企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」(エール)を手がけるAILLは8月18日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億1500万円の資金調達を発表した。今回は、今後のサービス拡大を見越し、朝日メディアグループ1号投資事業有限責任組合(朝日メディアラボベンチャーズ)、名古屋テレビ・ベンチャーズ)といったメディア企業からの出資を受けることで、マーケティング、PR戦略のさらなる実行を目指した。

またAillは、これまで700社超の法人が利用しており、今回公務員と有資格者団体を対象に拡げることとなった。現在、都道府県庁でも加盟準備が進められており、さらに出会いの機会が広がるとしている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

Aillは、ウェルビーイングが浸透する社会を目指し、幸福度の高いワークライフシナジーを実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は仕事やボランティアなどの社会活動によって得られるものの、未婚率の上昇に裏付けられるように、仕事を頑張ることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関りによって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そんな時代に一石を投じるサービスとして、Aillは、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供しているという。

 

AIナビアプリ開発のAILLが九州経済連合会と協業、9月18日より「婚期創出事業」での導入開始へ

AIと深層学習でチャットの内容を解析して恋人候補同時の円滑なコミニュケーションを支援する「Aill」(エール)を開発するAILLは9月17日、一般社団法人九州経済連合会との協業を発表した。AILLは、TechCrunch Japanが昨年開催した「TechCrunch Tokyo 2019」のピッチイベント「スタートアップバトル」のファイナリスト。120社以上の応募スタートアップの中から選ばれた20社のうちの1社だ。

九州経済連合会は、九州地域の経済活性化を目的とした団体で九州・山口地域に事業所を有する法人企業等約1000社が加入している。具体的には同連合会が、9月18日よりAillを活用して加盟企業間で社外の独身社員の出会いの場をアプリで提供する。加盟企業の福利厚生として導入を進めていくという。

九州経済連合会によると「近年、日本の人口減少は大きな社会問題となっており、。特に地方圏では、若者の都心への移住(社会減少)と未婚者の増加(自然減少)による人口減少で地方経済は後退し、雇用も減少するという負のループに陥っているという。九州地方でも福岡県を含めた7県すべてが人口減少県となり、地域衰退の懸念が増している。

これらの問題を解決するために「Aill」導入し「婚期創出事業」を発足。本事業を通して、九州と山口県を魅力的な働き口として加盟企業が率先してアピールをしていくという。さらに、加盟企業が安 心・安全な出会いの場を提供することで、人口減少や地域経済の後退を抑止する姿勢を示していきたいとのこと。

九州経済連合会の観光・サービス産業部の升本喜之部長は「これまでも九州地域で婚活パーティーなどの開催などを手掛けてきたが、時間や場所の制約もあり、なかなかうまく進まない面もあった。もちろん、こういった事業を否定するわけではないが、なにか違う方法で未婚者の増加を食い止めることはできないかと模索しているときに、すでに大手企業で導入が進んでいるAILLさんと出合い、協業することになった」と語る。「現在ではネット上のやり取りは一般的になっている点と、Aillでは九州経済連合会の加盟企業の独身男女だけが参加できるという安全性も評価した」と続ける。

升本氏の発言のように、九州経済連合会がAillを導入した理由としては、加盟企業の社員という身元がしっかりした独身男女しか登録できないプラットフォームである点だ。また、同じ社会的レイヤーの企業の社員と出逢えることで、価値観・ライフプラン・キャリアプランが合いやすく、共働き夫婦増加の後押しなることも期待している。さらには、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの推進などの、人と人の出会いの場が減っている現状も、Aillを利用すればある程度解消できる。

Aillは、「安心して恋愛をしたい」「信頼できる人に会いたい」「仕事だけで なく私生活(恋愛)も充実させたい」という想いを実現すべく開発されたAIナビゲースンシステム。紹介、会話、好感度という3つのナビゲーションを利用者に提供することで、男女のコミュニケーションのすれ違いを緩和、出会った後の関係進展をサポートする。実際の二人のやり取りも深層学習で解析され、ナビゲーションの精度が高まる仕組みだ。

Aillの開発は、ナビゲートエンジン開発を担当する北海道大学情報科学研究科・川村秀憲教授、AIシステム設計を担当する東京大学システム情報科学部・松原仁教授、感情と数値化を担当する東京大学 工学系研究科システム創成学専攻・鳥海不二夫准教授の3人の研究者が加わっている。

写真に向かって左から、AILL代表取締役の豊嶋千奈氏、北海道大学の川村秀憲教授、東京大学の鳥海不二夫准教授、東京大学の松原仁教授

川村教授は「ひと昔前で一般的だった、お見合いおばちゃんをAI化することを目的としている」とのこと。現在は社会構造の変化などにより、人を介してのお見合いというのはなかなか難しくなっているが、その一方で初対面の二人の円滑なコミュニケーションはなかなか難しいという現状もある。「これまでのお見合いおばちゃんは、二人の最初のコミュニケーションから、見合い後に問題が起こらないようにさまざまなノウハウやテクニックを駆使してきました。こういったノウハウやテクニックをAIに導入して社会課題の解決に結びつけたい」と川村氏は語る。

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」の事前登録開始、特定社外の異性を月30名程度紹介

AILL(エール)は8月4日、人工知能を活用した恋愛ナビゲーションアプリ「Aill」の本サービスに向け、関東圏を中心に事前登録を開始したことを発表。先着500名は2021年3月まで無料で利用できるキャンペーンも併せて実施する。

同社は、TechCrunch Japanが主催したスタートアップとテクノロジーのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」のピッチコンテスト「スタートアップバトル」のファイナリスト。応募120社超から本戦出場を果たした20社のうちの1社だ。

Aillは、福利厚生としてAillを導入している企業の独身社員のみが利用できるサービスで、社外で相性のいい異性を毎月30名程度紹介してくれる。AIが紹介、会話、好感度という3ステップを利用者にナビゲートすることで、男女のコミュニケーションのすれ違いを緩和し、出会った後の関係進展をアシストするという。利用者のやり取りを分析し、Aill自体もディープラーニングにより進化し、最適なコミュニケーションを支援する仕組みだ。

前述のように誰もが使える一般サービスではなく、企業の福利厚生サービスとして提供することで、プロフィール詐称などが難しく安心して利用できるのが特徴。恋愛AIの開発には、東京大学の松原 仁教授がAIシステム、北海道大学の川村秀憲教授がナビゲートエンジン、東京大学の鳥海不二夫准教授データ分析にそれぞれ携わっている。

本サービス向け、2019年11月〜2020年3月まで参加11社にてトライアルを実施した結果、サービスの安全性と有効性が確認できたことから今回の募集に踏み切った。トライアル中では、参加者が限られていた、遠隔地からの参加者が多いという状態だったが、以下のようなデータが得られたという。

  • AIによるアシストの受入率62%、かつ全体の違反行為は0%
  • チャット開通後1カ月以内でのデートへの進展率が、AIナビゲーションがない場合に比べ4倍(8.3%→32.8%)
  • デートに誘った場合の受諾率が、AIナビゲーションがない場合に比べ8倍(10.3%→88.0%)

すでにAillを導入している企業は、NTTグループ、みずほグループなど約20社。大手会員制福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を運営するベネフィット・ワンと業務提携しており、ベネフィット・ステーションのサービスメニューから利用できる。なお、ベネフィット・ステーションを使える企業すべてが対象でなく、Aillを福利厚生サービスメニューの対象とするには事前審査など、ここでも安全性を担保している。

AIのナビゲートにどれだけ頼るかは本人次第だが、結果的な既婚者との不倫や大幅なプロフィール詐称の被害遭うリスクを事前に排除できるメリットは大きいだろう。