フォード、自動車大型パーツの3Dプリント化を実証実験

DETROIT, MI - JANUARY 09:  Bill Ford, Executive Chairman of Ford, speaks at the North American International Auto Show (NAIAS) on January 9, 2017 in Detroit, Michigan. The show is open to the public from January 14-22.  (Photo by Scott Olson/Getty Images)

将来のフォード車は、3Dプリント製ということになるのかもしれない。月曜日に行われたフォード・モーターの発表によると、フォードは大きな車体パーツを3Dプリントによるものにするテストを始めたのだそうだ。パーツ製造に関する技術は、3Dプリント業界大手のStratasysが提供する。まずは大規模パーツの3Dプリント化が可能かどうかという実験から始めることとなっている。うまくいくならば、コストの面から実現可能性がまったくなかった小規模ロットのパーツ製造が可能となる。

StratasysのInfinite Build 3Dにより商用プロダクトを製造できるようならば、車のパーツ製造の世界に、これまでは考えられなかったニッチを実現することとなる。コスト的に成立しなかったアップグレードパーツなどを提供できるようになるのだ。さらにFordにとってみれば、レーシングカーカテゴリーや、プロトタイプやコンセプトカーの製造が、短期間かつ低コストで行えるようにもなる。

一般利用者からみれば、カスタムパーツをオーダーしたり、完全にオリジナルなパーツを用いたエステティック・アップグレードが行いやすくなるという意味をもつ。3Dプリントの技術を用いれば、パーツの生成に金型を使う必要もなくなるわけだ。これまでは、完全オリジナルなパーツはもちろん、少ない量のパーツ作成すら、コスト面から成り立ち得ないものだった。製造には車本体よりも高額な費用が必要となっていたのだ。

3Dプリントによるパーツ製造のメリットはコスト面だけの話ではない。重量面でもメリットがあるのだ。フォードの試算によれば、3Dプリントによるパーツは従来品に比べて半分程度の重量におさめることが可能なのだそうだ。すなわちボディパーツの多くを3Dプリント化すれば、その分だけ軽量化されて、燃費も向上することが期待される。

とりあえず、フォードは研究開発部門におけるテストを重ねていく予定であるとのこと。車の製造シーンに新たな時代が訪れることになるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

ボーイング、3Dプリントで衛星の小型化、製造の効率化へ

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宇宙航空産業のボーイングは衛星の小型化、組立工程の省力化を進めようとしている。Wall Street Journalの記事によれば、ボーイングは衛星を運用可能にするまでの複雑な手順の多くをオートメーション化して製造を効率化するという。

衛星打ち上げ事業のSpaceXやナノ衛星開発のスタートアップ、PlanetKepler Communicationsなど、効率に優れた身軽な新企業の参入はボーイングのような既存の大企業に圧力を与え始めているようだ。

以前から(宇宙航空に民間企業が関与し始めた当初から)、宇宙空間はボーイングのような政府との契約に大きく依存する少数の大企業が独占していた。こうした企業は長年にわたってコストに利益を上乗せすることができる政府契約に守られて楽なビジネス運営を続けてきた。しかしSpaceXのようなスタートアップの参入で事情が大きく変わった。効率的な経営のSpaceXはロケットの打ち上げ費用を大きく引き下げ、これはボーイングの宇宙事業の利益を大きく圧迫した。つまりレガシーの宇宙航空企業もそのあり方を根本的に見直す必要に迫られていたといえる。

ボーイングの衛星事業部の責任者、Paul RusnockはWSJのインタビューに答えて、同社は可能な限りあらゆる部分に3Dプリンティングのような最新テクノロジーを取り入れていくとしている。また衛星自体の設計も見直し、可動パーツを最小化することで組み立ての工数を減らし、信頼性をアップさせていくという。

ロケット同様、衛星もこれまでは個別に特注された部品によって組み立てられていた。こうした部品は非常に高価であり製造にも長時間を要した。これに対して、可動部分を減らし、汎用部品を多用したモジュラー化が進めば衛星の製造コストは劇的に減少する。WSJの記事はさらに、衛星の作動テストについても触れ、コンピューター・シミュレーションをもっと取り入れること、また衛星自身に自己テスト機能を組み込むことでさらに効率化が可能になるはずと指摘している。こうした面でもボーイングなどの大企業には努力の余地が多いにあるようだ。

スタートアップは今やボーイングなどの既存企業が請求していた金額の100分の1程度の価格で同様の機能の衛星を製造可能だとしている。また衛星の開発、製造の期間も数分の一に短縮されると主張している。ビジネスという否応ない現実がボーイングに新しい考え方の採用を迫っている。いずにせよ小さなスタートアップが既存の巨大企業に自己変革を迫るような影響を与えるのは素晴らしい。こうした刺激が産業を前進させていくのだと思う。

画像: Wesley Nitsckie/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しいモノ作りテクノロジーへの投資は、アメリカの産業界を作り変える

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モノ作りスタートアップへの投資の流れは、アメリカの製造業を作り変え始めているようだ。

その潮流を最初に作り出したのは、ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコなどの都市である。だがその一方で、次なる業界の革命児となるスタートアップたちは、アメリカ南部のSun Beltや、アメリカ南西部にある郊外の、一見テクノロジー・イノベーションとは離れたように見える場所から生まれた企業たちだ。

ケンタッキー州の都市、レキシントンもその1つだ。これらの都市は、2008年の金融危機により経済が破壊され、そして、スタートアップの起業家の勢いに活路を見出している

オンデマンド型の機械加工や、付加製造(塑像のように材料を付加しながら製造していく造形方法)の3Dプリントなどの新しいモノ作りの形は、米国経済に多大な恩恵をもたらしているだろう。米国経済全体の約33%が製造業で構成されているが、それと同時に、この業界は新型のテクノロジーの流入に抵抗を示してきた業界でもある。しかし今、明文化された理由によって、その業界のあり方が大きく変わろうとしている。

企業は、作業工程からより多くのデータを集め、そのどこに効率化の余地が残されているのか把握しようとしている。それと同時に、テクノロジー導入のためのハードウェアやインフラにかかるコストも大幅に下がった。

そのような情報とサービスを提供しているのが、レキシントン拠点のスタートアップであるMakeTimeだ。同企業は先日、コロラド州のFoundry Group主導のラウンドにて800万ドルの資金調達に成功した。

MakeTimeは機械工程のキャパシティ効率化のためのマーケットプレイスであり、建築家出身のDrura Parrish現CEOによって創立された。同社のサービスによって、コンピュータライズされた製造業者たちは、機械が稼働していない期間を有効活用して、その期間内に外部企業のパーツを製造することが可能になった。

MakeTimeを利用して、ダウンタイムにある複数の製造業者に発注することで、企業はより低いコストで、より多くの量を製造できる可能性がある。

Parrishによると、データ分析による顧客企業への優れた価格情報の提供と、製造工程の真のコストを見通す洞察力がMakeTimeの成功の秘訣の1つだと語った。

足し算のモノ作り(3Dプリンティング)と、引き算のモノ作り(機械加工)は、両者とも将来の米国経済の主役となるだろう。現在、工作機械の市場は700億ドル規模である一方で、昨年に製造された3Dプリントによる製品をすべて足し合わせても約52億ドルにも満たない。だが今週のThe Economist記事によると、この数字は2025年までに5500億ドルに達する見通しだ。

この価値を生み出していくのは、CloudDDM、MakeTimeといったアーリーステージのスタートアップたち、そして、ニューヨーク発のもう少し成熟した3Dプリンティング・サービス企業であるShapewaysや、その同郷企業であるVoodoo Manufacturingなどの企業たちであろう。

レキシントンのMakeTimeがジャストインタイム(またはオンデマンドの)ニーズをつかみ、伝統的な機械工業をより安価で効率的にする一方、そこから約115キロ離れたルイビルのCloudDDMは3Dプリンティングを利用した製造ビジネスで名を上げようとしている。

より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、そのために起こっているのです。

— Drura Parrish

UPSからの250万ドルの資金調達に支えられ、CloudDDMは自社の3DプリンターとCNCマシーンを利用して顧客からの注文の品を製造している。その工場はルイビルにあるUPSのロジスティクス拠点から目と鼻の先にある。

「UPSは不吉な予感を感じている」とCloudDDMのCEOであるMithce Freeは語る。彼によると、製造業がよりオンデマンド型に近づくにつれて、いずれ企業は自社製造によって必要量分だけの生産方法を模索し始める。または、物流業者に対してより短い時間での部品の配達を求めるようになる。そして、UPSのサプライチェーン・ビジネスは、そのことを認識しているという。

UPSが3Dプリンティングを利用して、ロジスティクス市場での同社のプレゼンスを高めようとしているように、GE Appliances(現在は中国の耐久財メーカーであるHaierの傘下)は、ルイビルに自社の3Dラボを建設し、FirstBuildと新製品のプロトタイプを製作している。

当初はGeneral ElectricとLocal Motors(フェニックスを拠点とする、3Dプリンターで車を製造するメーカー)の共同研究機関だったFirstBuildは、クラウドソーシングとクラウドファンディングの原理を利用し、かつて栄えたスタートアップ、Quirkyのパートナーおよび投資家となった。そして、彼らの力を利用してFirstBuildは家電製品のプロトタイプ開発をしているというわけだ。

そのプロセスにおいて、もっとも重要なのが3Dプリンターの活用だった。GEが同社の製氷機、Opalの発売準備を進めていたとき、同製品の部品の中には3Dプリンターで製造されたものもあった。製品を市場により早く送り出すためだ。

「FirstBuildはこの分野で素晴らしい功績をあげています」とGE Venturesのsenior managing directorであるKaren Kerrは語る。「そして、ベンチャー企業のプラットフォームが、GEのビジネスをどう進化させるのかという見本でもあります」

現在、General ElectricはNextBuildと呼ばれる同様のプロジェクトを立ち上げる構想を持っている。今年の初めごろ、Kerrは私にそう話してくれた。この機関は、FirstBuildから受け継いだ「迅速なプロトタイプの製作」という理念を受け継ぎながら、それをGEの産業向けビジネスに応用するという。

その他にも、マンモス級の企業がGEに加わり、彼らの力がLocal Motorsを支えている。調達金額は非公開ながら、今年の初頭にLocal Motorsは、創立されたばかりのAirbus Venturesから資金調達を完了した。これはAirbus Venturesにとって初の投資案件となった。

「最終的には、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」とMakeTimeのParrishは語る。「より迅速な、より高品質な、そしてより安価な製造方法を、起業家たちに提供できる業界に製造業を作り変える。今この業界で起こっている全てのことは、その目的のためなのです」。それに加えて彼は、これの実現のためには、すべての製造チェーンをデジタル化しなければならないと話した。

「ジャストインタイムのモノ作り、またはオンデマンドのモノ作りでは、私たちの皆が役割を持ちます。皆が立ち上がり、聖なる土地へと突き進み、製造業に関わる人々に安寧をもたらすのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

MITが歩くロボットを3Dプリンターでまるごと出力

MITの研究チームは圧力供給で作動する歩くロボットのプロトタイプを1台の3Dプリンターでそのまま出力することに成功した。つまりこのロボットはプリンターから出てきた状態ですぐに歩き出すことができる。組立は必要なし。

このミニ6脚ロボット0はMITのCSAIL〔コンピューター科学人工知能〕ラボが開発したもので作動液体を含むすべてのパーツはプリンティングが終了した時点で完全に作動可能だという。この研究グループはStratasys社(世界最大級の3Dプリンター・メーカー)の高機能プリンターを利用している。このプリンターは同時に8種類の素材を利用できる。

〔日本版〕ビデオはサラ・バー記者が解説しているが、0:30あたりからCSAILラボで開発された「すべて組立ずみ」のロボットが多数登場する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本で3Dプリンターを使って銃を作った男、地裁判断は2年間の実刑判決

湘南工科大学の元職員である居村佳知は、3DプリンターでZigZagと呼ばれる拳銃を製造・使用し、日本の厳格な銃規制法に違反したとして逮捕されていた。

検察側は、居村被告の行為は銃規制に反対する立場から、殺傷能力を有する銃を簡単に製造可能であることを広めようとした行為であると断じていた。伊名波裁判長曰く「誰でも拳銃を製造して所持できることを示し、銃規制を形骸化しようと考えた」とのこと。

居村被告は起訴事実は認めつつ、「違法性の認識はなかった」と主張していた。裁判所の判断としては、今回の事件に実刑を課すことで、今後の類似犯の発生をおさえようとする意図があるものと思われる。

via 3DPrint

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(翻訳:Maeda, H