韓国がグーグルに罰金194億円、OSで支配的地位を乱用

韓国公正取引委員会(KFTC)は現地時間9月14日、Android(アンドロイド)オペレーティングシステム(OS)マーケットで支配的な地位を乱用したとしてGoogle(グーグル)に1億7700万ドル(約194億円)の罰金を科したと発表した

韓国公取の声明によると、Googleはanti-fragmentation agreements(AFA、反フラグメンテーション協定)を通じてSamsung Electronics(サムスン電子)やLG Electronics(LGエレクトロニクス)など韓国のスマホメーカーがAndroid OSをカスタマイズするのを禁じることで市場の競争を制限した。

AFAでは、スマホデベロッパーはAndroidの修正版である「Androidフォーク」をインストールしたり開発したりすることは許されない。

韓国公取はGoogle LLC、Google Asia Pacific、Google Koreaが韓国のスマホデベロッパーにAFA締結を課すことを禁じ、既存バージョンの詳細を変更するよう命じた。この新たな措置はモバイル端末だけでなく、スマートウォッチやテレビなどAndroidで駆動する他のスマートデバイスにも適用される。

Androidの互換性プログラムは韓国のモバイルオペレーターオーナーとソフトウェア開発者でのイノベーションを促進し、韓国の消費者のより良いユーザーエクスペリエンスにつながった、とGoogleは声明文で述べた。「今日発表されたKFTCの判断はこうした恩恵を無視していて、消費者が享受しているメリットを過小評価しています。当社はKFTCの命令に対し控訴します」と同社の広報担当は述べている。

反競争の慣行をめぐって2016年7月からGoogleを調査していた、と韓国公取の広報担当は話した。

KFTCの発表によると、中国を除く世界のモバイルOSマーケットにおけるGoogleのシェアは2010年の38%から2019年には97.7%に拡大した。

GoogleのAFAはまた、同社のOSを使っているスマートウォッチやテレビといったテック企業の新デバイスの発売も制限してきた。ここには2013年のSamsungのスマートウォッチ、2018年のLG ElectronicsのLTEスマートスピーカー、2018年のAmazon(アマゾン)のスマートテレビなどが含まれる。

韓国の監視当局はPlay Storeアプリマーケットや請求システム、広告マーケットなどでも調査している。

一方、同国の放送通信委員会のプレスリリースによると「反グーグル法」は9月14日に施行された

韓国では8月下旬に、GoogleやAppleなどグローバルなテック企業がアプリ開発者に対して占有のアプリ内決済サービスの使用と手数料を強要することを禁じる法案が成立している

関連記事:世界初、韓国がグーグルとアップルのアプリ内課金手数料を抑制する「反グーグル法」可決

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

EUがAmazonに過去最大約971億円の罰金、ターゲット広告目的で顧客データを使用

ルクセンブルグのデータ保護当局National Commission for Data Protection(CNPD)は、ターゲット広告目的で顧客データを使用していたとして、Amazon(アマゾン)に対しGDPR(一般データ保護規則)の罰金として過去最大の7億4600万ユーロ(約971億円)を科した。

Amazonはこの決定を米国時間7月30日にSEC(米証券取引所)に提出した書類の中で明らかにした。その中で同社は、決定は根拠がないと批判し、また「この問題について強力に」異議を唱える意向も示した。

「顧客情報のセキュリティと信頼の維持は最優先事項です」とAmazonの広報担当は声明で述べた。「データ流出はなく、顧客データがサードパーティに漏えいしたこともありません。こうした事実は明白です」。

「当社はCNPDの決定に強く抗議します。そして控訴するつもりです。当社が顧客にどのように関連広告を表示していたかに関する決定は、欧州プライバシー法の主観的、かつ立証されていない解釈に基づいています。また示された罰金の額は、そうした解釈にすらもまったく見合っていません」。

今回の罰金は、プライバシー権を主張するフランスのグループLa Quadrature du Netによる2018年の訴えの結果だ。同グループは、政治的あるいは商業目的で行動を不正操作するために欧州人のデータがテック大企業によって使われることがないよう、多くの人の利益を代表していると主張する。Apple、Facebook、Google、LinkedInもターゲットにし、1万人超を代表して苦情を申し立てた同グループは、顧客がどの広告と情報を受け取るかを選ぶことでAmazonは商業目的のために顧客をコントロールしたと主張している。

La Quadrature du Netは「最悪の事態を懸念した3年間の沈黙の後に出された」CNPDの罰金の決定を歓迎した。

「我々のプライバシーと自由意思の搾取に基づく経済的支配のモデルは大いに規則に反しており、我々の民主的社会が擁護を主張するあらゆる価値観に背いています」と7月30日のブログ投稿で述べた

CNPDはまた、Amazonに商慣行の見直しも求めた。しかし、当局はこの決定について公にしておらず、Amazonもどのような商慣行の改善が求められているのか具体的に示さなかった。

GDPRに違反したとしてGoogleが2019年に科された5000万ユーロ(約65億円)を超える過去最大の罰金は、Amazonの欧州事業に厳しい目が向けられている中でのものだ。2020年11月に欧州委員会は、Amazonのプラットフォームを使っているサードパーティの事業者との競争で自社の立場を悪用したとして、Amazonに対し正式に独禁法違反を指摘した。と同時に、欧州委員会は自社サイトやパートナーのサイトでの自社プロダクトの優遇措置の疑いでAmazonに対する2つめの調査を開始した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:EUAmazonGDPR罰金広告プライバシー個人情報データ保護

画像クレジット:Natasha Lomas

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

有権者へのスパムメール送信で英首相ボリス・ジョンソン氏の保守党に罰金

英国の政権与党である保守党がスパムメールを送信したとして、国のデータ保護監視機関から1万ポンド(約156万円)の罰金を科せられた。

情報委員会(ICO)は、Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相の名前で送信された迷惑なマーケティングメールを受け取った51人の受信者からの苦情をきっかけに調査を行い、保守党に制裁措置を取った。

問題のメールは、ジョンソン氏が党首に選出された後(つまり英国首相になった後)の2019年7月の8日間に送信され、受信者を保守党への入党サイトに誘導し、リンクをクリックするよう促すものだった。

英国では、ダイレクトマーケティングはPECR(Privacy and Electronic Communications Regulations)で規制されている。デジタルマーケティングのメールを配信する際、送信者は個人の同意を得ることが義務付けられている。

だがICOの調査によると、保守党にはPECRに関するポリシーがなく、自分たちの「正当な利益」がこの種のダイレクトマーケティングの送信に関する法の要請を上回るという誤った前提のもとで運営されていたようだ。

また、同党はバルクメールのプロバイダーを変更していた。その際、配信停止の記録が失われたようだ。だがもちろん、それは法律違反の言い訳にはならない。特に2018年にEU一般データ保護規則が国内法に移行されてからは、記録保持は英国のデータ保護法の中核的な要件となっている。ICOは、保守党が自身の何が悪かったのかについて、適切に説明できなかったことを明らかにした。

さらに、保守党がスパムメールを送信していた当時、ICOがいう「詳細な関与」が行われていたことも明らかになった。

これは、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルを受け、オンライン政治広告のエコシステムと倫理を調査するために規制当局が行った広範な活動の結果だ。保守党はすでに、データ保護法とプライバシー法の遵守に関する基準が不適切だと警告されていた。だが党はとにかく人々にスパムメールを送り続けた。

ボリス・ジョンソン氏からのスパムメールに関して、個々の受信者からICOに寄せられた苦情は「たった」51件だったが、ICOは、保守党が2019年7月24日から31日の間に送信した100万通以上(119万280通)のダイレクトマーケティングメールについて、適切な同意を得ていたと十分に証明できなかったと判断した(ICOは、党員以外に送られた少なくとも54万9030通は、51人の苦情申立者に送られたメールで確認されたのと同じコンプライアンス上の問題を抱えている可能性が「本質的に高い」との見解を示した)。

さらに党は、2019年の総選挙(冬の投票でジョンソンが地滑り的に過半数の80議席を獲得した)を前に、スパムエンジンを止めず、法律を軽視し続けていた。

「委員による調査期間中、党は2019年の総選挙キャンペーン中に大規模なダイレクトマーケティングメールの実施を進め、約2300万通のメールを送信した」とICOは指摘している。「これにより、委員へさらに95件の苦情が寄せられた。これは、2019年7月の電子メールキャンペーンに関する委員の調査や、党の個人データの処理に関する広範な監査で確認されたコンプライアンス上の問題に、党が対処しなかったことに起因すると考えられる」。

報告書には、保守党が情報提供や説明に応じる際の「大幅な遅延」についても記されている。党が調査を妨害したとは認められなかったものの、規制当局はその行為が「罪を緩和する要因になるとは言えない」と述べている。

ICOの処分は、ボリス・ジョンソン氏率いる英保守党にとっては恥ずべきものだ。しかし、2020年ICOが発表した英国の主要政党を対象としたデータ監査では、すべての政党が有権者情報の取り扱いと保護に問題があるとされた。

だが、保守党が前回の選挙で権力を握ることができたのは、オンライン上の人々のデータとプライバシーに対する同党の迅速かつ甘い態度があったからに他ならない。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:英国スパムメールボリス・ジョンソン罰金

画像クレジット:Christof Schmitt / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi