IoTの衛星ネットワーク接続を低価格で提供するSkyloが約113億円調達

来るべき宇宙経済における最大のチャンスのひとつは、成長し続ける通信衛星群が可能にした新たな接続性を、地球上のモノや企業に役立てることだ。米国時間1月21日、1億300万ドル(約113億円)のシリーズBラウンドを発表しステルス状態を脱したスタートアップのSkyloは、そのチャンスを手頃な価格で可能にしようとする一社だ。

今回の調達ラウンドによって、Skyloの調達額はシリーズAの1400万ドル(約15億4000万円)と合わせて1億1600万ドル(約128億円円)になった。最新ラウンドをリードしたのはソフトバンクグループ(現在、複雑な事情を抱えている)で、既存出資者のDCMおよびEric Schmidt(エリック・シュミット)氏のInnovation Endeavorsも参加した。Skyloのビジネスは、基本的にモノのインターネット(IoT)デバイス(センサー、工業機器、輸送ハードウェアなど)をセルラーベースの狭帯域IoTプロトコルで衛星ネットワークに接続することにある。現在、同社のネットワークはすでに静止衛星上でも展開されているため、特別な技術を使って新たな衛星を待つことなく顧客はデバイスを接続できる。

Skyloは商用パートナーとの実運用テストを完了しており、漁業、海運業、自動車などの民間企業と政府関係団体がパートナーになっている。同社が主張する既存ソリューションに対する利点は、接続にかかる費用が1件最低1ドル(約110円)からハードウェアは100ドル(約1万1000円)以下という低価格で、現在市場にある衛星を利用したIoT接続と比べて最大95%のコスト削減になると同社はいう。

専用ハードウェアのSkylo Hubは一種の衛星ターミナルとして静止衛星と接続して「ホットスポット」になり、一般的なIoTセンサーやデバイスが利用できる。大きさは約20 ×20 cmで、バッテリーまたはAC電源で動作し、顧客は特別な知識がなくても設置できる。

同社は2017年にCEOのParth Trivedi(パルス・トリベディ)氏とCTOのAndrew Nuttall(アンドリュー・ナタール)博士、およびチーフ・ハブ・アーキテクトのAndrew Kalman(アンドリュー・カルマン)博士が設立した。トリベディ氏はMITの航空宇宙工学出身で、ナタール氏はスタンフォード大学で航空工学博士号を取得、カルマン氏はスタンフォード大学教授で、かつて小型衛星キューブサットのスタートアップ、Pumpkin Inc.を設立した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Swarmの150個の衛星打ち上げ計画にFCCがGOサイン

Swarm Technologies(スワーム・テクノロジーズ)は、帯域幅は狭いながらも世界中のスマートデバイスを衛星を使って常時接続することを目指している。そして、同社はやっとFCC(米連邦通信委員会)から承認を得たところだ。どうやらFCCは、Swarmのサンドイッチサイズの衛星が、追跡するには小さすぎるということを、もはや心配していないようだ。

画像クレジット: Swarm Technologies

SwarmのSpaceBEE衛星は、他の手段ではオンラインにすることが面倒なデバイスへの接続を提供する小さな衛星だ。トウモロコシ畑の真ん中にある土壌モニターや、または海洋の真ん中にあるブイを考えてみてほしい。そういったものの信号は、低遅延や高帯域幅を必要としない。したがって、それらにサービスを提供する衛星の要件は、消費者向けブロードバンドの要件よりもはるかに緩いものとなる。

その結果、Swarmの衛星は小さいものになった。実際小さすぎて、追跡するのが難しく、他の衛星に対して危険なのではないかとFCCが心配するほどだった。申請時に同社に課せられた責任の一部は、それが杞憂であることを示すことだった。

FCCによる承認は、商業運用のために宇宙へ行くための許可を得るために必要な、長いプロセスのほんの1つのステップに過ぎないが、しかし大きな1歩だ。FCCは、計画されている150個の衛星、多少拡大することを決めた場合には最大600個を打ち上げる許可をSwarmに与えることに加えて、運用に必要な無線の周波数も割り当てた。もちろん必要な周波数での送信が禁止されていたら宇宙にいても役には立たない。

なお、老舗の衛星通信プロバイダーであるORBCOMM(オーブコム)は、自身に割り当てられたスペクトルの一部をSwarmが奪うことになると異議を唱えていた。FCCはそれは事実ではなく、実際にはその周波数帯における勢力を拡大しようと同社が権力闘争を仕掛けているという結論に達した。従って彼らの意見は却下された。

SpaceXもまた、Swarmが軌道上のデブリの拡散範囲を適切に考慮していなかったことを示唆するコメントを提出した(特に、衛星のアンテナをさまざまな計算に含めることを無視していると指摘した)。また、その衛星群は国際宇宙ステーション(ISS)に対してのリスクになるかもしれないとも述べた。しかし、これらの質問に対応してSwarmから提出された文書は、FCCを完全に満足させたようだ。「SwarmはSpaceXの懸念に対処するために適切な措置を講じたことが判明した」 と述べたうえで、今後提出される軌道上デブリに関する規則を遵守することを条件に彼らの申請を承認した。

かつてSwarmは、適切な承認なしにテスト衛星を打ち上げてFCCから罰金を受けたという汚点を、うまく乗り越えることができたようだ。宇宙事業に関わる煩雑な役所仕事の量は膨大であり、特に上でもおわかりのように、競合相手がそれに対して努力を重ねているときには、その規則に対して抵触してしまうことは珍しいことではない。

ようやく書類が整ったので、Swarmは年内に衛星群全体を軌道に乗せる予定である。

「FCCによる、Swarmへの周波数と打ち上げの承認は、弊社にとって大きなマイルストーンです。Swarmはいまや、全世界を覆う衛星群によるデータコミュニケーションマーケットに、2020年末までに一番乗りを果たす準備が整いました」とTechCrunchに声明で語るのは、CEOで共同創業者のSara Spangelo(サラ・スパンジェロ)氏だ。

「これは、衛星業界、宇宙における米国のイノベーション、そして世界中の多数のIoT顧客にとって重要な瞬間です。Swarmはそれらに双方向データサービスをサポートできることにとても興奮しています」とCTOで共同創業者のBen Longmier(ベン・ロングマイア)氏が付け加えた。

スパンジェロ氏とロングマイア氏は今月初めのTechCrunch Disruptに参加し、スパンジェロ氏はBessemer Venture PartnersのTess Hatch(テス・ハッチ)氏やOneWeb CEOのAdrian Steckel(エイドリアン・ステッケル)と共に、私がモデレーターを務めたパネルに登壇した。そこで私たちは、新しい宇宙経済に関連するさまざまなトピックについての対話した。もしそうしたビジネス参入に興味があるならば、下の動画は興味深いものだろう。

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(翻訳:sako)