スマートフォン時代にGoogle検索は不要?よりコンパクト化される情報サイズと、これからの検索の課題

土居です。僕の最近の情報収集源として大活躍のNewsPicksさんで話題になっていたテーマについて書いてみようかなと。あんまり検索に関わる人たちの目には触れていなかったみたいですが。

スマホ時代はGoogle検索が激減する:「コンテンツの面白さ」だけが評価される時代に!

誤解なきようにお伝えしますと全体の傾向としての話や記事の大半については同意できることもありますので反論・否定といった意図ではなく、個人的な見解とポジショントークをふんだんに交えつつ、引用させて頂きながら補足解説を出来ればなといった意図です。

スマホでは検索されない?

パソコンを利用して仕事をする人が多いでしょうから実感は薄いかもしれませんが、移動中や自宅などでスマホを利用している時にGoogle検索(いわゆるググる)を利用することは少なくないでしょうか?

色々なサイトの流入を見ていまると感じることが出来ると思いますが、スマホの検索母数自体は減ってはいない、まだ増えているようにも思います、これはスマホ自体の普及が進んでいることに起因すると考えれば自然でしょう。
(※これ、日本とかグローバルでの検索数推移の公式データってなかったでしたっけ汗)

一方でPCの検索は既に頭打ちから微減、これも時代の流れとして必然でしょう。

全体的には検索は徐々に上限値に漸近しつつも数年は増加傾向と思います(ユーザーの母数自体が増えてますからね)。

スマホの場合はアプリが中心になりますので検索する(ググる)ことが減ります。

検索の絶対数というよりも「ネット閲覧行動全体に対する検索行動の割合」は微減傾向が進むでしょう、という観点では同意ですが、絶対数はまだまだ微増傾向でしょうね。つまり「ネット閲覧行動全体におけるGoogleへの依存度が”割合として”下がっている」というのが正しい表現でしょうね。途端につまんない主張になりますけど。

ユーザーが情報を受け取る手段が多様化しているのは確実ですが、こちらから情報を取得する、という方法についてはGoogleは依然として健在、今のところ完全な代替手段は出てきていない状態ではあると思います。

Googleとしては直近でスマホでの検索頻度をあげるためには音声検索の普及は必須の取り組みとも言えそうです。音声検索に対応できるよう”会話型の検索クエリ”への対応強化(昨年秋の”ハミングバード”とかはそれですね)も行っているのですが、音声検索の普及はまだまだ追い付いていないため、そこまでのインパクトは今のところ見えていないように思います。

閲覧デバイスの変化

スマートフォン…77%、タブレット…6%、パソコン…17%、つまり「パソコン以外が83%」になり、今後この流れはもっと加速するでしょう。ちなみに当サイトの「検索流入」はGoogle、Yahoo!合わせて約40%ですが、読者にスマホ利用者が圧倒的に多いことを考えると、占める割合としては「まだ多い方」です。

こちらは記事で指摘されている通り、全体として確実にスマホに流れています。ただしビジネス向けの商用サイトなど特殊なケースではこんな感じ(下図)で未だに大半がデスクトップだったりもします。

デスクトップ77%、モバイル21%、タブレット2%を示すGoogleアナリティクスのデータ

「(自然)検索流入は結果として得られる」ものと考える

検索流入は「結果として得られるもの」ぐらいに考え、SEOにかけていた時間、費用、思考を向けるべき先は一点だけです。

こちらも半分くらいは同意です。これは「検索エンジンを根拠にサイトを運営しない」という前回の記事で書いたことにも通じます。

ただしビジネスのジャンルによっては検索が圧倒的優位なジャンルが多々ありまして。情報特性によっては情報設計やプロモーション戦略の中でSEO要件を優先しないと大変な目に合いますというのは補足しておきます。

ストックされ、後に検索され得る情報でしたら、是非その辺りも考慮して検索しやすい状態にしておくことは、後に検索して情報を探されているユーザーにとっても、もちろんサイト運営者にとっても有益なことと思います。

この辺りは特に一般的な内容として語る内容ではないかもしれません。ネット時代に時代遅れだとはずっと言われつつも、実際にはテレアポや訪問販売という営業手法が未だ有効な業態だってあるわけですしね。

(3~4年前は「これからは検索じゃなくてソーシャルだ」ってみなさん騒いでましたが、蓋を明けてみるとソーシャルメディアを上手に活用してグロースできたというサイトのほうが逆に珍しいのではないでしょうか。)

人を呼べるコンテンツが重要

まとめ:今後は「人を呼びこめる面白いコンテンツを作れるか?」の勝負となり、メディア格差が生まれる

検索を考慮するにせよ考慮しないにせよ、コンテンツ提供側としてはこれはもう”単なる前提”でしかありません。

それを前提として、その情報はどういう人にどういう形でリーチするべきか、或いは探されるべきか、という点を主軸に考えるべきです。それがもし継続的に検索されるタイプの情報なのであれば、その導線を作っておくことビジネス上必須の課題になるでしょう。

PVが多くても検索流入が多ければ、もっとおもしろい独自のコンテンツを考えるべき

全ての情報がフロー情報として流れていくわけではありませんし受動的に発見されるコンテンツなのか能動的に探索されるコンテンツなのかの違いで優先すべきチャネルは大きく変わります。面白い面白くないだけの価値観で判断すべき問題ではありません。

どちらにせよ情報過多の時代、それでも敢えて閲覧される価値のないコンテンツはいずれインターネットの中から淘汰され埋もれていくのは間違いありません。もちろん検索結果においても同じことが言える流れになってきています。

「検索流入は結果として得られるもの」のスタンスで、全リソースをコンテンツの質に向けるべき

質を高める工夫をするはもちろんですが、コンテンツの質を高めることだけではなく、そのコンテンツをプロモーションしていくこと、どちらも重要です。良い製品があれば売れるはずです、はマーケティングとはいえません。

コンパクト化される情報サイズ

さて、ここからはこの記事独自の話として。閲覧デバイスがスマホに寄ってきている中で、今後はスマホ向けに最適化されたコンテンツが更に多く作られる時代になるのも間違いありません。

コンパクト化される情報サイズ

一つの大きな課題として、情報がPC向けに作られてPCで閲覧されるという時代が終わり、モバイル端末向けの情報サイズを前提に設計をされるコンテンツの割合が急増している時代です。この流れはもう止まらないでしょう。

例えば、冒頭で紹介したようなNewsPicksの連載記事を見ていても、確実に情報サイズはスマートデバイス向けに最適化されている用に思えます。「あっさりしすぎて物足りない」というコメントもちらほら見かけますし。

PCで3000文字の記事を読むのはさほど苦痛ではなくても、移動中にスマホで3000文字ガッツリ読みたいという人はそんなにいないのではないでしょうか。

スマホ閲覧におけるUXと検索エンジン最適化のバランス

Googleが依然としてデスクトップ向けコンテンツをもとにインデックス(検索対象のデータベース)を形成していることはご存知の方もいらっしゃると思いますが、「より信頼できる、有益な情報を提示する」という観点からすれば、多くのクエリではやはり重厚長大なコンテンツが検索結果において未だ優位です。

しかしコンパクトでスピーディな情報収集を求めているスマートフォンユーザーにとってそうした重厚長大なコンテンツは時に検索体験を損ねる要因にもなるでしょうし、このあたりはサイト運営者にとってはもちろん、Googleにとっても課題になってくるのではないかなと感じています。

生産されるコンテンツと、発見されるコンテンツが不釣り合いに成り得るからです。

今のところスマートフォン向けに最適化されたコンテンツを限定したインデックスは存在していませんしその予定があるとも思えませんが、このあたりのバランスは確かに悩ましいところですね。

少なくともコンテンツ提供者側が検索流入をある程度考慮されるのであれば、コンテンツの情報量や品質は保ちつつも、スマートデバイス向けには「コンパクトな見せ方をする」などの工夫をする必要があります。

総じて

なんか結論のない記事で申し訳ありませんが、どちらにせよ多様なデバイス、多様なチャネルでコンテンツが発見される時代になっているということは、少なくとも「検索にヒットしなければ世界に存在しないのと同じです」みたいな10年前のような時代と比べて情報発信側としては歓迎すべきなのは確かですよね。

しかし、マルチチャネル・マルチデバイスを前提とすればコンテンツを作る際にもそれぞれへの最適化を考慮しないといけないわけですし、SEOに関わる人が対応していかないといけないこともどんどん増えてしまいますね。

個人的に最近思うこととしては、アルゴリズムの変更とかそういう話は、日常的な実務においてはもちろん大きな影響ある場合もありますけど、PC→スマホ、Web→アプリ、検索→??みたいな大きな環境の変化という中で考えると結構スモールな話だなと感じることはありますね。

検索の未来としては、「わざわざ検索しなくても情報が受け取れる検索サービス」みたいな感じでしょうか??人工知能なんかも力を入れていますし。そういう時代の”SEO”は更に楽しそうです。

「SEOに優れたサイト」と、「上手なSEOを行っているサイト」は全然違うという話

土居です。今月は色々あって(ないですけど)更新が滞っておりました。

さて突然ですが、自社で運営しているApplivっていうメディアがありまして。2012年のリリースから2年もたち(マジか)、少しずつ知名度が出て参りまして、一般ユーザー以外でもアプリ業界の方々とSEOに関する方々にもたまに見てもらう機会はあるのではないかなと思います。

それなりにランキングも付いているように見えるからか「ApplivのSEO良いですね」的なことを言われるケースも出てきておりまして、それについて色々思うところを書きます。

ApplivのSEOって普通のことをやってるだけ

結論としては、自分が言うのもなんですけど、ていうかDVD売ったりしていながらアレなんですけど、そんな特別優れているわけじゃないですよ。むしろ「特別なことをやらなくてもできるSEO」を一生懸命やってきたつもりです。

もちろんその分、参考にして頂けることもそれなりにはあるとは思っておりますが「SEOに優れているサイトの代名詞」とは程遠いものという認識でいます。

誤解を生まないために:SEOは上手にできてると思います

誤解を生みそうなので予め弁解しておくと、あのサイトのSEOはうまい事やっているほうだと思っていますし、今のところ、自然検索トラフィックを中心にPVも収益も良い感じに伸びています。検索結果においても全体的には良いポジションです。

少なくともはアプリ系の検索ではおそらく国内ではかなり高いポジションにいるサイトの1つだと思いますし、日常的にアプリを検索サービスを使って探す方には高確率で見てもらえる機会があるサイトだとは思います。

SEOが上手い、とSEOに優れている、というのはちょっと違う

しかしSEOをうまい事やってる」のと「SEOに優れている」というのは個人的には別ものだと思っておりまして、今のApplivの場合は前者という感じなのですね。

※どんな事やっているの、の詳細はこちらのDVDで語っていますので是非買って下さい。
【DVD】Web担当者のためのSEOノウハウセミナー ~広告を一切使わず1年で1000万PVのメディアを作る方法~

ApplivのSEOの核となっているもの

今のApplivのSEOの核は、「スマホアプリの情報を網羅して、探しやすいように整理して掲載する」ことです。逆に言えば大半の検索トラフィックはこれを日々繰り返しているだけで獲得しているものとも言えます。

あとはクローラビリティだとか内部リンクだとかっていうところとか、あとはテンプレート毎にどうテキスト吐くかとかそのくらいで、サイトのSEO要件のお話ですので決して”核”ではありません。

“機能”や”特徴”は何の差別化でもない

ここがけっこう勘違いされがちなのですが。

カテゴリ切り分けてる、内部リンク頑張ってるとかを挙げる方もいらっしゃるかと思いますがそれはぶっちゃけやろうと思えば誰でもできるので何の差別化でもなく、サイトの仕様です。

それらはSEOやユーザビリティといった点で良いこともあるのかもしれませんが、他に真似できない強みかと言われれば決してそうではありません。それは強みでも差別化でもありません。

ApplivのSEOにおける強みって?

現時点評価では、これまでの運用実績がほぼ全てだと思います。

  • 社内のライターさんや編集スタッフが頑張ってレビューコンテンツをためてきたこと
  • レビューを掲載して紹介していく中で多くのアプリ開発者さんや広告代理店さん、メディアさんとのアカウントを築けたこと
  • 彼らと関係を築いていく過程で数多くのリンクをもらえてきたこと。
  • 次第に一般ユーザーに知ってもらう機会も増えて、少しずつサイトの認知が広まってきたこと
  • 結果として定常的に自然リンクを集められるサイトになったこと

このように、企画や運営の地道な活動に、いわゆる検索エンジン最適化の視点をアドオンしたオペレーションを取り入れることで、初めてSEOの有機的なサイクルが回っているのですね。

参考:SEOで月間1000万PVを集めたサイトの「SEOノウハウ」を公開します

これは「SEOのやり方を知っている」だけでは同じことは出来ないことだと思うのでその辺のSEO屋さんで同じことやろうとしてもそんなに簡単にはできないでしょう。

ここの部分がうちの媒体の今のところの強みというか、同じことやろうとした人が簡単にマネできない点であって、それはSEOの最新テクニックとかなんとか言われるような胡散臭いものでは決してありません。

検索エンジンの仕様を根拠にサイト運営しない

繰り返しですがSEOに強いメディア、というのを事業にしているのではなくて、事業を営む上で行われる様々な活動の中にSEOの戦略を組み込むことによって、それが結果的に検索トラフィックに転換されるように設計しているのです。インハウスSEOの基本はここにあると思います。

一昔前「SEOしないことがSEO」という禅問答のようなフレーズがちょっと流行りましたが、「検索エンジンの今の仕組みをサイト運営の根拠にしない」はやっぱり大切です。その上でもちろんSEOはちゃんとしますけど。

事業としてSEOに注力するのであればこうしたことは常に念頭においておきたいものです。

「独自の付加価値を持った情報」が重要な理由

よく言われる話ですが、「独自の情報」と「独自の付加価値を持った情報」は異なります。前者はただ独自性があるだけですが、後者はそれがどれだけ良いものなのですか、ということです。

Googleのような検索サービスはもともとユーザーが(自分にとって価値ある)情報を発見するために利用されるサービスです。

もちろん現時点では、独自の情報を持たないWebサイトこそ検索結果からおおよそ姿を消しつつありますが、一方で本当に価値のある情報を持っているWebサイトが必ずしも優先表示されるような性能では今のところありません。

しかし、Googleの性能が向上すればするほど、ユーザーは求める情報にダイレクトに辿り着ける確率が高くなるはずです。

従って「情報を見つけるためのサイト」の色が強いサイトは将来的にはGoogleの検索結果における価値を失っていくことになり、その一方で、独自の付加価値を持つ情報を多く保有するサイトこそSEOにおける優位性を獲得してくるようになるでしょう。

今すぐの話では到底なさそうですが、そう遠くない将来、ここから何もしなければApplivも他人ごとではありませんし、他の縦型検索系媒体も同じような課題に直面することになると思います。

「検索結果に優先表示される理由」を持っているサイトこそ、SEOに優れているサイトだと思う

結論というか、今回の記事で言いたいことはここで、皆さんに強く意識されたいポイントです。

今は何かしらの方法で大量のデータを集めて、それらをコンテンツとして一度にWebに公開してインデックスさせることが比較的容易にできてしまう時代です。

それを分かりやすく整理して掲載してあげることで、それらしきサイトの体裁が成り立ちます。テーマにもよりますが、その上である程度のプロモーションを行っていけばそうしたページが検索にヒットすることも出てくるでしょう。

でもそれでは決して十分ではないはずです。何故ならばそのサイトは「多くのコンテンツをWebに掲載している」だけで、「自分たちで価値ある情報を生み出している」わけではないためです。

それであれば「他のサイトで良いじゃない」とか「Googleが検索結果で直接提示してあげれば良いじゃない」ってことになってしまいますね。検索結果にそのサイトが提示されなくても困る人はほとんどいないでしょうし。

結論としては、検索結果に他のサイトより優先して表示される理由を生み出すこと、それがSEOの基本であり、同時に奥義となり得ると思っております。そういう理由をたくさん有しているサイトこそ、「SEOに優れたサイト」と言えるのではないでしょうか。

もちろんまだまだテクニカルな対処で改善させられることはたくさんあるのですけど、SEOのテクニックというのは、あくまでも保有している情報の価値が前提にあって、それを最大限活かすためのテクニックですので。

まとめ

とりあえず今後Applivはどのような施策を打つのですか、ということについては僕がここで語ることではないので割愛しますけど、まぁ色々試行錯誤しながらきちんと今よりも独自の価値を持つサービスとして成長できるように頑張っていっている感じです(多分)。

少なくとも「検索したらよく見かけるサイトを作る」をゴールにするつもりはありませんので、そのあたりは是非温かく見守っていて頂けると幸いです。
(勝手に色々話しましたけどまぁ外からみて分かる人には分かってる情報だと思いますので大丈夫でしょう。)

“成果報酬SEO対策”のビジネスモデルの良し悪しと、これからの形

「成果報酬SEO」「成果報酬SEO対策」とかって昔からランクチェックしてるキーワードを、数年前にサービスメニューから外してここ何年か圏外にあるのがなんか気持ち悪かったのでその辺のワードでひっかかるように記事を書きます。公開から3日経って1ページ目にひっかからなかったらこの一文は恥ずかしいので消します。

成果報酬型のSEOサービスの特徴

検索結果に掲載されるランキングにもとづいて報酬が決められるタイプの契約条件です。順位が上がらなければお金はかからない、順位が上がった分だけお金がかかる、という、「このワードで上位表示したいです」というニーズを持った人にしてみたら普通に考えてこれ以上ないくらいに理にかなったサービス形態でしょう。

一般的に提供されるサービス内容

基本的には内的なチューニングを行った上でリンクによる上位表示を行うことが一般的です。多くの事業者では1KWのみの受注は行わず、周辺の掛けあわせKWなどを合わせて受注して、なるべく最低限は報酬が発生する条件を保ちます。

「1KWだけじゃなくて、色々複合語も対策しておくとCVにつながりやすくなりますよ」「1キーワードだけに焦点あてるより、複合語も含めて対策したほうが逆に上がりやすくなりますよ」「複数やれば単価下げますよ」ということでまあそれっぽい理屈は通ります。

もちろん大規模なサイトでも成果報酬型でやってる場合はあって、数百キーワードとか数千キーワードをキーワード毎に低単価で成果報酬として、上限額を設けて受注する感じでしょうか。

1ワードあたりだいたい数千円~数万円で、全部1位とかになると報酬額が数百万とか千万とかになってしまうので、それを上限200万円でカットするとか。最近はあんまりこういうのはそんなに多くないと思いますので今回の話題の対象からは外します。

成果報酬というメリット

さて、成果報酬とか成功報酬とかいうのは聞こえが良いだけではなく、普通にそれがSEOのサービスとして成立するのであれば、この上なくビジネス的には合理的なモデルだと思っています。

営業活動上のメリット

受注ハードルは低い

「上がるまでお金かかりません」なので初めてSEO会社に依頼する人とかSEOについてそこまで知らない担当者の方でも非常に導入ハードル低く始められます。

営業マンのSEOスキル教育をそこまでしなくて良い

こういうこと言うと怒られるかもしれませんが普通にそう思います。基本的には「SEOで何が重要か」「サービス内容とその価値」「他社はどういうことしてるか」「実績」「料金など諸条件」とかその辺がちゃんと語れれば相手を間違えなければ売れます。

つまりそんなにSEO詳しくなくても売れます。そのため何も知らない人でも売れてしまうという怖さもあります。しかもリンクで上がる時代はそれで十分まともな効果出ていました。

売るのは割と簡単、上げるのも割と簡単、それが拡大した結果が2000年代中盤~後半の上位表示至上主義のSEOビジネスだと勝手に思っています。世間的な需要の盛り上がりに対して、参入障壁があまりに低すぎたんだと思います。

裏方に回れるので代理店拡販がしやすいし、代理店も成果報酬だと売りやすい

リンク中心のSEOビジネスの一番のメリットって、誰でも売れるしどんなサイトにも(顧客を選ばずとも)業務を遂行できることです。コンサルティングは多くの場合、裏方ではあんまり上手く行きません(僕らが不器用なだけかもしれません)。

販売力はあるけど専門チームを持っていないとかリソースがないという企業からすれば、そういう会社が裏方に回ってくれれば、こんなに手軽に売れて粗利確保できる商売もなかったわけですね。

代理店も成果報酬という形態であれば顧客に提案することに大きなリスクを取らなくて良いという考えのもと、積極的に販売してくれたりします。

運用上のメリット

ほとんどの業務を標準化できる

初期の内的チューニングと継続的な顧客サポートを除いては基本的にはリンクの設置とメンテナンスが運用業務の大半を占めるようになります。

ですのでほとんどが自動化、或いは管理者の指導やマニュアル化によりアルバイトとか新人社員などのオペレーターで運用可能なレベルになりますので、標準化を突き詰めることでコストダウンが可能です。

また、同じ理由から、全体的な運用規模が大きくなったとしても業務拡大は比較的用意です。

クライアントに実務力やリテラシーをそこまで求めなくて良い

コンサルティングとかホワイトハットとかそういうのをやろうとすると、基本的には相手がある程度のWebやSEOの理解がある、あるいは知識はなくてもやっていくだけの意欲がある、というのが最低限の条件になります。そうでないところに売り込むとお互い不幸になります。

リンク中心、かつ成果報酬ということであれば、「全部任せるから、やってよ」でも仕事ができますし、クライアントからすれば、業者に任せたら勝手に順位があがったよ、上がるまでは一円もかからなかったよ、ってことで良いことだけです。

報酬体系上、クレームにはなりにくい

かかるのはお金だけではなくて時間による機会損失とかそういうのもありますので、単純にそうとは言い切れませんけど、ただ「上がるまでは業者側も請求できないから」というのは多くの人が納得できる理屈ですのでそういう意味では防衛線になるとは思います。

案件単位ではなくて共通のインフラに一定の投資を行える

リンクビジネスの場合、営業関係の人件費とか広告宣伝費などの販管費は別として、純粋な原価となるものは何かといいますと、

リンクベンダーを使わず自社で内製する場合
  • リンク掲載用サイトを管理するための管理システムの構築&メンテナンス(※)
  • ドメインを買ってサーバーを借りたりする
  • サイトに掲載するコンテンツ用のテキスト
  • レポートや報告書等を作る
  • お客さんの対応をする

※:さすがに全部ベタで作らないでしょうしリンク一括削除とかも出来ないと大変ですし

リンクベンダーのリソースを仕入れている場合

単純に仕入れとして原価が発生します。レポート作ったりを自社でやるならその分の工数も原価となります。自社が成果報酬で販売するのであれば仕入れ先にも同様に成果報酬で依頼するか、固定費の代わりにめちゃくちゃ安くしてもらうかどちらかです。

 

大きくはこのあたりが原価になりますが、このように一定のインフラ投資を行い、一定の営業獲得コストで案件が取得できれば、あとは上がるキーワードが上がってそれを維持できれば投資した分を回収できる、という非常に分かりやすく優秀なビジネスモデルだと思います。

今でこそ、リンクに対しては結構気を使って運用しないといけなかったのですが、昔はほとんどが「色んなクライアントのリンクが共用で掲載されている」形式でしたので、そういう場合、一定のリンク用インフラを構築したら、それを最大まで稼働させていくことで相当な利益を取れていたはずです。

共用のリンクでいくらでも上げられた時代はSEOの営業利益率60%とか70%なんてのはザラだったと色んな人から聞きます。もちろんPL見たわけじゃないのでどこまで本当か知らないですけど。

成果報酬というスタイルのデメリット

もちろん良いことばかりではないのですね。というかそれですべてが上手くいくならみんなそうするのですがそうしないのは「上がらない」とかそういうレベルじゃなくて色々な問題があるわけです。

どちらかが損をする場合も多い、というか報酬の妥当性とか成果ポイントってそこだけ?という議論

依頼者が損をする場合

そこまで難易度の高くないワードであれば、指定ワードの上位表示ってタイトルタグのチューニングくらいで達成されることも多くあるとは思っております。しかし、掲載順位をもとに報酬が決まるということであれば、期間内の報酬はその掲載順位に従って支払う必要があります。何をしているかではなくて何位になっているかで報酬が決まるということの発注者側のデメリットはこういうところでしょうか。

あとは何ヶ月もずーっと上位表示が出来ていなくて今後もすぐには出来そうになくて、報酬発生していない状態で十分なサポートをとかいってもなかなか動きにくいのも業者側の事情としてはあり得るかなと思います。

SEO業者が損をする場合

逆に、どれだけ周辺KWでのランク改善やコンバージョン数の改善が起きていたとしても、特定ワード以外の成果は報酬には反映されません。

ランキングが上がって一定の成果報酬が安定して発生しているので、成果報酬だけどそういうとこまで真面目にやってますという会社さんはそういう場合は損します。

(というかそういう会社はおそらく成果報酬というスタイルをあまり取らないと思いますけど。)

もっと妥当な”成果”ポイントはないものか、とか考えたとしても、目に見えるSEOの改善というのを直接的に反映させるのが検索結果上のランキングだったりしますので、

トラフィックとかCV数とか言っても「これ厳密にどこまでがSEO会社の成果か難しいよね」「仮に他のプロモーションの影響でオーガニック経由CV伸びても成果報酬になるのってなんか違うよね」っていうことでだいたい話が合うことは多くありません。

お互いに結果的に損すること

「このキーワードの順位が上がる以外は割とどうでもいい」という割り切りを持って臨むのなら良いと思うのです。でももしそうでないのであれば、着眼点を必要以上に狭めることになるだけなのです。

そのキーワードの順位に直接的に関わること以外をどうでもよいとするのであれば、SEOとして行うべき施策の大半は価値のない施策となります。業者側も、報酬をもらうことを優先して考えないと商売になりませんので、見るべき視点もその周辺のみに絞られてしまいます。

するとそこで関わる人材が得られるスキルや蓄積される知見も限られます。だから何年やっても上位表示すること以外のスキルが上がらないのですね。そしてリンク使って上位表示できるできないの知見は、その1年後に使えるスキルでない可能性も高いのです。

結果としてそういう担当者とやり取りしていてもクライアント側が得られる知見は限られてしまいます。そしてその知識が正しいものという保証はどこにもありません。その場合、そこで費やした時間とお金は投資ではなくて浪費になります。

成果報酬SEOのこれから

成果報酬、とか成功報酬、とかいうのは単なる報酬条件でしかありませんので今も昔も今後もないわけですが、リンク中心の上位表示SEOが衰退するのに伴い、成果報酬型のSEOビジネスは衰退していくというのは断言できます。

あくまでも顧客にとって採算の取れ得る報酬の範囲内で単価を調整し、上位表示型SEOをビジネスとして成立させるだけのリンク用インフラの開発・運用コストは高まる一方で、更に上位表示達成率や安定性が劇的に改善することは時代の流れからほぼ見込めません。どんどんコストは膨れ上がり、売上期待値が下がるわけです。

作ったはいいけどリンク用サイトのインデックスがゴソっと消されたり、既存のリンク運用システムがあまり成果に貢献しないので一定期間で入れ替える、パターン検出のリスクヘッジとして新しいタイプのものを構築していく、など皆さんが思う以上に結構色んなコストかかるわけですね。

基本的にはGoogleはもうリンク単位ではなくてネットワーク単位でつぶしに来ますので、その検出を避けながら構築・運用しないといけないのです。外から見ている以上にめちゃくちゃ大変です。

「順位による成果報酬」というビジネスは、ほとんどの場合、リンクを駆使してある程度の上位表示成功率が維持できる前提で成り立つサービスです。昔と今は状況が違います。よほど顧客を選ばない限り、あるいは誰かに嫌われる覚悟で営業しないは上手くいかないでしょう。

上位表示が達成できない、達成しても維持できない、その場合は報酬も維持できず顧客も維持できません。どんどん受注単位のLTVが下がるわけですね。

その結果、金額や条件をよほど業者側の都合に合わせて設定しない限りは、徐々に投資回収率80%とか60%とかそれ以下の投資をし続けることになっていきます。それはパチンコとか競馬よりよほど回収期待値は低い投資です。ビジネスとして採算が取れなくなってくるので、何かしら方針を変更するなどの必要が出てくると思います。

では、どう変化していくか

「構築型」のリンクビジネスへの移行

分かりやすいリンクビジネスの移行形態はいわゆる「構築型」とか呼ばれるものです(呼ばれてるのかな?)。このサイトにリンクするために何サイト作って何リンクずつ貼っていくから1サイトあたりいくら下さい、みたいなのをパッケージなりオンデマンドで提供するようなタイプです。

リンク構築するのにかかるコストが一定でかかるので、価格設定もある程度明確にできますが、成果報酬というスタイルは逆に一定コストが確定してしまう分やりにくいです。とはいっても数年前から既にこういう形のものは多くありまして、別に新しいカタチというよりも今では割と標準的なスタイルだと思います。

ある程度コストを許容できるのであれば、大規模にリンクネットワークを展開しないのですぐにペナルティ受けないようにやることはやり方によっては今でもぶっちゃけ可能だと思います。他クライアントとの乗り合いとか量産型ネットワークはさすがにもう厳しいでしょう。

結局は「コスト合えば」というところが一番のネックかなと。で、もっと言えば、企業サイトの場合は普通にリンク集めた方がてっとりばやいですよ、という機会は多いと思います。少なくとも僕が運営者ならよほど厳しいジャンルじゃなかったら買いません。

コンサルティング系サービスへの移行

リンク中心でなくなる以上は、SEOを事業としてやるのであればリンク以外で頑張るしかありません。そうするとおのずとコンサルティングスタイルになるわけですが、そうすると特定キーワードの上位表示による成果報酬というのは業者側の都合でやりたくありません。

リンク以外でSEOやろうとすると、基本的には特定ワードの上位表示以外にやらないといけないことが腐るほどあるからです。逆に言えば、大半の業務はそのキーワードの上位表示に直接的に関わる業務と異なるところにあります。そのため、先ほどお伝えした通りに発注者、業者のどちらかが理不尽な損をしない着地点を決めるのが難しかったりします。

こうした理由で成果報酬は基本的にはあまり妥当ではないですしコンサルティングで成果報酬ってあんまり聞かないですね。条件がほんとにバチッと合うならそれでも良いでしょうけど、お互いに企業としてかなりのコミットをする前提でないとそれはやるべきではないと思います。

ただ成果報酬とかそういう以前に、リンク中心でずっとやってきた人たちがこちらに移行するのは、色々な問題があってとても大変です。移行というかもはや完全に別事業です。なので一部そういう要素を取り入れつつ、薄めていきながら教育しながら採用頑張りながら売上の移行を頑張るということです。ぶっちゃけ大変です。

以上、特に結論も何もありませんが、経験談も含めてお届けしました。

国内の検索エンジンとSEOの歴史を振り返る

地方で大学生活を送っているうちの内定者の佐々木君(平成生まれ)に、お勉強がてらインターネット黎明期の検索エンジン事情などについて色々調べてまとめてもらいました。

今や人々のライフスタイルの一部として当たり前となっている検索エンジンですが、今回は少し振り返ってその歴史やSEOの移り変わりについてまとめました。

SEOと日本の検索エンジン

SEOとは「Search Engine Optimization:検索エンジン最適化」ですので、検索エンジンの仕組みの変化に伴い、最適化の方法も変化します。

例えば、以下の大手の検索エンジン(Google、Yahoo!JAPAN、MSNjapan(Bing)、goo)に対して、シークレットモードで「SEO」と検索してみると、

SEO(google)
図1.Googleによる「SEO」の検索結果

SEO(yahoo)
図2.Yahoo!JAPANによる「SEO」の検索結果

SEO(Bing)
図3.Bingによる「SEO」の検索結果

SEO(goo)
図4.gooによる「SEO」の検索結果

見づらいと思いますがGoogle、Yahoo!JAPAN、gooの検索結果がほぼ同じ結果となっています。これは、Yahoo!JAPANとgooの裏側でGoogleの検索システムが動いているためです。つまり、現在はBingなどを除き、ほとんどの日本国内の検索はGoogleのシステムによって処理されているのです(BingはMicroSoftの自社開発の検索エンジンです)。

しかし、インターネット黎明期と言われていた2000年前後などでは、今とは全く状況が違いました。ここからはその歴史について振り返っていこうと思います。

検索エンジンの歴史

主な検索エンジンの登場年表

表1. 1990年代の検索エンジンの歴史
1990年代の検索エンジン年表

この年代はあれやあれやと新しい検索エンジンが登場しています。(オレンジで記載しているのが相当)そんな中、Yahoo!JAPANの登場によって日本国内はそれ一色でした。僕が初めて見たOSはWindows98で当時保育園の年長でしたが、トップページはYahoo!JAPANしか見た覚えがありません。

編集者注:↑衝撃

2000年に差し掛かってくると検索エンジンに初めから他社のものを採用したポータルサイトが出現してきます。(緑で記載しているのが相当)
では次に2000年以降はというと、、

表2. 2000年以降の検索エンジンの歴史
2000年代の検索エンジンの歴史

2000~2005年あたりで買収が盛んになってきます(青で記載しているのが相当)。2001年のYahoo!JAPANがロボット型検索エンジンにGoogleを採用した事によってGoogleの知名度は上昇していきます。そして米Yahoo!が独自のロボット型検索エンジンを開発したのが2004年、Yahoo!JAPANがGoogleと提携するのが2010年です。当時からSEOに関わっていた方々からすると、この統合は非常に大きな変化であったと思います。

※出典

検索エンジンの群雄割拠からGoogleが首位を勝ち取るまで

1990年代年代後半は、Webサイトの爆発的な増加に伴い多くの検索エンジンが登場するまさに群雄割拠の時代でした。

Googleが出る以前は検索エンジンサービスを持つ会社のサイト又は、他の企業の検索エンジンを採用して立ち上げたサイトはポータルサイトとしてのサービスが主流で、そこには検索窓以外にも多くのコンテンツ(天気、メール、ニュース、広告など)を含む様になりました。

中でも、前述の通り日本においては1996年に登場した「Yahoo!JAPAN」が主流となります。

yahoo!1997
1997年のYahoo!JAPAN( 出典:Yahoo! JAPANのトップページザイン15年史 )

当時の検索エンジンは決して性能が良いとは言えませんでした。

人気のYahoo!JAPANはディレクトリ型検索エンジンを採用していた為、予め登録しておかないとそもそもサイトが表示すらされないし、検索してもユーザーの求めている情報とは異なったものを表示させています(これには最適化の手法に関する問題があるのですが、最適化については後述します)。

それでも当時はインターネットなんて馴染みが無かったのでトップ画面上に表示された豊富な情報量に感激し、「検索」はあくまでサブの機能でYahoo!JAPANも検索エンジンを重要視していない状況だった事もあり、「検索結果に悩まされる」という人は少数だったのではないかと予測出来ます。

そんな中、Googleがリリースしたサイトは検索窓のみ、広告も無しといった極めてシンプルなものでした。

google_1997
1998年に米Googleがリリースした検索サイトページ( 出典:Google.com 1997-2011)

え、なにこれ?って当時の人は思ったのではないでしょうか?GoogleのWebサイトを開いても何もコンテンツが無い、質素な検索窓のみです。コンテンツが満載だったポータルサイトの利用者からすると、何の面白味もないサービスだと感じた方も多かったのではないかと思います。

しかし、Googleの検索エンジンは

  • ユーザーの検索ニーズにより応えれる独自のロボット型検索エンジン技術
  • 価値のあるサイトか否かを指標付けするページランクの導入

という他の検索エンジンには無い価値により、次第に多くの人がGoogleの検索エンジンを好んで使う様になります。

そして2000年にはGoogle日本語版が上陸し、2001年にはYahoo!JAPANの検索エンジンに採用され、どんどん知名度を上げていきます。

google2000
2000年のGoogle検索サイトページ( 出典:Google.com 1997-2011)

しかし、Googleも検索エンジンを世に送り出した当初は殆ど収益性がありませんでした。そんな中、1998年に米Yahoo!が考え出した検索連動型広告を参考に2001年にリリースした「Google Adwords」が、多くのユーザーが使っているGoogleに広告を出稿する事への価値を高める効果を発揮し、ここからGoogleは多額の広告収入を得る様になります。

その他、Googleは

  • Google AdSense
  • Google drive
  • gmaiL
  • Googleカレンダー
  • Google Web Designer
  • Googleアナリティクス
  • Googleウェブマスターツール

こうした仕組みやツールを世に出しさらに多くの利用者を集め、急速にシェアを拡大してきました。その結果、日本だけでなく、実質現状としてはGoogleが世界の検索エンジン市場の大半を占めています。

最近ではGoogleの検索エンジンのアルゴリズムが変更されたという情報に対して多くのメディアや業者が敏感になっています。他の検索エンジンの内容が変わってもほとんどと言っていい程、問題視されていません。それだけSEOにとってもGoogleの変更は多大な影響を与えるということです。

Googleの近年の検索エンジンアルゴリズムの変更内容に関しては、以下のサイトが(英文ですが)見やすいので興味のある方はご覧下さい。
Google Algorithm Tiemline

Yahoo!JAPAN以前の検索エンジン

少し余談ですが、Yahoo!JAPANが日本に登場する前にも日本に検索エンジンは存在していました。

senrigan
出典:Google以前の検索エンジン

こちらは早稲田大学村岡研究室の学生であった田村健人さんが1994年11月に立ち上げた国内初のロボット型検索エンジン「千里眼」です。独特なデザインのアイコンが目に止まります。

この千里眼は検索の対象が.jpをドメインに持つWebサイトのみでした。Yahoo!JAPANを始めとするポータルサイトに需要を奪われて最終的に1999年にサービスは終了してしまいますが、千里眼にはサイトにリンクしているページ(=被リンク元)を表示させる機能がありました。

今でこそフリーソフトで被リンク元を調べる事も出来ますが、当時の検索エンジンで被リンク元を調べれるというのは画期的だったのではないでしょうか?

※出典

日本のSEOの歴史

1990年代後半(Google登場前)

さて本題となるSEOの歴史ですが、SEOという言葉そのものは検索エンジンがWebサイトを認識した瞬間から始まっています。

インターネットの世界が始まると、Webサイトの持ち主は自身のサイトに検索エンジンを通じてのアクセス数が増加した事により、オーガニック検索の価値を高く評価する様になりました。

1990年代後半になりWebサイトの数が爆発的に増加してからはより一層、どうしたら自分のWebサイトが検索エンジンにとって最適になるのかを考える様になります。そこに対して、Webサイトを上位表示させる為に必要な技術や知識が求められるようになり、それが現在でいうSEOということですね。

リリース当時のYahoo!JAPANはディレクトリ型検索エンジンが主流で、Yahoo!JAPANにサイトを登録する必要がありその審査は厳選されていた為、個人規模のサイトが検索結果に反映される事はあまり無かった様です。

1998年には検索エンジンにロボット型の「goo」を採用しますが、1990年代後半時点でのSEOの手法は

  • ページの中にキーワードがいくつ含まれているか
  • サイトのページ数はどのくらいあるのか
  • HTMLの最適化が出来ているのか

といった内容でした。alt属性にキーワードを盛り込んだり、隠しテキストとしてキーワードを盛り込んだり、(内容が薄い可能性が高い)Webページを大量生産したりといった施策が頻繁に行われます。今考えればただの内的スパムです。当時は、サイトのコンテンツを充実させるとかリンクを集める、などということがなくてもちょっとした小手先のテクニックで上位表示させられる時代だったということですね。

2000年〜2010年(Google登場後)

2000年になりGoogleの検索エンジン日本に上陸してその利便性が広く浸透する様になってからはGoogleの検索エンジン導入されているページランクの判定基準である被リンクが注目される様になり、

  • 外部リンクの数を増やす
  • 質の高いサイトからリンクを貰う

といった内容がSEOの施策として注目されます。今のようにブログやTwitterをはじめとするソーシャルメディアが普及していなかった当時は自然にリンクを集めることは今に比べ難易度が高く、リンクを自前で作る為にWebサイトを大量生産するには労力的に割に合わないことなども起因となり、リンク提供型のSEOサービスの需要が2000年代後半に向け徐々に高まることになります。

SEO会社の多くはこぞってクライアントのサイトにリンクを与えて上位表示させていました。内容が伴っていないサイトであってもお金さえ払えば上位表示出来る、SEO会社もリンクを張るためのサイトさえたくさん持っていればとりあえず仕事が出来る時代と言えました。

同様に、コンテンツの品質を評価する仕組みが未発達だったことから、ただページ数だけが多いようなサイトが検索結果で多く露出されているという状況でもありました。

Googleのページランクの導入により検索結果がだいぶ改善されたとは言え、今と比べればまだまだ検索結果は粗かったと言えます。

2010年以降

Yahoo!JAPANが2010年に検索エンジンにGoogleを採用した事でSEOは事実上Googleの検索エンジン最適化とほぼ同義になりました。

編集者注:ここでは書かれていませんがそれまではシェアから考えてもYahoo!検索エンジン(YST)のSEOが主流でしたね。Yahoo!とGoogleどちらの動向も追う必要があった(しかもどちらも全然不完全で意味わかんないことも多かった、TDPとかTDPとか、、)頃に比べるとかなり最適化難易度としては易しくなっているとも感じます。

また、2011年にGoogleが行ったパンダアップデートよって低品質なコンテンツが上位表示されにくくなりました。

同様に2012年のペンギンアップデートの導入や、によるガイドライン違反に対するペナルティ対応の強化などにより、それまでのようにリンク集め

以降、SEOの手法に関しては、もちろんHTMLの最適化や被リンクは必要ですがそれよりも、本質的にユーザーにとって価値のあるサイトを作れているのかどうか、という方向性に徐々に興味がシフトしていくようになりました。

まだまだユーザーの求める情報を完璧に提供出来ているとは決して言えない状況ですが今後、よりユーザーの求めるサイトが上位表示される世の中になる事は間違いありません。

※出典※

最後に

SEOの歴史はまだ約20年と浅いものですが、スピード感のあるWeb業界においてこれからのSEOに関する環境もさらに変化していきます。

この様な時代において新しい発見や知識を得るには「温故知新」という諺がある様に歴史を知る事も必要なのかもしれません。

ヴォラーレ株式会社 佐々木

熟練のプロも答えに窮する、SEOについての究極の質問

 

「何の仕事してるの?」

 

Webの世界で「SEO」という概念や仕組みは幾分か浸透してきているとは言え、残念なことに、世間一般的なこういう仕事の認知としては非常に低いというのが現実でしょう。

そんな中、SEOを生業としている人にとって「WebやSEOについてほとんど知らない人に自分の仕事内容について一言で説明できる」ことは究極の課題の一つである、ということはSEOの経験者であればそんなに異論はないと思っています。

そこで、質問者の属性別に、どんな回答をするのがベストだろうか?を個人的な意見としてまとめました。この連休に帰省される方も多いと思いますので、何かの参考にしていただければと思います。

おばあちゃん、おじいちゃん、田舎の親戚のおじちゃん等

ここでは、普段からPCやスマートフォン、それ関連の話題に一切触れていないし知識もなければ興味関心も当然一切なし、という層という意味です。

こうした層の方には、「インターネット」も「パソコン」も「ホームページ」も「IT」も「Web」も難しそうと敬遠してきているため言葉として聞いたことがあっても、すべてほぼ同義語として扱われる傾向にあります(自分調べ)。

彼らにWorld Wide Webの概念と検索エンジンの仕組みや役割を説明してSEOという仕事について理解してもらおうとするとなると、こちらとしてもかなりの覚悟をもって、じっくり腰を据えて回答に臨む必要があります。

一方で彼らとしてもそうした話題に対しては「難しそう」というイメージが強いため、詳しい話を理解したいと思っている方はごく稀なはずです。

こうした考えを経て、あらゆる試行錯誤の末、ある意味こうする他ないという結論に達しました。

 

「パソコンの仕事。」

 

このような、この業界の全てを包み込んでくれるような優しい回答を用意しておくことで、お互いの利害が一致し、「あら難しそうな仕事してるのね、立派ね」ということで上手く着地できます。

夜の嬢の方々等

僕のパーソナリティを知っている方は既にご存知と思いますが、もともと内気で草食系、仕事一本で人間関係も不器用な人間ですので、僕個人としてそういうお店と縁が深いわけでは決してありませんが、需要としてはありそうですのでという意味で書いておきます。

彼女らは、仕事の一環としてお客さんの仕事内容を聞いたりして話を広げていくことは基本的なコミュニケーション方法の一つです。仮に興味があろうがなかろうが、なんとか話のきっかけをつかみたいというところと思います。

もちろん、最近はインターネットも普及しそういう分野の知識や興味のある人も割合増えてきたとはいえ、まだまだ全体から見れば興味津津というのは少数派です。

僕がもしそういう前提で質問をされたら、一言で答える場合の回答はこうです。

 

「ざっくり言えばIT系、その中でもWeb系、のベンチャー企業でマーケティングのコンサル、みたいな仕事してるんだよね」

 

とりあえずそれっぽい言葉を並べただけの極めてアレっぽい回答ですが、これで大体は解消できます。反応としては「よくわからないけどスゴそうだね~」が8割です(と知人から聞いています)。

ちなみに余談ですが、僕の同業者にあたる某社の某氏と先日久々にお会いしたのですが、氏曰く、

「an●nの”女性にモテる職業ランキング”の1位は広告系、2位がIT系だったんだけど、俺はIT系で広告系の仕事をしてるんだよ」的な回答をいつもしてて、これが意外にめちゃくちゃ反応いいんすよ

とのことでしたが、率直なところ、色々な意味で未だ懐疑的である、と言わざるを得ません。

Webとは違う業界で働いている同年代の友人や先輩など

Web業界ではないとは言え、インターネットを日常的に利用し、FacebookやTwitterやブログなどで自分から情報発信している人が多く、情報への感度はそれなりに高めと言えそうな層、とイメージしてください。

彼らは前提となる知識を持っているわけではないとは言え、うまく説明すればきっと理解してもらえるはずです。彼らに対して自分の仕事をきちんと説明できるかどうか、というのはSEOという仕事を世間に知ってもらうという意味でも非常に重要なことと思っています。

的確に伝えるスキルが必要なのはこのラインではないでしょうか。ざっくり言うと、こういう感じの説明を端的にします。いきなり真面目な感じですが。

 

・ざっくり言えばWebの世界で企業のマーケティングに関わる仕事

・具体的にはGoogleとかYahoo!の検索結果上でWebサイトが良いポジションに掲載されるようになるためのお手伝い

・それを有料広告ではないアプローチで実現するのがSEOという仕事

・それを実現するために必要なアドバイスを企業向けにしている

 

だいたいこういう話題で話が具体的なところまで広がることが多いわけではありませんが、割と雰囲気では理解してもらえます。

広告系の仕事、と一緒にされそうになりますが、そこは何か変なSEO人のこだわりみたいなところで「広告、というよりも技術的な側面のほうが割合多いかな」的な補足は入れたりします。

Webに関わる仕事をしている人

最後に、Webに関わる仕事をしている方であれば、大半の人はSEOという言葉について最低限の理解はあります(実務的にではなくてイメージ的な理解)。

そういう方には「SEOだよ」でだいたい通じるようになってきました。もちろん人によって知識レベルには差があるし、変な風にイメージ持ってる方も多いので、そこから先は具体的なところまでお話します。

まとめ

知識が一切ない、インターネットは利用してるがそこまで具体的なところに興味はない、業界人ではないがインターネット分野の感度もそこそこ高い、Webに関わる仕事をしている、くらいのパターン分けで解説しました。

連休前なので何か書いておこうと思ってこんな記事しか浮かばなかったのが残念ですが、参考にして頂ければと思います。それでは良い連休をお過ごしください。

ヴォラーレ株式会社 土居

Googleがアルゴリズムを変更する目的とSEOの役割

ご存じの通り、Googleというシステムには日々様々な変更が加えられています。それに伴い、SEOを行う際に気をつけた方が良いこと、逆に気にしなくて良くなったこと、なども継続的に発生し、日々の情報収集と定期的な知識のアップデートが求められることは間違いありません。

しかし、そのようにGoogleに変更が加えられること、それに伴いSEOにも変更が必要になる場合があることなどから、「SEOはGoogleとのイタチごっこ」のような偏った理解をされている方や、逆に「SEOの時代は終わった、これから必要なのはSEOではない」などの極端な解釈をされている方が多いです。

出尽くした感の否めない話題ですが、改めてそのあたりについて整理しました。

改めて、検索エンジンについて理解する

Googleという検索サービスのビジネスについて、最近東証一部に上場されたファンコミュニケーションズの柳澤社長(@ankeiy)がこれ以上ないくらい端的に表現されていたので引用させて頂きます。

 

Googleは世界中の情報をクローラーというプログラムで収集し、検索して取り出しやすいようにインデックス(索引)化し、検索キーワードが送信された際にその言葉の意味や検索の意図を理解し、ランキングアルゴリズム(≒ランキング算出ロジック)に基づき検索結果に表示する順序を決めて、それを検索結果に表示します。

ここで表示された検索結果が検索ユーザーにとって都合の良いものであればあるほどツールとしての利用価値は高いと言えますし、利用ユーザー数の獲得や利用頻度の向上につながります。

一方で、GoogleはAdWordsという広告プラットフォームを広告主に公開し、検索キーワードと関連性の高い広告を検索結果に表示できる仕組みを持っています。この広告がクリックされた時点で、Googleには広告収益が発生します。

従って、シンプルに考えてしまえば、検索ツールの利用者数や利用頻度が増えれば、総合的に検索結果に広告が表示される回数や広告クリック数が増え、結果としてGoogleの収益も増える、と言えますね。

つまりGoogleが検索ツールとしての収益を高めるためには、まず基本的な取り組みとして検索ツールの利用価値を高める、つまり「検索した人が見たい情報にすぐに辿りつける検索ツール」にするような取り組みが継続的に必要になるのです。

今のGoogleは完璧なシステムではない

前の記事の中でも触れた内容なのですが、文脈的にこちらでも引用しておきます。

不完全というのはどういう根拠のもとで言っているかと言えば、

・検索する人が検索する言葉をある程度考えて打ちこまないとうまく欲しい情報に辿りつけないことが多い
・サイトが検索エンジンが理解できるように作られていないときちんとヒットしないことが多い
・ユーザーが本来求めていないような情報が上位に表示されることが多い

などの点からです。

ということですね。

つまり、適切な検索キーワードが上手く思いつかなかったり、見たいサイトが検索エンジンにとって読み取りにくい仕様で作られていたりすればユーザーは見たい情報に辿りつけませんし、また、未だに内容として間違いだらけの情報が上位に表示されていたりもするわけです。

Googleは何のために日々の変更を行っているのか?

Googleが今の時点で理想とは言えないのであれば、当然そのギャップを埋めていくために様々な改善を加えていく必要があります。いわゆる「アルゴリズム更新」なんていうのもこの一環です。変わるのはアルゴリズムだけではなく、先ほどの

世界中の情報をクローラーというプログラムで収集し、検索して取り出しやすいようにインデックス(索引)化し、検索キーワードが送信された際にその言葉の意味や検索の意図を理解し、ランキングアルゴリズム(≒ランキング算出ロジック)に基づき検索結果に表示する順序を決めて、それを検索結果に表示する

という、一連のプロセスを実行するための仕組み全般において様々な変更が日々加えられています。実際には、これに加えて、不正な手法でランキングを操作しているサイトを人為的なオペレーションのもとでランクを下げるなどのスパム対策(手動対応)も取られたりしています。

Googleはとにかく、検索ユーザーに対してより理想に近い検索結果を返すために出来ることは何でもやろうとする、ということです。イメージとしてはこんな感じでしょうか(今やってるセミナーの資料から抜粋)。

とにかくGoogleの実情と理想がまだまだかけ離れているのでそのギャップを埋めるためにGoogleは頑張っているんですよという図です

例えばですが、昨年に実施された「ハミングバード・アップデート」について、あまりこうした話題に不慣れな方々が「ハミングバードによってリンクやSEO会社の出る幕は終わった、よりコンテンツが重要視される時代に」と言うような主旨のエントリーが書かれているのをいくらか見かけました。

しかし実際にはハミングバードとは、リンク評価やコンテンツの評価などではなく、上図で言う「検索された言葉の意味や意図をより的確に把握するため」のアップデートです。

具体的には、フレーズや言葉ではなくて、(音声検索の普及などを見越して)「会話型の検索キーワード」を今までより適切に解釈して上手く処理できるようになりました、と言った趣旨の変更でした。

では、SEOの役割とは?

Googleが検索結果の改善のために様々な取り組みを行っている一方で、ではSEOという考え方はどのような役割を果たすべきなのか?と考えてみましょう。先ほどの図の延長で見ればこういうことでしょうか。やや無理やり感がありますが。

SEOとは、検索する人が打ちこむキーワードを想定してページに反映しておく、検索エンジンが正しく理解できるようにサイトを作る、検索エンジンがユーザーに提示したいような情報を用意し、それが正しく優先表示されるようにする、など検索エンジンの実情を理解し、それでもユーザーが検索を通じてサイトに辿りつける状態にしておく、そのために必要な取り組みのことです。

Googleが、自社システムの不完全な部分を埋めるための取り組みを行っているのに対して、SEOは、現状のシステムの性能、将来的な検索エンジンの向かう先を理解をした上で、多くの検索ユーザーが検索結果を通じてサイトに辿りつける、という状態を安定して作っておくために行われるものなのです。

その中で、直接的なビジネスへの貢献度が高い(≒売上に直結しやすい)一部の商用キーワードにおいては、そのポジション争いが熾烈となり、過剰な手法を用いてランキングを上げようとする対策が蔓延しており、それがいわゆるブラックハットSEOと括られるものです。日本で「SEO」と称されているものの多くは、ここの部分を指して言われているものなのです。なので話が時折おかしな方向に行くんですね。

しかし、これは検索結果全体からみればごく一部の検索結果で苛烈に発生していることであり、大半の検索結果においてはそうしたものとはほぼ無関係です(なぜなら皆さんは普段買い物をするためだけに検索をするわけではありませんよね?)。

とにかく、SEOはGoogleの不完全さを、技術的またはマーケティング的なアプローチを以て補完し、サイトを検索から辿りつける状態にするための取り組み、と言えるものなのです。

「SEOはGoogleとのイタチごっこ」というのは本当なの?

もちろん本当ではありません。ただし、これは全くの間違いですかと言えばそうではなく、何かものすごく偏った、というかごく一部の側面だけを切り出した視点からの表現と言えます。具体的には、

  1. SEOとは、Googleの意図と関係なくランキングを操作する手法である
  2. Googleは、そうした手法を駆逐するために日々アルゴリズム変更を実施している
  3. SEOとGoolgeは、そうした意味で対立関係にあるものである

こうした偏った観点でのSEOとGoogleの考え方である、と言って良いと思います。

実際には、そもそもSEOの意図はそういうところではありませんし、Googleの変更は不正な手法の排除だけでは決してありませんし(スパム対策は検索結果の品質改善の取り組みのうちの一部でしかない)、SEOとGoogleは本来は先ほどお伝えしたように補完関係にあるはずのものです。

もともと、ちょっとしたサイトのチューニングと、人為的にリンクを増やして上位表示する、ということがSEOとして普及してきていたので、そういう視点で見るのであれば、逆にこういう表現がシックリ来るのは間違いないと思いますが。

SEOというアプローチそれ自体を見限るということは、場合によっては本来得られるべき自然検索トラフィックの多くを放棄することにもつながります。検索トラフィックはまだまだWeb全般で見たときには非常に大きなインパクトのあるものです。SEOを正しく理解し、またその重要度について正しく評価できることが重要です。

Googleは完璧な検索システムになり得るか?

まず、完璧なシステムって何よ?というとどういうことかと言えば、例えば

  • ユーザーが今欲しい情報を完璧に理解できるようになったとき
  • ユーザーと全く同じようにコンテンツを閲覧できるようになったとき
  • ユーザーが欲しい情報を有機的に判別できるようになったとき

のようなことが実現出来れば、今の発展形としてはかなり理想に近い検索ツールと言えると思います。そしてこうなれば、今のSEOノウハウなどとされているものの大半は無用の長物になっているでしょう。

しかし、完璧になる時代って訪れるんでしょうか?と言うと、少なくとも当分は訪れないと思います。少なくとも、今の「検索」という形式を取っている以上はなかなか難しいのではないでしょうか。

万人共通のベストアンサーがあるわけでもなければ、同じような情報を求めていたとしてもシチュエーションに応じて本来ベストなアンサーは異なるでしょうし、そこまで含めて全ての検索に対して常に最適解を提示できるというのはちょっと想像が出来ませんね。

Googleが多くの人に使われている中で、それが検索システムとして完璧でないのであれば、それを補完する技術としてSEOはまだまだ必要、と言えると思います。

まとめ

Googleは不完全なシステムですし、検索技術が進歩しても完璧なシステムがすぐに出来上がるわけではない以上、それを補完する(=検索サービスと、Webサイトと、検索ユーザーをつなぐ)ための技術は必要で、それがSEOです。

人々の情報探索行動の中で「検索すること」が重要なファクターである以上は、SEOは終わりませんし、変わらず重要な取り組みと言えます。それだけで物事が全て解決するわけではないというのは間違いありませんが、面倒で難しいからという理由でSEOを放棄するのはただ勿体ないとしか言いようがありません。

初心者向けの内容とは言え、ここに書かれている内容は、SEOに関わる人は全員が共通認識としてもっておいたほうが良い内容と思っています。少しでもためになったとか役に立ちそうと思った方は是非シェアなりブックマークなりして頂けると幸いです。

ヴォラーレ株式会社 土居

これからSEOを始める方に、最初に知っておいて欲しいこと

新入社員として、あるいは部署移動などをきっかけに、4月からSEOの仕事をされるという方は多いと思います。しかしSEOの仕事とひとくちに言いましても、コツさえつかめば誰もが簡単に上手くできるようになります、というほど難易度の低い仕事ではないと思っています。

まがりなりにもこの業界でSEOに関わるような仕事を始めてから5年程度たちますので、決してベテランとは言えませんがそれでもこれから同じような仕事をする人に対して色々アドバイス出来ることはあるかと思いますので書きました。

この3つを前提としておきましょう

最初は10個くらい挙げていたのですが、だいたい同じようなこと言っているなと感じたので3つにまとめました。

  • SEOでは全ての問題を解決できません
  • 今のGoogleは完全なものではありません
  • アルゴリズムが公開されなくても基本的なやるべきことは分かります

1つずつざーっと説明していきます。

SEOでは全ての問題を解決できません

SEOに過剰な期待を持ってしまったり、ある種の全能感みたいなものを持ってしまわないようにしましょう、ということです。まずは、この前提をきちんと理解することから始めます。

SEOを成功させることが、必ずしもサイトの改善にとって最短でも最善でもない場合はいくらでもあります。そういう場合には、SEOの効果を盲信してしまうことはその他の色々な可能性を狭めてしまうことに直結します。

SEOはあくまでも検索者とサイト運営者が検索結果を通じて接点を得られる機会を増やすための取り組みです。簡単に言えば検索結果での露出を高めるための取り組みです。

その視点で極端な話で言えば、サイトに掲載されている情報を誰も検索して探そうとはしていない、のであればSEOにコストをかける意味はありません

つまりは、どの程度の問題を解決できるのかと言えばサイトによって様々で、自然検索トラフィックがどの程度ビジネスにとって重要なものなのかということに依存します、ということです。

また、SEOの仕事をする人がこういう視点でしかサイトを見れないようになってしまうと、「良いサイト=SEOに優れたサイト」のような狭い価値観になります。少なくとも、依頼者の視点に立てば、そういう人に自分のWebサイトの相談をするだろうか?ということを考えてみると良いと思います。

今のGoogleは完全なものではありません

不完全というのはどういう根拠のもとで言っているかと言えば、

  • 検索する人が検索する言葉をある程度考えて打ちこまないとうまく欲しい情報に辿りつけないことが多い
  • サイトが検索エンジンが理解できるように作られていないときちんとヒットしないことが多い
  • ユーザーが本来求めていないような情報が上位に表示されることが多い

などの点からです。

日本語でくくってしまえば、Web上の情報を収集したり整理したりする仕組みの性能、検索された言葉の意図の解釈の精度、ランキング決定のためのルールの精度、などまだまだ改善されていく余地は全然ありますよね、ということです。

ユーザーが欲しいと思っているベストな情報に検索を通じて瞬時にアクセスできる、という点をひとまず検索エンジンが目指している1つの目標とするのであれば、まだまだ遠い場所にいるのかなという所感です。

しかし、ある程度色んな勉強をしたうえで、色んなキーワードでの上位表示サイトとかの分析みたいなことをやったり自分である程度思った通りの成果が出せるようになると、突然「なんかGoogleのアルゴリズム掴んじゃったかも」という感覚に襲われたりすることもあります。

これは断言できますけどその感覚は100%単なる勘違いです。全部なんて見えるわけありません。傾向とか○○の点で改善してきているとかそういうことはもちろん日々の検索結果のリサーチで把握可能なものだと思いますが。

まだシステムとして不完全なもので不具合的な要素だって検索結果には多分に含まれていて日常的に変更が加えられているアルゴリズムに、手動対応などの人的要素がそこに加わっていて、更に人的な対応のルールすら固まっていない(頻繁にルールややり方に調整が入っている)ような印象を受けています。

つまるところ、バグとか曖昧なルールとか目下改善中とか目下テスト中の項目だってたくさんあるわけで、そういう検索結果を僕らは見ているわけですね。

ちなみに、「掴んだわ」的なことを言う人、あるいは掴めるものと信じて止まない人の特徴として、Googleというシステムの未熟さには気付きつつも、一方でものすごく不変的かつある意味で完璧な何かを期待していることが多いと思います。

ただ、実際にはそういう人が思っている以上にものすごく流動的かつ曖昧な要素が多い、という前提で考えなければいけないのです。

もちろん僕も昔は「なんか掴んだ気がする。分かってきた」とか言ってた時期がありました。本当ごめんなさい。

アルゴリズムが公開されなくても基本的なやるべきことは分かります

先ほどとは逆の議論として、「Googleのアルゴリズムはブラックボックスなので」というのは非常に違和感あって僕は使わないようにしています。まあ確かに全部が見えないという意味ではブラックボックスではあるのですが、大きな影響のある変更や、一般的に常識となっているような評価項目などについてはある程度までは情報も公開されていますし。

実際には、「検索結果にどのように反映されるか(何番目にランクされるか)は最終的には分からない」だけであって、「何をすればもっと改善するのか」は分かります。それをとにかくやってみてどこまでそれを評価してもらえるかを検索エンジンの今の不完全な評価システムに委ねるわけですね。

例えば、の話ですが。

「このサイトが3位、このサイトが6位となかなか上位にいるのですが弊社のサイトは9位にいます。この差はなんですか?」というような質問はたまにありますが残念ながら僕は答えられません。次の日になって検索結果上位のサイトがガラっと入れ替わっていることも多分にありますし、そうなった場合はその時に話したことは根拠を失うためです。

ここについては「考えても分からんものは分からん」という明確な割り切りが必要です。

ただ「こういう目標に対して、今どういうところに課題や不足があって、これから何をすればもっと良くなるでしょうか」であればいくらでも妥当な提案は出せると思います。その前に目標の見直しが必要な場合も多分にあるでしょうし。

どのような状況、どのようなサイトであれ、大枠としてやるべきことは割と明確なのです。

  1. 検索されることを考慮したサイトの設計、出現語句の最適化
  2. クローラー等の性能に合わせた技術面での最適化
  3. 長期的にビジネスに貢献し得るコンテンツの作成+リンクやシェアの獲得

まとめて括ってしまえば、かなり乱暴ですがこれくらいの3つくらいにまとめることは出来るとは思っています。そしてこのうちの1つでも著しく欠如しているとそれだけでSEOは減速します

ですのでSEOをしっかりやるのであれば、上記のような項目それぞれについて改善の余地があれば、伸び白の大きいもの(出来ればコストのかからないもの)から順々にやっていくようなイメージです。

もちろん、コンテンツ→リンクの取り組みは、最終的には地道に継続することでしか成功し得ないものでもありますのでここのあたりは工夫と根気が必要です。

ただ、これはあくまでもしっかりSEOをやりきる上で、の話であって、実際にはサイトを作るときにはビジネスサイドの要求、UIやビジュアルデザイン面の要求、SEO上の要求などがところどころで衝突する場面が出てきますし、全てにおいてSEO側の事情を優先させるということはほとんどありません。

ですので前提として、SEOの仕事をする人は、そのサイトにおけるSEOの重要度を正しく評価できる必要があります。この辺は結構ひとくくりに言えない部分なので難しいことですね。

※ちなみに今月は自分でも制作とか開発の人のためのSEOセミナーやりますけど、こういう話題にも少し触れますので興味ありましたら是非。

最後に、SEOの仕事に必要な能力は半端なく広く深いものです

冒頭で5年くらいSEOの仕事に関わってきました、というお話をしましたが、やるべきことがある程度分かったとしても企画~制作~運用改善まであらゆるフェーズで求められるSEOのスキルを全てカバーしてくのはかなり大変だと思います。

自分で言うのも気持ち悪いですが、個人的には自分は決して学習能力の低い方ではないとは思っていますが、今はもちろん、正直今後も全部なんて到底カバーしきれる気がしません。自分がここまでやってこの程度なのだから、という逆の意味での自信は最近になってようやく少しずつついてきたところです。

言いたいことは、そうそう簡単な仕事だと思って甘くみて欲しくはないですけれども、しっかり勉強すれば、その分しっかり成果の出せる仕事ではあります。一定水準をクリアしているSEOのプレイヤーの母数に対して、潜在的なSEOの需要が過剰にある環境だと思いますので、そういう意味でもチャレンジし甲斐のあるテーマではないかなと思います。

以上、これからSEOを専門で仕事とされる方に参考にして頂ければと思います。

ヴォラーレ株式会社 土居

「SEOノウハウ」って何だろうね、という話

“SEOノウハウ”という表現、よく使われますけど、これまたエラく曖昧な、そしてその言葉を単独で使えば、何とも胡散臭い言葉だと自覚しています。この業界では特に、でしょうか。「僕らSEOのノウハウたくさん持ってるよ」とかドヤ顔で言われても何言ってるのか正直よく分からないですよね。

(※って言って”SEOノウハウ“って調べたら僕が以前に取材頂いた記事が1位に、、すみませんでした)

話を戻して、何をもってSEOのノウハウというんだろう、ということについて。言葉を明確に定義する必要もないとは思うんですけど、「言葉にするなら多分こういうものかな」って言えば自分はしっくりくるなと思ってる内容をまとめてみようと思います。

「SEOノウハウ」がそれ単独で出来ることは少ない

ちょっと話は逸れますが、例えば、大学生3人で始めたばかりのスタートアップ企業が、いきなりリクルートさんの主力Webサービスと同じサービスをWebで展開しても同じことはできないですよね(例に出してしまってすみません)。資金力、人的資源、組織力、ノウハウ、運用歴、ブランド、何もかもが圧倒的に違うわけですね。

そしてそれはSEOにしても同じことが言えます。

表面的なサイトの形や機能は同じように構築すれば同じようにできることは多いと思いますが、じゃあ既にそのジャンルのトップ(キーワードの順位だけじゃなくて事実上のトップ)に長らく君臨するようなサイトはそういう要素だけで出来上がってるの?と言えば全然違うわけです。

世間一般にSEOが強いとされるサイトを見てその表面だけ真似ても、長期的に蓄積されてきたWeb上の資産は一朝一夕ではまねられません。そういうサイトのSEOの”強さ”の土台となっているのは「SEOのノウハウ」なんていうものではなく、サイトへの投資、ビジネスへの投資そのものだったりします。

だから単にSEOに詳しい人がいるだけでは、ビジネスを加速させることには限界があるわけですね。

SEOに長けている人がWebに関わると何が変わるのか

じゃあ、SEO強い人がいると何が良いのよ?というお話で。SEOに関する知見の多寡によって差が出るのは、次のような項目なんじゃないかと思っています。

  • そのビジネスにおけるSEOの重要度の評価を適切にできるかどうか
  • そのサイトでの理想的なSEOのイメージ(将来像)を持てているかどうか
  • 現状の課題を正しく認識し、現実的かつ妥当な施策のプランニングができるかどうか
  • サイト運用や企業活動の実績をどれだけ有効なSEO資産に転換できるか
  • 蓄積されたSEO資産をどれだけ有効な検索トラフィックに転換できるか
  • 検索トラフィックをどれだけ資産や収益に転換できるか

せっかく良質なサイトを運用していてもこのノウハウが欠如すれば100の投資をした結果のリターンが20しかないかもしれない(実際そういうサイトは多いですよ、勿体ない)。

でも、ある程度の知見があればこれを150にできるかもしれない。
本当にSEOに強い人がやればこれを300まで持っていけるかもしれない。

ちょっと雑ですけど、個人的には、SEOのノウハウというのはそういう類のものだと思っています。

ちなみに”SEO資産”というと何とも怪しい表現ですが、砕けて言えば「検索エンジンに認識・評価され検索結果により多くサイトが露出されるための材料となるもの」みたいな感じでしょうか。

コンテンツやリンクといった直接的な資産は分かりやすいですが、「継続的にサイトに訪れ、リンクや共有をしてくれる可能性の高いユーザー」みたいなものとかそういうのも本質的にはサイトの資産と考えるべきかなとも思います。

何にしてもサイトに色んなものを蓄積していくことは必要

基本的には先ほどこういうものになります。ただし、人工リンクみたいにサイト自体の改善をせずに評価を底上げするようなやり方を除き、100の投資自体はきちんとする必要があるんですよね。

つまりサイトに対する100の投資を300のリターンに出来るような”SEOに強い人”がいたとしても、投資が10のサイトであればそれを30にすることしかできないんですね、超単純計算では。

その場合、別のサイトでそれなりのスキルを持った人たちが100の投資で150のリターンを返してきているなら、そのサイトには勝てないわけです。

多分これがSEOノウハウというもののある意味での限界かなと思っています。

何もない状態で出来ることがほとんどなくて、何かする場合には基本的に何をするにもSEOが関わってくるのでそこにいちいちSEOを考慮した要件や仕組みを組み込んでいく、そんなイメージです。

しかし、言うは易し、するは難し

簡単に言っていますが、先ほど挙げたようなこと(資産を蓄積し大きなリターンに転換する)を本当に上手に実現しようと思うと、SEOと一言で言っても本当にいろんなことを知っていないといけないし、最低でも、相応に広い視野を持たないといけないのです。

また、必要な素養が幅広いので大変です、ということ以上に、明確なリターンが見えるわけではなく、かつ確かな正解のないものに、そうした動きを積極的にしていきましょうよ、としてそれを実行に移すまでのハードルが、企業によっては非常に高いと思うんですよね。

そういうところを少しでもカバーできればと思って(勿論、あわよくば案件のご相談など頂ければと思って)セミナーとか勉強会とかもやっているわけですね。今は需要の濃い話題とか、検索エンジン周りに寄せていますが、今後少しずつ領域広げてバリエーション増やしていきたいなとも思っています。

そんな感じで引き続きよろしくお願いいたします。

ヴォラーレ株式会社 土居

“ホワイトハットSEOが上手くいかない”という人へのアドバイス

少し前に個人ブログでこんな記事 (「ホワイトハットSEO」という言葉に感じる何とも言えない違和感とか気持ち悪さとか) を書いていながらちょっと気持ち悪いですがこの記事では便宜的に使わせてください。

リンクを使わないSEO(≠ホワイトハットSEO)なるものをしているけど上手くいかない、という相談が最近特に多いのですが、そういう方と話していると結構考え方に共通点あるなと感じています。

“ホワイトハットSEOが上手くいかない”という人によく見られる特徴

いろいろあると思いますけど大半の場合、これらに当てはまるかなと思います。

  • 「ホワイトハットSEO=リンクを買わないこと」と思っている
  • コンテンツを増やすことがリンクを増やすことの代替になると思っている
  • SEOの目標を特定の商用ワードの上位表示のみに据えている

これにどれも当てはまらない、という方であれば有料リンクに頼らないSEOというのはごく自然なものなのでしょうし、そういう取り組みの中で何を成果目標とするか、どういうスパンで物事を考えるべきか、などもサイト毎にある程度定めやすいと思います。

一方、ここに2つないし3つが当てはまるような感覚であれば、本来的な意味での「ホワイトなSEO」というのは非常に遠回りな施策になりがちです(目指しているものと得られるものが極めて一致しにくい)。

そしてこういう人が目標とプロセスのミスマッチを認識しないまま「ホワイトって所詮は理想論だよね」って言ってるのを見るとそれはさすがにちょっと違うなあと思うんですね。見据える目標によっては「ホワイトが限りなく理想論」であるということもあるのは事実ですが、今の時代は決してそうではないことも多いのです。

さて、ひとつずつ解説を。

「ホワイトハットSEO=リンクを買わないこと」と思っている

間違っても「ホワイトハットSEO=リンクを使わずに上位表示する方法」なんていう意味ではないんですよね。

たとえばですが、順位を上げるためにサイトにとって価値のないコンテンツをガツガツ投下してるならそれは普通にガイドラインに抵触する行為です。でもその認識がない人も多いようです。

ちなみにそういう方に特徴的なこととして、ページの情報量を「文字数」で表したり、サイトの情報量を「ページ数」で表したり、コンテンツの品質を「オリジナルテキストかどうか」などで判断したりする傾向があるなあと感じます。

少なくとも、ユーザーが何を求めてサイトをどう利用するのか、どんな態度変容やアクションを求めるか、みたいな視点があれば、もうちょっと有機的な捉え方が出来るようになると思いますが。

話を戻すと、あくまでもガイドラインに抵触しない範疇でサイトを展開し、総合的に検索エンジンからの評価を高めていくための一連の取り組みをホワイトハットSEOとかって呼ぶわけですので、「リンクを買わない」とかっていうのはその前提条件のひとつでしかないわけです。

リンク買ってないのに順位が下がったとかいう話もありますけどリンクを買った買ってないとかその事実自体は割とランクには関係ないことです。そのキーワードに関してサイトやページを上位に掲載するに値すると算出されるかどうか、検索結果を決めるのは結局それだけです。

コンテンツを増やすことがリンクを増やすことの代替になると思っている

これも多いんじゃないかなと思います。簡単に言えば「リンク買うんじゃなくてページ増やそう」的な発想ですね。結論としてはコンテンツを増やすことはリンクを増やすことの代替ではありません。それはそれ、これはこれ、です。

コンテンツを増やすことにはもちろん意味があります。サイトの情報量を増やすという意味でも情報の鮮度を保つという意味でもSEOとしての価値もあります。ただ、それ自体はSEOというよりもコンテンツを作って公開するという普通のことですよね。

それなりのキーワードで上位にランクさせたいなら少なくとも今のGoogleではサイトにリンクを集めることは必須です。リンクを買ったり自分で貼ったり交換したりしないから正しい、のではなく、買ったりしないのであれば正当なアプローチでリンクを集めていかないとダメなのです。

継続的に新しいコンテンツを公開することはトラフィックや自然リンク獲得の起点となりますし、リピート訪問の動機にもなります。そういうことの積み重ねによって、検索エンジンからの評価が次第に高くなり検索結果上での露出が増えていく、結果として更にトラフィックやリンク獲得機会が増える、そういうサイクルに乗せなければいけないのです。

SEOの目標を特定の商用ワードの上位表示のみに据えている

結構、ここが根本的で根深い問題だと思っていまして。上位表示ビジネスとしてSEO市場が出来あがっていて、それがロクに修正されずにここまで来ているのでなかなか「SEO=上位表示」の感覚って市場全体から抜け切らないと思うんですよね。

ホワイトなSEOを行っていく上では、人気のキーワードで上位表示される、というのは色々やった上で「結果的に」出てくる成果だったりするんですよね。

少なくともそれ「だけ」をターゲットとして施策を打とうとすると、技術的なことも、マーケティング的なことも、コンテンツにしても、本来とても重要な色々な項目があまりSEO的に価値のないものに見えてしまうわけです。なぜなら「上がったか?上がってないか?」の判断基準しかないためですね。

参考までに2012年8月に公開したApplivという自社メディアのデータを一部公開します。綺麗なSEOと言い切れる自信は全くありませんが、少なくともこのサイトに自分たちでリンク作ったりとかそういうことはやっていませんので、都合良く解釈すれば「ホワイトなサイト」と言えると思います。

たとえば「iphoneアプリ」「ipadアプリ」みたいなキーワードのサイト公開時からの推移はこんな感じです。

applivのランキング推移「ipadアプリ」「iphone」アプリ 1年半かけて徐々に上昇、上位にランクしてからは半年間安定

まともに上位にくるのはリリースしてから1年くらいかかっていますね。ただ上がったのちは安定です。

これは「ホワイトハットだから」とかそういうことでは全然なくて、特に大きくランクを下げるような爆弾を抱えているわけではないですし、このワードで追随してくる競合サイトがそこまで多くない、ブラックハットに支配された検索市場ではない、などの理由からです。

じゃあ上がるまでの1年間どうするんですかという話でいえば、別に検索は他でもたくさんされていますし検索以外の流入経路もありますのでちゃんとサイトを運営していればトラフィックは増えていきます。(実際に上にあげたようなワードでの流入の影響って2つ合わせても検索トラフィック全体の1%にも満たない僅かなものです)

徐々に伸びる検索トラフィック

参考1:当社事例:SEOを集客の軸とした自社メディア「Appliv」でリリースから1年強で月間1000万PVを達成
参考2:SEOで月間1000万PVを集めたサイトの「SEOノウハウ」を公開します | Find Job ! Startup

で、蛇足なのですがこういう話をすると「やっぱり大事なのはロングテールキーワードなんですか?」ということを思われる方も多いとは思います。

でも、ロングテールからの流入が増えるってのもやっぱり必要なことを色々やった上での結果そうなりますよ、という話でしかなくて、何とかしてロングテールの流入を増やそう!とか思ってやるようなことでは本来はないと思うんですよ。それがゴールになることはないですし。

“ホワイトハットSEOが上手くいかない”という人へのアドバイス

もし、「目標とする成果」と「結果として得られるであろう成果」がマッチしないのであれば、それは何かを見直すべきです。失敗しているケースの多くがここに起因すると感じます。

具体的には、そのアプローチで得られるであろう妥当な目標設定に変えるか、やり方を改善するか、あるいはアプローチの方法自体を変えるか、そういうシフトが必要になると思います。

また少なくとも「短期間で特定のワードで上位表示を実現する」という点だけで言えば、誤解を恐れずに言ってしまえば、(検索連動型広告の出稿以外では)巧妙なブラックハットSEOほど目標に直結するものは現時点ではないと思います。

ただし、その成功率や、どれほど維持することが期待できるか、とか本当にそこだけでビジネスが完結するのか、という視点を取り入れたときに、特に企業サイトにおいてはやはりブラックハット依存の手法は非常に推奨しづらい、または推奨し得ない場合が多いものなのです。

ここまでお伝えしてきたことをまとめます。

  • コンテンツの投下をリンク購入の代わりにしようとしても上手くいきません。
  • リンクを買わなければOKではなく、リンクは継続的に獲得していかなければいけません。
  • ホワイトなSEOで特定ワードの上位表示だけを重要指標にすると大抵失敗します。

こうした点がボトルネックになって、なかなか上手いこと望んでいた成果にたどりつけていなかったりするのではないでしょうか、というお話でした。

じゃあどうすれば良いの?という点についてはここから書き始めるとまたエライことになりますが、割とこういう感じの話を勉強会形式のセミナーなんかでも話したりしていますので個別にご相談などあればぜひお越しいただければと。

ちなみに最後の項目については、競合性の高い特定ワードの上位表示がビジネスに対してどの程度インパクトを与えるものなのか?によって優先度に線引きをする必要があると思います。

それにこだわる必要がないようなインパクトであれば、そこだけに固執することは単に集客の可能性とWeb上の視野を狭めることにもつながりますのでお勧めしません。

また、そこにこだわる必要があるようなインパクトがあったとしても、今のリンク中心の上位表示対策は以前に増してギャンブル性が高いものと言えますので、少なくともそれに全てを依存する、ということはやはりお勧めしません。その他の集客チャネルも視野に入れながら、短期~長期に渡りバランスよく施策を割り振るのが妥当と思います。

何にせよ、特定の手法それ自体が何かの目的になることはありませんので、皆様その点ご注意ください。

ヴォラーレ株式会社 土居

「デスクトップのアイコンが全部Wordになってしまいました何とかしてください」という深刻な問題

Windowsユーザから標題の様な何を言っているのか意味が分からない質問が時々来る。この様なシチュエーションに遭遇した場合、速やかにPCを見せてもらって一体何が起きているのかを自分の目で直接確認しよう。自分の置かれている状況が飲み込めていないPC初心者にいま何が問題なのかを言葉で説明してもらおうと思っても、それは無理な話だ。スカイプ越しでこの様な相談をされている場合は尚更である。

さて、標題の様な質問があった時、ユーザのPCが一体どんな状況であるかを説明しよう。要するにデスクトップやタスクバーに置いてある「ショートカット」のアイコンが全部Wordのアイコンに置き換わってしまったという事だ。

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/´fト、_{ル{,ィ’eラ , タ人
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// 二二二7′T” /u’ __ /:::::::/`ヽ
/’´r -―一ァ‐゙T´ ’”´ /::::/-‐  \
/ //   广¨´  /’   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ
ノ ‘ /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::…       イ

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれが奴のPCをのぞいてみたらデスクトップやタスクトレイに置いてある
ショートカットが全部「Word」のアイコンに置き換わっていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

情強な皆様なら「なんでそんな事になるねん?」と思うかもしれないが、マジで起こるんだ、こういう事が。

「PC初心者は何をやらかすかわからない」という特性に立ち返って考えてみよう。大よそ初心者がトラブルに巻き込まれる時はユーザ自身が「余計な事をやらかした」時に発生する事が多い。「防波堤に居た釣り人が大波にのまれて行方不明」という事故は、大抵の場合釣り人が防波堤の入り口に設置してある「進入禁止」の看板と柵を乗り越えた時に発生する。「俺達は普通じゃないんだぜ」という慢心から普通の人とは違うアドバンスな事をしようとして痛い目を見る。この問題も正にそんな感じで発生する。

例えばAさんがスカイプでWordファイルをBさんに送信するという状況を考えて欲しい。Aさんは送信対象のWordをスカイプにドラックアンドドロップするはずだ。これはわかる。しかし時々「Wordだと思ってWordのショートカットをスカイプにドラックアンドドロップする」という事があるのだ。

さて、そのショートカットを受け取ったBさん。「こちらがWordになります」といってファイルを受け取ったはいいが、そのファイルのアイコンがなんか変な事になってる。ていうかダブルクリックしてもWordが開けない。という状況に陥る。そこで送信元のAさんに「ファイルが変だよ送り返して」とかなんとか言えばいいのに、何とかしてしまおうと思うのがIT企業に勤めている人間のサガである。PCなんて簡単に使えるし。単なる道具だし。俺達は普通じゃないんだし。

そしてファイルを開く際に「このファイルを開けません」→「インストールされたプログラムの一覧からプログラムを選択する」→「Wordを選択」→「この種類のファイルを開く時は選択したプログラムをいつも使う」と自己解決を試みてしまい、結果「.lnk(ショートカットファイル)の関連付けがWordに設定→ショートカットのアイコンが全部Wordに・・・」となってしまうわけだ。参考までに、アイコンが全てWordになってしまったデスクトップの画像を載せておく。

やらかす前のデスクトップ
↑やらかす前のデスクトップ

やらかしてしまったデスクトップ
↑やらかしてしまったデスクトップ

スタートメニューとか目も当てられない
↑スタートメニューとか目も当てられない

この問題の解決法は以下の通りだ。ぶっちゃけ他のサイトからのコピペだ。しかしここまで結構な長文を書いてしまい、そろそろ時間がもったいないと感じてきたので許してほしい。

Windows 7でショートカットをアプリケーションに関連付けた時の対処法

1. Windowsキー + Rで「ファイル名を指定して実行」画面を表示します。
2. regedit と入力し[OK]します。
3. HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion
\Explorer\FileExts\.lnk\UserCoiceキーを削除します
4. ログオフしてログオンしなおします

※レジストリの編集は自己責任でお願いします!設定を間違えるとPCの動作に支障が出る事があります。

PC初心者は何をやらかすかわからない。しかしその様なトラブルが発生した時は我々情強が即座に対応して通常業務が出来る状態にリカバリしてやる必要がある。ここで考えてみよう。もし我々情強が「全員Macユーザ」だったとしたら??もしかしたら彼らのトラブルを一瞬で解決する事が難しいかもしれない。何故なら開発者以外のユーザは大抵Windowsユーザだからだ。

「やらかす」人間が使うパソコンは大抵Windowsである。MacやLinuxではない。やらかす人達が多くいる環境に身を置いている場合、情強はWindowsにも精通していなければならない。トラブル以外にも「PCの便利な使い方」や「オススメのアプリケーション」をアドバイスをしてあげることもある。そんな時はユーザ目線で考えてアドバイスする必要がある。だから私はWindowsを使い続けるのである。

最後に

あまりに唐突ですが今月末でヴォラーレを卒業するので記念にこんなどうでも良い記事を書かせて頂きました。もっと言えば社員向けブログに昔書いた記事をこちらにそのままコピペしました。今後また普通のSEOの記事がアップされるはずなのでそちらを引き続きお楽しみ下さい。

それではまた。

ヴォラーレ株式会社 青木

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