NextNavが高層ビル内でのポジショニング技術を展開するために132億円を調達

NextNavは、デバイスの位置をGPSなしで特定できる屋内ポジショニングシステムを商用展開するために、1億2000万ドル(約132億円)を株式と融資によって調達した。同社が開発したのは、メトロポリタンビーコンシステム(MBS)と呼ばれるもので、GPSやその他の衛星位置信号を確実に受信できない屋内や都市部で、スマートフォン、ドローン、IoT製品、さらには自動運転車などのデバイスの場所を見つけることができる。シカゴのループ地区でUberまたは Lyft を呼ぼうとした人なら誰でも、不安定なGPS信号を経験していることだろう。

MBSのインフラストラクチャは、基本的に携帯電話の基地局に設置される。このポジショニングシステムは、GPSのような衛星からの直接到達信号ではなく、携帯電話の信号を利用する。このシステムは、デバイスの「高度」の決定に焦点を当てているのだと、CEO兼共同創業者のGanesh Pattabiraman(ガネーシュ・パタビラマン)氏はTechCrunchに語った。

GPSは、スマートフォンまたはIoTデバイスの水平位置を提供することができる。さらに、Wi-FiやBluetoothの介入によって、屋内での水平方向の位置決めを実現することができる。NextNavによれば、MBSはこの水平位置決めシステムに、垂直(あるいは「Z軸」)を追加したものだという。これが意味しているのは、MBSはビルの中の複数の階から、3m未満の精度でデバイスのいる階数を決定できるということだ。

これは、特定のフロアにいる人数といった重要な情報を、緊急サービスに提供できるようなシステムなのだ。NextNavが現在力を入れているのは、この特定のユースケースだ。昨年、連邦通信委員会(FCC)は、無線通信事業者向けの新しい911緊急要件を発表した。これは救助隊などが高層ビル内で人を見つけるのを支援するために、デバイスの垂直位置を決定する機能を義務付けるものだ。

現在、MBSはベイエリアとワシントンDCに展開されている。同社は新しいFCC要件に対応するために、今回の新しい調達資金を使ってネットワークを米国の最大50の市場に拡大する予定である。

この技術には他の応用もある。たとえば、このいわゆるZ軸は、ドローンの位置を特定するのに役立つ。昨年NASAは、バージニア州ハンプトンにあるラングレー研究センターの自律統合航法施設にある、レンジテストのための都市環境の一部として、NextNavのMBSネットワークを使用すると述べている。

今回のラウンドは、Fortress Investment Groupの参加社が管理するファンドによって主導された。これまでの投資家であるExisting investors Columbia Capital、Future Fund、Telcom Ventures、Goldman Sachs Asset Management管理下のファンド、NEA 、そしてOak Investment Partnersも参加している。

カリフォルニア州サニーベールを拠点とするNextNavのエグゼクティブチェアマンを務めるのは、XM Satellite Radio の創業者であるGary Parsons(ゲイリー・パーソンズ)氏だ。

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(翻訳:sako)