現代、我々が使っているモバイル機器やコンピューターシステムは、オーディオインターフェイスを接続するだけでも難解で頭が痛くなる。だが、2020年のCESでIK Multimedia(アイケー・マルチメディア)が発表し、先日発売になったiRig Pro Duo I/O(アイリグ・プロ・デュオ・アイオー)があれば、高品質の音声をどこでも録音できるようになる。あらゆるデバイスで使用できる柔軟性があり、接続の煩わしさからも解放される(価格は199.99ドル、日本国内の価格は3万円前後)。
基本仕様
The iRig Pro Duoは、IK Multimediaのラインナップに新しく加わったiRig Proの上位機種であり、その名称からわかるように2つ目のXLR入力を備えている。それでもとても小型で持ち運びがしやすく、手の平にも乗るほどだ。電源は単三乾電池2本の内蔵式だが、USBまたは別売りの専用ACアダプターも利用できる。
ホームオーディオ愛好家の間でスタンダードになっているScarlett Focusrite 2i2(スカーレット・フォーカスライト・ツーアイツー)などのデスクトップ型USBオーディオインターフェイスと比べると、iRig Pro Duoはものすごく小さい。もちろんiRig Proよりは大きくなるが、必要な機能や能力をすべて備えながら究極のポータブルを実現しており、モバイルポッドキャスターなら手持ち機材にぜひ加えたい理想のデバイスだ。
またiRig Pro Duoには、左右の1/4標準バランス出力、パッシブマイク用48V内蔵ファントム電源、ダイレクトモニター用3.5ミリステレオジャック、MIDI入力2系統、専用ゲインコントロール、48V電源の状態と音声入力のピークを示すシンプルなLEDインジケーターが装備されている。
デザイン
面取りがなされ、わずかに丸みを帯びた四角いボディ形状は、格調高いデザインの世界では決して大注目されるようなものではないが、この手のデバイスにすれば非常に実用的なフォームファクターだ。片側に入力、反対側に出力が配置されている。IK Multimediaは、その出力ケーブル用に特殊なコネクターを採用しているがMac、iOS、Windows、Androidとの接続に必要なものは、すべて同梱されている。
そのすべてを収めるケースは、表面がわずかにゴム加工されたツヤ消しになっており、握った感触がよく耐久性もある。地味な外観も補助装置として相応の好ましい仕上がりだ。大きめのツマミは回しやすく、微調整もしやすい。底面にはパッドが付いていて、テーブルやカウンターの上に置いても滑りにくくなっている。
インジケーターの光り方は、システムに何が接続され、どのような作業をしているかを簡潔に表示するという意味で大変に効率的にできているが、例えばデバイス上のオーディオレベルなどをより細かく表示してくれたらもっとよかった。それでも十分に仕事はしてくれる。もっともデジタルオーディオのワークフローに組み込んで使うことが多いわけだから、細かい視覚情報は他の装置で確認できる。だからあまり問題にはならない。
結論
前述のとおり、iRig Pro Duoは箱から出してすぐに実質的にあらゆるプラットフォームに接続できる。また、そのすべてに物理的に確実に接続できるケーブルも揃っている。さらにIK Multimediaからは、すべてのプラットフォームごとの無料のDAWソフトウェアとエフェクトが提供されている。ただしソフトウェアはユーザー1人につき1つと限定されているので、どのプラットフォームを使うかをあらかじめ決めておくことが大切だ。
もしあなたが楽曲のレコーディングや、ひとり語りまたはインタビュー形式のポッドキャストの録音用に簡単で、手間のかからない、万能なセットアップを探しているなら、これは基本的に思い付く限り欲しい機能のチェックボックスをすべて埋めてくれる候補のひとつとなる。
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)