【本稿の執筆者、James G. Brooks, Jr.はソーシャルビデオ配信会社、 GlassViewのファウンダー・CEO。】
9月にFacebookのデータに「相違」がありユーザーの平均ビデオ視聴時間を過大に報告していたことを同社が認めたとき、広告業界全体が不満に包まれた。
誤差は膨大であり ― 数値は2年間にわたり最大60~80%水増しされていた ― Facebookに有利なものだったため、邪悪な動機を指摘する向きもあった。少なくともそれは、メディア会社が提供する自社データを信じる愚かさを浮き彫りにする出来事だった。
「FacebookやGoogleのようなメディアオーナーがなすべき努力を怠り、comScoreにデータを渡して独立した評価を可能にしていないことも、長年指摘してきた」と、大手広告会社、WPPの最高責任者、Martin SorrellがBloombergに語った。「審判と選手は同一人物であってはならない」(ちなみにWPPはcomScoreの調査に多大な投資をしている)。
広告主はFacebookビデオをビュー単価で購入し、3秒以上見られたものがカウントされる。しかし問題のデータは、Facebookビデオが実際以上に効果的である印象を与え、マーケターに予定より多くの出費を強いる結果になった。
マーケターにとっては、またもやFacebookとGoogleの独占状態を実感する出来事だった。Microsoftのような政府の介入がない中、今はFaceGoogleの世界であり、誰もがそれを受け入るしかない。しかし、Facebookが市場に善意をもたらす気持ちを持っているのであれば、事態を改善するべくマーケターにできることが5つある。
- 内部監査を要求する:理想的には、Facebookが第三者機関に依頼して内部監査を実施し、今回何が間違っていたかを明らかにし、二度と同じことが起きないよう安全対策がなされたことを確認する。これがマーケターの信頼を取り戻すための第一歩だ。
- Facebookに第三者による検証を義務づける:ANA(全米広告協会)はすでに、Facebookがメディア評価協議会(MRC)に依頼して、独立の第三者による検証を実施すべきであると提言している。「ANAは、メディア企業が認定機関や監査の基準を遵守しなくてもよい実利的理由などないと信じている」とANAのCEO Bob Liodiceは9月末のブログ記事に書いている。これまでのところFacebookはMRCの利用についてコメントを拒んでいる。
- 将来に向けた透明性を要求する:Facebookは塀に囲まれた庭園であり、マーケターは中で起きていることをほとんど見ることができない。Facebookの水増し疑惑が尾を引く理由の一つは、同社の性能ダッシュボードに一部のデータや方式の説明が欠けていることだ。Facebookのビュー回数の基準は、ビデオの総視聴時間を視聴者数で割ることで算出すべきだった。実際には「ビュー」(3秒以上の再生)の回数で割っていた。もしFacebookがビュー回数と視聴者数を分けて表示していれば、こうした不作為の誤りは避けられたはずだ。
- 小規模な業者とつきあう:独立のアドテック会社は、 利用できる限りの第三者機関データを使って自らのROI事例をマーケターに提示する。ブランドが独自の基準を使いたければそれも可能だ。大会社は利用できるデータがはるかに多いので、都合のよいものを選んで「宿題を自己採点」できる。
- 当局に圧力をかけて介入させる:1990年代にMicrosoftがデスクトップPCを独占していたとき、米国司法省は同社を訴え、最終的に合意に致った。懲罰は軽微なものだったが、Microsoftは悪評の集中砲火を浴びブランドは永久に傷ついた。この種の対立は今はまだ起きていないかもしれないが、以前Facebookがデータプライバシーに関してユーザーに嘘をついたことが発覚したとき FTCの介入があった。企業に対する嘘も(それが事実であれば)同様の介入の理由になる。
現実はといえば、果たしてFacebookに悪意があったのか、単にずさんだったのかは誰にもわからない。どちらであれ、多くのブランドは自分の広告が実際より効果を上げていたかのように欺かれた。決して起きてはならないことだ。誰が真実を言い、誰が不正を働いているかを知ろうとすること以外にも、マーケターには心配の種が山ほどある。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)