国内生産の食用コオロギによる商品開発・販売など手がける徳島大学発グリラスが2.9億円達、累計調達額約5.2億円に

国内生産の食用コオロギによる商品開発・販売など手がける徳島大学発グリラスが2.9億円達、累計調達額約5.2億円に

徳島大学発スタートアップ企業「グリラス」は2月28日、約2億9000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存株主のBeyond Next Ventures、HOXIN、産学連携キャピタルなど、新規株主のいよぎんキャピタル、近鉄ベンチャーパートナーズ、食の未来ファンド(kemuri ventures)、地域とトモニファンド(徳島大正銀行、香川銀行、フューチャーベンチャーキャピタル)。累計資金調達金額は約5億2000万円となった。

グリラスは、徳島大学における30年に及ぶコオロギ研究を基礎に、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行うフードテック領域スタートアップ企業。徳島県美馬市の2つの廃校をそれぞれ生産拠点・研究拠点として整備し、コオロギの品種改良を目的とした研究開発から、食用コオロギの生産、食品原料や商品の開発・販売までを一貫して国内で行っている。調達した資金は、「生産体制の拡充」「研究開発の加速」「PR・広報・マーケティング活動の推進」「採用の強化」にあてる。

生産体制の拡充

現在グリラスは、同社コオロギを使用した食品原料については、他社との協業商品のほか、自社ブランド「C. TRIA」(シートリア)などに使用している。前回のラウンドでは徳島県美馬市にある廃校(旧芝坂小学校)を食用コオロギの生産拠点・食品原料への加工拠点として整備することで、既存のファームと合わせて2022年2月時点で年間10トン以上のコオロギパウダーを生産する体制を確立した。

しかし、他社との協業商品や自社ブランド商品の売り上げ拡大に対して、食用フタホシコオロギを加工した食品原料の生産が追い付いていない状況が続いているという。

この状況を受け今回のラウンドでは、調達した資金を自社の新規ファームの立ち上げと、生産パートナー制度の整備に活用することで、2023年12月時点で累計年間約60トンのコオロギパウダー生産体制を目指す。

研究開発の加速

現在の食用コオロギは、野生の品種を採取して養殖しているにとどまり、コオロギの大量生産において、品種改良による家畜化が急務となっている。また、コオロギをはじめ、昆虫は甲殻類に類似したアレルギーを引き起こす可能性があり、食用コオロギの一般化に際して数多くの課題が残されているという。

グリラスでは、これら課題をテクノロジーの力で打破すべく、2021年夏に徳島県美馬市の廃校(旧切久保小学校)を、大学で蓄積されたゲノム編集技術を用いてコオロギの高効率な品種改良を行う研究施設として整備した。現在は、高生産性コオロギの開発や、アレルゲンの少ない品種の確立などをテーマとして研究を進めているそうだ。

今回のラウンドでは、人員および設備への投資を行うことで、2023年内で上記2品種の上市を目標として研究開発を加速させる。また、コオロギの持つ独自の栄養成分や特徴を活かした商品の開発を並行して行うことで、食用コオロギの普及に寄与する。

国産食用コオロギの量産化を目指す徳島大学発スタートアップ「グリラス」が2.3億円調達

国産食用コオロギの量産化を目指す徳島大学発スタートアップ「グリラス」が2.3億円調達

コオロギ × テクノロジーに取り組むグリラスは、シリーズAにおいて、第三者割当増資による総額2.3億円の資金調達を発表した。引受先は、Beyond Next Ventures、産学連携キャピタル(AIAC)、HOXINなど。

調達した資金により、徳島県美馬市にある廃校を整備し、ジェイテクトと共同で開発を進めている食用コオロギを量産する自動生産システムの導入を進めることで、食用コオロギの量産体制の構築・強化を行う。生産された食用コオロギはパウダーなどに加工。世界で逼迫が見込まれるタンパク源を人々に届けることで、食料課題の解決に寄与する。

国産食用コオロギの量産化を目指す徳島大学発スタートアップ「グリラス」が2.3億円調達

グリラスは、徳島大学における25年を越える研究を基礎として世界でもトップレベルのコオロギに関する知見やノウハウを活かすべく、晴れて2019年に設立。2020年5月にはジェイテクトと業務提携を行い、IoT技術を駆使して最適化した飼育環境において食用コオロギを量産するシステムを開発。

今回の資金調達をもとに徳島県美馬市の廃校を新たな生産拠点として整備し、そこに自動生産システムを導入することとなった。

手作業で行っていたものを自動化することで、課題であった生産コストを最小化するとともに、日本国内で安全・安心に生産した食用コオロギを販売することにより、輸送含めた食料生産プロセスにおける環境への負荷を最小限に留めていくことが可能としている。

今後は、現在のパウダー製品のみならず、様々な食品へと展開するとともに、徳島大学とともにさらなる研究開発を進め、化粧品やサプリメントに加え、肥料・飼料、医薬品など、ライフスタイルを支える幅広い商品の販売を進めていく。

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カテゴリー:フードテック
タグ:昆虫食グリラス資金調達(用語)食品(用語)食用コオロギ徳島大学日本(国・地域)