遺伝子組み換え微生物から新種の原料を開発するベイエリア出身のZymergenが、シリーズBでソフトバンクなどから1億3000万ドルを調達した。
この会社をご存知ない方のために説明すると、Zymergenは遺伝子を組み替えた微生物を活用して新種の原料を開発する企業だ。前回のラウンドで調達した資金では、微生物の大量生産を実現するためロボットの導入を大規模に進めていた。今回調達した資金では大規模な人員増強とビッグネーム企業との提携などを進め、さらなる規模の拡大を狙うとしている。
TechCrunchとのインタビューのなかでCEOのJohn Hoffmanは、「今回のラウンドによって人材の強化が可能になるだけでなく、さらなる顧客の獲得や長期的な視点に基づいた投資もできるようになります」と語っている。
提携予定の企業名こそ明らかにしなかったものの、それらの企業はすべてFortune 500にリストアップされているとHoffmanは話している。今後Zymergenが目指すのは、より質の高い酵母株の開発だ。これによって新種の食品やフレグランスを創りだすことが可能になるだけでなく、分子特性が限定された新しい原料を顧客企業に供給することで、製品をより安価でかつ素早く製造することが可能になる。
「私たちは実績のあるプラットフォームを構築してきました。大規模で歴史のあるFortune 500のビジネスを、大いに向上させるプラットフォームです。具体的には、売り上げが6億ドルのビジネスがあった場合、その利益率を3倍から5倍にまで伸ばすことが可能なのです」とHoffmanは語る。「Fortune 500の企業はその点にとても関心があります」。
この分野は、バイオロジーの最先端に存在する奇妙で新しい世界だ。科学者たちがマシーンや微生物を活用して次に何を生み出すのか誰にも予測できない。しかし、この分野に取り組むのはZymergenだけではない。Ginkgo BioworksやNovozymesもまた、微生物を活用することで素晴らしい原料を生み出している企業だ。ボストンを拠点とするGinkgoはより小規模のスタートアップでありながら、Zymergenが調達した金額と同規模の1億5400万ドルを調達している。Novozymesは収益10億ドルの巨大企業だ。
いずれにせよ、この新しい分野に目を輝かせるベンチャー企業や通信企業、金融機関が存在するのは事実だ。
今回のラウンドでリード投資家を務めたのはSofbankで、他にもDCVC、True Ventures、AME Cloud Ventures、DFJ、Innovation Endeavors、Obvious Venutures、Two Sigmaといった既存投資家たちが出資に参加している。また、Iconiq Capital、Prelude Ventures、Tao Capital Partnersも今回から新たに出資者の一員となった。
ソフトバンクは元LinkedInのDeep Nisharをチームに加えることをすでに決定している。彼に加え、合衆国エネルギー省とNobel laureateでキャリアを積んだDr. Steven Chuもソフトバングに加わる予定だ。
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