去年の今頃、NASAはDSCOVR衛星に搭載されるEPICカメラで撮影した画像を初めて公表した。そのカメラは、それ以降も地球よりおよそ100万マイル離れたLagrange Point 1と呼ばれる場所から撮影を続けていた。
3000枚以上の画像をまとめ、NASAは太陽が照らす地球の1年間の様子が分かる動画を制作した。
EPICは2時間毎に少なくとも1セット分の画像を撮影する。地球を散発的にしか撮影していないが、それでもEPICの記録は雲の動きや空に駆け巡る大きな天候パターンを明らかにする。1セットの画像では10の異なる波長を記録している。赤、緑、青の波長を組み合わせることで動画で見える地球の色を再現している。
たった1年の短い期間だが、EPICはすでにいくつか興味深い天体イベントを記録した。
皆既日食
3月、EPICは皆既日食で地球の上を月の影が移動している様子を捉えた。地表で月の移動経路に当たる場所にいた人たちは、皆既日食を見ることができた。
皆既日食の間、月は地球と太陽の間を通過する。地上で空を見上げると、短い間太陽が暗い丸い影に変わって日食を見ることができる。
月の移動
DSCOVRの特異な地点からは、毎年1回か2回、月が移動している様子を見ることができる。
最初の月の移動が目撃されたのは2015年7月16日で、2回目の写り込み は今年の7月4日に起きた。
天候と北極、南極
皆既日食と月の移動に加え、EPICは太平洋を進む3つの大型ストーム(最初の画像)、東南アジアで発生した山火事(2枚目の写真)、そして北極、南極の様子(3つ目と4つ目の写真)も捉えている。
EPICが1年の間で北極と南極のどちらの様子も捉えられるのは、1年に季節があるのと同じ理由で、地球が傾いているからだ。
北極がEPICの方に傾いている時、太陽の方に傾いていることを意味するため、北半球は夏であることを示す。同様に南極がEPICの方に傾いている時、南半球は夏だ。
EPIC Science 観測装置
EPICはアメリカ海洋大気庁が2015年2月にローンチしたDSCOVR衛星に搭載されているEarth Scienceのための観測装置だ。この衛星は常に太陽と地球の間にある特別な重力均衡地点「Lagrange Point 1」と呼ばれる場所に位置する。地球と太陽の間にDSCOVRは常に「駐車」しているため、継続的に太陽を向いている地球(太陽が照らす地球)を観測することができる。
DSCOVRの観測地点から、科学者は1年を通しての雲の範囲や天候パターンを研究することができる。EPICの光学画像からオゾンやエーロゾルの量、雲の高さや移り変わり、植物の生息地域、火山のあるホットスポット地域、地表に降り注ぐ紫外線量などを計測することが可能になる。
EPICはこれまでになかった地球の定常的な観察画像を提供している。DSCOVRのミッションは5年がかりのもので、私たちは少なくとも次の数年間、EPICが撮影する太陽が照らす地球の画像を見ることができるだろう。
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(翻訳:Nozomi Okuma /Website)