FTCと米司法省が自動発信の勧誘電話スパム「ロボコール」に厳罰

米政府はインターネットを利用して勧誘電話を無差別に発信するロボコーラーに対して厳しく臨んでいる。膨大なスパム通話をかけていた疑いがある会社、個人に対し100件近い法的措置が取られた。

これはOperation Call It Quits(これで止めろ作戦)と名付けられ、FTC(連邦通信委員会)は4件(うち2件は司法省が代理)の訴追を行い、3件については和解した。こうした会社や個人は10億回以上の違法なロボコールを発信していたとされる

州政府と地方自治体のいくつかも同様の措置を取ったと発表している。

毎年、何十億回ものロボコールにより大勢の消費者が電話を取らされている。迷惑くらいで済めばまだいいが、金を騙し取られたりインチキ商品を買わされたりする被害者も多数出ている。これまでのところFTCはロボーコーラーに総額2億ドルの罰金を課しているが、執行力の不足により、実際に徴収できたのはわずか6790ドル、0.01%に過ぎない

しかし今回の新たな作戦により、FTCはロボコーラー業界に強い警告のメッセージを送った。

FTCの消費者保護局の責任者、Andrew Smith氏は「(ロボコーラーに)米国人は我慢の限界に来ている。司法省と共同してこうした違法行為を一掃することはFTCの法執行において高い優先順位にある」と述べた。

FTCは5月にも数十億回のスパム通話を発信したロボーコーラー4社に対して今回同様の厳しい措置を取っている。FTCによればこれまでに摘発された業者は145社に上るという。

FTCは「クレジットカード金利を低くすることができる」と消費者に対してウソをついていた会社を含め、いくつかのロボコールを廃止に追い込んだ。これらの業者をターゲットとするに当たっては内容の悪質さを判斷した。他の件も不正な方法で金儲けを企んだ容疑だという。

Lifewatchも取り締まりの対象に含まれている。同社は医療アラートシステムを消費者に売り込んでいたが、FTCでは受信者に受話器を取らせるために発信者の身元情報を偽造していた疑いがあるとしている。同社は2530万ドルの制裁金を支払う条件で和解した。Redwood Scientificの和解金は1820万ドルだが、現在相手側の経済状態により支払われていない。FTCによれば歯科医療関係の商品を「消費者に誤信を与えるような方法で」マーケティングしていた。

ロボコールの流行はまずテレコムやインターネットを管轄するFCC(連邦通信委員会)の注意を引いた。先月FCCは電話キャリアが現在より容易にロボコールをブロックできるようにする新規則を提案した。ロボコールから自衛する方法についてはこちらの記事(英語)で詳しく紹介している。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】上のリンク先記事でWhittacker記者はキャリアや公的な消費者保護機関に連絡するほか、ブロックアプリを使う(アプリ自身がプライバシー情報リークの原因になる可能性がある)、デバイスの設定でブロック機能を使う(モグラ叩きになる)などを勧めている。日本でもインターネット電話の普及とともにロボコールが問題となっているが、上記記事程度の対策以外に決め手がないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ロボットを使った詐欺広告業者の業務は止められるが、その罰が非道さに見合わない現実

ロボットコーラー(ロボットを使い広告電話をかける業者)との戦いは始まったばかりであり、規制当局の対応は速いものとはいえない。だがこのたび連邦取引委員会(FTC)は数十億回にも達する望まない電話を行ってきた、数社の主要業者の営業を停止させた。それらのものの一部はさらに詐欺行為も行っていた。しかし、このケースで回収できる罰金は驚くほど少ない。だがそれには理由がある。

米国時間3月26日の発表で、FTCは4つの業者の業務を停止したことを述べている。NetDotSolutionsは、カスタム大量ダイヤルプラットフォームを使ってあらゆる種類のマーケティングを行った。Higher Goals Marketingは、偽りの債務救済を約束した。Pointbreak Mediaは、支払いをしないとGoogle検索結果に出ないようにすると企業を脅迫していた。Veterans of America(別名Saving Our Soldiers、あるいはAct of Valor)の創業者Travis Deloy Petersonには、地獄で特別席が用意されるにちがいない。獣医師たちに車両を寄付するという名目で人びとに詐欺を働いたのだ。

彼ら全員を合わせた電話回数はこれまでに合計20億回ほどに及んでいる、これは毎月50億回以上電話が行われている現在の状況の中では、それほど多いものには思えないかもしれないが、今は僅かな減少だけでも有り難いのだ。

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私たちにとってそれほどうれしくないのは、今回課されるペナルティの規模だ。今回の事案では合計2400万ドルの罰金裁定が下されたが、実際に詐欺師たちが支払う金額はおよそ3〜400万ドル程度になるだろう。500万ドルを超える額の裁定を受けた詐欺師の1人はたった1万8332ドルを払っただけで支払いを保留している。しかもこの金は彼が新品のベンツを売り払った代金なのだ。

私はFTCのスポークスマンに対して何故そうなるのかと尋ねた。彼らは、裁定額は本質的に消費者への害の程度によって決まる上限であると説明したが、ほとんどの場合、被告たちはそうした上限に近い現金もしくは資産を持っていない。回収できるのは彼らが持っているだけの資産であり、しばしばそれはそれほど大きな金額ではない。

特にフロリダ州で、彼らは活動を行っていたが、当地のHomestead規則に従えば、その家を罰金の不足額を埋めるために差し押さえることはできない。すなわちフロリダ州を拠点とするロボットコール詐欺師たちは、1000万ドルを稼いでもそれをすべて自宅につぎ込んでおけば、FTCもしくは他の執行機関が来た際に、自分には何の資産もないと言い張ることが可能なのだ。これは、実際にフロリダ人である上記の「私は18軒の豪邸と2017年型のメルセデスCLSしか持っていない」人物に当てはまるケースだと思われる。

FTCは、被告の資産を調査してリストアップするために多大な努力を払っているものの、そこにないものを押さえることはできない。Dishのような大企業の場合には、昨年裁定が下された1億8000万ドルは、最終的に全額支払われることになるかもしれない。しかし個人や零細で夜逃げをしかねない会社の場合はそうした資産を突き止めることはかなり困難である。

それでも、執行機関は被害を受けた消費者に返すために、かなりの量の現金を集めるので、ここでも同じような措置はとられるだろう。だが、単に電話がかかってきて迷惑しているというだけでは、10セントさえも受け取ることはできない。それがこれらの会社の1つからの電話であり、実際に詐欺を働いた、あるいは詐欺を働こうとしたことを示す必要がある。

さらに重要なことは、問題を起こした人物と企業は直ちに業務停止させられ、関係した人びとは再びこのようなことをすることを禁じられるということだ。消費者救済がFTCの目標であり、もし彼らが訴訟を起こすことを選択していた場合には、解決には数年かかる可能性があっただろう。その場合には企業とコールネットワークは運営が続き、法に反する秘密のレイヤーが形成されていたことだろう。

FTCのサイトに行けば完全なリリース文書と命令文書を読むことができる、だがそのことによって、こうしたろくでもない連中がのうのうと生きていることを知って、頭に血がのぼるかもしれないことは警告しておく。

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(翻訳:sako)