代替タンパク質の次なる大きな波は植物由来や細胞培養のシーフード

国連食糧農業機関(FAO)によると、魚は、世界で消費される動物性タンパク質の16%を占めており、その需要は高まっているという。その原因は、可処分所得の大幅な増加にある。

しかし、乱獲の問題は深刻だ。持続可能性がないため、今ある姿を保てなくなっている。本来の数の4%までに数が減少した太平洋クロマグロをはじめ、魚の個体数は減少している。産業漁業では、大型の機械を使ったトロール漁を行っており、クジラやイルカなど、魚以外の生物も捕獲し殺してしまう。

他の国々と比較して水産物の需要が飛び抜けて高い中国においてすら、需要は急速に伸びている。その原因のひとつに、アフリカ豚コレラが養豚業者を襲ったことがある。豚肉の流通量が減り、人々が他のタンパク源に目を向けたのだ。加えて、拡大を続ける中国の遠洋漁業業界が水産資源を激減させ、紛争を引き起こしていることも関係している。

しかし、私たちが食べる魚は、2030年までには、ほとんどが養殖になる。管理の悪い養魚場では、化学物質による水質汚染を引き起こしたり、バクテリアや病気を拡大させて結果的に自然の生態系に影響を及ぼすことがある。養殖の鮭は、野生の個体と混じったときに貴重な生態系を乱す恐れがあり、環境に深刻な被害をもたらす。

魚は、人口が増加し、食糧不足が深刻化した際に、非常に重要なタンパク源となる。しかし、天然資源を枯渇させず、水域環境を破壊せずに魚を安定的に供給することは、継続的な課題だ。魚は、プラスティック、水銀、抗生物質で汚染されている。しかも魚の養殖は、食糧不足にはあまり貢献していない。本当に必要としている地域には魚が届いていないのだ。

また、以前から続いてきた魚の幸福に関する論議もある。魚には知覚力があるのか。また、捕らえられたときや殺されたときに苦痛を感じるのかという問題だ。だが研究により、この議論には終止符が打たれた。魚の種の多くに長期記憶があり、社会的なつながりや子育ての技能を持ち、道具を使ったり、伝統を学んだり、他の種と協力し合うこともできることがわかっている。ほとんどの研究者は、痛みや恐れを含む感情を抱く能力があることも認めている。

トルコ、イズミルにて – 4月25日。イズミル県カラブルンの養殖場の航空写真。ここではエゲリー(Egeli)と呼ばれる、タイとヨーロッパレンコダイの交配種が育てられている。1年以内の出荷を予定している(写真:Mahmut Serdar Alakus/Anadolu Agency/Getty Images)

一部の国の養魚場では、人道的な食肉処理のガイドラインに従っているところもあるが、野生の魚に対してはそうした基準がない。しかも、そのガイドラインも名ばかりだ。養殖魚の伝統的な処理方法は、空気中や氷の中で仮死状態にするというものだ。これは長時間にわたり苦痛を与える工程で、やがては失神することもある。

魚は狭い場所に押し込められて、劣悪な環境で生活し、餌も与えられないことが多い。過密状態の魚は病気にかかりやすく、ストレスを感じて攻撃的になり、その結果、喧嘩をして傷つけ合うこともある。囲いの中は、フナムシや病気、または寄生虫の温床にもなる。このように、魚に関する問題は数え切れないほど存在する。それでも、養殖魚は毎年1200億尾が処理されていると見積もられている。

Impossible BurgerやBeyond Burgerといった植物由来の牛肉の代替品、またはImposter Burgerのような鶏肉の代替品が増えてきているものの、魚肉は遅れをとっている。魚は、陸上の動物と同じく大切な食材だ。そのため、植物由来のシーフードという選択肢を、従来品の量を減らしたいと考える人たちに提供することで、それは初めて商売として成り立つようになる。

だが、潮目は変わろうとしている。植物由来の魚肉の代替品が大きく注目され始めているのだ。スタートアップのImpossible Foodsは、植物由来の代替魚肉は「優先度が高い」と話している。他の企業も数多くの魚製品を開発しており、その味はどんどん本物に近づいている。Good Catchは植物由来のマグロを販売している。Ocean Hugger Foodsは植物由来の生のマグロを開発した。New Wave Foodsは植物由来のエビを開発した。植物由来の寿司を提供するレストランも出始めている。

細胞培養による魚肉にも技術革新がある。スタートアップのWild Typeは、鮭の幹細胞を使って研究室内の環境で育てられる鮭を開発した。同社は価格を下げて一般販売することを目指している。シンガポールのShiok Meatsは、エビ、カニ、ロブスターなど細胞培養の甲殻類を開発している。Blue Naluは細胞培養シーフード、Finless Foodsは研究室でクロマグロの飼育に焦点を当てている。同社は、2017年に最初の細胞培養の魚を完成させたが、今年中に高級レストランに向けて出荷したいと話している。これには水銀が含まれないという利点もある。

漁業をより人道的に、より持続可能にするには、まだまだ解決すべき課題が数多くあるが、同時に需要を減らす努力も必要だ。植物由来または細胞培養の肉を製造する企業は、牛肉や鶏肉の摂取量を減らしたい人たちを奨励しサポートを続けているが、同じことを魚でも行おうと視野を広げつつある。ぜひとも代替魚肉を普及させ、魚の需要の高まりによるダメージに気がついた人々を取り込まなければいけない。

【編集部注】著者のBrian Kateman氏は、
Reducetarian財団の共同創設者であり理事長。

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(翻訳:金井哲夫)

まるで本物の魚のように泳ぐロボット「MIRO-5」が日本上陸、開発は韓国スタートアップ

韓国ロボティクススタートアップのAIROが開発した魚型ロボット「MIRO-5」が日本で販売開始する。

MIRO-5は手のひらサイズのロボットフィッシュで、船のようにスクリューで動くのではなく、まるで本物の魚のように体をくねらせて泳ぐのが特徴だ。本体にはレーザーセンサー4個と自動遊泳アルゴリズムが搭載されていて、前方と左右、上下の障害物を避けながら遊泳する。2000mAhのバッテリーも搭載されていて、連続8時間の遊泳が可能だ。また、専用のAindroidアプリを使えば、自分でMIRO-5をコントロールすることも可能だ(iOSアプリは2019年5月以降にリリース予定)。

日本での販売を手がけるのは、IoTショールームの「+Style(プラススタイル)」。発売開始は5月20日で、予約受付はこちらのWebページで本日より開始する。価格は6万4800円と決して安いとは言えないが、「どうせ飼うなら未来を先取りした魚を」と考えるTechCrunch Japan読者はチェックしてみてほしい。