ソフトバンクなどからの追加資金を確保できずOneWebが破産を申請

TechCrunchが得た情報によると、衛星コンステレーションによるブロードバンド事業者のOneWebは、米国時間3月27日にも、米国で破産保護の申請を行うことになる。既存の投資家であるソフトバンクからも含めて、新たな資金の確保に失敗した結果だ。Financial Timesも、独自の複数の情報源に基づき、同社が資金確保に失敗したことを、同日レポートしている。TechCrunchの情報源によれば、OneWebは、ほとんどの社員をレイオフすることにしており、1つのチームだけを残して、すでに打ち上げて宇宙空間にある衛星の運用を続けるという。

OneWebは、今回の報道についてプレスリリースで認めた。それによると「COVID-19の拡散による市場の混乱」が、資金確保失敗の原因だったという。「私たちは、あらゆる場所であらゆる人たちをつなぐという私たちの使命の、社会的および経済的な価値を確信し続けています」と同社CEOのAdrian Steckel(エイドリアン・ステッケル)氏は述べている。

OneWebは、2012年にWorldVu Satellitesという名前で創立。ブロードバンドインターネットを実現する低軌道衛星コンステレーションの構築を目指していた。それにより、現状の地上のネットワークではカバーしきれないような遠隔地や、アクセスが難しい地域も含めて、地上のユーザーに安価なインターネット接続を提供しようというものだった。

2020年3月初め、BloombergはOneWebが他の選択肢も検討しつつ、破産保護の申請を検討していることをレポートしていた。他の選択肢の1つというのは、新たな資金調達ラウンドのことだ。およそ20億ドル(約2158億円)の確保を目標としていた。同社はこれまでに、複数のラウンドを通して合計30億ドル(約3237億円)を調達している。2019年と2016年に、それぞれ13億ドル(約1403億円)と12億ドル(約1295億円)のラウンドを実現していた。どちらも主要な投資家はソフトバンクグループだった。

OneWebは、3月の初めに打ち上げを成功させ、軌道上にある衛星の総数を74としていた。その後同社は、先週のTechCrunchの記事でレポートしているように、レイオフによって人員の数を10%ほど削減していた。

この最新の動きは、OneWebが現金を確保し続けるために、他のすべてのオプションを使い尽くしてしまったことを基本的に示すものだ。実際、計画していたような頻繁な打ち上げペースを維持するには、相当な準備金を必要としていた。その計画では最終的に650以上の衛星を打ち上げて、地球全域をカバーできるサービスを提供することになっていた。ソフトバンクが投資家として身を引くと、埋め合わせが難しい大きな穴を残してしまうことになる。WeWorkなど巨額の投資額に対して得られるリターンが少なく同社に苦境をもたらしている案件もあるため、ソフトバンクは実際に、いくつかの注目度の高い投資から身を引こうとしている。

OneWebの資金繰りの厳しさに、進行中の新型コロナウイルスのパンデミックに揺れる世界情勢が追い打ちをかけた形だ。複数のレポートによると、少なくとも一部の投資家は、より保守的なアプローチをとっているという。伝統的な手段によって、より多くの投資を確保することは、これまでよりもずっと実現困難になっているという指摘もある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

北極圏での100Mbps衛星ブロードバンド接続に世界初成功

小型衛星のスタートアップであるKeplerは、これまで衛星によるブロードバンド接続としては誰も成し得なかったことに成功した。北極圏での高帯域幅接続だ。Keplerのナノ衛星は、ドイツの砕氷船に対して100Mbps超のネットワーク接続速度を達成するデモに成功した。この砕氷船は、MOSAiCの研究遠征の移動研究室として機能している。

画像クレジット:Stephan Hendricks

Keplerによれば、北極圏中央部の地上で高帯域幅の衛星ネットワークが利用できるようになったのは今回が初めてだという。また今回の接続は、単なる技術的なデモではなく、実際にMOSAiCチームの研究者が利用している。同チームには、数百人のメンバーがいて、船と陸地にある基地との間でデータをやり取りしている。この高速接続によって、チームが収集する大量のデータの処理に関して、あらゆる面が改善される。

バルクデータ転送は、北極や南極における科学探査にとって長年の課題だった。そうした場所では、地上波による高帯域ネットワークを利用するのは現実的ではなく、従来の衛星ベースのネットワークでは極地に対して、そのような速度での接続を実現することができなかった。Keplerは、極軌道上にある2機の低高度地球周回衛星を使って極地に対して独自のサービスを提供している。つまり、気候変動の影響について現場で研究する科学者にとってうってつけのサービスというわけだ。そうした研究は、気候変動の影響が最も深刻に、かつ早期に現れやすい極地において、多くの専門分野にまたがるチームによって実施されている。

砕氷船ともなっている調査船上で、Keplerは下りは38Mbps、上りは120Mbpsのリンクを実現した。これは偶然にもGoogleが最高品質のStadiaゲームストリーミング用として推奨している最大スペックを上回っている。ただし、これは科学のためのものであってゲーム用ではない。お間違えのないように。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)