできた別の人間の運転する車が、自動運転車の側面に衝突し、エアバッグが動作したというものだ。しかし、このシナリオは車自身がどのように避ければよいかを知らないものだった。

ドライバが運転を引き継ぎブレーキを踏んだが、衝突を回避するには遅すぎた。

自動運転車は、一旦広く受け入れられてしまえば、人間が運転するする車よりも遥かに安全になると思われるが、まだ人間が路上で運転している状況の中で本当により安全でいられるのだろうか?どのように複雑でとらえどころのない「人間要素」を考慮すれば良いのだろうか?

これは私たちに疑問をもたらす:この状況の中に保険が持ち込まれたらどうなるのか?自動運転車が通過する前の6秒の間前方の信号は緑だった、にもかかわらず側面からぶつけられてしまった。

自動運転車産業は今後20年間で飛躍的に成長すると予測されており、保険会社も一緒に泳ぐことを学ぶ必要がある。さもなければ沈んでしまう。

自動車保険は、長期的にだけでなく、近い将来この差し迫った技術に適応しなければならない。。自動運転車は事故を9割減らすことを期待されている一方、米国人の81パーセントは自分で運転するよりも、自動運転車の方が安全だろうと感じている。もしそのように感じているのなら、ドライバー達はその技術に喜んでより多くのお金を支払うだろうか?Volvoは最近、彼らの自動運転技術は、既存の車に1万ドルほどの上乗せが必要になると発表している。

消費者のためらいやその他の法的障壁によって、自動運転車が完全に採用されるまでには、何十年もかかるだろう。その結果、保険会社が計画を練る必要のある、より切迫した移行期間が出現するだろう。その移行期間の間、自動運転車と人間の運転する車が入り混じって路上に存在しているのだ。

自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

自動運転車が一般に普及していくにつれ、大衆がテクノロジーに適応していく過程で「人間要素」が関係する事故が出現するだろう。保険会社は短期的には、こうしたタイプの衝突をカバーする必要がある。おそらくGoogleの自動運転車の事故のようなものを。将来的には、保障しなければならない新しいリスクも出現するだろう。センサーの損傷、衛星の故障、その他の新しいテクノロジーなどだ。

おそらく、保険は無過失保険の形式になるだろう、そこではどちらの側も過失を問われず、それぞれの車のオーナーの保険がそれぞれの車両をカバーすることになる。あるいは、保険は走行距離や使用形態に基づくプレミアムコストの乗った、光熱費のような基本コストになるかもしれない。自動運転車のハッキングあるいは、サイバーセキュリティ上のリスクも考えられる。保険会社はサイバーセキュリティ問題をカバーするのか、あるいは製造者がその責任を負うのか?

 これらの疑問に対する答は、今全て決めることはできないが、保険会社はこのパラダイムシフトに早いうちに対応する必要に迫られることになるだろう。火災、動物、洪水、盗難、地震、破壊行為のための包括的なカバレッジは依然として必要で、そうした保険の種類は、費用の調整を除いて、大きく変更する必要はないだろう。

交通インフラストラクチャは、自動運転車が容易に利用可能になるにつれ変化することが期待される、そしてこれは保険が運用されるやり方にも影響を与えるだろう。現在は、すべての道路がきれいで目に見える道路ラインと共に、平らに舗装されているわけではない。雪やその他の気象条件ではどうだろうか?自動運転車が、完全にラインが引かれ、地図に掲載された道だけではなく、何処でも行けるようになるまでには、あとどれ位かかるのだろう?自動運転車がSAE Level 5に相当する完全自動に達するまでには、まだ長い時間がかかるだろう。しかし、一旦そのレベルに達したならば(そしてもし安全性に関する主張が正しいとするなら)、保険のコストはおそらくドライバと保険会社の両者に対して安くなるだろう。

共有モビリティ

車は95パーセントの時間を駐車状態で過ごしている。そのため、および利便性の理由で、相乗りサービスが近年爆発的に増えている、その結果とても利益率が高く革新的な産業が生まれている。Uberは現在ほぼ630億ドルと評価され、Lyftも最近記録的な成長を見せている。車の共有モビリティはこの先、相乗りサービス(1台の車に乗り合いで複数の人が乗る)を通して成長することが期待されているが、同時にカーシェアリング(1台の車を時間差で複数の運転手が利用する)を通しての成長も期待されている。

複数のドライバが同じ車両へのアクセス行うカーシェアリングは、おそらく今後数年の間に人気が高まるだろう。MavenZipcarのような、ドライバーと空き車両をマッチングするサービスは、成長を続けると思われる。何故なら競争と経済規模が成長していくからだ。顧客のセグメントに焦点をあてた共有モビリティがより多くの場所で提供されるにつれて、より多くの移動ニーズが満たされるようになる。時間が経つにつれて、各家庭での車両所有の必要性は減っていくだろう;この結果、これまで複数の車を持っていた家庭も、1台だけの車で済ませるようになるだろう。最終的に、人びとは全く車を所有しない決定をするようになるかもしれない。

共有モビリティはいつかは自動運転車とオーバーラップする点が出てくると思われるが、一方車の所有権が変化することにより、保険産業に異なる影響を与えるようになるだろう。

共有モビリティは、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる。車は頻繁に使用すると、より早く磨耗し、複数のドライバーが使うことにより、より多くの事故に遭うかもしれない。保険会社は、同一世帯や家族に属しておらず、またいつでも同じ車を運転するとは限らない複数のドライバをカバーするように適応する必要がある。

その結果、保険がカバーする範囲は、使い方に基づく保険(どのような運転をするかによって支払いを決める)を伴わせた運転習慣により焦点を当てたものになるか、運転距離に連動したものに基づくものになるだろう。MetroMileのような企業は既にこのモデルを利用していて、カーシェアリングの成長と共に人気も高まろうとしている。あなたの車が駐車されているいる間にも保険料を払う代わりに、運転した距離に応じて保険料を払うのだ。

遠隔通信デバイスがより正確かつリアルタイムに、誰が車両を運転していて、どれほど安全なドライバーなのかを検知できるようになるにつれ、共有モビリティの世界でインシュアランステックが大きな役割を果すようになるだろう。

自動運転車あるいは共有モビリティ?

共有モビリティが、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる一方で、自動運転車は確実に保険業界全体により大きなインパクトを与える。自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

とはいうものの、この2つはある時点でオーバーラップすることになる。自動運転機能は相乗りサービスの中に組み入れ続けられ、やがて最終的にはカーシェアリング業界でも実現されるだろう。この時点で、2つのセクタは衝突し、保険は新しく登場するリスクに適合を続けることになる。自動運転車と共有モビリティは保険産業に破壊と革新を迫るだろう。あとは時間の問題なのだ。

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(翻訳:Sako)